「デリケートゾーンが…かゆい!」
お医者さんに、
「自分で治せるの?」
「市販薬でケアしてもいい?」
病院を受診すべき目安についても聞いたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
デリケートゾーンのかゆみの原因は?
デリケートゾーンにかゆみがある場合
- 蒸れ
- かぶれ(接触性皮膚炎)
- ホルモンバランスの変化
- アレルギー
- ストレス
などが代表的な原因として考えられます。
生理用ナプキンの使用などで蒸れていると、かゆくなりやすいです。
また、この他にも「産後」や「抗菌薬を服用中」、「膀胱炎」「性感染症(STD)」になっている場合もかゆみがでることがあります。
「夜だけかゆくなる」ケースも
夜だけかゆみが生じる場合は、「入浴中」に原因があることがあります。
原因①40度以上の熱いお風呂に入っている
熱いお湯に浸かり過ぎると、皮脂が失われて乾燥しやすくなります。
原因②過剰に洗い過ぎている
お風呂でデリケートゾーンをゴシゴシ洗い過ぎると、刺激が生じてかゆみや黒ずみを引き起こす場合があります。
タオルでゴシゴシ拭くのも、摩擦による刺激で肌を痛めたり、乾燥しやすくなってしまい、かゆみにつながる場合があります。
洗いすぎはNG
デリケートゾーンの過剰洗浄は控えてください。
膣内には、清潔な状態を守るための自浄作用をもつ常在菌が存在しています。
しかし、デリケートゾーンを必要以上に洗うと、常在菌まで一緒に流してしまう可能性があります。石鹸によっては、常在菌を殺菌したり、膣内酸性度を変えてしまうものもあります。
すると、せっかく持っている自浄作用を低下させ、自ら不衛生な状態を作り出すことになります。
自分でできる「デリケートゾーンのケア」
- 通気性・肌当たりの良い下着を選ぶ
- ストレスを溜め込まない(過度なストレスは免疫の働きを抑制してしまう)
- 炎症で熱をもっている場合は冷やす
ようにしましょう。
その他、「自分でできるケア方法」を紹介します。
洗うときは「泡」と「手」で
デリケートゾーンを洗うときは、タオルや固いスポンジではなく、清潔な手で洗いましょう。石鹸をしっかり泡立てて、優しく拭き取るようにてください。
デリケートゾーン専用の石鹸を利用するのもよいでしょう。
お風呂上りに「保湿」をしっかりと
洗った後に保湿ケアをすることで、肌のバリア機能が高まり、かゆみを軽減させることは可能です。馬油などを使ってケアするのもよいでしょう。
「ベビーパウダー」で蒸れ・摩擦を防ぐ
主成分がコーンスターチであるベビーパウダー(無香料、無添加のタイプ)は、皮膚の蒸れや摩擦を軽減する効能が期待できるとされています。
生理用品はこまめに交換
生理用ナプキン・おりものシートはこまめに交換しましょう。3~4時間に1回程度、トイレのたびに変えるようにするとよいでしょう。
また、ナプキンはできるだけ肌に合う低刺激な素材のものを使用しましょう。
市販薬について
「かゆみ」や「ただれ」であれば、市販薬を使用しても構いません。
しかし、根本治療ではなく、あくまでも対症療法という認識で使用しましょう。
また、皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には使用しないことが原則です。
適切な抗菌剤や抗真菌剤による治療が必要なケース(※後述)もあるので、医師や薬剤師、登録販売者に相談の上、使用しましょう。
例えば、性器クラミジア感染症は、抗生物質を服用しないと治りません。
かゆみに使える市販薬
これらの薬はヒリヒリしたかゆみに対しては使用できます。
- フェミニーナシリーズ(軟膏、ジェル、ミスト)
- ユースキンラフィ
- ワセリン
- オイラックス(鎮痒消炎薬)
- エンペキュア
- ゲンタシン軟膏
- オロナインH軟膏(※後述の白癬菌の場合)
薬局等でデリケートゾーン専用の市販薬を購入しにくい場合には、乳幼児にも使用できるとされている「オイラックスソフト」という市販薬もあります。
症状が悪化している場合や2週間ほど使用しても改善がみられない場合には、医療機関を受診してください。
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漢方薬について
次の漢方薬の内服と「蛇床子(ジャショウシ)」という生薬煎液の外用を併用すると、デリケートゾーンのかゆみの改善が期待できるとされています。
- 苓姜朮甘湯(リョウキョウジュツカントウ)
- 完帯湯(カンタイトウ)
- 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)等
こんな症状は病院へ
- かゆみがひどい
- 赤くかぶれている
- おりものが増加している
- おりもののにおいが気になる
- 痛みがある
- 発疹がある
- 発熱がある
という場合は、できるだけ早急(数日中)に病院を受診してください。
何科で受診すればいい?
婦人科、皮膚科を受診しましょう。
婦人科を探す
病院ではどんな治療をするの?
抗生剤や塗り薬を用いた治療が行われることが多いです。
感染症(※後述)の場合には、原因菌に対する抗生剤を用いた治療が行われます。
かゆみが強い場合やアレルギー性のかゆみの場合は、ステロイドの軟膏や抗ヒスタミン薬(かゆみ止め)の処方、外用薬による治療が行われる場合もあります。
デリケートゾーンがかゆい「病気」
感染症などの「病気」によって、デリケートゾーンがかゆい場合があります。
あてはまる症状がでていないか確認してみてください。
性器ヘルペス
単純ヘルペス(ウイルス)が原因で起こる感染症です。
<症状>
性器クラミジア
クラミジア・トラコマティス(細菌)が原因で起こる感染症です。
<症状>
子宮頸管炎(帯下や不正出血などの症状が起こる、子宮頸管の炎症)を起こし、不妊の原因になったりする場合があります。
膣トリコモナス症
膣トリコモナス(原虫、単細胞微生物)が原因で起こる感染症です。
<症状>
膣カンジダ症
カンジダ(カビ・真菌)が原因で起こる感染症です。
カンジダ菌は、健常者の体にもともと常在している場合が多い菌です。
妊娠中や免疫力が低下しているときに菌が増えて発症するケースが多いです。
<症状>
白癬菌(いんきんたむし)
白癬菌(カビ・真菌)が原因で起こる感染症です。
<症状>
毛ジラミ症
毛ジラミ(吸血昆虫)が陰毛に寄生することが原因で起こる感染症です。
<症状>
細菌性膣炎
デリケートゾーンから検出されるケースが多い病原体(黄色ブドウ球菌、大腸菌等)が活性化して炎症を起こす疾患です。
<症状>
- 悪臭を伴う水のようなおりものが多量に出る
- かゆみ
- 痛み
- ただれ
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2021-06-25
「デリケートゾーンがかゆい…」
考えられる原因と対処法をお医者さんが解説します。
何科で受診すべきかも聞きました。
人にうつす可能性があるので、放置はNGです。
デリケートゾーンがかゆい「病院に行くべき?」
早く治すためにも、他の人にうつさないためにも、つらいデリケートゾーンのかゆみは、医療機関で治療を受けましょう。
かゆみがかぶれ・ただれにまで発展すると細菌感染を起こしやすくなり、皮膚症状の悪化・発熱などを起こします。
ただのかぶれであれば、軽い症状のうちに治療を受けておけば、薬の量や試用期間も短く済みます。
性感染症の場合は、他の人へ感染させてしまったり、妊娠しにくくなったりするので早めに治療を受けましょう。
病院は何科?
デリケートゾーンがかゆい時は、皮膚科・婦人科・産婦人科のいずれかを受診しましょう。
お医者さんに伝えること
いつからかゆみが出始めたのか
痛みや腫れは伴っているか
女性の場合は直近2~3ヶ月の生理周期
などを伝えられるとよいでしょう。
皮膚科を探す
婦人科を探す
デリケートゾーンがかゆくなる主な原因
デリケートゾーンのかゆい場合
かぶれ
性感染症
VIO脱毛後
が原因となっているケースが多いです。
それぞれ詳しく解説していきます。
その① かぶれ
衣類やナプキンによる、蒸れや接触が原因でかゆみが生じます。アレルギー(ナプキンの繊維や下着など)によってデリケートゾーンがかぶれることもあります。
主な症状
かゆみ
かぶれ
ただれ
赤み など
どんな人に多い?
スポーツをしている人・仕事で汗をかく人・汗っかきの人など、衣類の中が蒸れやすい人に多いです。
トイレに長時間いけない人も生理用品の交換ができず、かぶれることがあります。
どうやって治すの?
医療機関では軟膏などの薬を処方します。
デリケートゾーンのかぶれを疑う場合は皮膚科・婦人科・産婦人科を受診しましょう。
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その② 性感染症
カンジダ・トリコモナス・性器ヘルペスなど性感染症に感染すると、デリケートゾーンかゆくなることがあります。
主な症状
カンジダ膣炎
膣や膣周辺にかゆみが出る
おりものに変化が出る(白くなる、白い塊が出る)
膣がヒリヒリ、熱く感じる
排尿痛が起こる
性交渉時に痛む
膣トリコモナス症
膣や膣周辺にかゆみが出る
おりものに変化が出る(臭う、腐ったような悪臭、量が増える、黄緑色になる、泡が出る)
排尿痛が起こる
性交渉時に痛む
※無症状の人も多いです。
性器ヘルペス
小さな水疱が性器にできる
膣や膣周辺にかゆみが出る
膣や膣周辺に痛みを感じる
どんな人に多い?
性感染症は、不特定多数との性交渉や同じくパートナーが不特定と性交渉をしていると発症しやすいです。
ただし、「カンジタ膣炎」は、抗生物質・ピルの服用や免疫力の低下、遺伝でも発症する恐れがあります。日和見感染症としての一面も持ち、体調不良等で発症・再発する恐れの高い症状です。また、「トリコモナス症」も性行為以外でも下着、タオル、便器、浴槽での感染があります。
どうやって治すの?
医療機関では抗菌薬が処方されることが多いです。
女性の場合は婦人科・産婦人科へ、男性は泌尿器科に相談しましょう。
婦人科を探す
泌尿器科を探す
その③ V I O脱毛後の乾燥
レーザー脱毛により皮膚が乾燥すると、かゆみが生じることがあります。
主な症状
かゆみ
乾燥による皮むけ
どんな人に多い?
レーザー脱毛やかみそりを使って処理をしているとかゆみが出ることがあります。
どうやって治すの?
医療機関では保湿剤が処方されることが多いです。ワセリンなでの添加物の少ないものをお勧めします。
皮膚科を探す
婦人科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
MSDマニュアル トリコモナス症
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「陰部のかゆみがぶり返すのはなぜ?」
それは、“かぶれ”や“カンジダ膣炎”が原因になっているかもしれません。
どう対処すればいいのか、お医者さんに教えてもらいました。
市販薬から何科で受診すべきかも解説します。
陰部が繰り返しかゆくなるのはなぜ?
繰り返し陰部にかゆみが起こるのは
体調不良・疲労で免疫力が低下している
汗・おりもので蒸れている
下着・生理用品が刺激になっている
性感染症を発症している
といったケースが多いです。
病院に行くべき?
陰部のかゆみを繰り返しています・・・。
やっぱり病院に行くべきでしょうか?
かゆみの原因をはっきりさせるためにも医療機関を受診してください。
特に性感染症が原因の場合は、放置するとパートナーにうつしてしまう可能性も高くなります。
かゆみの他に下腹部痛・おりものの異常(匂い、量が増えるなど)がある場合は、早急に受診しましょう。
\こんなおりものに要注意!/
白いポロポロしたおりもの→カンジダ症の疑い
黄緑色のおりもの→クラミジアなどの細菌感染の疑い
悪臭のある黄緑色のおりもの→腟トリコモナス症の疑い
よくある2つの原因
陰部のかゆみを繰り返す場合、
かぶれ
カンジダ膣炎
などが原因となっているケースが多いです。
原因① かぶれ
日常的に刺激(下着の擦れ・ナプキンなど)があると、かぶれが治る前にまた刺激を受けることを繰り返し、何度もかゆみをぶり返すことになります。
かぶれの原因
下着が擦れる
ナプキンがあっていない
蒸れている など
主な症状
かゆみ
かぶれ
炎症
出血
どんな人に多い?
仕事やスポーツなどで汗をかくことが多い人
汗っかきの人 など
自分でできる「正しい対処法」
通気性の良い下着を身につける
汗をかいたらすぐに新しい下着に取り替える
ナプキンはこまめに交換する
かゆみが出たナプキンは使用を中止し、別の製品を使う
市販薬を使用してもいい?
痛みや腫れがなく、軽いかゆみのみの場合は市販薬を使ってもかまいません。
かゆみを抑えるリドカインやジフェンヒドラミン塩酸塩という成分が入った製品でも良いでしょう。
まずは薬剤師に相談しましょう。
ただし1週間程度使用を続けても良くならない時は、使用を中止し、医療機関へ行きましょう。
原因② カンジダ膣炎
カンジタ菌は、膣の中にいる常在菌です。
通常時はなんともなくても、ストレスや病気によって免疫力が下がると、体の免疫が負けてカンジタ菌が増殖して再発します。
カンジダ膣炎の原因
感染症による免疫低下
生理前のホルモン変化
ストレス
疲労
妊娠 など
主な症状
かゆみ
おりものの粘度が高くなる
白い塊が出る
膣がヒリヒリと感じる
赤みが出る
排尿痛が起こる
性交渉痛が起こる など
自分でできる「正しい対処法」
通気性の良い下着をつける
ナプキンはこまめに交換する
入浴後はデリケートゾーンの湿気を拭き取る
市販薬を使用してもいい?
初めてカンジダにかかった場合は、医療機関での受診が必要です。
医師に確定診断をもらい、処方薬で治療を行いましょう。
市販薬が使えるのは「再発」のときだけです。
自己判断で市販薬を使用すると、よけいに悪化してしまうリスクがあります。まずは医師への相談をおすすめします。
不快な陰部のかゆみは早めに病院へ
かゆみを放置していると、不快なだけではなく、不妊につながるリスクもあります。
例えば、膣カンジタが原因で炎症を起こしていると、妊娠しにくくなることもあります。
早期治療でリスクを減らしましょう。
デリケートゾーンは、女性にとって大切な場所です。
異常がある場合は、早めに治療を受けて悪化を防ぎましょう。
悪化すればそれだけ治療期間も長くなってしまいます。
何科で受診すればいい?
陰部のかゆみを繰り返すときは、婦人科・産婦人科、皮膚科を受診しましょう。
婦人科を探す
皮膚科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
日本性感染症学会 性器カンジタ症