寒い冬は、ストーブで部屋をしっかり温めて過ごしたいですね。しかし、ストーブの不完全燃焼は、一酸化炭素中毒を発症させる原因となる事があります。
この中毒症状は、最悪死亡につながる事があります。
今回は、一酸化炭素中毒の詳しい説明や中毒症を避けるポイント、また、ストーブ以外に注意してほしい機器もご紹介しています。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
なぜ?ストーブで一酸化炭素中毒が発生する原因
室内の酸素濃度低下に注意
石油ストーブや、ガスストーブは、室内の空気(酸素)を使って燃焼し、排気ガスを室内に出します。
長時間使えば空気が汚染され、さらに換気をしなければ室内の酸素濃度が低下して不完全燃焼が進み、一酸化炭素が急激に増加し、一酸化炭素中毒を引き起こすのです。
一酸化炭素の臭いはある?
一酸化炭素は、無味無臭の気体で、臭いなどはありません。
一酸化炭素中毒の症状と対処法
一酸化炭素中毒の症状
空気中における一酸化炭素濃度が0.02%(200ppm)に上昇すると、下記のような症状があらわれます。
さらに濃度が上がれば、意識障害の後、最悪の場合、死に至ります。
症状が出たときの対応
不快感や頭痛といった症状はあるものの、意識がしっかりしているようであれば、まずは、暖房器具を止め、新鮮な空気が吸えるように換気をしてください。その後、医療機関を受診しましょう。
意識がない、意識障害が起きているようであればすぐに救急車を呼んでください。
ストーブによる一酸化炭素中毒で後遺症は残る?
軽度であれば後遺症が残ることはほとんどありません。
しかし、重度の場合は脳への障害(記銘力低下、人格障害、失見当識、自発性低下 等)を残すことがあります。
ストーブの種類別|一酸化炭素中毒の予防対策
石油ストーブ
室内で使用する際は特にこまめな換気が必要です。30分~1時間に一度は、換気をして新鮮な空気を部屋に入れてください。
薪ストーブ
煙突をストーブに合わせて適切に設置し、排気をしっかりすることが大切です。煙突は業者に依頼し、正しく設置しましょう。また室内の換気をこまめに行いましょう。
キャンプの七輪
ストーブとは少し異なりますが、七輪も一酸化炭素中毒の危険性があります。
外で使用する分には、問題ありませんが、テントの中で七輪を使用する際は、必ず換気をしてください。こちらも頻回に30分~1時間に一度は、換気をして新鮮な空気を部屋に入れてください。
これ以外にも調理をして、長い時間火を使用する場合や、閉め切った部屋で鍋をガスコンロで温めながら食べるときにも、こまめに換気を行いましょう。
まとめ
一酸化炭素は無臭なので、気がつくのが遅れ、多くの死亡事故につながっています。一酸化炭素を発生させるストーブやファンヒーターなどを使用する場合は、常に換気扇を回しておく、部屋の窓を少し開くといった行動で中毒を避けることができるでしょう。毎年、悲しい事故が起きています。自分は大丈夫を過信せずに注意して、こまめに換気をするようにしましょう。
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2021-06-18
「一日中めまいがする…」
「これって危険な病気…?」
一日中続くめまいについて、お医者さんに聞きました。
脳梗塞の可能性や、めまいの原因についても解説します。
めまいが一日中続く…大丈夫?
軽いめまい以外の症状がなく、一日安静して翌日には気にならなくなった場合は、一旦は様子を見てもいいでしょう。
睡眠不足や、一時的な低血圧によって、1日めまいが続くこともあります。
こんなめまいは早めに病院へ
めまい症状が重い(日常生活を送れないレベルのめまいが断続的に続いている)
長時間めまいを感じる
起き上がるのが辛い
めまいを何度も繰り返す
体調不良
がある場合は、早めに医療機関に行きましょう。
めまいを繰り返す場合、メニエール病(※後述)などの病気の可能性があります。
他にも脳出血、脳梗塞などによるめまいの可能性もあり、放置すると危険です。
また、目の異常、首の異常、血圧など様々な要因でめまいは発症しますので、少しでも不安な場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
病院は何科?
めまいが一日中続く場合は、「耳鼻いんこう科」を受診しましょう。
脳梗塞の疑いがある場合は、「脳神経外科」を受診しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
脳神経外科を探す
めまいを引き起こす2つの原因
一日中続くめまいは、
メニエール病
前庭神経炎
が原因となっているケースが多いです。
それぞれ詳しく解説していきます。
原因① メニエール病
メニエール病により、耳の中の水分量のバランスが崩れることで、めまいを発症します。
メニエール病の原因は、長期的なストレスや疲労、睡眠不足などとされています。
主な症状
めまいが繰り返し起きる
耳鳴り
難聴
閉塞感
どんな人に多い?
メニエール病は、
生真面目な人で神経質な面がある
ストレスが多い人
疲れている人
などに多いと考えられています。
自分でできる対処法は?
断続的にでもめまいが続く場合は、医療機関の受診をおすすめします。
医療機関での治療をするまでは十分な休養を心がけ、ストレスを溜めないように発散を心がけ、めまいがないときは適度に体を動かすようにましょう。
こんな時は早めに病院へ
特に、次のような症状がある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
難聴がある
めまいが2日以上続く
動くことが難しい
メニエール病は、反復性、慢性の病気です。治療をせずに放置したことにより、発症するたびに症状が悪化し、進行の早い人では5~10年で日常生活に支障をきたすほどの難聴になってしまう可能性もあります。
少しでも心配な症状がある場合には医療機関で検査を受けましょう。
病院は何科?
メニエール病の疑いがある場合は、「耳鼻いんこう科」を受診してください。
耳鼻いんこう科を探す
原因② 前庭神経炎
前庭神経炎により、脳と耳になる内耳をつないでいる前庭神経という部分に炎症が起きることで、めまいを発症します。
前庭神経炎の原因は、明らかになっていません。
しかし、発症前に風邪の症状がみられることが多いため、ウイルス感染が原因と疑われています。
主な症状
激しいめまい(ぐるぐると回る)
めまいが、3~4日間断続的に続く(症状がよくならない)
吐き気がする
どんな人に多い?
前庭神経炎は、風邪をひいた人に発症します。
発症する年齢層は、30〜70代と幅広いです。
自分でできる対処法は?
安静にすることが大切です。1週間程度はめまいを感じることが多く徐々におさまります。
しかし、めまいが長く続いてつらいときは医療機関での薬物治療が必要です。
こんな時は早めに病院へ
激しいめまいなので、2日以上続いてつらいときは医療機関を受診しましょう。
病院は何科?
前庭神経炎の疑いがある場合は、「耳鼻いんこう科」を受診しましょう。
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キケン!こんな症状があったら脳梗塞かも
次のような症状がある場合は、脳梗塞の危険性があります。
体の片側のしびれ
しゃべりにくい
頭痛
嘔吐
吐き気
ふらついてうまく歩けない
ものが重複して見える
脳梗塞は、早期に適切な治療をしないと後遺症が残ることや、死に至る可能性があります。
少しでも心配な症状がある場合は、すぐに医療機関に行きましょう。
脳梗塞の原因は?
脳梗塞は、塩分過多の食事、脂分の多い食事、運動不足、肥満、喫煙、飲酒などによって、血管が固くなり、動きがにぶくなる「動脈硬化」が原因としてあげられます。
動脈硬化によって、脳の血管がつまったり、血栓ができることで脳梗塞を引き起こします。
こんな人は要注意!
特に動脈硬化を引き起こす、
糖尿病
高血圧症
脂質異常症
と診断されている人は注意が必要です。
また、動脈硬化が悪化しやすい50代以降の人は脳梗塞のリスクが高くなります。
▼参考
日本めまい平衡医学会 メニエール病
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2021-01-29
体がふらついて、まっすぐ歩けない…。これは何かの病気?
なぜふらついてしまうのか、お医者さんに解説してもらいました。
危険な病気の可能性もあるので、放置しないで、自分の症状をチェックしてみましょう。
まっすぐ歩けないのはなぜ?
平衡感覚の機能が低下したり、脳への血流量が減ったり、疲れていたりすると、体がふらついてまっすぐ歩けなくなります。
平衡感覚の機能低下は、良性発作性頭位めまい症、メニエール病、高血圧症・低血圧症、脳梗塞などによって起こります。
また、脳への血流量減少は、短期的には睡眠不足や強いストレス、長期的には脳梗塞などの疾病が影響して起こります。
ふらつくときの対処法
光の刺激を避けましょう。暗い部屋や日陰で目を閉じて、安静にしてください。
無理に歩こうとしないことも大切です。
この症状は要注意!すぐ病院へ
安静にして症状が治まるときは、一旦様子をみましょう。ただし…
症状を繰り返す
手足がしびれる
ろれつが回らない
といった症状がともなうときは、すぐに病院へ行きましょう。
病院は何科?
「まっすぐ歩けない」ときは、耳鼻いんこう科を受診しましょう。
「ろれつが回らない」、「手足のしびれ」、「麻痺」を伴うときは、脳神経外科を受診してください。
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ふらつきが起こる「病気」
体がふらついてまっすぐ歩けないのは
良性発作性頭位めまい症
メニエール病
高血圧症・低血圧症
脳梗塞
の可能性があります。
それぞれ詳しく解説します。
原因① 良性発作性頭位めまい症
自分の意思と関係なく、眼球が動いたり、吐き気を感じたりします。
長時間同じ姿勢でいる、就寝中の寝返りが少ないなどが主な原因です。
人間が平衡感覚を保つのに必要な三半規管のリンパ液に、異物(耳石)が入ってしまい、めまいがおきている状態です。
良性発作性頭位めまい症の「対処法」
まずは安静にしましょう。
めまいが落ち着いたら、軽く頭の体操(頭を前後・左右に傾ける、横にひねる等)をしてください。
それで症状が落ち着いた場合は問題ありませんが、症状が続く場合は耳鼻いんこう科に相談するとよいでしょう。
原因② メニエール病
ストレス、睡眠不足、疲労、気圧の変化などが主な原因となって発症します。
ふらつき以外にも、難聴、耳鳴り、吐き気などが起こります。
メニエール病は、内耳にある組織にリンパ液が過剰に溜まり、水ぶくれが起こる病気です。
三半規管など平衡機能をつかさどる組織に、リンパ液が溜まっているため、通常通りの働きができなくなります。
メニエール病の「対処法」
ふらつくときの応急的対処としては、横になりましょう。
右耳に難聴がある→左耳を下にする
左耳に難聴がある→右耳を下にする
ただし、メニエール病は病院での治療が必要な病気です。症状が落ち着いたら、耳鼻いんこう科へ行きましょう。
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原因③ 高血圧症・低血圧症
血圧が高い状態、低い状態が慢性的に続く病気です。めまいが起こるほどではかなりの血圧異常が起きています。
高血圧症
症状:動悸・息切れ・むくみ など
原因:塩分の摂りすぎ、ストレス、運動不足、肥満、喫煙、遺伝 など
低血圧症
症状:疲れやすさ・だるさ・耳鳴り など
原因:糖尿病、甲状腺機能低下症などの合併症、遺伝 など
血圧に異常が生じると、脳への血流が悪くなります。
脳への血流が悪くなると、めまいとして症状が現われます。
高血圧症・低血圧症の対処法
まずは安静にしてください。
体のふらつきが慢性的に続く場合は、循環器内科を受診しましょう。
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原因④ 脳梗塞
血流が悪くなり、酸素や栄養が脳の一部へ行き届かなくなる病気です。
片側の手足の力が抜ける・片側の手足がしびれる・口がもつれるなどの症状があります。
脳へ酸素や栄養を運ぶ血流が停滞すると、回転性のめまいやふらつきが生じます。
乱れた食生活
喫煙
運動不足
生活習慣病(糖尿病や高血圧症)
によって動脈硬化が引き起こされ、脳梗塞を発症します。
脳梗塞の対処法
放っておくと命を落とす可能性があります。
すぐに循環器内科を受診しましょう。
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早期受診をおすすめする理由
体のふらつきは重い病気のサインかもしれません。
早期受診をすることで、命が助かる可能性が高くなります。ふらつきを感じたら速やかに病院へ行きましょう。
▼参考
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 めまい・平衡覚・顔面神経
<参考>
佐渡市消防本部 一酸化炭素中毒になった時の応急手当
https://www.city.sado.niigata.jp/fire119/emer/care/co/index.shtml