寒かったり、怖い思いをしたりしていないのに、手が震えるのは、ストレスや自律神経失調症が原因かもしれません。
ストレスで手が震えるときの対処法を、お医者さんにお聞きました。
そのほかに、手が震える病気についても解説しています。
監修者
経歴
平成14年福井医科大学(現福井大学医学部)卒業
岐阜大学高齢科神経内科入局後松波総合病院にて内科研修、
岐阜大学高次救命救急センター出向。
美濃市立美濃病院内科。
東京さくら病院及び同認知症疾患センター勤務の後
令和元年7月かつしかキュアクリニック開業。
ストレスで手が震えるのはなぜ?
無意識に手が震える本態性振戦が原因です。
精神的なストレスや緊張等により交感神経が過剰に興奮して機能が活性化されると、筋肉の収縮と弛緩の速度が合い、振動の幅が広がります。
結果として、震えとして感じるようになると考えられています。
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2020-12-28
なんだか体調が悪い…。ストレスのせいかも…。
ストレスが限界に達すると、どのような症状があらわれるのでしょうか。
お医者さんの目線から、「心の症状」と「体の症状」、それぞれ解説してもらいました。
ストレスが限界に達した時に出る症状
ストレスが限界に達すると、脳や自律神経の働きに影響が出て「心の症状」と「体の症状」があらわれます。
ストレスの限界サイン「心の症状」
気分が落ち込む
イライラして、怒りっぽくなる
やる気が出ず、集中できない
何に対しても興味が持てない
ストレスの限界サイン「体の症状」
肩こり
頭痛
腹痛、胃痛
胸が苦しい
息苦しい
だるくて体が動かない
食欲不振、または食欲過剰
下痢、便秘
寒気や冷え
涙が止まらなくなる
不眠、または過眠
過度なストレスを受け続けると脳が正常に働かなくなり、気分が落ち込みやすくなります。
さらに、ストレスは内臓など体全体の調子を整える「自律神経」の乱れを引き起こすため、体の不調の原因にもなります。
ストレスが溜まりすぎると起こる「行動の変化」
浪費が激しくなる
ギャンブルが止まらなくなる
アルコール量が増える
喫煙量が増える
ストレスによって心の調子が不安定になると、お酒を飲む量が増えたり、大胆な行動をとったりする方もいます。
「自分らしくない行動が増えた」という場合も、心の状態に注意したほうがよいでしょう。
ストレス限界サインを感じたら、こう対処しよう
質の良い睡眠をとる
好きな物を食べる
気が合う人と会う
などの方法で、ストレスを発散しましょう。
ストレス対処法① 質の良い睡眠をとる
ストレスの解消には、十分な睡眠が大切です。
質の良い睡眠をとれるよう、就寝前には
ゆっくり入浴する
リラックスを設ける
スマホよりも本を読む
の3つの点を心がけましょう。
湯船にゆっくり入浴する
湯船につかって、ゆっくりと温まりましょう。
時間や体力がないときは、熱めのシャワーを首元に数分当ててください。
入浴が終わったら、冷えないように着替え、水分補給をしましょう。
リラックスタイムを設ける
ゆっくりできる場所に腰を掛けて、気持ちを休めましょう。
好きな音楽やテレビを楽しむのもおすすめです。
スマホよりも雑誌や本を読む
就寝直前はスマホではなく、読書が適しています。
インターネットは情報がどんどん入ってくるため、過度な刺激になってしまいます。
眠気を感じたら、電気を消して早めに入眠しましょう。
ストレス対処法② 好きなものを食べる
好きなものを食べると、ストレスが和らぎます。
※ただし、暴飲暴食は控えてください。
食欲がないときは無理せず、食べられるものを食べましょう。
軽く運動すると、食欲が湧きやすくなります。
反対に、カフェインの強いものはしばらく控えてください。
過度のアルコール摂取も、睡眠の質を低下させる原因となるため、注意しましょう。
ストレス対処法③ 気が合う友人と過ごす
悩みを誰かに相談することも、ストレス解消につながります。
こんなときは病院へ!
なかなか寝つけない
就寝中に何度も目が覚める
いつもより寝すぎてしまう
朝だるくて起きられない
といった場合は、早めに病院で相談しましょう。
何科を受診すればいいの?
心療内科・精神科を受診してみましょう。
初診の際は、下記のことを医師に伝えられるように、まとめておくといいですよ。
今までできていたのに、できなくなったこと
特につらいと感じていること
仕事の内容・職場の人間関係
おかしいと感じる体の症状
メモに書いて持っていくのもおすすめです。
心療内科を探す
心が壊れてしまう前に相談しよう
過度のストレスは、うつ病や自律神経失調症を引き起こす恐れがあります。
頑張りすぎは禁物です。
心療内科や精神科に行くとなると、身構えてしまう方も多いかもしれません。
ですが、メンタルの不調で病院にかかることは、内科で風邪を相談することと大きな違いはありません。
一人で抱え込まずに、病院で相談してみましょう。
▼参考
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス うつ病
ストレスで手が震えるときの対処法
深呼吸をして、気持ちを落ち着かせましょう。
手の震えに意識をもっていくと、余計に震えを助長しやすくなるので、できるだけ気にしないでください。
日常生活に悪影響が生じていなければ、そのまま様子を見るケースが多いです。
病院に行く目安
日常生活に支障をきたす場合は、医療機関を受診しましょう。
βブロッカー等の薬によって、治療を行う必要があります。
もしかして自律神経失調症かも
ストレスを溜め込むと、自律神経のバランスが崩れ、自律神経失調症が起こると考えられています。
自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが乱れると、身体に様々な不調をきたします。
また、体と心に様々な不調をもたらすにもかかわらず、病院で検査等を行っても異常が発見されないケースが多いです。
自律神経失調症の症状
精神的症状
- 不安感が強くなる
- イライラする
- 憂鬱になりやすい
- 感情の起伏が大きい
- 落ち込みやすい
- 気力が沸かない
身体的症状
- 倦怠感
- 疲労感
- めまい
- 耳鳴り
- ほてり感
- 不眠
- 頭痛(片頭痛)
- 動悸
- 息苦しい
- 肩こり
- 手や足の痺れ
- 頻尿
- 下痢
- 便秘
- 微熱
自律神経失調症はどうすれば治る?
自分でできる対処法はありますか?
生活習慣を見直すなど、自分でできることを5つ紹介します。
1.食生活の改善
暴飲暴食を避け、栄養バランスがとれた食事を心掛けましょう。
2.ストレスを溜めない
独自のリフレッシュ法や気分転換法を見つけて実践してください。
3.睡眠時間の確保
夜更かしせず、十分な睡眠時間を取ることも大切です。体をゆっくり休めてください。
4.適度な運動
無理のない範囲で、毎日体を動かすようにしてください。(ウォーキング、ヨガ等)
5.医療機関を受診
医療機関を受診し、症状に合った薬や治療法、訓練法を提示してもらいましょう。
ほかにもある!手が震える3つの病気
手が震える場合
- パーキンソン病
- 低血糖
- 甲状腺機能亢進症
を発症している可能性があります。
病気①パーキンソン病
筋肉の動きをスムーズにコントロールできなくなる神経疾患です。
脳の黒質という部分に異変が生じ、ドーパミン(脳内神経伝達物質)の分泌が減少することが原因と考えられています。
対処法
薬物療法を行い、困難な場合は手術療法が行われるケースがあります。
症状をコントロールし、生活の質を保つことを治療の基本としています。
ドーパミンの不足により起こるため、主な治療法はドーパミンを補うことです。
病気②低血糖
血糖値が正常範囲以下に下がった状態のことをいいます。
対処法
ブドウ糖や清涼飲料水等の糖分補給で、症状が改善するケースが多いです。
意識障害がみられる場合は、無理をして糖分を口に入れずに救急車を呼び、医療機関に搬送してください。
症状を繰り返す場合は、医療機関での検査をおすすめします。
病気③甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、手の震えが出現します。
バセドウ病、甲状腺炎、中毒性多結節性甲状腺腫等が原因のケースが多いと考えられています。
対処法
医療機関を受診し、薬物を用いた治療を行うケースが多いです。
甲状腺ホルモンの分泌量をコントロールすることで、症状の緩和を期待できます。
薬物療法で副作用がみられた場合は、手術療法が行われるケースもあります。
そのほかに考えられる病気
脳疾患、アルコール依存症、腎機能障害等によって、手の震えが出現するケースがあります。
病院に行いったほうがよい症状は?
手の震えに加え
- 精神不安定
- 筋肉がこわばる
- 汗を大量にかく
- めまい
- 倦怠感
- 動悸等
といった症状が出た場合は、病院の受診をおすすめします。
手の震えが頻繁に起こり、生活に支障をきたす場合も病院に行きましょう。
受診するのは何科?
内科、脳神経内科、内分泌内科の受診をおすすめします。
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