「肝機能が低下していると、どんな匂いがするの?」
“ツンとした匂い”がする方は要注意です。
肝臓病が隠れているケースもあります。
悪化すると命に関わる場合もあるため、放置は禁物です。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
肝機能が低下すると、どんな匂いがするの?
肝機が低下すると、体から“ツンとしたようなアンモニア臭”がします。
これは、肝臓で分解しきれなかったアンモニアの一部が、汗として体外に排出されるためです。
肝臓には「オルニチン回路」という代謝回路があり、食べ物から摂り入れたたんぱく質を分解する機能があります。
その分解の途中で「アンモニア」という有害物質が発生するのですが、通常であれば肝臓内のオルニチンと反応して、無害な尿素に変換されます。
しかし、肝機能が低下している人は、オルニチン回路がしっかり働かないために、アンモニアを上手く分解できません。
その結果、ツンとしたアンモニアの匂いを発するようになるのです。
アンモニア臭を改善する2つの対策
- オルニチンを摂る
- 過度の飲酒を控える
2つを心がけましょう。
その① オルニチンを摂る
オルニチンを多く含む食品を食べることで、オルニチン回路の機能の改善が促されます。
おすすめの食材として、シジミやヒラメ、エノキタケ、キハダマグロなどがあります。
オルニチン回路はアンモニアを分解する上で、重要な役割を担っています。
積極的にオルニチンを摂取し、肝機能の向上を目指しましょう。
その② 過度の飲酒を控える
アルコールは肝臓に負担を与えます。
お酒を飲む場合は、適量を心がけましょう。
肝臓に無理をさせないよう、お酒を飲む際は以下の目安を心がけてください。
<一日あたりの飲酒目安>
ビール:500mlまで
チューハイ:360mlまで
日本酒:1合まで
ウイスキー:60mlまで
ワイン:200mlまで
また、肝臓の負担を抑えられるよう、週に2日は休肝日を設けましょう。
個人差はあるものの、肝臓が正常に処理できるアルコールの量は、1日あたり男性で40g、女性ではその半分の20gです。
これは、お酒の種類は関係ありません。
肝臓が1時間で処理できるアルコールの量は、日本酒1/4合程度と言われています。
もし毎日3合の日本酒を飲んでいたとしたら、肝臓は12時間も働かなくてはいけないことになります。
お酒の飲みすぎには、どんな悪影響があるの?
脂肪肝をはじめとした、肝臓の病気を引き起こしやすくなります。
摂取したアルコールは肝臓で分解・吸収され、中性脂肪などに形を変えて、エネルギー源として全身の細胞に送られます。
しかし、習慣的に毎日飲酒を続けていると、肝臓の働きが追いつかなくなり、中性脂肪が肝臓のなかにどんどん蓄積されるようになります。
そのまま脂肪が溜まりすぎると「脂肪肝」になり、肝炎・肝硬変を発症しやすくなります。
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2023-02-28
脂肪肝ってどんな状態?
自覚症状はある?
脂肪肝について、分かりやすくまとめました。
脂肪肝の人に「おすすめの食べ物」や「控えた方が良い食べ物」もご紹介するので、肝臓の数値に不安がある人は必読です。
脂肪肝とは
脂肪肝とは、肝臓に脂肪が多く蓄積されている状態のことをいいます。
肝臓には、肝細胞の中に脂肪を蓄えて、エネルギー源として利用する機能があります。
しかし、脂肪の量が多くなりすぎると、脂肪が消費しきれずどんどん蓄積されて、脂肪肝になります。
検査でどれくらいの数値が出ると脂肪肝?
ASTとALTは、人間ドック学会の基準によると、30IU/L以下が基準値で、
31~50 IU/L → 「要注意」
51 IU/L以上 → 「脂肪肝の可能性大」
100 IU/L以上 → 「肝炎の疑いあり」
と考えられています。
脂肪肝の症状
脂肪肝はほとんど自覚症状がありません。
人によっては、
疲れやすい
全身の倦怠感がある
お腹が張った感じがする
といった症状が現れるケースもあります。
脂肪肝の原因
文字通り、脂肪を多く含む食事の食べ過ぎが主な原因です。
欧米型の高脂肪な食事が増えてきたことで、脂肪肝の発症率も上昇しています。
その他、
暴飲暴食
過度の飲酒
運動不足
肥満
無理なダイエット
などの原因が挙げられます。
脂肪肝になりやすい人の特徴
肥満傾向
糖尿病・高血圧・脂質異常症を患っている
つい食べ過ぎてしまう
運動不足
お酒をよく飲む
脂肪肝の改善にいい食べ物は?
脂肪肝を改善するには、栄養価が高く低エネルギーな「野菜」「キノコ類」「海藻類」を積極的に食べましょう。
肝臓で栄養を代謝するとき、ビタミンやミネラルが必要となります。
野菜・キノコ類・海藻類には、これらの栄養素が豊富に含まれています。
脂肪肝の人が食べてはいけないものは?
脂肪肝になったからといって、食べてはいけないものはありません。
ただし、
糖質を多く含むもの(ごはん・ジュース・お菓子・果物)
脂質を多く含むもの(揚げ物・お肉)
お酒
はできるだけ控えましょう。
▼摂取量の目安
糖質を多く含むもの
ごはんは1食につきお茶碗1杯程度
(ごはんなどの穀類に含まれる糖質は、肝臓への影響が比較的少ない)
間食は1日200kcalまで
脂身を多く含むもの
週に1〜2回程度まで
お酒
できるだけ禁酒する
我慢できないときは、成人男性の場合、1日に純アルコール20g程度※までとしましょう。女性はさらに少ない量にしましょう。
週2日は休肝日を設けてください。
※1日に純アルコール20g程度の例
ビール・発泡酒:ロング缶1本
酎ハイ:350ml缶1本
日本酒:1合
ウイスキー:シングル2杯
ワイングラス:2杯弱
早く治すために!食事以外で心がける2つのポイント
肝機能の低下が気になるときは、
1日6~7時間の質のよい睡眠をとる
1日30分程度の有酸素運動をする
といった生活習慣を意識しましょう。
肝臓の負担を減らすには、十分な睡眠時間を確保することが大切です。
運動により消費エネルギー量が増加すると、脂肪肝の予防につながります。
脂肪肝を放置するとどうなる?
脂肪肝が悪化すると、「肝炎」や「肝硬変」を引き起こすリスクがあります。
また、肝硬変から肝がんに進行すると命に関わります。
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれており、無症状で病気が進行することが多く、放置は危険です。
脂肪肝を疑う場合は、早めにお近くの内科・消化器内科を受診しましょう。
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こんな症状は病院へ。「肝臓病のサイン」かも
- 食欲の低下
- 体重の減少
- 指先が肥大する(ばち状指)
- 白眼の部分や皮膚が黄色くなる(黄疸)
- コーラのような色の尿が出る
- 便の色が薄くなる
- 便が脂っぽく、悪臭がする(脂肪便)
- 皮膚がかゆい
- 皮膚に赤紫色の発疹があらわれる
- 筋肉が衰える
- 手のひらの色が赤くなる
- 皮膚に小さな蜘蛛のような血管があらわれる
- 頭がぼーっとする、意識がもうろうとする
- 手が震える
- 物忘れをする
- 怒りっぽくなる
上記の症状に心当たりがある場合は、肝臓病を発症している可能性があります。
肝臓病にはどんなものがあるの?
<肝硬変>
度重なるダメージによって、肝臓が硬く小さくなっている状態です。
肝機能が大きく低下しているため、他の臓器にも悪影響を与えてしまいます。
また、肝臓がんの発症リスクも高まると言われています。
<肝性脳症>
肝機能の低下によって分解できなかった毒素が、脳に悪影響を与えている状態です。
意識障害や認知障害などを伴い、悪化すると昏睡状態になります。
肝臓病を放っておくと、症状が悪化するだけでなく、合併症を引き起こすリスクも上昇します。
重い状態になると、ショック症状を起こしたり、命を落としたりするケースもあります。
「肝臓病かもしれない…」と思う方は、早めに医療機関で検査・治療を受けましょう。
何科で受診すればいい?
肝臓病を疑う場合は、まず内科・消化器内科を受診してください。
肝臓は“沈黙の臓器”と呼ばれており、症状を自覚としたときには、病気が進行している可能性もあります。
悪化する前に治療を行えるよう、早めの受診を心がけましょう。
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2021-09-01
「脂肪肝になった場合、何を食べちゃダメ?」
「お酒は飲んでいい?」
控えた方がいい食べ物とおすすめの食べ物を栄養士さんに聞きました。
サプリメントの使用方法もあわせてご紹介します。
脂肪肝で“食べてはいけないもの”ってあるの?
脂肪肝になったからといって、食べてはいけないものはありません。
ただし、糖質や脂質など控えた方がいい食べ物はあります。
脂肪肝で“控えた方がいい”食べ物・飲み物
糖質を多く含むもの
脂質を多く含むもの
お酒
はできるだけ控えましょう。
※こちらで紹介する“食べてもよい量”はあくまでも目安です。
詳しくは、かかりつけの医師の指示に従いましょう。
① 糖質を多く含むもの
ジュース・お菓子に含まれるショ糖や、果物に含まれる果糖は、中性脂肪が肝臓に蓄積しやすいので、できるだけ控えましょう。
食事からとった過剰な糖質は、中性脂肪に変換されて、肝臓にたまってしまいます。
どれぐらいなら食べてもいい?
ごはんなど穀類に含まれる糖質は、比較的肝臓への影響が少ないです。
一食につき、お茶碗軽く一杯くらいなら食べても大丈夫です。
② 脂質を多く含むもの
揚げ物・肉の脂身などは、できるだけ控えましょう。
脂質の過剰摂取は、肝臓の中性脂肪が蓄積する原因となります。
どれぐらいなら食べてもいい?
脂質を多く含むものは、週に1〜2回程度に抑えましょう。
③ お酒
アルコール度数の高いお酒や糖質の多いお酒は、肝臓への脂肪の蓄積に繋がりますので、控えましょう。
アルコールは糖質や脂質などのエネルギー源の利用効率をさげ、肝臓への脂肪の蓄積につながります。
どれぐらいなら飲んでもいい?
アルコールが原因となっている場合には、できるだけ禁酒しましょう。
我慢できない場合、成人男性では1日平均2ドリンク(純アルコールで20g)程度までとしましょう。女性はさらに少ない量にしましょう。
どうしても我慢できない場合でも、週2日は休肝日を設けてください。
<お酒の2ドリンク量>
お酒の種類
(一般的なアルコール度数)
お酒の量
目安
ビール・発泡酒(5%)
500ml
ロング缶1本
酎ハイ(7%)
360ml
350ml缶1本強
焼酎(25%)
100ml
―
日本酒(15%)
160ml
1合
ウイスキーなど(40%)
60ml
シングル2杯
ワイン(12%)
200ml
ワイングラス2杯弱
(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット 飲酒量の単位)
改善するためには、どんな食事がいいの?
脂肪肝になってしまったら、
良質なたんぱく質
食物繊維
を中心とした食事に改善するとよいでしょう。
その① 良質なたんぱく質
良質なたんぱく質は肝臓の働きをサポートするので、積極的に食べましょう。
おすすめの食材例
牛肉(ももやヒレ)
豚肉(ももやヒレ)
鶏肉(皮なしの胸肉やささみ)
魚(サバ、マグロ、イワシ、サケ、たら等)
大豆(豆腐、納豆など) など
おすすめの調理方法
余計な脂質や糖質を抑えられる蒸し物や焼き物がおすすめです。
魚であれば、刺身も良いです。
その② 食物繊維
食物繊維は糖質や脂肪の吸収をゆるやかにし、脂肪の蓄積を防ぎます。
また、よく噛んで食べることで満腹感に繋がり、食べ過ぎを防ぐことができます。
おすすめの食材例
海藻(こんぶ、わかめ、のり等)
野菜(キャベツ、ブロッコリー等)
きのこ類(しいたけ、しめじ、エノキ等) など
おすすめの調理方法
海藻はサラダや酢の物がおすすめです。
野菜やキノコは余計な脂質や糖質を抑えるために、蒸し物・焼き物・汁物がおすすめです。
サプリってどうなの?
「食事をサポートする」といった意味では取り入れても良いでしょう。
ただし、基本的には1日3食のバランスの良い食事が大切です。
サプリメントは、バランスの良い食事をとっていれば、基本的に必要のないものです。あくまでも“補助的に”利用するとよいでしょう。
どのようなサプリを選べばいい?
DHA・EPA・難消化性デキストリンなど、中性脂肪や糖質にアプローチする成分が入っている物を選びましょう。
治療中の場合は主治医に相談の上、使用しましょう。
薬の飲み合わせなど、治療に差し支えが出ることがあります。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
日本消化器病学会 NAFLD/NASH診療ガイドライン
日本消化器病学会 NAFLD/NASHガイドQ&A
公立八女総合病院 栄養科 脂肪肝〜食事療法〜
茨城大学保険管理センター栄養相談室
医療法人 厚生堂 長崎病院 脂肪肝について
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2022-05-30
「肝臓の数値が高いのは、ストレスが原因なの?」
肝機能の低下とストレスの関係を、栄養士さんに聞いてみました。
NGな生活習慣・改善のための対策を詳しく解説しますので、肝臓の数値を下げたい方は必読です。
肝臓の数値が高い…原因はストレス?
ストレスが原因となって、ASTやALTの数値が上がることはあります。
肝臓は自律神経によってコントロールされているため、ストレスにより自律神経のバランスが乱れると、肝臓に悪影響が及びます。
自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」があります。
過度のストレスが加わると「交感神経」が緊張し、肝臓を動かすための「副交感神経」がうまく働かなくなります。
この状態によって肝臓に負担がかかると、肝細胞が壊れてASTやALTの数値が上昇します。
ストレスによる肝機能低下で「暴飲暴食をしていないのに、数値が高かった」という状態に陥る人もいます。
「AST・ALTが51以上」の場合は、肝臓病かも…
ASTとALTは、人間ドック学会の基準によると、30IU/L以下が基準値で、
31~50 IU/L → 「要注意」
51 IU/L以上 → 「脂肪肝の可能性大」
100 IU/L以上 → 「肝炎の疑いあり」
と考えられています。
肝臓の数値が悪い状態が続くと、脂肪肝・肝機能障害・肝炎などの病気のリスクが高まります。
悪化して「肝硬変」になると、肝機能を元に戻すことができなくなります。
肝臓は“沈黙の臓器”と呼ばれており、初期症状に気づきにくい点が特徴です。
数値が高いときは「症状が出ないから」と放置せず、病院で治療を受けるようにしましょう。
肝臓に関する相談は、「消化器内科」の受診をおすすめします。
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こんな「生活習慣」に心当たりはありませんか?
ストレスが溜まっている人は、
食べすぎ
お酒の飲みすぎ
不規則な生活
睡眠不足
「サプリメント」や「市販薬」をむやみに服用する
といった習慣があるケースも多いです。
これらは肝臓の数値を高くさせてしまう習慣なので、注意が必要です。
NG習慣① 食べすぎ
食べすぎによって代謝が追いつかなくなると、肝臓に脂肪がため込まれるため、数値が上がります。
ストレスを抱えていると、「ホルモンの分泌」に異常をきたして食欲が増加することも多いです。
特に糖質・脂質の過剰摂取は、肝臓に負担をかけやすいです。
食べすぎが習慣になると、脂肪が肝臓に蓄積されて「脂肪肝」になりやすくなります。
NG習慣② お酒の飲みすぎ
肝臓はアルコールを分解する役割を担っているため、お酒の量が増えると肝臓に負担がかかり、数値も上がります。
ストレスがたまっている人は、お酒を飲んで眠ろうとしたり、深酒をしたりするケースが多いです。
飲酒量が増えた状態が長期間にわたると、アルコール性肝炎・肝硬変になるリスクが上昇します。
NG習慣③ 不規則な生活
食事や睡眠のタイミングがバラバラになると、肝臓が効率的に働けなくなるため、肝機能が低下してしまいます。
ストレスが過剰になると自律神経のバランスが乱れてくるため、「夜になっても眠れなくなる」など不規則な生活になりやすくなります。
NG習慣④ 睡眠不足
寝ているときは肝臓の代謝を抑えて休めることができ、血流も増して「肝細胞の再生」が活発になります。
睡眠不足だと肝臓が休まる時間も短くなるため、肝機能が低下しやすくなります。
通常であれば夕方以降から少しずつ眠くなっていきますが、過度なストレスで「副交感神経」が働かなくなっていると、夜眠れなくなることも多いです。
NG習慣⑤ 「サプリメント」や「市販薬」をむやみに服用する
摂取したサプリメント・薬は、肝臓で分解されます。
過剰に摂取しすぎると肝臓に負担がかかり、肝機能が低下してしまう場合があります。
ストレスがたまっている人は、自律神経の乱れによって体調不良に陥りやすいです。
体の調子を整えようとして市販薬などをむやみに服用し、健康に悪影響を及ぼしてしまうケースもあります。
ストレスがたまったら「体を動かそう!」
ストレス解消のために「暴飲暴食」すると、肝臓に悪影響を与えてしまいます。
肝臓の数値が高い人は、
ダンス
ヨガ
水泳
などの運動で、気持ちをリフレッシュさせることをおすすめします。
ウォーキング・ジョギングでも構いませんが、楽しく続けられる運動のほうがストレス解消に適しています。
有酸素運動をすると脂肪が燃焼されるため、脂肪肝の改善にもつながります。
【肝臓の数値を下げる】脂肪肝の改善方法
肝機能を改善させるにはストレス解消だけでなく、食生活などの生活習慣を改善することも大切です。
主食・主菜・副菜の揃ったメニュー意識する
「タンパク質」と「ビタミンB群」を積極的に摂る
1日6~7時間の質のよい睡眠をとる
1日15分程度のウォーキングする
といった習慣をつけると、肝臓の数値が下がりやすくなります。
肝臓は驚異的な再生力を持っており、肝細胞が破壊されると、残った肝細胞は自ら増殖して再生する働きがあります。その間、肝機能は維持されています。
再生力をサポートするために、食事で栄養をしっかりとり、肝臓に負担をかけないようにしましょう。
対処法① 主食・主菜・副菜の揃ったメニュー意識しよう
主食
ごはん/パン/麺
主菜
肉/魚/卵/大豆製品
副菜
野菜/海藻/きのこ
1食の中で主食・主菜・副菜を揃えるようにすると、自然と栄養バランスが整います。
体の栄養状態がよくなると肝臓の活動が助けられ、肝細胞が再生されやすくなります。
タンパク質・糖質・脂質のバランスが大切!
知っておきたい「計算方法」
標準体重(Kg)
身長(m)×身長(m)×22
適正エネルギー量(Kcal)
標準体重(Kg)×25~30Kcal
タンパク質(g)
標準体重(㎏)×1.0~1.2g
糖質(g)
適正エネルギー量(Kcal)×50~65%÷4
脂質(g)
適正エネルギー量(Kcal)×20~25%÷9
※エネルギー量・タンパク質・糖質・脂質は、「1日の摂取目安量」を計算しています。
例)「160cm」の人の場合
標準体重 : 56.3(kg)
適正エネルギー量: 1408 ~ 1689(Kcal)
タンパク質 : 56.3 ~ 67.5 g
糖質 : 176 ~ 274.4(g)
脂質 : 31.3 ~ 46.9(g)
*活動量によっても多少前後します。
バランスよく食べるためには、タンパク質・糖質・脂質の適量を確認することも大切です。
ご自身の「標準体重」と「1日の適正エネルギー量」から計算してみましょう。
対処法② 「タンパク質」と「ビタミンB群」を積極的に摂ろう
「タンパク質」と「ビタミンB群」を含む食材
豚ヒレ肉
いわし
かつお
さば
鮭
あさり
マグロ
納豆
卵
牛乳
など
大豆製品・卵・乳製品・肉類・魚などを積極的に食べ、「タンパク質」と「ビタミンB群」をきちんと摂取しましょう。
良質なタンパク質は、肝細胞の再生に必要な「必須アミノ酸」がそろっています。
また、タンパク質を肝細胞の再生に生かすには、「ビタミンB群」が必要です。
肝機能が低下すると「ビタミンB群」が不足しがちになるので、食事で意識的に摂取しましょう。
※食べる量を増やすとエネルギーや脂質の過剰摂取につながります。量よりも質を意識して食べるようにしましょう。
食生活で気をつけるポイント
炭水化物ばかり食べていると、タンパク質が不足しやすいものです。
麺類を食べるときは、「うどんに天ぷらをトッピングする」・「具の多いパスタを選ぶ」といった工夫をしましょう。
ビタミンB群は、毎日「卵」か「乳製品」か「大豆製品」を摂り、さらに「肉」か「魚」を組み合わせるようにすると、1日に必要な量を満たせます。
対処法④ 1日6~7時間の質の良い睡眠をとろう
良質な睡眠をとる方法
就寝の3時間以上前に、夕食を済ませる
就寝1~2時間前に入浴する
体温が下がったタイミングでベッドに入る
寝る前はテレビ・スマホなどの液晶画面を見ない
睡眠時間の長さには個人差がありますが、6~7時間を目安に良質な睡眠をとるようにしましょう。
規則正しい時間に寝ることも大切です。
寝ている間はエネルギーを消費しない分だけ代謝機能が抑えられます。
肝臓の負担を減らすには、しっかりと睡眠時間を確保することが大切です。
対処法⑤ 1日15分程度のウォーキング
ウォーキングなどの有酸素運動を毎日行いましょう。
1日15分程度のウォーキングからはじめて、慣れてきたら時間を伸ばしたり、歩く速度を速めたりしていきましょう。
運動はストレス解消につながりますし、運動により消費エネルギー量を増やすことで、脂肪肝を予防できます。
また、有酸素運動で慣れて余裕が出てきたら、筋トレにも挑戦していきましょう。
筋肉が増えると、脂肪の代謝がさらに促されます。
肝臓の数値が高いときは「消化器内科」へ
「AST・ALTが51以上」の方は、一度消化器内科で診てもらいましょう。
数値が高い人は、脂肪肝などの肝臓病が隠れているケースもあります。
また、
倦怠感・疲労感
皮膚が黄色い
頭痛・めまい
発熱
食欲低下
むくみ
といった症状があるときは、早急の受診をおすすめします。
肝臓は初期の段階では自覚症状がありません。
上記は肝臓病の悪化によって現れる症状なので、肝臓の数値が悪い人は要注意です。
「肝硬変」など、健康を大きく損なう状態に陥らないためにも、放置せず受診するようにしましょう。
消化器内科を探す
▼参考
『よくわかる最新医学 肝臓病 ウイルス性肝炎・肝臓がん・脂肪肝・肝硬変』2018年 泉並木 主婦の友社出版
e-ヘルスネット 「アルコールと肝臓病」
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。