性行為中・性行為後に出血!
この出血…大丈夫?
お医者さんに「出血する原因」を聞きました。
監修者
経歴
医療法人社団 石野医院
日本医科大学
日本医科大学付属病院
日本医科大付属第二病院
国立横須賀病院
東部地域病院
石野医院
出血したけど…大丈夫?病院行くべき?
- 月経のような出血があった
- 少し多めの鮮血の出血があった
場合は病院へいきましょう。
少量で、古い血(茶褐色の血)であれば、少し様子をみましょう。
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なぜ?性行為後の出血の4つの原因
性行為後の出血の原因として
- 膣が傷ついた
- 子宮腟部びらん
- 子宮頚管ポリープよる出血
- 子宮頸がん
が考えられます。
それぞれについて、詳しく解説します。
原因1. 膣に傷がついた
性行為により、膣の中を触ったり動かしたりすると、摩擦などで粘膜を傷つけてしまうことがあります。
出血のタイミング
性行為中や性行為後に出血が確認できます。シーツや寝具に血がついたり、性行為後にトイレに行って性器を拭いたら血がついたり、便器内に出血を確認したりします。
出血の特徴
鮮血が出ます。
対処法
出血が多いようなら、ナプキンを当てましょう。
傷口からの細菌感染や膣の傷の度合いを確認するためにも婦人科を早めに受診しましょう。
また、性行為で傷がついたのではなく、ポリープが切れた出血の場合や、病気の出血の可能性もあります。
原因2. 子宮腟部びらん
子宮腟部びらんという、膣の盛り上がりがあると傷つき出血することがあります。
「子宮膣部びらん」は、腟につき出ている子宮の腟部が赤く見える状態です。性成熟期の女性には珍しいことではありません。びらんの部分は薄い皮膚で覆われているだけなので、性行為による刺激によって炎症や不正出血を起こしやすいです。
出血のタイミング
性行為中や性行為後
出血の特徴
鮮血や茶色っぽいものが混じることもあります。
少量出血の場合は後から出てくることもあり、その場合は茶色っぽく変化しています。
対処法
出血したら、ナプキンを当てて、なるべく早く婦人科を受診しましょう。
自分自身ではポリープによる出血と見分けがつかないため、異常がないかの確認をしておきましょう。
原因3. 子宮頚管ポリープよる出血
ポリープの組織が傷ついたり、刺激をうけることで出血します。
子宮頚管ポリープの多くは良性の腫瘍です。頚部粘膜の上皮細胞が増殖して形成されています。大きさは3mm~1cm程度です。痛みはありませんが、簡単に出血するようになります。
出血のタイミング
性行為中や性行為後
出血の特徴
鮮血や茶色っぽいものが混じることもあります。
対処法
まれですが、前がん病変であることもあるため生検を行います。
出血したら、ナプキンを当てて、なるべく早く婦人科を受診しましょう。異常がないかの確認をしておきましょう。
原因4. 子宮頸がんによる出血
子宮頚がんが進行してくると性行為後の出血や性交痛を感じるようになります。
出血のタイミング
性行為後に出血が確認されます。
出血の特徴
鮮血または分泌物に血が混ざっている状態です。
対処法
すぐに病院受診をしましょう。
また、がん検診を定期的に受診して早期発見できるようにしましょう。
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「放置するリスク」や「病院に行くべき症状」についても解説します。
不正出血が止まらない…大丈夫?
「排卵期出血」と言う少量の出血の場合は、あまり気にすることはありません。
生理と生理の間の時期(排卵期)に起こるホルモンバランスの変化による出血です。この出血は数日でおさまることが多いです。
しかし、これを繰り返すような場合や、出血が2週間以上続く場合は、一度医師に相談した方が良いでしょう。
また、ピルの服用によって不正出血が起こる場合もあります。こちらも少量の出血であればあまり心配ありませんが、出血が3か月以上続く場合や、出血量が多い場合は病院で相談しましょう。
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病気の可能性も
不正出血が止まらない原因として、
子宮頸がん
子宮体がん
子宮肉腫
膣がん
子宮頸管ポリープ
といった病気も考えられます。
原因1. 子宮頸がん
性交渉によってヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頚部に感染することで起こります。
20代後半から増えはじめ、40代がもっともかかりやすい病気です。
とくに性交時の出血がみられます。出血量は多く、繰り返すのが特徴です。
<症状の特徴>
まだ細胞ががん化していない初期段階では症状はありません。
進行すると、性交時に出血をしたり、おりものに変化があらわれたりします。さらに悪化すると、下腹部や腰が痛くなることもあります。
原因2. 子宮体がん
女性ホルモンのひとつ「エストロゲンの分泌」が過剰になると、子宮の内膜が分厚くなり、がん化します。
エストロゲンの過剰分泌を引き起こす原因として、①出産経験がない、②閉経が遅かった、③肥満である、④ホルモン薬剤の影響などがあげられます。
また、エストロゲンの分泌とは無関係に、糖尿病、リンチ症候群などの病気、家族に大腸がんの方がいるといったことが原因となることもあります。
子宮体がんは、40歳ごろから増えはじめ、50代から60代がもっともかかりやすい病気です。
<症状の特徴>
おりものに血が混ざり、褐色になるだけのものもあります。出血に加え、排尿時の痛みを感じたり、尿が出にくくなったりします。性交時にも痛みがある場合もあります。
下腹部や腰の痛み、お腹の張りを感じることもあります。
原因3. 子宮肉腫
子宮の筋肉や間質に生じる悪性の腫瘍です。子宮肉腫は、40代から60代に多い病気です。
発症頻度は非常に低いとされていますが、早期治療が必要です。子宮肉腫の原因は、はっきりとしていません。
<症状の特徴>
不正出血以外には、下腹部の痛みや張りを感じます。
原因4. 膣がん
膣がんによって膣の粘膜がただれて、出血が起こることがあります。
膣がんは、60歳以上の方に多い病気と言われています。
ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染していたり、子宮頸がんや子宮がんを患ったり、子宮摘出をしたりしていると、膣がんにかかるリスクが高まります。
また、胎児期に、母親が流産防止のためにDES(合成女性ホルモン薬)を使用していると、生まれてきた子どもの膣がんリスクが高くなる可能性がある、という報告もあります。
<出血の特徴>
生理ではない時期や閉経後、性交中や性交後に出血することがあります。
<症状の特徴>
膣がんでは多くの場合、初期では症状がみられません。
がん細胞が大きくなると膀胱を圧迫するため、尿の回数が増えたり、排尿時に痛みを感じたりすることもあります。
その他、水っぽいおりものや性交痛、便秘等を感じる方もいますが、これらは、腟がんに特有なものではなく、他の病気が原因となっている場合も多くあります。なかには病気が進行しても、何も症状がないという人もいます。
原因5. 子宮頸管ポリープ(頚管粘膜ポリープ)
子宮頚管ポリープは、成人女性の2~5%に発症します。良性の場合が多いです。
子宮頸部の細胞の慢性的な炎症などをきっかけに、できものとして膣の中へ飛び出したものです。ポリープが大きくなると不正出血を起こしやすくなります。
特に30代から40代の発症が多いです。
ポリープの大きさは直径数mmから2~3cm程度で、やわらかく、性交渉時の刺激などにより傷つき、出血することがあります。
<症状の特徴>
多くの場合は、症状がありません。
ポリープが感染を起こすと、膿が混じったようなおりものが出ることがあります。
止まらない不正出血を放置すると…
「少量の出血だから大丈夫かな」
といって、病院へ行かずに放置するのはやめましょう。深刻な病気を見逃したり、治療が難しくなる可能性が上がります。
また、不妊や流産のリスクが上がったり、生理痛や貧血症状がつらくなることもあります。
病院を受診する目安
閉経後にもかかわらず、出血がある。
出血量が多い。
痛みが強い。
不正出血を繰り返す。
不正出血が2週間以上続く。
受診のタイミング
基本的には出血している時に受診しましょう。
出血の原因を突き止めやすくなります。また、早期に受診することで出血をとめることにも繋がります。
出血が止まった後に受診する場合には、以下の6ポイントを医師に伝えると良いでしょう。
いつ出血したのか。
出血は続いたのか。続いたのであれば、その期間。
どんな色だったか。
どれくらいの量だったか。
その他の症状。
月経周期や月経期間。
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初診ではどんな検査をするの?
まずは問診を行い、その後内診で出血している場所や状況を確認します。
必要に応じて、超音波検査で子宮や卵巣の状況の確認や血液検査を行うこともあります。
生理中に受診してもいいの?
がん検診やおりもの検査などは生理期間を避けますが、
不正出血に関しては、生理中でも受診して大丈夫です。
参考
国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/
MSDマニュアル家庭版 膣がん
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/22-女性の健康上の問題/女性生殖器のがん/腟がん
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「鮮血の不正出血と下腹部痛がある…これはなぜ?」
子宮の病気など、考えられる原因を解説します。
心当たりのある症状がないか、チェックしてみましょう。
子宮頸がんが隠れているケースもあるため、放置はキケンです。
不正出血(鮮血)と下腹部痛…これ大丈夫?
鮮血の不正出血と下腹部痛の症状には、
排卵出血
膣や子宮の炎症による出血
のいずれかが考えられます。
「排卵出血」とは、卵胞が破れたとき起こる出血です。
下腹部痛を伴いますが、病気ではないため心配いりません。
一方「膣や子宮の炎症」が原因の場合は、なんらかの病気が考えられます。
子宮頸がんなど、重い病気が隠れているケースもあるため、注意が必要です。
病院に行く目安
鮮血の不正出血と下腹部痛の症状があるときは、必ず婦人科・産婦人科を受診してください。
病気が隠れていないか、検査で調べる必要があります。
特に猛烈な下腹部の痛みがあるときは、早急な受診が必要です。
治療が遅れると出血多量で、命を落とす恐れもあります。
お医者さんに症状を伝えるポイント
いつ頃から症状があるか
症状は発症するたびに重くなっているか
不正出血の起こる時期と量(少量〜大量で貧血を伴うなど)
下腹部痛のある部分
併発している症状(吐き気、頭痛、腰痛など)
妊娠を望んでいるか
過去の病歴
家族に婦人科系疾患を患った人がいるか
上記の点を医師に伝えましょう。
可能な限り詳しく伝えることで、診察がスムーズになります。
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考えられる3つの病気
不正出血(鮮血)と下腹部痛の症状が出る場合、
子宮頸がん
宮内膜症
子宮筋腫
などの病気の可能性があります。
病気① 子宮頸がん
正常な細胞だったものががん化して、周辺細胞を悪性に変えてしまう病気です。
がんが進行し、末期になると下腹部痛や、尿や便に血が混じる症状が出ます。
主な症状
性交痛、性交時に出血する
オリモノに血や膿が混じる
粘度の濃いオリモノが出る
水のようなオリモノが出る
下腹部痛、腰痛
尿や便に血液が混じる
子宮頸がんの原因
ヒトパピローマウイルスに感染することで発症します。
性行為で感染しますが、通常は免疫が働き排除されます。
しかし、免疫が低下している場合、排除されず、がん化して発症します。
喫煙習慣がある人は、発症リスクが上昇すると考えられています。
どんな治療を受けるの?
手術・放射線治療・薬物治療などがあります。
発見された際の進行状況に応じて治療方針を決めていきます。
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病気② 子宮内膜症
本来、子宮の中に作られる内膜が、子宮以外の部分に作られてしまう病気です。
異常に増殖した子宮内膜が腹部を圧迫することで、下腹部痛が起きます。
生理のたびに病気が進行するのが特徴です。
子宮内膜以外の部分にできた内膜によって、通常以上に大量出血を起こすケースもあります。
主な症状
腹痛、腰痛
重い生理痛のような痛みが生じる
生理の出血量が多い
不正出血
性交痛
不妊
次第に出血量が多くなる傾向があり、ナプキンの交換が何度も必要になるケースもあります。
子宮内膜症の原因
原因不明の場合が多いです。
20〜30代の女性や、親が子宮内膜症を患っている人に発症しやすい傾向があります。
どんな治療を受けるの?
薬物治療・手術療法などがあります。
診療では、年齢や妊娠の希望などを含め、総合的に判断して最適な治療法を選択していきます。
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病気③ 子宮筋腫
子宮に発生する良性腫瘍です。
子宮筋腫が周囲の臓器を圧迫すると、下腹部痛を感じるようになります。
月経量の増加や月経痛で受診したときに、発見されやすい病気です。
不妊、流産、早産を引き起こすため、妊娠を希望する場合は治療が必要です。
主な症状
月経痛
生理の出血量が増える
貧血症状
下腹部痛
子宮筋腫の原因
子宮筋腫の原因は解明されていません。
30歳以上の女性に多く見られる傾向があります。
どんな治療を受けるの?
月経を止める治療(偽閉経療法)や摘出手術などで改善を図ります。
ただし、症状によっては、経過観察で様子を見る場合もあります。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
国立がん研究センターがん情報サービス 子宮頸がん