手足の指がかゆくなる「しもやけ」。子供の病気というイメージが強いですが、大人になっても発症します。
また、しもやけになりやすい体質の人もいます。今回は、しもやけの原因と、大人と子どもの違いなどについて詳しく解説していきます。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
しもやけの原因
しもやけは、体の先端がなりやすく、鼻の頭や耳たぶ、手足の指に発症します。
原因は、これらの部位の末端の血管が「冷えてしまう」ことや、「冷えて収縮、温まって広がるといった状態を何度も繰り返される」ことで、調節機能がうまくいかなくなり炎症を起こしてしまうのです。
どんなときに発症しやすいの?
部屋の中と外気の差が10度以上ある季節は、しもやけを発症しやすくなります。
また、特に大人の場合水仕事が多く、よく手が濡れている人は水分が蒸発する際に急激に冷えるため、しもやけが発症しやすくなります。
足の指にしもやけができやすい理由
足の指は、靴や靴下で覆われていることが多く、蒸れやすいので、蒸れた後に冷えてしもやけを起こしやすい場所です。
特に冬は、ブーツや厚手の靴下を履く人が多いので、暖かいところにいると蒸れて、外に出ると冷えるのが、足の指のしもやけの原因となります。
しもやけの体質は遺伝する?子どもがなりやすいわけ
しもやけ体質は遺伝する
しもやけは遺伝することがわかっています。両親のどちらかがしもやけになりやすい体質だと、子供にも遺伝する可能性があります。
子どものしもやけ。大人とは違う原因があるの?
子供は、寒い日でも、長時間外で遊びます。
手足や顔が冷えていても気にしないので、しもやけになりやすいと言えます。
さらに子供は、よく動いて汗をかきます。汗をかくとその後に冷えてしまい、しもやけを発症しやすくなります。
特に靴の中が蒸れていると足の指のしもやけになります。
また、前項でもお伝えしたように、遺伝でしもやけを起こしやすい子供もいます。
しもやけの改善・予防方法
しもやけができてしまったら…
冷やさないようにして、温めてください。
また、よくならない場合は、なるべく早く皮膚科を受診して、薬を処方してもらいましょう。
治療には、ビタミンEを含んだ塗り薬が使われます。
ビタミンEを含む保湿クリームは、薬局やドラッグストアでも気軽に手に入るので、すぐに病院に行けないときは活用しましょう。
しもやけは、ひどくなると赤く腫れ上がり水ぶくれが起きる場合もあります。そういった症状がある場合は、飲み薬も使います。
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2019-09-27
冬になると、手足がかゆくなる「しもやけ」に悩まされる人も多いのではないでしょうか。
今回は、しもやけ対策として、おすすめの食べ物やグッズ、マッサージをご紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
しもやけの原因は?
冷えや寒さで血行不良が起き、炎症が起きている状態をしもやけと言います。手の指や足の先、鼻の先、耳などといった体の先端がなりやすい場所です。このしもやけは、常に冷えているという状態より、「寒い」と「温まる」を繰り返す環境で発症しやすくなります。最低気温が3~5℃前後で日中と夜の寒暖差がある季節、エアコンの効いた部屋と外の気温差が大きい環境、水仕事が多い人などが発症します。
しもやけ対策!食べ物やマッサージ
しもやけ対策におすすめの食べ物
滞りがちな血流を改善してくれる食べ物がおすすめです。温かい飲み物や食べ物はもちろんですが、血流を改善する働きのあるビタミンEを多く含むナッツ類や植物油を使った料理を取り入れましょう。
<ビタミンEを効率よく吸収するためには?>
ビタミンEは、ビタミンCと同時に摂取すると吸収が良くなります。ビタミンCの多く含まれる緑黄色野菜や果物も取り入れましょう。野菜は、冷たいものばかりとると体を冷やします。蒸したり、汁物に入れたりして食べましょう。
しもやけ対策マッサージ
手先や足先を冷やさないように指のマッサージを行いましょう。
片手の親指(指の腹や第一関節を当てるように)をマッサージしたい指の根元に置き、くるくると回しながら指の上部に上げていきます。指の先まで行ったら、また付け根に戻ります。各指3セットずつ程度行うとポカポカしてきます。
親指と人差し指でつまみながら、親指を動かすように行うとやりやすいでしょう。
マッサージは、クリームやオイルを用いて保湿しながら、優しく行いましょう。
靴下やハンドクリーム ~グッズの選び方~
おすすめの靴下
足は、蒸れた後に冷えるので、靴下なら蒸れにくい5本指靴下が良いでしょう。血行不良になりやすい、ハイヒールやきつい靴、足の先が蒸れやすいブーツなどはなるべく避けましょう。
おすすめのハンドクリーム
水仕事の後は、水分の蒸発で手が冷えます。手の水気を拭いたらすぐに保湿効果の高いハンドクリームをつけて防御してください。保湿成分のセラミドや皮脂膜の働きを高めてくれるシアバター配合のものがおすすめです。
まとめ
しもやけは、冷えを予防し、保湿して防ぎましょう。水仕事の際には、濡れないようにビニール手袋を着用するとしもやけになりにくくなります。外に出るときは、耳や手など防寒対策を忘れずにしてくださいね。夜は、ゆっくり湯船に浸かり、体の先端まで温めてください。これでしもやけ対策は万全ですね。
<参考>
日本臨床皮膚科医会 ひふの病気 凍瘡
http://www.jocd.org/disease/disease_28.html
しもやけの予防法
寒い時期に外に出る際には、耳当てやマスク、手袋などで防御してください。また、靴は蒸れにくいものを使用し、汗を吸い取る5本指靴下などもおすすめです。水仕事が多い人は、手が濡れたらすぐに水気を拭き取り、保湿クリームを塗って皮膚を保護してください。
あまりにもひどいと、病気が原因の場合も
しもやけと似た症状の病気
しもやけと似た症状が出るエリテマトーデスという病気があり、20〜40代の女性に発症します。皮膚症状の他にも様々な全身症状を伴います。
見た目だけでは、しもやけとの区別が難しい場合もあり、検査を行い診断されます。
しもやけを繰り返す、しもやけの症状が激しいといった人は、皮膚科に相談してみましょう。
皮膚科を探す
まとめ
ただのしもやけだと思って放置していると赤く腫れ、体が温まるとズキズキと痛みを感じるようになります。
痛痒くて辛いときは、早めに治療しましょう。
特に女性の方は、しもやけに似た別の病気の可能性もあるので、症状が頻繁に出る場合は、皮膚科を受診してください。
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2020-12-15
指の色が白や紫に…!
「レイノー病」について、お医者さんに詳しく聞きました。
何科を受診すれば良いの?治し方は?
隠れた病気の可能性も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
指の色がおかしい!「レイノー病」かも
指先が白や紫のまだら模様に変色している場合、レイノー病の可能性が高いです。
一般的に、この症状では緊急の処置は必要ありません。
しかし、間質性肺炎、肺高血圧などの病気によって、深刻な状態に陥る可能性があるため、一度病院を受診することをおすすめします。
病院は「何科に行けばいい?」
レイノー病の症状が出ているときは、内科・リウマチ科の受診をおすすめします。
内科を探す
※症状の状態や病院の設備等によって、別の医療機関を紹介されることもあります。
受診目安「こんな症状は病院へ!」
指先が突然白く変色した
関節に痛み、腫れ、こわばりが生じている
疲労感が続く
皮膚に紅斑(赤いあざ)が出現している
関節に変形が生じた
早く治療を始められると、症状の進行を抑え、炎症の軽減が期待できます。
しかし、症状が悪化すると、臓器に障害が起こる可能性があります。
悪化した症状をもとの状態に戻すのは難しいため、気になる症状があるときは、早めに病院を受診してください。
レイノー病ってどんな病気?
レイノー病は、寒さ・精神的緊張・ストレス・指への物理的刺激などが原因で、手足の小動脈が収縮して、指が白くなる病気のことです。
指先が白くなった数分後に、皮膚の色が暗紫色になり、さらに赤色へと変化します。レイノー病の症状は、温めることで20~30分後には正常な皮膚の色に戻ります。
手指のしびれ、うずくような痛み、冷え、知覚の低下といった症状が出ることもあります。
発症しやすい人の特徴
女性(若い女性に比較的多い)
ストレスを抱えやすい
寒冷刺激を受けている
家族にレイノー病の発症者がいる
神経疾患がある
レイノー病はどうやって治すの?
レイノー病の症状を改善するには、次のことを心がけて生活をしましょう。
精神的ストレスを抱え込まない
冷たい水を使用しない
睡眠時間を十分に確保する
体を動かして筋肉や関節機能を維持する
外出時には手袋などで常に保温する
喫煙者は禁煙する(ニコチンが血管の収縮を促進するため)
体を冷やさないようにする
疲労を溜め込まない
注意!他の病気が潜んでいる可能性も
基礎疾患の症状として現れる「レイノー症候群」の可能性もあります。
レイノー症候群は、レイノー病とは異なり、「膠原病」などの自己免疫疾患をはじめとする、なんらかの病気を原因とした血管障害のことをいいます。
ただ、あらわれる症状は同じで、冷たいものを触ったり、冷たい空気に晒されたりすると、突然指が白くなります。
症状が長期間続く場合、手指の皮膚に潰瘍ができたり、壊疽(体の一部分が死んでしまうこと)が起きたりする場合があります。
知っておこう!「膠原病」の主な症状
膠原病は、レイノー症候群の原因のひとつです。
全身性強皮症、クレスト症候群、全身性エリテマトーデス、関節リウマチなどの自己免疫疾患の総称です。
膠原病の主な症状は次のとおりです。
皮膚が硬くなる
便秘
貧血
発熱
胸やけ
息切れ
むくみ
疲労感
指全体が腫れる
ものを飲み込みにくい
爪の甘皮部分に、黒い出血点が生じる
うつ症状
日光過敏症
胸に水が溜まる
関節の痛み・腫脹・こわばり
手足の筋力の低下・痛み
心当たりのある症状がある場合は、早急に病院に行きましょう。
参考
宮崎県医師会 レイノー現象(手足の血流が悪化)
今日の臨床サポート レイノー現象
公益社団法人 日本皮膚科学会 全身性強皮症
一般社団法人 日本ペインクリニック学会 血行障害性疼痛
関西医科大学付属病院 皮膚や内臓が硬化する病気~「強皮症」について
<参考>
日本臨床皮膚科医会 ひふの病気 凍瘡
http://www.jocd.org/disease/disease_28.html
難病情報センター 全身性エリテマトーデス 指定難病49
http://www.nanbyou.or.jp/entry/53