体のあちこちが痛い…。もしかして、病気?
体中に痛みが生じる病気について、お医者さんに聞きました。
痛みを抑える方法や、病院に行く目安も解説します。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
体のあちこちが痛い…これ大丈夫?
慢性的な体の痛みは、病気の可能性も考えられます。
思い当たる原因がないとき、要注意です。
ただし、以下が原因であれば、そこまで心配する必要はありません。
- 激しい運動をした
- 重いものを運んだ
- 風邪やインフルエンザを患っている
上記に心当たりがある場合は、安静にして様子をみてください。
体中が痛くなる3つの「病気」
体のあちこちが痛むという場合、
- 線維筋痛症
- 関節リウマチ
- 更年期障害
を発症している可能性があります。
以下の項目で、それぞれを詳しく解説します。
病気① 線維筋痛(せんいきんつう)症
脳機能の異常によって、体のあちこちに痛みが起こる病気です。
検査をしても、体に異常が見られないのが特徴です。
線維筋痛(せんいきんつう)症の原因
詳しい原因は分かっていません。
強いストレスに起因するとも言われています。
発症しやすい人
40歳後半の女性に多く発症します。
主な症状
- 全身の痛み
- 疲労感
- 関節のこわばり
- 不眠
- 頭痛
- 気分の落ち込み、不安感
- めまい
- しびれ
- 口や目の乾燥
- 便通異常 など
痛みを抑えるためにできること
食事と睡眠をしっかりととって、生活にリズムをつけてください。
病院に行く目安
症状が1週間以上続く場合には、一度病院で検査を受けましょう。
ほかの病気の可能性も考えられるので、医師に診察してもらいましょう。
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病気② 関節リウマチ
全身の関節に炎症が起こり、体のあちこちが痛くなる病気です。
関節リウマチの原因
免疫機能の異常が原因です。
本来であれば、菌やウイルスと戦うはずの免疫機能が、体の細胞を攻撃してしまうために起こります。
発症しやすい人
女性に多く発症します。
主な症状
- 体のあちこちの痛み
- 貧血
- 息切れ
- 目の渇き、口の渇き
- 目の充血、視力低下
- 手のむくみ、こわばり
- 口内炎
- リンパ節の腫れ
- 微熱
- 疲労感、だるさ
- 体重減少 など
痛みを抑えるためにできること
痛みがあるときは、患部を冷やしましょう。
また、炎症が治まっているときには温めてください。
病院に行く目安
関節リウマチは治療が必要な病気です。
症状に心当たりがある場合は、早めに受診しましょう。
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病気③ 更年期障害(女性)
更年期障害になると、体のあちこちに痛みを感じやすくなります。
ホルモンバランスの変化で脳の視床下部に誤作動が起こり、痛みに敏感になってしまうのです。
更年期障害の原因
女性ホルモンの急激な低下が原因です。
発症しやすい人
45~55歳くらいの女性に発症しやすいです。
主な症状
- 肩こり、腰痛、関節痛
- 手足のしびれ、痛み
- 頭痛、めまい、吐き気
- 不眠
- 不安感、抑うつ
- のぼせ、ほてり、発汗
- 喉の渇き
- むくみ
- 月経異常
- 性交痛
- 尿失禁
- 動悸 など
痛みを抑えるためにできること
有酸素運動を毎日行いましょう。
1日30分が目安です。ウォーキングや水泳をおすすめします。
大豆、納豆、豆腐を食べましょう
大豆イソフラボンには、更年期障害を改善させる作用があります。
サプリメントで摂取しても良いでしょう。
病院に行く目安
症状が1カ月以上改善しない場合は、受診をおすすめします。
特に、うつ症状が強く“自殺願望が芽生える”といった場合は、すぐに病院に相談しましょう。
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受診するのは何科?
何の病気か判断できません。その場合は何科で受診すれば良いですか?
まずは、内科を受診しましょう。
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2019-12-27
ストレスが原因で背中痛が生じるケースがあります。
ときには「息苦しい」「胃が痛い」といった症状がでることも…。
対処法を、お医者さんに聞きました!
「背中が痛い!」原因はストレスのケースも
自律神経の影響で、ストレスが原因で背中痛が出る人もいます。
ストレスは、体のあらゆる器官の働きを調節している「自律神経」の働きにも影響を及ぼします。
痛みに加え「息苦しい」ことも
ストレスが多くなり、うまく自律神経の調節ができなくなると、
体や手足が冷たくなり血流が悪化する
動悸・息が苦しくなる
という症状が現れる人もいます。
痛みに加え「胃痛」がある場合は…
「胃痛」や「胃酸の上昇」などを伴って背中の痛みがある場合、逆流性食道炎等の可能性もあります。
逆流性食道炎は、胃液が何度も食道側に逆流して食道に炎症をきたす病気です。背中痛を同時に訴える患者さんも多くいます。
ストレスによる背中の痛みにはマッサージも
背中のマッサージは、体全体の血流を良くしてくれます。
体の血流が良くなるとストレスや痛みの緩和にも有効です。
市販薬は「使ってもいいが…長期はNG」
市販の鎮痛剤で一時的に背中の痛みがおさまる場合もあります。
ただし、長期的な使用は控えましょう。
1週間ほど痛みが続く場合は、痛みの原因を確認する必要があるので病院を受診しましょう。
原因不明のまま、痛み止めだけで対処していると、何か大きな病気を見過ごしてしまう可能性もあります。
また、痛み止めを連用していると、胃潰瘍や腎障害、肝障害などの副作用を引き起こすケースもあります。
「病気」の可能性も
「背中を使う運動をしたりしたわけではないのに背中が痛い、違和感がある」場合や、「安静にしているのに痛みがある」という場合は、何か病気が隠れているかもしれません。
特に、痛みが強くなったり、他の頭痛、腹痛、胸痛などの症状が併せてあるようなら、早めに病院を受診してください。
背中の「右側が痛い」病気
「背中の右上方が痛い」場合は、肺炎、胸膜炎、肺結核、気胸など肺の病気、「背中の右下部が痛い」は、膵炎、肝炎、十二指腸潰瘍、腎盂炎、腎結石などの可能性があります。
痛みの特徴の違い
肝炎:体全体の倦怠感と背中の痛み
十二指腸潰瘍:差し込んでくるような痛み
腎臓に異常がある:発熱と背中痛
背中の「左側が痛い」病気
「背中の左上方が痛い」場合は、狭心症や心筋梗塞、解離性大動脈瘤といった心臓に関わる病気、「背中の左下方が痛い」場合は、膵炎、膵臓がんなどの可能性があります。
痛みの特徴の違い
狭心症:押さえつけられるような圧迫感
解離性動脈瘤:体が引き裂かれるような強い痛み
膵臓の異常:少しの痛みから徐々に痛みが増し、今まで感じたことのないような激痛に変化する
何科を受診すればいい?
体を動かすときに痛みがある場合や体をひねると痛みがある場合等は、筋肉や骨などに異常がある場合が多いです。
整形外科を受診して血流の状態や筋肉の張りやコリを診察してもらいましょう。
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※その他は内科や循環器科、呼吸器科などに相談してみてください。
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2021-01-27
なぜ?体のあちこちが痛い…。
それは、男性の特有の病気が原因かもしれません。
「病院は何科?」「どうやって治すの?」
お医者さんに痛みを緩和する方法を聞きました。
全身が痛いときの「5つの対処法」
痛みがあるときは、次の対処法を試してください。
痛みのある部分をカイロなどで温める
適度な運動を無理なく行う
湯船に浸かり、体を温める
無理せず、ゆっくり休みを取る
十分な睡眠をとる
市販薬を使用してもいい?
痛みの原因はさまざまです。自己判断での使用は控えましょう。
症状を悪化させてしまう可能性があります。
体があちこち痛くなる原因は?
全身に痛みを感じる原因には、次のものが考えられます。
繊維筋痛症
関節リウマチ
男性更年期障害
原因① 線維筋痛症
体のあちこちで痛みが起こるだけでなく、疲労感や不眠、頭痛などが3ヵ月以上もの長期間続く病気です。
症状の特徴
全身の強い痛み・こわばり
睡眠障害
うつ病 など
原因
原因はまだ明らかになっていません。
治療法
特効薬はありませんが、薬や漢方を服用し、症状を緩和させる治療を行います。
また、運動療法や認知行動療法などを行い、痛みを軽くする方法もあります。
原因② 関節リウマチ
関節で炎症が起こって、激しい痛みを感じます。軟骨や骨などが破壊され、関節の機能が低下する病気です。症状が進むと、関節が変形を起こします。
症状の特徴
手足のしびれ
手足の関節痛
関節の変形
微熱
貧血 など
原因
原因はわかっていませんが、喫煙や遺伝などが関係していると言われています。
自己免疫が異常に働き、正常な細胞を攻撃するため体に不調が生じます。
治療法
薬物での治療・手術・リハビリテーションなどが必要となります。
原因③ 男性の更年期障害(LOH症候群)
40代後半ごろから発症し、男性機能の低下・多汗・のぼせなどの身体的症状のほか、不眠・無気力・イライラといった精神的症状があらわれます。
症状の特徴
倦怠感
集中力の低下
不安感
イライラする
頭痛
ほてり
多汗
めまい
筋力の低下
勃起障害
原因
加齢による男性ホルモンの低下が原因です。
治療法
男性ホルモンの補充療法が一般的です。
強く現れる症状にのみ対処療法を行うこともあります。例えば、うつ傾向が強い場合は、抗うつ剤を使用するなどの治療をします。
病院に行く目安
微熱や手足の動かしにくさ、こわばりのような痛みが1週間以上続く
日常生活に支障が出ている(痛み、イライラ、集中力の欠如、多汗、不安感、落ち着かないなど)
という症状が出ている場合は、病院を受診しましょう。
病院は何科に行けばいい?
自覚している症状に合わせた診療科を受診してください。
倦怠感、体の痛みやこわばり、関節痛が強くあらわれている
→リウマチ科や整形外科
男性の更年期障害が疑われる
→泌尿器科
体の不調は少なく、精神的症状が強い
→心療内科
リウマチ科を探す
泌尿器科を探す
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▼参考
e-ヘルスネット 更年期障害
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。