「子宮の左側が痛い…!」
「なぜ痛むの?」
子宮の左側が痛む場合について、お医者さんに聞きました。
考えられる病気や、病院に行く目安なども解説します。
監修者
経歴
医療法人社団 石野医院
日本医科大学
日本医科大学付属病院
日本医科大付属第二病院
国立横須賀病院
東部地域病院
石野医院
子宮の左が痛い…これはなぜ?
「子宮の左側の痛み」を感じる場合、
といった原因が考えられます。
子宮自体の痛みは、通常左右に分かれることはありません。
そのため、「左右の卵巣からくる痛み」を「子宮の痛み」と勘違いしている可能性が高いです。
生理周期の中間の痛みは「排卵痛」かも
生理周期の中間に左右どちらかの卵巣が痛む場合、「排卵痛」を起こしていると考えられます。
排卵痛であれば病的な可能性は低いため、過剰に心配しなくて大丈夫です。
排卵日になると、卵巣の壁を破って卵子が排出されます。
その際、破れた卵巣から卵胞液と血液が流れ出すと、腹膜が刺激されたり、卵巣に炎症が起こったりして、痛みを感じる場合があります。
これを「排卵痛」と呼びます。
排卵痛の特徴
- チクチクする痛み
- 引きつったような痛み
- 張ったような痛み
上記の症状は、左右の卵巣の片側に生じる場合が多いです。
排卵痛には個人差があるため、痛みを感じる人、痛みを感じない人がいます。
ストレスがある場合など、今までは排卵痛を感じなかった人が、「急に排卵痛を感じるようになる」こともあります。
自律神経のバランスが崩れていると、子宮や卵巣の緊張や収縮が強まり、排卵による症状が強くあらわれる傾向があります。
ただし、子宮内膜症など、婦人科系の病気が隠れていることもあるため、症状が続く場合は注意が必要です。(※後述)
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2022-12-23
子宮内膜症ってどんな病気?
よくある初期症状は?
子宮内膜症についてわかりやすく解説します。
病院へ行く目安も紹介するので、心当たりのある症状がないかチェックしましょう。
子宮内膜症ってどんな病気?
子宮内膜症とは、子宮の内側を覆う膜(子宮内膜)が、子宮以外の部分で増えてしまう病気です。
通常であれば、子宮内膜は生理のたびに体の外へ排出されます。
しかし、子宮内膜症になっていると、これらが卵管を通ってお腹の中にばらまかれてしまい「出血」「炎症」「他の組織への癒着」などが起こります。
子宮内膜症の症状チェック
腹痛
腰痛
重い生理痛のような痛み
生理の出血量が多い
不正出血
性交痛
不妊
次第に出血量が多くなる傾向があり、ナプキンの交換が何度も必要になるケースもあります。
特に起こりやすい初期症状は?
子宮内膜症の初期症状として、生理痛(下腹部痛)がみられます。
初期は、生理痛以外に特に症状はみられません。ただし、徐々に生理痛が強くなることが多いです。
症状が進行すると、痛みは月経時だけではなく、月経前後や月経時以外にも起こる場合があります。
子宮内膜症にかかりやすい人の特徴
20~40歳代の女性(月経がある女性)
初潮が早かった人
母親や姉妹が子宮内膜症になった経験がある(遺伝的要因)
妊娠・出産の経験がない(もしくは少ない)
帝王切開を経験したことがある
子宮内膜症になる原因は?
子宮内膜症の原因は、はっきりと分かっていません。
ただし、生理の血がお腹で逆流する現象が影響していると考えられています。
病院には行くべき?
子宮内膜症は、早めの治療が必要です。
症状に心当たりがある場合は、「婦人科」または「産婦人科」を受診しましょう。
治療を行うことで、子宮の機能が改善し、生理時の痛みや出血の正常化を目指せます。
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放置するとどうなる?
放置していると、臓器と子宮内膜が癒着を起こします。
また、生理のたびに大量に出血をするようになり、痛みや出血で通常の生活を送れなくなる人もいます。
進行すると、生理時以外も腹痛を感じるようになります。
妊娠が望めなくなったり、排便痛・性交痛・腰の痛みなどが慢性化したりするリスクも高まります。
どんな検査を受けるの?
はじめに「問診」を行い、どのような症状があらわれているのか確認します。
その後、「内診」を行い、子宮や卵巣などの状態を確認します。
必要に応じて、
直腸診
超音波検査
MRI
血液検査
腹腔鏡検査
などを行います。
内診や検査があるため、脱ぎ着がしやすい服装がおすすめです。
できれば、パンツよりもスカートの方がよいでしょう。
なお、生理中にはできない検査もあるため、できれば生理期間を避けるとよいでしょう。
子宮内膜症の治療法は?
薬を飲む「薬物療法」と「手術療法」があります。
治療方法は、症状・重症度・年齢・妊娠の希望などに応じて決めます。
治療法① 薬物療法
まずは、痛みを和らげるために鎮痛剤を飲みます。
鎮痛剤で効果があらわれない場合は「低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬」「低用量ピル」などのホルモン量の少ないピルを使用します。
女性ホルモンの分泌を抑え、症状を緩和させる作用がある「GnRHアゴニスト(偽閉経療法)」や「黄体ホルモン剤」などを投与するケースもあります。
治療法➁ 手術療法
チョコレート嚢胞(※)と呼ばれる卵巣の内膜症性嚢胞がある場合は、手術を検討します。
妊娠を望んでいるケースは、病気の部分のみを切り取り、卵巣や子宮の正常な部分は残します。
一方、妊娠を望まないケースでは、病気の部分の摘出だけでなく、子宮や卵巣、卵管などを摘出する手術を行うこともあります。
※チョコレート嚢胞とは
卵巣の内部に子宮内膜が増殖し、出血した血液が卵巣にたまってチョコレートのような状態になることを言います。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
排卵痛を和らげる対処法
排卵痛の場合、痛みを和らげるためには鎮痛剤を服用しましょう。
また、腰回りを温めたりお風呂にゆっくり入ったりして、血行を促すようにしましょう。
痛みの原因がわからない場合は医師・薬剤師に相談しましょう。
痛みがひどい場合は、病院で相談を!
- 寝込むほど激しく痛む
- 睡眠中も目が覚めるくらいに痛む
- 子宮の左側以外の部分も痛む
- 少しの振動で痛みが増す
- 痛みで腹筋にも力が入る
- 出血している
など体の不調を伴う場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
子宮や卵巣の病気が潜んでいる可能性が高いです。
病院は何科?
子宮の左側が痛む場合、まずは婦人科を受診しましょう。
早期治療することができれば、不快な症状を改善できるだけでなく、不妊やがん化するリスクを避けられる可能性があります。
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考えられる3つの原因
子宮の左が痛いと感じるのは、
といった原因が考えられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
原因① 異所性妊娠(子宮外妊娠)
子宮の中で妊娠せず、子宮の外で着床して育ってしまっている状態です。
子宮外妊娠の95%は卵管付近で起こり、左側の卵管に起こった場合、子宮の左側が痛いと感じることがあります。
症状の特徴
最初は軽度の下腹痛です。
その後、少量の不正出血を伴う強い下腹部痛が起こります。
痛みが出ない方もいますが、腹腔内で破裂した際には強い痛みと大量の出血を伴います。
こんな症状ありませんか?
など、妊娠初期のような症状を感じることが多いです。
どんな人に多い?
- 卵管が狭い・塞がっている
- 性病をそのまま放置している
- 過去に子宮外妊娠を経験している
などの人に起こりやすい傾向にあります。
どう対処すればいい?
痛みがどんどんと強く増していく、少しでも心配な場合はすぐに婦人科・産婦人科を受診しましょう。
胎嚢が大きくなると、卵管などが破裂して命の危険があります。
病院で受ける治療法
- 待機療法:自然に吸収されるのを待つ
- 薬物療法:薬(メトトレキサート)を複数回投与して組織を縮小させる
- 手術療法:外科手術によって胎児と胎盤を取り除く
などを行います。
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原因② 子宮内膜症
本来は子宮の内側にしか存在しない「子宮内膜」が、子宮以外の場所(卵巣・卵管など)にできてしまう病気です。
子宮内膜が発生した部分に痛みを感じることがあります。
症状の特徴
生理のたびに痛みが悪化していきます。
特に、月経期間に痛みが強くあらわれます。
こんな症状ありませんか?
- 腰が痛い
- 排便痛や排尿後の痛みがある
- 頭が痛い
- 吐き気がある
- 便秘になる
- お腹の張りがある
などの症状も伴う場合があります。
どんな人に多い?
- 20代の女性
- 初潮が早かった
- 若いときから生理痛が重い
- 妊娠・出産経験がない
- 家族の中に子宮内膜症を患った人がいる
など人に多くみられます。
どう対処すればいい?
早期治療が大切な病気です。
はやめに婦人科を受診しましょう。
病院で受ける治療法
薬物療法、手術療法があり、痛みに対しては鎮痛剤を用いて治療します。
症状の種類や重症度、年齢、妊娠の希望などを考慮した上で、治療法を選択します。
鎮痛剤でも痛みが治まらない場合は、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬や低用量ピルなどのホルモン量の少ないピルを使用します。
症状の発症部分が明確な場合には、手術を検討します。妊娠を望んでいる場合は、病巣部のみ切除して、卵巣や子宮の正常部分は残します。妊娠を望まない場合は、子宮、卵巣および卵管などを摘出するケースもあります。
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原因③ 卵巣腫瘍茎捻転
左側の卵巣に腫瘍ができ、子宮と繋がっている部分がねじれてしまい血液が滞り、痛みが生じます。
右側の方が痛むことが多いですが、左側の子宮辺りが痛む場合もあります。
症状の特徴
激烈な腹痛があります。
強烈な腹痛は、突然起こります。
こんな症状ありませんか?
※基本的には別症状が伴うことはあまりありません。
どんな人に多い?
妊娠可能な20〜30代頃の女性に多くみられる傾向があります。
ただし、閉経後や小児でも起こることがあり、5cm〜10cmくらいの卵巣腫瘍がある場合に起こりやすくなります。
どう対処すればいい?
卵巣腫瘍茎捻転は緊急を要するので、激しい痛みが起こったらすぐに婦人科へ行きましょう。
処置が遅くなると、卵巣に栄養分(血液)がいかず、壊死して卵巣摘出になることもあります。
病院で受ける治療法
腹腔CTやMRIで検査し、卵巣腫瘍茎捻転と確定したら、外科的手術によって腫瘍を取り除きます。
卵巣が壊死した場合は、卵管や卵巣も取り除きます。
お医者さんに伝えるポイント
- いつから症状があるのか
- 良くなっているのか悪化しているのか
- 痛みはどのような痛みなのか
- 痛みが強くあらわれるタイミング
- そのほかの症状
- 服用中の薬・治療中の病気
など細かく伝えるとスムーズです。
余裕がある場合にはメモをしておくと的確に伝えられるでしょう。
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2020-04-30
「左下腹部の痛みが続く…」
「下腹部の鈍痛が治らない…」
これってストレス?生理後だから?
女性に多い腹痛が続く原因と、その対処法をお医者さんに聞きました。
妊娠や病気の可能性、病院へ行った方がいい症状なども解説します。
女性に多い「腹痛が続く2大原因」
女性の腹痛が続くのは、
便秘
蠕動痛(ぜんどうつう)
のいずれかが原因であることが多いです。
原因① 便秘
便秘になると、長期間、便で腸の口が塞がれてしまいます。
出口がないまま、溜まった便やガスを外に出そうと腸が動くことで、腹痛が続く場合があります。
痛みの特徴
張るような痛み
食後に下腹部が痛む
痛む部位
便秘の場合、腹部左下にあるS状結腸に便が溜まりやすいため、左下腹部にズキズキするような痛みが生じる場合があります。
便秘による腹痛の対処法
痛みがつらいときは、横になり、膝を折り曲げて上半身を前かがみになりましょう。
横になれないときは、椅子に座り前かがみの姿勢になり、毛布・カイロ・腹巻などでお腹を温めるなどしても良いでしょう。
原因② 蠕動痛(ぜんどうつう)
腸内の便を押し動かすとき、腸管を収縮させる「蠕動運動」が起こりますが、このときの収縮が強いと腹痛が起こります。
女性は生理前から生理中にかけて、蠕動痛が生じやすいです。
これは、経血を排出するために子宮が収縮するのに伴い、子宮の周りにある腸の活動も活発になるからです。
痛みの特徴
キューッとするような痛み
腸が下に向かって動くような鈍い痛み
痛む部位
蠕動痛の場合、下腹部が特に痛みます。
蠕動痛(ぜんどうつう)の対処法
痛みがつらいときは、無理に体を動かさないで体を休めましょう。
便秘がある人の場合は、蠕動痛が収まっているときは、水分摂取、食事は食物繊維の多いものを摂るようにして、1日30分以上は体を動かし、便秘が解消するように努めましょう。
生理や妊娠「ホルモンバランス」の影響のケース
排卵期痛
月経前症候群(PMS)
月経痛、月経困難症
妊娠
によって、腹痛が起こるケースもあります。
排卵期痛
排卵期に月経痛と同じような腹痛が起こる場合があります。
この時期は、腹膜が刺激されるため、痛みが起こりやすくなります。
月経前症候群(PMS)
月経前に起こる不快な症状です。
頭痛・お腹の張り感・下腹部の痛み・浮腫み・精神症状等に症状が出現する場合があります。
脳内のホルモンや神経伝達物質の異常によって、腹痛が起こりやすくなります。
月経痛、月経困難症
主に下腹部痛・便秘・下痢・頭痛・吐き気・腰痛等の症状が生じます。
プロスタグランジンという物質が過剰に分泌されたり、子宮の過収縮を起こしたりするため、痛みが起こりやすくなります。
妊娠
妊娠して間もない時期は、腹痛・腹部張り感・腰痛等の症状が出現する場合があります。
妊娠中の腹痛は、緊急対応が必要な場合が多いため、早急に産婦人科を受診してください。
◆妊娠初期の腹痛
子宮外妊娠、切迫流産、進行流産等が疑われます。
◆妊娠後期の腹痛
切迫早産等が疑われます。
生理がこないのに腹痛だけ続くのはなぜ?
子宮のサイクルは「月経期・卵胞期・排卵期・黄体期」を繰り返しています。
このサイクルが正常に機能せず、子宮内膜がどんどん成長してしまうと、月経が開始されず、子宮内膜が剥がれ落ちないため、腹痛だけが起こる場合があります。
「ストレス」が腹痛の原因になることも
心因性の原因によって、
過敏性腸症候群
胃痛、胃の不快感
などが起こり、腹痛が続くことがあります。
過敏性腸症候群
腸に異常がないにもかかわらず、、腹痛・下痢・便秘が慢性的に生じる状態です。
ストレスによる自律神経の乱れで、腸の蠕動運動が低下したり、動きすぎたりするために生じると考えられています。
胃痛、胃の不快感
過度のストレスは、胃酸の過剰分泌、胃粘膜の分泌低下の原因となります。
これにより胃痛・腹痛が起こる場合があります。
腹痛がおきる「女性の病気」の例
子宮内膜症
子宮筋腫
卵巣出血
卵巣炎、卵管炎
卵巣嚢腫
卵巣腫瘍
子宮頸がん、子宮体がん
子宮留膿症
骨盤内感染症(クラミジア)
など、女性特有の病気が原因で、腹痛が起こることもあります
病気① 子宮内膜症
本来、子宮の内側にできる子宮内膜が、それ以外の場所に発生する病気です。
◆症状
痛みの強い月経痛
経血量が多い
月に2~3回月経がある
不正出血
病気② 子宮筋腫
子宮筋腫とは、子宮に発生する良性の腫瘍です。
◆症状
腹痛、腰痛
不正出血
経血量が多い
月に2~3回月経がある
貧血
頻尿
病気③ 卵巣出血
卵巣が破裂することで、お腹の中へ出血している状態です。
◆症状
黄体期(排卵期)に卵胞が破裂して出血する
下腹部痛
病気④ 卵巣炎、卵管炎
膣が細菌感染し、そこから徐々に炎症が広がり、卵巣や卵管にまで感染が広がっている状態です。
◆症状
右下腹部痛
嘔吐
発熱(37.5~38度)
悪寒
病気⑤ 卵巣嚢腫
液状のものが卵巣の中に溜まり腫れている状態です。
腫れた部分と子宮が繋がっている付け根が、ねじれる病気です。
捻じれたり戻ったりを繰り返すことで、腹痛を引き起こします。
◆症状
不定期な腹痛
病気⑥ 卵巣腫瘍
卵巣に発生する腫瘍です。
◆症状
腹痛
不正出血
おりものの増加
病気⑦ 子宮頸がん、子宮体がん
子宮入り口などに発生するがんです。
◆症状
腹痛
不正出血
おりものの増加
(初期症状はほぼない)
病気⑧ 子宮留膿症
子宮留膿症とは、子宮内に膿が発生し溜まります。この膿によって支給が圧迫され、腹痛などを起こします。通常、閉経した女性に発症する病気です。
◆症状
発熱
腹痛
不正出血
膿のおりものの増加
病気⑨ 骨盤内感染症(クラミジア等)
骨盤内感染症とは、子宮、結腸、直腸などの骨盤内に起きる細菌感染を指します。卵管膿腫、骨盤腹膜炎、クラミジア、淋病、マイコプラズマなどあります。
◆症状
何日かかけてだんだんと腹痛が増していく
発熱(37.5~38度)
(炎症が肝臓周りまで拡がると、右上腹部に痛みが生じる場合もある)
ピルや便秘薬など「薬の服用」が原因のケース
消化性潰瘍のときに使用する薬
ピル・アフターピル
便秘薬
上記の薬の使用により、腹痛が起こるケースもあります。
消化性潰瘍のときに使用する薬
アスピリン・非ステロイド系抗炎症薬等の使用が原因で消化不良が起こる場合があります。
ピル・アフターピル
月経痛の緩和等、有効に使用できる場合が多いですが、副作用として、腹痛・下腹部痛・吐き気・嘔吐・不正出血・倦怠感・頭痛等の症状が現れる場合があります。
便秘薬
常用により、腹痛が生じる場合があります。
ずっとお腹が痛い…「日常生活で気をつける7つのこと」
腹部を温める
食物繊維を多く含む食品を摂る(海藻類、きのこ類、いも類、果物類、根菜、大豆製品 等)
1〜2時間に一度コップ1杯程度の水分を摂る
ストレスを溜め込まないようにする
1日20分以上、汗ばむ程度のウオーキングなどの運動をする
十分な睡眠をとる
暴飲暴食しない(過度に辛いものや冷たいものは避ける)
上記7つのことに気をつけて、日常生活を送りましょう。
市販薬を使ってもいい?
軽い腹痛や急な腹痛の場合、市販の下痢止め・鎮痛剤・漢方薬を使用してもいいでしょう。
アセトアミノフェン等あまり強くない鎮痛薬等で様子をみて、腹痛が続く場合は、医療機関を受診しましょう。
漢方薬は、建中湯類(ケンチュウトウルイ)、桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)等が腹痛を緩和するはたらきを持ちます。
病院へ行くべき症状
1週間以上痛みが続く
急激に痛みが強くなる
痛みがどんどんひどくなる
夜中に痛みで目が覚める
腹部に加えて背中にも痛みが生じる
嘔吐や下痢を繰り返す
吐血や下血がみられる
38度以上の発熱を伴う
腹部や脚の腫れ
といった症状が現れた場合は、何か病気が隠れているかもしれません。
発見が遅れる前に、早急に医療機関を受診しましょう。
病院は何科に行けばいい?
便秘でお悩みのとき→内科、胃腸内科、消化器内科
ストレスが原因で腹痛があらわれているとき→心療内科、精神科。
※ まずは、内科や胃腸内科に相談をしても良いでしょう。
生理や妊娠によって腹痛があらわれているときは→婦人科や産婦人科
自身で判断できないときは、内科を受診しましょう。
内科を探す
心療内科を探す
婦人科を探す
▼参考
日本成人病予防協会 腹痛 -気になるからだの危険信号 痛み
一般社団法人 広島県医師会 知っておきたい“腹痛(おなかが痛い)”のポイント
日本OTC医薬品協会 おくすりQ&A
全日本民医連 いつでも元気
クラシエ 漢方セラピー
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2020-06-08
「右の下腹部が痛い…」
「もしかして病気…?」
女性特有の右下腹部が痛む原因として、
子宮内膜症
子宮筋腫
卵巣腫瘍
子宮腺筋症
卵管炎、骨盤内腹膜炎
の病気が考えられます。
病院に行くべき症状や放置するリスクもご紹介します。不妊の原因となる病気のケースもあるので、最後まで読んで対処しましょう。
原因1.「子宮内膜症」のケース
子宮の内側のみに存在する子宮内膜や子宮内膜様組織が、子宮以外の部分に生じて発育する疾患です。
つらい生理痛がある方は要注意です。不妊の原因になる場合もあります。
子宮内膜が子宮以外(卵巣、卵管、膣、外陰部、膀胱、仙骨子宮靱帯、ダグラス窩 等)に生じている状態です。
子宮以外に生じた子宮内膜でも、月経が始まると剥離・出血があります。しかし、内膜や血液を体外に排泄できず、体内に溜まってしまうと、古い血液が貯留した袋状のものができて、卵巣が腫れたり、各種臓器と癒着したりする恐れがあります。
どんな人がなりやすい?
妊娠経験がない女性
20~40歳代の女性
月経周期が短く、月経の期間が長い女性
<腹痛の特徴>
激しい生理痛を伴うことが多い
(引き裂かれるような痛みと表現されるほど堪え難い)
腹部の張り感
<腹痛以外の症状>
不正出血
月経過多
腰痛
頭痛
性交痛(ダグラス窩に生じた場合)
排便痛(直腸に生じた場合)
下血、血便(小腸に生じた場合)
血尿(膀胱に生じた場合)
原因2.「子宮筋腫」のケース
子宮筋腫は、多くの女性が、知らず知らずのうちに抱えている良性腫瘍です。
卵巣から分泌される女性ホルモンにより大きくなります。不妊や流産の原因になる場合があります。子宮内側に生じた筋腫の場合、痛みが強い傾向があります。
どんな人がなりやすい?
20~50歳代の女性
初潮が早かった女性
妊娠、出産の経験がない女性
肥満傾向の女性
<腹痛の特徴>
重苦しいような下腹部痛
チクチク痛
慢性的な鈍痛
<腹痛以外の症状>
月経過多(血液の塊が出る)
月経の期間が長い
月経以外の出血
貧血
腰痛
性交痛
便秘
排尿困難
頻尿
原因3.「卵巣腫瘍」のケース
子宮の左右に1個ずつある卵巣内の組織から生じる腫瘍です。
腫瘍が大きくなるまで無症状の場合が多いです。
卵巣腫瘍は、①嚢胞性腫瘍(液体が溜まった腫瘍)と、②充実性腫瘍(固形腫瘍)に分けられます。
①嚢胞性腫瘍は、卵巣腫瘍のおよそ80%以上を占めており、その多くが良性腫瘍です。
一方、②充実性腫瘍のおよそ70%は悪性腫瘍と考えられています。
どんな人がなりやすい?
若年層から中年期まで幅広く発症する
月経不順の人
妊娠、出産の経験がない、または少ない人
加工肉や脂肪分の多い食事が多い人
<腹痛の特徴>
卵巣腫瘍の付け根が捻じれると、突如激しい下腹部痛が起こる場合が多い
卵巣腫瘍が破裂すると、激しい下腹部痛が起こる場合が多い
<腹痛以外の症状>
吐き気(嘔吐)
頻尿
便秘
下半身のむくみ
(腹水が溜まると)お腹の膨らみ
原因4.「子宮腺筋症」のケース
子宮全体、一部分が厚くなることで、子宮が腫れて大きくなります。
子宮内膜によく似た組織が、子宮筋層内にできてしまう疾患です。
①びまん型(腺筋症が子宮筋層全体に拡大する)と、②限局型(一部分に限局する)に区別されています。原因2の「子宮筋腫」を併発するケースがあります。
どんな人がなりやすい?
30歳代後半~50歳代の女性
妊娠経験がある人
流産経験がある人
月経痛が強い人
<腹痛の特徴>
強い下腹部痛(生理痛)が続く
<腹痛以外の症状>
月経過多
貧血
倦怠感
腰痛
排尿痛
排便痛
骨盤痛
原因5.「卵管炎、骨盤内腹膜炎」のケース
クラミジア、淋菌、結核菌、尿路や消化管などの細菌感染が原因となります。子宮や卵管やその周りの組織に炎症が生じている状態です。
細菌が繁殖する状態が続いたり、性交渉などで感染することがあります。
悪化すると、「骨盤腹膜炎」を発症する恐れもあります。「骨盤内腹膜炎」を繰り返し発症すると不妊リスクが高まると考えられています。
どんな人がなりやすい?
20~24歳くらいの女性
長時間タンポンを使用し続けた場合
不特定多数との性交渉
<腹痛の特徴>
徐々に痛みが増す下腹部痛
慢性期は鈍痛が生じやすい
<腹痛以外の症状>
発熱
おりものが増加する
腰痛
倦怠感
吐き気
嘔吐
不正出血
こんな症状なら病院を受診しよう
以下の症状がある場合は、病院を受診しましょう。
粘性が強いおりものが出る
徐々に下腹部痛が悪化している
月経のとき以外で下腹部痛が生じている
排便時に痛みがある
肛門の奥あたりに痛みが生じている
月経異常がみられる
下腹部の違和感、骨盤痛、頻尿、便秘、下痢等の症状が2週間以上続いている
特に「早めに病院へ」行くべき症状
次のような症状がある際は、早めに病院を受診してください。
婦人科系疾患の場合、無症状のうちに症状が進行し、気が付いたら悪化していたというケースがあります。
激しい痛み
特定部位を押すと痛みが増す
下腹部にしこりがある
意識が朦朧とするレベルの貧血
経血量の増加
血便
吐血
黒っぽい色の嘔吐
お腹だけぽっこり出ている(腹部膨満感)
生理中はどうすればいい?
病院で検査をする場合、結果が不正確になる可能性があるため、生理中の受診は控えることをおすすめします。
また、おりもの異常で受診する際も生理中は検査ができないケースが多いです。
生理中でも受診できるケース
不正出血、月経痛、月経過多、下腹部痛等は、生理中でも受診できます。
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右の下腹部痛を放置するリスク
放置すると、卵巣がんなどの深刻な病気を発症するリスクが高まります。また、腫瘍が巨大化したり、卵巣が壊死するなど、不妊や流産を起こすリスクが高まることも多いです。
「たかが腹痛」と軽視せず、早期受診することをおすすめします。
行くのは婦人科でいい?
婦人科の受診をおすすめします。
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なかなか妊娠しない等、「不妊」が疑われる場合には、産婦人科を受診してください。
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婦人科に行く際の準備
婦人科を受診する際は、できるだけ着脱しやすいスカートで行くことをおすすめします。
また、問診時に医師に伝えたい内容を事前にまとめておくと、スムーズに診察が進みます。
参考
日本医師会 医療と健康 子宮内膜症
https://www.med.or.jp/chishiki/sikyuu/001.html
公益社団法人 日本産科婦人科学会 子宮内膜症
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=9
日本医科大学付属病院 子宮内膜症が心配な方
https://www.nms.ac.jp/hosp/section/female/guide/cure004.html
公益社団法人 日本婦人科腫瘍学会 子宮筋腫
https://jsgo.or.jp/public/kinshu.html
一般社団法人 広島県医師会 産婦人科疾患と腹痛
http://www.hiroshima.med.or.jp/pamphlet/188/ii-7.html
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。