便にゼリー状の血の塊が…!
これは大丈夫?もしかして病気?
その症状は、痔や潰瘍性大腸炎が原因かもしれません。
ゼリー状の血便の対処法や病院に行く目安を、詳しく解説します。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
ゼリー状の血便の正体は?
ゼリー状の血の塊は、大腸に炎症が生じていたり、肛門で出血が起きていたりする可能性が高いです。
- お尻をふいたときにペーパーに血のようなものが少しつく
- 血便を繰り返さない
- 腹痛を伴わない
といった場合には一旦様子を見てもよいでしょう。
ただし、ゼリー状の血の塊が何度も出る場合や、腹痛、下痢、発熱症状を伴う場合には、病院を受診してください。
ゼリー状の血便は早めの受診がおすすめ
ゼリー状の血便が出ているということは、腸に何らかの異常が生じていると考えられます。
不安な症状がある方は、早めに病院に行きましょう。
自分で原因が判断できない場合
原因がわからないときは、まずは内科を受診しましょう。
内科を探す
※ご自身の症状や、病院の設備などによって、適切な診療科を紹介されることもあります。
ゼリー状の血の塊で疑う4つの病気
排便時にゼリー状の血の塊が出た場合、
- 痔
- 感染性腸炎
- 潰瘍性大腸炎
- 大腸がん
の可能性があります。それぞれ詳しく解説していきます。
それぞれの「症状の特徴」や「なってしまいやすい人の傾向」を解説します。
病気1.痔
痔は、排便によりうっ血した肛門粘膜や直腸粘膜に傷が生じた際に起こる病気です。
<いぼ痔(痔核、脱肛)>
排便時にポタポタと出血することが多いです。
出血の程度には個人差があり、お尻を拭いたときにペーパーに血が付く場合もあれば、便器が真っ赤に染まるほどの場合もあります。
出血はあっても痛みを伴わないケースが多いです。いぼの中にたまった血液が、ゼリー状の塊となって出てくることがあります。
<切れ痔(裂肛)>
便秘等が原因で硬くなった便を出すと切れ痔を起こす場合があります。
お尻を拭いたとき、ペーパーに少し血が付く程度の出血量のケースが多いですが、排便後血が止まらない場合やじわじわ出てくる場合もあります。
鮮血の血便が多いですが、便の出始めにゼリー状の血が出たり、血が塊状で出てきたりすることがあります。
<痔ろう>
肛門周りの皮膚と直腸を繋ぐ穴(瘻管)が生じる痔です。
血膿状のものが排出されることがあります。
痔になりやすいのはこんな人
- 慢性の便秘
- 水分摂取量が少ない
- 運動不足
- 食物繊維の摂取不足
- 同じ姿勢で長時間過ごす
- アルコールや刺激物を過剰に摂取している
主な症状
<いぼ痔>
<切れ痔>
<痔ろう>
- 化膿を繰り返す
- 肛門部分の鈍痛、異物感
- 排便時以外にも痛みが生じる
- 発熱
自分でできる対処法
たかが痔と軽視せず、できるだけ早めに病院を受診して、症状に合った治療や薬の処方をしてもらうことをおすすめします。
血便=痔だと自己判断で対処して、実は重篤な疾患であったというケースもあります。
どうしても時間がなくて市販薬を使用する際は、薬剤師等に相談してください。
病院に行く目安
血便に伴い、
などの症状が出ている場合は、病院を受診してください。
何科を受診する?
肛門外科の受診をおすすめします。
肛門外科を探す
病気2.感染性腸炎
細菌、ウイルス、寄生虫等に感染することで腸に炎症が生じる病気です。
特に、細菌性大腸炎の場合、血便や膿性の下痢を起こしやすいと考えられています。
腸に炎症が生じると、粘液の分泌量が増えて、ゼリーのような粘液便が出ます。
集団感染することも多く、幼稚園、保育園、学校、家庭内で感染が拡大するケースがあります。
感染性腸炎になりやすいのはこんな人
主な症状
自分でできる対処法
通常自然治癒するケースが多いため、対症療法が基本とされています。
脱水症状を起こさないように水分補給をしっかり行い、安静にして過ごしてください。
病院に行く目安
血便に伴い、
- 高熱(38度以上)
- 1日に10回以上下痢が出る
- 激しい腹痛
などの症状が出ている場合は、早めに病院を受診してください。
何科を受診する?
内科、消化器内科、胃腸内科の受診をおすすめします。
内科を探す
病気3. 潰瘍性大腸炎
大腸や小腸の粘膜に炎症や潰瘍が生じる病気です。
潰瘍性大腸炎の発症原因は未だ明確になっておらず、国の指定難病に定められています。
考えられる原因としては、免疫異常、遺伝的要因、環境要因が挙げられます。
下痢と血便を主症状として、激しい腹痛を伴うケースが多いです。
ゼリー状の粘液のような血便が出る場合もあります。
悪化すると、1日10回以上血便が出るようになります。
腸粘膜の炎症によって生じた多量の腸液が、白血球と混ざって粘液状になり、ゼリー状の粘液便が排出されると考えられています。
さらに症状が悪化して炎症が拡大すると、粘膜から出血が起こり、血便がみられるようになります。
発症に男女差はなく、男性の発症ピークは20~24歳、女性の発症ピークは25~29歳にみられます。
潰瘍性大腸炎になりやすいのはこんな人
- ストレス過多
- 腸内細菌のバランスが崩れている
- 生活習慣の乱れている
主な症状
- 下痢
- 血便(赤黒い色の血便、粘血便)
- 激しい腹痛
- 下腹部の違和感
- 発熱
- 倦怠感
- 貧血
- 脱水
- 食欲低下
- 体重減少
自分でできる対処法
潰瘍性大腸炎は再発しやすく、重症化して手術が必要になる場合もあるため、早めに病院を受診してください。
病院に行く目安
血便に伴い、
などの症状がみられる場合には、早急に病院を受診してください。
何科を受診する?
内科、消化器内科、胃腸内科の受診をおすすめします。
内科を探す
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2023-01-30
潰瘍性大腸炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
潰瘍性大腸炎の主な症状やなりやすい人、原因なども紹介するので、心当たりがないかチェックしてみましょう。
潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎とは、大腸に炎症ができ、表面が赤く腫れたり、潰瘍ができたりする疾患です。
初期段階は、下痢と便秘を繰り返すことが多いのですが、症状が悪化すると血便や下血が現れる場合もあります。
どんな痛み?潰瘍性大腸炎の症状
下痢
血便(赤黒い色の血便、粘血便)
激しい腹痛
下腹部の違和感
発熱
倦怠感
貧血
脱水
食欲低下
体重減少
下痢と血便を主症状として、激しい腹痛を伴うケースが多いです。
ゼリー状の粘液のような血便が出る場合もあります。
悪化すると、1日10回以上血便が出るようになります。
潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎の発症原因は未だ明確になっておらず、国の指定難病に定められています。
考えられる原因としては、免疫異常・遺伝的要因・環境要因が挙げられます。
潰瘍性大腸炎になりやすい人・性格は?
ストレス過多・ストレスを感じやすい
腸内細菌のバランスが崩れている
生活習慣が乱れている
家族が潰瘍性大腸炎やクローン病を発症している
発症に男女差はなく、男性の発症ピークは20~24歳、女性の発症ピークは25~29歳にみられます。
ストレスが潰瘍性大腸炎の直接的な原因となるわけではありません。
ただし、過剰なストレスは腸内環境の悪化や免疫力の低下につながるため、潰瘍性大腸炎の発症に影響するという意見もあります。
「ストレスが溜まっている」「ストレスを感じやすい性格」などの自覚があり、潰瘍性大腸炎の症状が見られる場合は、注意が必要です。
家庭内で発症するケースもあり、遺伝的因子も関与すると考えられています。
そのため、家族に同様の病気の人がいると、発病のリスクが高くなる可能性があります。
▼参考
潰瘍性大腸炎(指定難病97)
潰瘍性大腸炎とは?症状と予防のために気をつけたい注意点を解説
潰瘍性大腸炎について- どのような病気か分かりやすく解説! -
潰瘍戦大腸炎を疑う場合は病院へ
潰瘍性大腸炎は再発しやすく、重症化して手術が必要になる場合もあるため、早めに病院を受診してください。
潰瘍戦大腸炎を疑う場合は、内科・消化器内科・胃腸内科の受診をおすすめします。
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潰瘍性大腸炎の治療法
潰瘍性大腸炎の治療では、「薬物治療」や「手術」が行われます。
薬物治療は、大腸の炎症を抑える薬、免疫機能を調整する薬などを使用します。
薬が効かない、症状が重いなど、薬物治療で対処できない場合に、大腸を全摘出する手術が行われることがあります。
病気4.大腸がん
直腸、S状結腸、上行結腸、盲腸にできるがんの総称です。
良性ポリープ(腺腫)ががん化して発症する場合と、正常粘膜から直に発症する場合があります。
初期段階の自覚症状はないケースが多く、症状が進行してから気が付く場合があります。
腸粘膜で炎症が生じて出血している場合に、ゼリー状の粘血便が出ると考えられています。
大腸がんになりやすいのはこんな人
- 肥満
- 喫煙者
- アルコールを過剰摂取している
- 赤身肉、加工肉を過剰摂取している
- 運動不足
主な症状
- 血便(黒っぽい色)
- 便表面にゼリーのような粘液が付く
- 便が細くなる
- 残便感
- 下痢と便秘を繰り返す
- 貧血
- 倦怠感
病院に行く目安
大腸がんを疑う症状があらわれている場合には、早急に病院を受診してください。
何科を受診する?
内科、消化器内科、胃腸内科の受診をおすすめします。
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