仕事のストレスで、涙が止まらない…。
この精神状態は大丈夫?
仕事で「涙が止まらない」ときの精神状態を、お医者さんに聞きました。
うつ病や適応障害の場合、症状が悪化すると社会復帰が難しくなることもあります。
心を守るための具体的な対処法・病院を受診する目安を確認しましょう。
監修者
経歴
福島県立医科大学卒業
「働く人を支える」薬に依存しない医療を展開する「BESLI CLINIC」を2014年に協同創設、2030年を基準に医療現場から社会を支える医療経営を実践しています。
産業医視点からビジネスマン・ビジネスウーマンを支えております。生薬ベースの漢方内科での経験を活かし、腹診を含めた四診から和漢・井穴刺絡などの東洋医学を扱い、ホルモン、生活習慣をベースに身体から心にアプローチする診療を担当。米国マウントサイナイ大学病院へ留学、ハーバード大学TMSコースを修了。TMSをクリニックへ導入、日本人に合わせたTMSの技術指導、統括を行っています。
【体験談】仕事のストレスで「涙が止まらない…」
仕事のストレスで涙が止まらなくなった経験がある方に、その時どのような状況だったのかお聞きしました。
叱られることが多く、仕事がつらかったです。
家に帰っても「上司がお叱りの電話をしてこないだろうか」と思い、部屋で怯えていました。
そんな自分が惨めになって泣けてきて、涙が止まりませんでした。(30代男性)
お休み明けの出勤日、朝起きて着替えたり、弁当を作ったりしていると、急に涙が出て止まらなくなりました。
「仕事に行きたくない」という気持ちはそこまで強くなかったけど、心以上に身体にストレスがかかっていたのだと思います。(20代女性)
仕事の重圧に押しつぶされそうになって、突然涙があふれ出たことがあります。
主任に昇進してから休むこともできなかったので、精神的に追い詰められていたのだと思います。(30代女性)
今、私はどんな精神状態?
仕事のストレスで涙が止まらないときは、心身のバランスが不安定になっています。
うつ病など、「心の病気」の発症リスクが高い状態とも考えられます。
涙が出るのは、精神的な負担・苦痛を少しでも和らげようとする「生理現象」です。
涙が出ると、ストレスホルモンが低下したり、副交感神経が優位になったりするため、リラックス効果があります。
しかし、急に涙が出て止まらなくなる症状は要注意です。
この場合、「これ以上のストレスには耐えられない」と、心が悲鳴を上げている可能性が高いでしょう。
「精神的に追い詰められている」ときの症状例
- 眠れない、もしくは寝すぎる
- 疲れやすい・疲れがとれない
- 動悸・息苦しさ
- 頭痛・頭が重い
- 集中力の低下・注意散漫・考えがまとまらない
- 何をするのにもやる気が起きない・興味が湧かない
- ネガティブなことばかり考えて、自分を責める
- 憂うつな気持ちが続いている
- 下痢・便秘を繰り返す
涙が止まらないことに加えて、上記の症状は出ていませんか?
心当たりのある方は、「精神的に追い詰められている状態」だと考えられます。
この状態を放っておくと、うつ病・適応障害・不安障害を引き起こすリスクが高いです。
症状が悪化すると、社会復帰が難しくなるケースもあるため、早めの対処が必要です。
合わせて読みたい
2022-12-23
適応障害ってどんな病気?
適応障害の症状や発症する原因について、分かりやすくまとめました。
適応障害が疑われるときの対処法もご紹介します。
適応障害って、どんな病気?
「適応障害」は、職場の人間関係などのある特定の状況や出来事が、その人にとって、とてもつらく耐えがたく感じられたために、心や体の調子を崩す病気です。
ストレス因子(=ストレスを引き起こす要因)を取り除く・緩和する、もしくは、ストレス因子から離れると、だんだんと調子はもとに戻ります。
うつ病とはどう違うの?
典型的なうつ病を発症している場合は、ストレス因子から離れても、気分の落ち込みが改善することはありません。
適応障害は「甘え」ではない
適応障害は、環境に適応することができず、心や体が疲れてしまう病気です。
決して「甘え」などではありません。
適応障害の原因
適応障害は、下記をきっかけとしたストレスが原因で発症します。
職場の環境変化(昇進・転職・入職・異動等)
テレワークから出社へ変更した環境変化
対応しきれない仕事の量
地震や台風などの自然災害
気温の変化
睡眠不足・リズム障害
未来への不安
人間関係
解決できない家族問題
適応障害の症状
言葉が出てこない
何があっても楽しくない
イライラする、暴力的になる
虚しくなる、悪いことばかり考える
不安が強くなる
緊張が解けない
仕事へ行けない
暴飲暴食する
適応障害になりやすい人
普段から真面目で、物事に慎重に取り組む
ストレスに弱い
神経質、人に物事を相談できない
上記に当てはまる人は、適応障害を発症するリスクが高いと考えられます。
適応障害かも…と思ったら
まずは、ストレスの原因から離れることが大切です。
仕事が合っていないのであれば、休職も考えましょう。また、ストレスを与えてくる人とは距離を置いてください。
普段から、十分な運動や睡眠、バランスの取れた食事など、ストレスに強くなるライフスタイルを心がけましょう。
自分一人で抱え込まず、家族や親しい友人に相談することもよいでしょう。
病院は何科?
適応障害が疑われるときは、心療内科・精神科を受診してください。
精神的な症状が強いときは「精神科」、体の症状が強いときは「心療内科」で受診しましょう。
精神科を探す
心療内科を探す
適応障害の治療法
適応障害の治療では、必要に応じてお薬の処方や、お薬に頼らないTMS治療などで心身状態を改善します。
その後、カウンセリングや認知行動療法などを行います。
また、自律神経を整えるために、生活習慣の見直しも促します。
▼TMS治療
脳に磁気を当て、脳の特定部位を活性化させる治療方法
▼認知行動療法
医師やカウンセラーとともに不安感や恐怖心に対する自分の考え方・とらえ方の偏りを認識して、自分自身で修正していく治療方法
精神科を探す
心療内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
うつ病を発症する前に「今、あなたができること」
「心が限界かもしれない」と感じるときは、まず休暇をとって心身を休ませることをおすすめします。
心が壊れないようにするためにも、一度ストレスの原因から離れましょう。
「なかなか休めない」という方は、以下の方法でストレスの軽減を図るのもよいでしょう。
「ストレスを減らす方法」の例
- 上司に相談して、仕事の部署を変えてもらう
- 今の状況を文章に書き出してみる
- 友人・家族に相談してみる
部署を変えることで、状況が好転するケースもあります。
特に「仕事の内容」や「人間関係」がストレスとなっている場合は、一度上司に相談してみましょう。
また、文章にしたり、誰かに相談したりして、自分の気持ちを理解することも大切です。
ただし、出来事を振り返るときに、自分を責めることはやめましょう。
心が弱っているときに自分を追い詰めてしまうと、心の状態がさらに悪くなってしまいます。
私が「精神科の受診を決めたキッカケ」
心がつらいときは、精神科で相談するのもおすすめです。
以下では、実際に受診を決めた方々の体験談を載せています。
精神科に行こうか迷っている方は参考にしてみましょう。
会社に行くのが億劫になっていき、出社するために電車に乗っても途中下車することがありました。
出社しても動悸が治まらなくなってきたので、精神科に行きました。(40代男性)
自宅にいるときでも涙が止まらなくなったことがきっかけです。
職場にいなくてもふとしたときに泣いてしまうので、精神科に行ってみようと思いました。(20代女性)
ある日を境に、朝起きようとしたら体が全く動かなくなりました。
焦れば焦るほど余計にだめだったので、受診しようと決めました。(30代女性)
「涙が止まらない」くらいで病院に行ってもいいの?
「涙が止まらない」のは、心と体が悲鳴を上げている状態です。
躊躇せず、病院を受診してください。
つらい状態を無理して我慢することは、症状の悪化につながります。
精神科・心療内科では、カウンセリングや薬の処方を通して、症状の改善を図ってもらえます。
当日に診断書を出してもらえるケースも
- 「仕事へ行くことが困難」
- 「このままでは症状が悪化する」
と判断された場合は、当日に診断書が出ることがあります。
まずは「仕事がつらい」という旨を、医師に伝えてみるとよいでしょう。
※休職の必要性を判断するために、発行までに2日以上かかる場合もあります。
こんな症状はうつ病サインかも。併せて相談を
- 眠れない・朝起きられない
- 疲れやすい・やる気が起きない
- 気持ちが不安定で、イライラする
- 原因不明の体調不良が続いている
- 考えがまとまらない
上記の症状が2週間程度続いている場合、心の病気が強く疑われます
該当する方は、医師に併せて伝えましょう。
病院は精神科?心療内科?
- 精神的な症状が強い → 「精神科」
- 体の症状が強い(頭痛・下痢など) → 「心療内科」
で受診するとよいでしょう。
※両方の診療を行っている医院・クリニックもあります。
「精神科」は、心の病気の治療を専門としています。
うつ病・適応障害・睡眠障害・精神症状・認知症状などの治療をします。
「心療内科」はストレスなどが原因で体に出てきた症状を治療します。
頭痛・吐き気・腹痛など、心理的なことがきっかけで起こる症状を治療します。
精神科を探す
心療内科を探す
合わせて読みたい
2020-07-09
どうして…?涙が止まらない。
私、大丈夫?もしかして「うつ」のサイン?
訳もなく涙がでてきて止まらないとき、「あなたがどういう状態なのか」お医者さんに聞きました。
落ち着くにはどうすればいいのか、どういう場合は病院に相談した方がいいのかも解説します。
なぜ?訳もなく涙が出る…
何らかの原因により強いストレス、不安、緊張を感じている場合、心と体に不調が生じます。
このような症状が長引いてしまうと、うつ病を発症して、特にこれといった理由がなくても涙が出てしまうことがあります。
うつ病の原因は、脳内ホルモンのセロトニン(心のバランスを維持する働きをもつ)の機能が低下することではないかと考えられています。
また、月経前症候群(PMS)の中でも精神的症状が重症化した状態である、月経前不快気分症候群(PDD)の場合も、顕著な抑うつ感、情緒不安定等の症状が出現します。
うつ病を発症するきっかけになる事柄としては、
身体の問題(病気等)
環境変化(入学、卒業、就職、引っ越し、結婚、出産等)
別れることに対する悲しみ(家族、パートーナー、友達、ペット等)
何かを失うのではないかという不安(失業、離婚、加齢等)
等が挙げられます。
心を落ち着かせる方法
「情緒不安定」な状態がなかなかおさまらない場合、次のことを試してみましょう。
深呼吸をして一度心を落ち着かせる
何が原因でこのような状況になっているかを考える
バランスの良い食事を摂るようにする
糖分を過剰に摂取しない
カフェイン、アルコールを過剰に摂取しない
喫煙している方は控える
十分な睡眠時間を確保する(1日7~8時間程度)
ウォーキング、ジョギング、ヨガ等の運動を行う
月経周期を把握して、自分が月経前症候群であることを認識する(日記をつける)
これらの対処に加えて、根本的なストレスの元を減らすなど、環境を調整することも重要です。
私、大丈夫?判断する基準は?
日常生活に支障をきたしている場合は病院に行きましょう。
その他、身体疾患や使用している薬が原因と思われる場合も、病院で相談してください。
情緒不安定になる原因がはっきりしていて、出現する症状が軽く、さほどつらく感じない場合や、自分なりのストレス対処法をもっている場合は、一旦様子を見てもいいでしょう。
受診目安
次の症状が2週間以上続く場合は、医療機関の受診をおすすめします。
眠れない、眠りが浅い等の睡眠障害が起きている
何事にも無関心で、何も楽しいと思わない
常に悲観的で、訳もなく涙がこぼれてしまう
理由もなく常に恐怖心がある
思考力、判断力、集中力の著しい低下
みんなが自分の悪口を言っているように感じる
常に視線を感じる
不安感が常にある
動悸や頻脈、息苦しさがある
めまいの症状がある
「死んでしまうのではないか」と思うことを繰り返す
病院は何科?
精神科、心療内科の受診をおすすめします。
心療内科を探す
これくらいで…病院にいってもいいの?
心や体に不調を感じる場合は、精神科や心療内科を躊躇せず受診しましょう。
自分の状態を認識でき、症状に合った治療や薬を処方してもらえるため、つらい状態から解放されて早期改善も期待できます。
病院に行かずにそのまま過ごしてしまうと、つらい状態が長引いたり、悪化したりする可能性があります。
▼参考
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス 不安・緊張
バイエル薬品株式会社 もしかして病気?生理によるココロとカラダのトラブル
公益社団法人 日本産科婦人科学会 月経前症候群
一般社団法人 多摩市医師会 うつ病
合わせて読みたい
2023-01-19
メンタル不調を抱える方向けに、社会復帰に役立つ情報を配信する『脱うつリヴァトレCh.』。
今回紹介する動画では、リワークについて、臨床心理士さんがわかりやすく解説しています。
「リワークって具体的にどういうものなの?」
「リワークのメリットやデメリットが知りたい!」
復職を希望されていて、リワークについて詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
※動画による解説は記事末尾から
そもそも、リワークとは?
リワークとは、うつ病などの精神疾患により休職をして療養期間を経た方が、職場復帰のために行うトレーニングのことです。
様々な職場復帰支援プログラムを通じて、病気の再発リスクを軽減しつつ、本格的な職場復帰へとスムーズに移行させるのが狙いです。
リワークは大きく分けて4種類ある!
リワークは大きく分けて4種類あり、それぞれ実施されている機関や対象者の条件が異なります。
医療リワーク
精神科・心療内科などの医療機関で実施されている。
うつ病などで休職している方で、復職の意欲がある方が対象。
職リハリワーク
各県の地域障害者職業センターで「職場復帰支援」の名称で行われている。
センターの職員が、求職者本人と雇用主、主治医をコーディネートして、三者の合意後に実施される。
職場リワーク
企業内で実施される、復職支援のプログラム。
例として、内部に専門部署や医療機関を持つ企業・役所で行われている職場復帰訓練制度などが挙げられる。
民間系リワーク
企業NPOなど民間団体によって行われているプログラム。
うつ病などの精神疾患があり、復職の意欲がある方が対象。復職の意欲がある方なら、失業中でも利用可能。
ここからは、それぞれのリワークの特徴を詳しく解説していきます。メリットやデメリットまで、しっかりチェックしていきましょう。
各リワークの特徴|メリット&デメリットは?【体験談あり】
① 医療リワーク
医療リワークは、精神科・心療内科などの医療機関で行われています。うつ病などの精神疾患で休職している方で、復職の意欲がある方が対象です。
リハビリの意味合いが強く、再休職の予防を最終目標としています。
リワークの期間は本人の体調やプログラムによって異なり、数ヶ月のケースもあれば、1年以上かけて終了するケースもあります。
医療リワークでは、健康保険だけでなく自立支援医療制度※が利用できます。そのため料金の自己負担額は、健康保険の適用で3割、自立支援医療制度を利用すれば1割に抑えることが可能です。
1日あたりにすると、約600円から700円で利用できます。
自律支援医療では、前年度の世帯所得により、1ヶ月あたりの自己負担額の上限が0円から2万円で設定されます。
そのため、上限金額以上の医療費を支払う必要がなくなります。
自立支援医療制度とは…
精神疾患などの治療にかかる医療費の自己負担額を軽減する公的な制度のこと。
▼参考
自立支援医療制度の概要|厚生労働省
医療リワークのメリット
スタッフに専門家が在籍していることが多い
プログラムの一環として治療も含まれている
医療リワークは、専門医・看護師・保健師・臨床心理士など、スタッフに専門家が在籍していることが多く、安心感があります。
また、プログラムの一環として、病状の回復と安定を目的とした治療が含まれていることもメリットです。
専門家に見てもらうことが一番だと思いお医者様の居る医療リワークを選びました。
こちらの精神状態への配慮や、復帰までのスピード調整等、私生活では考えられないほど慎重かつ丁寧に対応いただきました。おかげで再発することなく職場復帰ができました。
(29歳 男性)
知り合いに医療リワークに詳しい人がいて、病院を紹介してもらいました。会話・言語のリハビリも兼ねて、対人コミュニケーションの練習もできて良かったです。また、費用も保険適用で支払いできました。
(32歳 女性)
医療リワークのデメリット
失業中だと利用できない
どこの医療機関でも実施しているわけではない
医療リワークは、復職意欲のある休職中の方が対象です。そのため、失業中は利用できません。
また、限られた医療機関でしか実施されていないので、もともと通院していた病院や主治医の変更が必要となるケースもあります。
強いてデメリットをあげるとすれば、医療機関なので感染症患者さんが運ばれてくることもあり、病気の感染は心配ではありました。
(29歳 男性)
② 職リハリワーク
各県の地域障害者職業センターが、職場復帰支援の名称で実施しています。
センターの職員が求職者本人と雇用主、主治医をコーディネートして、三者の合意後に職業リハビリテーションを実施します。
リワークの期間は、約12週から16週間です。
職リハリワークは、職場への適用に向けて雇用を支援するために行われるので、治療は目的としていません。
職リハリワークのメリット
基本的に費用は無料(一部有料の施設もあり)
事業者に対しても助言や支援を行う
疾患を持つ方の就労・就活のノウハウが豊富
職リハリワークは、無料で利用できるケースが多いです。ただし、施設によって有料の場合もあるので、事前に確認が必要です。
また、休職者本人だけではなく、事業者に対しても助言や支援を行うので、よりスムーズな復職を目指せる可能性が高いです。
障害や疾患がある方の就労や就職に関するノウハウが豊富なので、具体的なアドバイスが受けられるのもメリットです。
会社の産業医の指定で、リワークセンター(公営)を利用しました。
当時、赴任していた三重から名古屋へ週5日、まずは通うことからリズムづくりを開始。同じような休職している方と簡単なプロジェクトをしたりと実際の復職に向けてのリハビリができました。
専任の相談員の方が会社の人事部や産業医との間に入ってくれたので、復職の判断材料を客観的視点で伝えてもらえて助かりました。
(48歳 男性)
職リハリワークのデメリット
公務員は利用不可
利用までに数ヶ月かかる場合がある
スタッフに専門医がいない場合が多い
職リハリワークは雇用保険を財源とした事業なので、公務員は利用できません。
費用は無料で利用希望者が多いため、実際に利用を開始するまでに数ヶ月間待機しなければならないこともあります。
また、治療を目的としたプログラムではないので、スタッフに専門医などがいないケースが多いです。
沢山の人が利用していたので、待ち時間がでたり、混雑していた事が少し大変でした。
(38歳 男性)
③ 職場リワーク
企業内で実施される復職を支援するプログラムを、職場リワークと呼ぶケースがあります。
復職した後、安定した就労を維持できるかどうかを見極めることが目的です。
職場リワークは、企業や役所の内部に医療機関や専門部署がある場合に、職場復帰訓練制度として行われている例があります。
企業内の組織だけでなく、外部組織の従業員援助プログラムのサービスを利用する場合もあります。
職場リワークのメリット
復職時のギャップが少ない
試し出勤など、復帰への段階的な取り組みが可能
職場リワークは企業の中で実施されるので、社内の人との連絡や連携がとりやすいです。そのため、他の施設よりも、復職時にギャップを感じることが少ない可能性が高いです。
また、職場の雰囲気に慣れるための試し出勤など、正式な復職に備えて段階的な行動ができるという点もメリットです。
うつ病の診断を受け、1年ほど休職した際に職場リワークを経験しました。職場では、3ヶ月以上の休職で職場リワークを利用することになっていました。
簡単な事務作業や、1人で完結する仕事を少しずつ振っていただき、徐々に働く事に慣れていくことができました。
職場の上司も親身になって相談に乗ってくださり、安心して働き続けることができました。
(26歳 女性)
職場リワークのデメリット
導入している企業が少ない
他の社員の目が気になる場合がある
職場リワークを実施している企業が少ないので、一部の企業でしか利用できません。
また、企業内で行われるリワークなので、他の社員など周りの目が気になってしまう方もいるでしょう。焦りや不安から体調不良になる可能性がある点も、デメリットの一つと考えられます。
すぐに職場の人と打ち解けることができませんでした。
休職の理由を聞かれたり、休職中何をしていたかを聞かれたりするので、肩身が狭い思いをすることがありました。
(29歳 女性)
④ 民間系リワーク
企業NPOなど民間団体によって実施されているプログラムです。
失業中であっても、復職への意欲があれば利用可能です。
リワークの期間は、人によっても異なりますが、およそ3ヶ月から6ヶ月程度となるケースが多いです。失業中の場合は1年以上かかるケースもあります。
費用は、福祉制度を利用することで、自己負担額を1割に抑えることが可能です。さらに、前年度の世帯所得に応じて、1ヶ月あたりの負担金額の上限が0円から3万7200円までに設定されています。
民間系リワークのメリット
失業中でも利用可能
独自のプログラムを利用できる施設もある
失業中であっても、復職意欲があれば利用できるということは、大きなメリットです。
農作業など独自のプログラムを実施している施設もあり、働き方の視野を広げられる可能性があります。
病気の発症で仕事をやめる必要があり、フリーな状況でも民間系リワークなら利用可能と知ったため選びました。
最初は何をすればよいのかわからず、職場復帰の不安しかありませんでしたが、「同じような人はたくさんいる」とスタッフの方が優しい言葉をたくさんかけてくれたので、不安はなくなりました。
(26歳 男性)
民間系リワークのデメリット
都市部で展開していることが多い
スタッフに専門医がいない場合が多い
民間系リワークの多くは、都市部で実施されています。そのため、地方にお住まいの方の利用は難しい可能性があります。
また、職リハリワークと同様、スタッフに専門医がいないケースが多いです。
職員の方や、施設の管理者の考え方があまり理解できませんでした。
また生活するお金がほとんど無かったので、通所にあたり交通費がきつかったです。
(41歳 女性)
リワーク施設を選ぶ4つのポイント
費用や期間
専門領域のスタッフがいるかどうか
プログラム対象者はどんな症状の人を想定しているのか
主治医とはどのように連携するのか
リワーク施設を選ぶときは、これらの4つを確認するようにしましょう。
主治医や家族と相談しながら、いくつかの施設を見学してみることをおすすめします。
リワークを受ける施設によって、プログラムの内容や専門領域、スタッフの人柄も異なります。
上記の4ポイントをおさえて、「自分の課題に向き合える」と思える施設を探すことが大切です。
経験者に聞く!リワーク施設を選ぶときに大切なこと
リワークを始める前に、体験ができるならば体験をすることをおすすめします。様々なプログラムがあり、リワークのスタイルも場所によって違うと思うので、よく確かめてから正式に始めるのが良いと思います。
(47歳 男性)
最初は踏み出すのが怖いこともあると思いますが、踏み出しさえすればあとはスタッフさんが支えてくださります。
それぞれの施設でプログラムの特徴があると思いますので、自分に合った施設・クラスを選ぶと、無理なくしっかり復帰できると思います。
(37歳 女性)
どのように主治医と連携を取るのかなど、事前にしっかりと質問した方が良いです。
(32歳 女性)
相談によく乗ってくれるし、いろいろな事例を紹介してくれてよかったのですが、自宅から遠く交通費が負担でした。そのため、家から近い施設がいいと思います。
また、大通りに面していないほうが人の目が気になりません。
(55歳 男性)
▼動画による解説はこちら
※本記事は、チャンネル運営者の許可を得て作成しています。
※本記事に掲載している体験談は、Medicalookが独自に調査したアンケートを元にしています。動画の内容には含まれていません。
無理のない復職・再就職を目指せる『リヴァトレ』
本チャンネルを運営しているリヴァトレでは、ご自身の心身のコンディションに合わせて、段階的な復職・再就職支援が受けられます。
週2日午後のみの通所なども可能で、少しずつ通所したいという方にもおすすめです。面接の練習やハローワークへの同行など、就職活動のサポートも充実しています。
復職・再就職だけではなく、これからの自分の生き方について視野を広げて考えていきたい方にぴったりの支援サービスです。
『脱うつリヴァトレCh.』はこちら
『リヴァトレ公式サイト』はこちら