確かに尿意を感じているのに、おしっこが出ない。
一体どうして?
トイレに足を運んだのに、空振りになるのはストレスです。
お医者さんに排尿がうまくできないお悩みについて相談しました。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
尿が出ないのはなぜ?
尿意があるのに、尿がでません…。
いったいなぜでしょうか…?
尿が出ない原因として
- 結石が尿の出口を塞いでいる(※尿路結石症)
- 神経が障害を受けている(※神経因性膀胱)
- 便で尿道が圧迫されている(※便秘)
という原因が考えられます。
尿が出ないとき、どう対処する?
思うようにおしっこが出ないときには、我慢せずに医療機関を受診しましょう。
病気が原因の場合、治療する必要があります。
放置すると、尿漏れの原因となったり、細菌が増えてしまったりすることで膀胱炎などの尿路感染症を生じたりすることもあります。
受診するのは何科?
女性でおしっこが出ない場合は、内科・泌尿器科を受診しましょう。
日常生活に支障が出ることもあります。
早めに病院を受診するようにしましょう。
内科を探す
こんな病気の可能性が…!
尿を思うように出せない原因として、
- 尿路結石症(血尿・脇腹の痛みなど)
- 神経因性膀胱(頻尿・尿漏れなど)
といった病気が考えられます。
病気① 尿路結石症
おしっこの中の成分(ミネラル)が結晶化して固まり、結石になる病気です。
症状の特徴
- おしっこの異常(血尿、尿の濁りなど)
- 背中・脇腹の激しい痛み
その他、吐き気や嘔吐、発汗、排尿痛、腹痛などの症状が生じることがあります。
結石で尿の出口を塞がれると、おしっこが出なくなります。
それにより、おしっこが逆流して水腎症になったり、腎盂腎炎をおこしたりすると腎機能障害が進行する可能性があります。
なってしまう原因
- ビタミンCや動物性たんぱく質が多い食事
- 水分やカルシウムの不足
- 副甲状腺機能亢進症や尿細管性アシドーシスなどの病気 など
対処方法
水を多めに摂り、おしっこの量を増やしましょう。
尿管につまった結石の90%以上は、尿と一緒に自然に排出されます。水分を摂ることで、自然治癒に繋がります。
結石が自然に排出されず、痛みやおしっこの異常が続く場合は、病院を受診しましょう。
病気② 神経因性膀胱
神経の異常により、膀胱コントロール機能が障害を受け、膀胱がうまく働かない状態のことです。
症状の特徴
- トイレに行く回数が増える
- 強い尿意
- おしっこが漏れる
- おしっこが出ない
その他、おしっこが出なくて痛みを感じたり、触ってわかるほど膀胱が膨らむこともあります。おしっこが出ても残尿感がある場合もあります。
なってしまう原因は?
- 膀胱の神経圧迫(椎間板ヘルニアなど)
- 膀胱の神経損傷(手術など)
- 末梢神経障害(糖尿病など) など
対処法は?
根本的に尿漏れを治すには、病院での治療が必要です。
尿漏れに関しては、尿漏れパンツやパットを活用するとよいでしょう。
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2022-07-29
膀胱に違和感があるけど、これって更年期の影響?
「更年期に多い膀胱の違和感」の正体について、お医者さんに聞いてみました。
考えられる病気としては、膀胱炎・過活動膀胱などが挙げられます。
それぞれの改善方法も紹介するので、頻尿・残尿感を改善させたい方は必読です。
更年期に多い「膀胱の違和感の原因」
更年期に起こる膀胱の違和感は、
膀胱炎
過活動膀胱
骨盤臓器脱
といった原因が考えられます。
病名
症状の特徴
膀胱炎
排尿痛
下腹部痛
頻尿
残尿感
血尿
過活動膀胱
我慢できないほどの尿意
何度もトイレに行きたくなる
尿意で夜に目が覚める
骨盤臓器脱
何かが下がっているような違和感
頻尿
残尿感
尿もれ
上記の病気には、病院での治療が必要なケースもあります。
それぞれ詳しく解説していきますので、心当たりのあるものがないかチェックしてみましょう。
原因① 膀胱炎(排尿痛・残尿感など)
膀胱炎とは、尿道に細菌感染が起こっている状態です。
膀胱の粘膜の炎症によって、膀胱に違和感が出ることがあります。
更年期の方は「おりもの」が減少したり、「尿道の萎縮」によって尿が停滞したりするため、膣・尿道から細菌が侵入しやすくなります。
特に、ストレス・疲れが溜まっていると、免疫低下によって膀胱炎を発症しやすいです。
膀胱炎の症状チェック
排尿痛
残尿感
頻尿
尿に血が混じる
発熱
「膀胱炎かも」と思ったら
まずはしっかりと水分補給をして、尿をたくさん排出するようにしましょう。
軽度の膀胱炎であれば、細菌を外に出すことで楽になります。
また、
体を温める
栄養のある食事をとる
睡眠をたっぷりととる
といった方法で、免疫力を高めましょう。
免疫力を高めることで、症状の改善や予防効果が期待できます。
使える「市販薬」はある?
一時的な痛みの緩和として「鎮痛剤」を使用してもよいです。
改善が見られないときは、病院で相談を
2~3日経ってもよくならない
痛みが強くなっている
血尿が濃くなっている
といった場合は、すぐに医療機関で診てもらいましょう。
特に“激しい痛み”や“血尿”などが出ている場合は、「腎臓まで感染が広がっている」恐れがあります。
悪化すると入院が必要になるケースもあるため、早めの受診を心がけてください。
原因② 過活動膀胱(我慢できない尿意)
過活動膀胱とは、膀胱が過敏状態になってしまう病気です。
膀胱の収縮によって、膀胱に違和感が出ることもあります。
原因は「脳神経や脊髄の病気」や「加齢による膀胱機能の変化」など、様々な要因が挙げられます。
特に更年期以降の女性は、「筋力(骨盤底筋群)の低下」や「膀胱・外陰部が過敏になる」なども過活動膀胱の原因として考えられます。
過活動膀胱の症状チェック
急に我慢できない尿意が起こる
1日8回以上はトイレに行く
夜間に尿意で目が覚める
尿意を我慢できずに漏れてしまう など
「過活動膀胱かも」と思ったら
過活動膀胱の場合、
太っている方は減量する
アルコール・カフェインを控える
「骨盤底筋体操」をする
といったセルフケアで、快方に向かうケースもあります。
自宅で簡単にできる!骨盤底筋体操
「骨盤底筋体操」のやり方
仰向けで横になる
膝を立て、足を肩幅に開く
体の力を抜いて、膣と肛門をお腹の方に引き上げるように締める(※)
3の状態で10秒間キープしたら、10秒間リラックスする
1~4を10回繰り返す
素早く「締める・緩める」を10回繰り返す
(※)おしっこを我慢するイメージ
上記を1セットとし、1日5セット行いましょう。
「立ったまま・椅子に座った状態」で行っても構いません。
骨盤底筋を鍛えることで、尿漏れを防ぐことができます。
簡単な体操で鍛えられるので、空き時間にトレーニングを行いましょう。
改善がみられないときは、病院で相談を
過活動膀胱には、糖尿病・パーキンソン病・脊髄の病気などが隠れているケースもあります。
なかなか改善しないときは、一度病院で相談することをおすすめします。
病気が隠れていた場合、放置すると健康を大きく損なったり、運動機能に支障をきたしたりするケースもあります。
まずは「泌尿器科」で受診し、症状の原因を調べてもらいましょう。
原因③ 骨盤臓器脱(何かが下がっている感覚)
「骨盤底筋」が緩くなり、骨盤内の臓器が下がって、腟口から飛び出てしまう状態です。
膀胱が下がってくることで、膀胱の違和感を生じる場合があります。
※膀胱以外にも、子宮や腸が下がることもあります。
更年期は、女性ホルモン減少・加齢による筋力低下が原因で、骨盤臓器脱を発症しやすくなります。
特に肥満・運動不足の方は、発症リスクがさらに上昇します。
骨盤臓器脱の症状チェック
膀胱の違和感
何かが下がっている違和感
触ると出っ張りの確認ができる
頻尿
残尿感
尿が出しにくい
「骨盤臓器脱かも」と思ったら
症状の悪化を予防するためにも、骨盤底筋を鍛えましょう。
先ほど紹介した「骨盤底筋体操」が効果的です。
ただし、
膣から何か出ている感じがする
触ると出ているものを確かめられる
などの場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
検査を行い、体がどのような状態かを見極める必要があります。
病院は「婦人科?泌尿器科?」
膀胱の違和感は、「泌尿器科」で相談しましょう。
泌尿器科は、膀胱に関する診療を専門分野としています。
診察を受けると、膀胱に異常が隠れていないか調べてもらえます。
医師に伝えるポイント
出ている症状
いつから違和感があるか
痛みの有無
血尿の回数・血の量(尿の色)
などを診察時に伝えるとよいでしょう。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
日本泌尿器科学会 尿が近い、尿の回数が多い
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2020-12-02
膀胱炎になったかも…。
病院は何科を受診すればいい?
受診するときの目安は?放置しておくとどうなる?
膀胱炎になったときの疑問について、お医者さんが解説します。
膀胱炎は何科?婦人科と泌尿器科で迷う…
内科、泌尿器科、婦人科のどこでも膀胱炎の治療を受けることができます。
内科を探す
膀胱炎を何度も繰り返す場合は泌尿器科への受診をおすすめします。
膀胱や尿路の専門家なので、他の病気が疑われるとき詳しい検査を受けることができます。
下腹部痛などほかの症状がある場合は婦人科への受診をおすすめします。
膀胱炎なのか婦人科系の疾患なのかをすぐに見極めてもらえます。
膀胱炎かも?症状リスト
次の症状のうち、1つでも思いたるものがあれば、膀胱炎の可能性があります。
頻繁に尿意がある(1時間に数回)
残尿感がある(排尿後すぐ〜10分以内)
下腹部痛がある
おしっこをすると尿道が痛い
おしっこに血が混じる
おしっこが白く濁る
腰が痛い
倦怠感がある
発熱している
膀胱炎で受診する目安
腹痛が強くなる
尿の色が濃くなっている
熱が出る
血尿が出た
糖尿病などの免疫低下の病気がある
尿が出ない
という症状がある場合は、早急に病院で治療を受けましょう。
内科を探す
治療しないで放置すると…
膀胱炎を放置すると腎臓に影響が出て、腎盂炎を発症する可能性があります。
病院を受診し、抗菌薬で早めにケアすれば、すぐ日常に戻ることが可能なケースもあります。根本的に治療するためにも、病院へ行きましょう。
▼参考
特定非営利活動法人標準医療情報センター 膀胱炎治療法ガイドライン