「気付いたら寝ていることがある…」
「我慢していても、すぐに眠くなってしまう…」
それは、病気が原因かもしれません。
強い眠気に襲われる病気ついて、お医者さんに聞きました。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
気づいたら寝てる…これって病気?
十分な睡眠時間を確保しているはずなのに、日中に耐え難いほどの眠気に襲われたり、ぼんやりしたりする場合は病気の可能性があり注意が必要です。
疲れが溜まっているときや、睡眠時間が短いせいで日中眠くなる場合は、単なる睡眠不足なのであまり心配いらないでしょう。
考えられる2つの病気
すぐ眠くなったり、突然眠ってしまったりする症状は
といった病気の可能性があります。
病気① ナルコレプシー
日中に強烈な眠気に襲われ眠り込んでしまう「睡眠発作」の症状が出ると、5~15分程度眠り続けることが多いです。
睡眠・覚醒・食欲などに関わる「オレキシン」という神経細胞が働かなくなり発症します。
溶連菌感染症・インフルエンザといった感染症が引き金となることが多いです。
頭を打ったり、頭に怪我をしたり、交通事故などが影響して発症する人もいます。
症状の特徴
- 週に最低3回、我慢できないほどの眠気に襲われるのが3ヶ月続いている
- 感情が大きくなる(怒り、恐怖、笑いなど)
- 呂律が回らない
- 意識がたもてない
- 睡眠時に意識はあるのに体が動かない(金縛りと感じる)
- 体の力が抜ける
- 夜間に何度も目を覚ます など
目覚めた後は、一時的に眠気が消えてリフレッシュしますが、1~2時間後には再度眠気に襲われます。
発症しやすい人
子どもから大人まで発症する病気です。
感染症など後天的な要因が多いですが、遺伝が要因となる場合もあります。
病院での治療方法
生活指導とお薬を使った治療が一般的です。
生活指導
症状が軽い場合は、睡眠時間を記録し生活習慣を見直します。
「規則正しい生活を送る」「15 分程度、短時間の昼寝をする」「カフェインを摂らない」などを心がけましょう。
お薬を使った治療
症状が中度から高度な場合はお薬を使うことが多いです。
夜に睡眠薬、日中の眠気には覚醒作用のある中枢神経刺激薬が処方されます。
病気② 特発性過眠症
原因は不明のものが多く、睡眠時間が足りているのに強い眠気を感じます。
原因はわかっていませんが、脳の障害が関係していると考えられています。
症状の特徴
- 短時間、寝ても眠気が取れない
- 寝ても寝足りない
- 眠くて仕事や勉強に集中できない
発症しやすい人
子どもや若い人に多い病気です。
病院での治療方法
生活指導とお薬を使った治療が一般的です。
生活指導
症状が軽い場合は、睡眠時間を記録し生活習慣を見直します。
「規則正しい生活を送る」「15 分程度、短時間の昼寝をする」「カフェインを摂らない」などを心がけます。
お薬を使った治療
症状が中度から高度な場合はお薬を使うことが多いです。
夜に睡眠薬、日中の眠気には覚醒作用のある覚醒維持薬が処方されます。
ナルコレプシーと特発性過眠症の違い
「ナルコレプシー」は眠気が強くでますが、「特発性過眠症」は眠気自体は強くありません。
ナルコルプシーは5~15分程度の睡眠で一時的にスッキリしますが、特発性過眠症は短時間の睡眠では眠気をとることができません。
病院に行く目安
しっかり寝ているのに日常生活に支障が出るほどの眠気がある場合や、ナルコレプシー、特発性過眠症の症状に心当たりがある場合は、早めに病院に行きましょう。
早期受診をおすすめする理由
睡眠障害は精神疾患など何らかの病気が引き金になっている場合もあります。
放置すればストレスや自律神経のバランスが乱れている状態が続き、睡眠障害だけでなく症状が増える可能性があります。
職場や学校などで、睡眠発作を「怠けている」と勘違いされ、落ち込んでしまうケースがあるので、おかしいと感じたら一度病院へ相談しましょう。
病院は何科に行けばいい?
まずは、内科を受診しましょう。
ストレスの影響が強い場合は心療内科でも良いでしょう。
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2023-01-17
「明日も朝早いのに眠れない…」
「すぐに眠れる方法が知りたい!」
公認心理師・臨床心理士の赤田太郎先生が、スムーズな入眠をサポートする方法をご紹介。
寝付けなくてお困りの方は、ぜひお試しください。
※動画による解説は記事末尾から
今すぐ寝たいときは「漸進的筋弛緩法」を試してみよう
最近寝つきが悪くて困っています。
明日も仕事で朝早いのに…。すぐに眠れる方法ってないのでしょうか?
眠れないときには、「漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)」がおすすめです。
意識的に筋肉の緊張と弛緩(緩める)を繰り返すことで、体と心の緊張をほぐしていきます。
体全体がリラックスするので、スムーズな入眠に繋がりますよ。
漸進的筋弛緩法のやり方
まずは楽な姿勢で座ります。
その後、体の各部位の「筋肉を緊張させる⇒脱力する」という行為を2回ずつ繰り返していきます。
手・腕
頭部(額・目・顎)
首肩まわり
上半身(胸・お腹)
足
の順に行いましょう。
大切なのは、緊張した筋肉が緩んでいく感覚を意識することです。
ここからは詳しい手順を解説していきますので、ぜひ実践してみてください。
※漸進的筋弛緩法の注意点※
漸進的筋弛緩法は、著しく体力が低下している方や治療中の疾患・ケガのある方が行うと、不快感が生じたり、症状が強くなったりする可能性があります。特に現在通院中の方は、必ずかかりつけ医に相談してから実践するようにしましょう。
1. 手・腕の筋弛緩
▼手の筋弛緩のやり方
椅子やベッドで楽な姿勢で座り、目を閉じる。
右の拳を、体を痛めない程度に、少し強めに握る。
指と腕の力を抜いていく。
①~③を2回繰り返す。
左手も同様に行う。
▼腕の筋弛緩のやり方
右腕の肘を曲げて力を入れる。
腕をゆっくり伸ばして、緊張を緩める。
緊張のある状態とない状態の違いを感じながら、リラックス感を深める。
①~③を2回繰り返す。
左腕も同様に行う。
目を閉じるのが不安な人は、開いたままでも構いません。
「力を入れたときの緊張」と「脱力するときの弛緩」の違いを味わうようにしましょう。
2. 頭部(額・目・顎)の筋弛緩
▼額の筋弛緩のやり方
額にシワを寄せるようにして力を入れる。さらに力を入れる。
だんだんと額の力を抜く。額全体のシワがなくなっていくことをイメージする。
①~②を2回繰り返す。
▼目の筋弛緩のやり方
目を強く閉じる。目やまぶた以外の部分に力が入らないようにする。
目を閉じたまま、力を抜いていく。
①~②を2回繰り返す。
▼顎の筋弛緩のやり方
歯を食いしばる。
顎を固めて、唇も強く閉じる。
だんだんと力を緩めて顎と口をリラックスさせる。
①~③を2回繰り返す。
額・目・顎の筋弛緩トレーニングを行うことで、顔全体が自然とゆったりして、表情がリセットされます。
顔の筋肉を滑らかにして、穏やかな気持ちを味わいましょう。
3. 首肩まわりの筋弛緩
▼首の筋弛緩のやり方
首をできるだけ後ろに曲げて、首の緊張を感じる。さらに強く緊張させる。
ゆっくりと首を楽な位置に戻す。
①~②を2回繰り返す。
▼肩の筋弛緩のやり方
肩をすくめて上にあげる。
さらに肩を上にあげながら、胸を開くように肩を開く。
ゆっくりと肩の緊張を緩める。
①~③を2回繰り返す。
リラックス感が、顔・腕・肩・背中に染み渡るのを感じましょう。
4. 上半身(胸・お腹)の筋弛緩
▼胸の筋弛緩のやり方
楽に呼吸を続ける。息を吐くとき、体全体が緩んでいくことを感じる。
深く息を吸う。
しばらく息を止めて緊張を感じる。
ゆっくりと胸の緊張を緩めて、息を吐きだす。
自然に呼吸しながら、体全体をゆったりさせる。
①~⑤を2回繰り返す。
▼お腹の筋弛緩のやり方
腹筋に力を入れてお腹を固くする。
力を抜いて腹筋を緩める。
①~②を2回繰り返す。
5. 足の筋弛緩
両足をつま先まで精いっぱい伸ばして、足を突っ張る。
同時に足全体とおしりにも力を入れる。
ゆっくりと自然に足の力を抜く。
①~③を2回繰り返す。
全部終わったら、大きく深呼吸をします。ゆっくりと長い深呼吸をして、リラックス感を味わいましょう。
最後にもう一度深呼吸をして、体全体の筋肉をゆったりさせます。
全身の筋肉が緩んだら、5~1までの数字を心の中で数えてください。1まで数えると、頭がすっきりして気分爽快になります。
眠気が強い方は、そのままお休みください。
毎日の習慣にすると効果的!
漸進的筋弛緩法は、初めてすぐには効果を実感しにくい可能性があります。
まずは1週間続けてみることをおすすめします。
効果を感じた場合もすぐにやめるのではなく、毎日の習慣にして、できるだけ長く続けるといいですよ。
▼動画による解説はこちら
≪チャンネル紹介≫
【公認心理師】赤田太郎の「仕事に役立つ心理学」
公認心理師・臨床心理士の赤田太郎先生が、仕事や生活をよりよくするための心理学を、誰でもわかる易しい言葉で解説。
メンタルヘルスの大切さを社会に広めることで、苦しむ人がいなくなる社会を目指し、動画を配信しています。
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2020-06-11
この症状は、心療内科に行くべき…?
お医者さんに心療内科に行ったほうがいい目安を聞きました。
初診で話す内容や、料金についても解説しますので、ぜひ最後まで読んでください。
心療内科を受診すべき症状目安
「これくらいで受診してもいいの?」と思ったら、その時点で受診をすることをおすすめします。
受診すべきかどうかは、「日常生活に支障をきたしている可能性があるか」を判断のポイントにしましょう。
例えば、「憂鬱で誰にも会いたくない気分で、学校や仕事に行けなくなった…」という場合は受診をしたほうがよいでしょう。
そのまま病院に行かずに病状が進むと、身体も心も動けなくなる状態になることもあり、病院への受診も考えられなくなることもあります。
受診すべき症状例
眠れない日が続いている
寝ても疲れがとれず、倦怠感がある
悩み事のせいで食欲がない、食べても美味しいと感じない
ストレスがきっかけで、2週間以上落ち込んでいる
頭にモヤがかかったように集中力が低下している
心療内科は、ストレスが原因で身体にも症状が出ている状態を治療するところです。
内科を受診しても原因が分からず症状が続いているという場合も、一度心療内科を受診してみるとよいでしょう。
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「私は行ったほうがいい?」症状チェック
最近2週間で、以下の症状があるかどうかをチェックしてみましょう。
1日中、憂鬱な気分が続いている
何をしても楽しく感じない
疲れやすい、やる気が出ない
集中力や注意力が低下している
自分の価値が分からない
周りに迷惑をかけている、と感じる
将来に希望が持てない
自分の体を傷つけたり、自殺を考えたことがある
夜寝付けない、寝ても途中で起きる、寝すぎてしまう
食欲がない、または過食状態である
これらの症状が1~2個以上当てはまる場合、受診をおすすめします。
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心療内科を受診するメリット
心療内科を受診すると、体や心の不調を早く楽にすることが期待できます。
早期受診することで、学校や会社を休まず、生活をしながら治療ができます。
ネットの「心療内科に行ってはいけない」という声
ネット上で、「心療内科に行ってはダメ!行ったら最後だ!」という言葉を見つけて心配です…。
ネットでは、心療内科や精神科を受診することへのネガティブなイメージも多く見受けられるため、心配になる方も多いでしょう。
しかし、症状を放置すると、さらに悪化して、日常生活も送れなくなる可能性があります。
また、薬を服用すると自己判断で薬をやめることができないため、そんなイメージを持つ方もいるかもしれません。(薬の服用を治療途中でやめてはいけないのは、他の病気でも同じです。)
心療内科の医師は、心と体の専門家です。
病院で話したことが、あなたの許可なく外に漏れることもありません。
まずは、自分がどのような状態であるのかを理解するために、受診してみましょう。
知っておきたい!初診の流れ
初めての心療内科で緊張します…。
心療内科も内科も、受診までの流れは同じです。まずは、電話やネットで初診の予約をしましょう。
予約の時点で、大まかな症状を聞かることもあります。いつ頃から、どのような症状があるのかを伝えましょう。
初診時は、以下のようなことを問診票に記入します。
いつ頃から、どんな時に症状が起こるか
今までにその症状に対して、治療を受けたことがあるか
現在、飲んでいる薬があるか
今まで大きな病気にかかったことがあるか
問診票の問いに対して、書きたくないことは無理に書く必要はありません。
医師とのコミュニケーションを通して、伝えたいことがあれば伝えるのが良いでしょう。
初診ではどんなことを話す?
一般的に、医師からは次のような質問を受けることが多いでしょう。
どんな症状が、いつから出ているのか
家族のこと
仕事のこと
生活のこと
食事をとれているか
睡眠をとれているか
希望する治療法
希望しない治療法
こちらも問診票と同様、答えたくないことは無理に答えなくても大丈夫です。
初診料はどれくらい?
保険診療の初診料は3割負担の患者の場合は約2000~4000円です。
検査の内容などで、費用は変わる場合があります。
時間はどのくらいかかるの?
初診にかかる時間は、30分から1時間程度です。
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治療方法は?
心療内科での治療は、薬物療法や、精神療法を行うことが多いです。
<薬物療法>
抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などの心のお薬と、お通じや腹痛などの症状に対する身体のお薬や身体全体を調整してくれる漢方薬などを使用します。
<精神療法>
精神療法では、認知行動療法を行います。認知療法とは、患者さんの物事の考え方や受け取り方に働きかけて行動をコントロールすることで、気持ちを楽にする治療方法です。
また最近では、上記の治療法以外にも、脳に対するTMS治療(経頭蓋磁気刺激法)※も、薬で効果がない人や薬の副作用が強い人に注目されています。
※外部からの磁気刺激で脳を局所的に活性化させることで、脳の血流を増加させ、低下した機能を改善する治療法
「薬がやめられなくなったら…」と不安な方に
「薬漬けになりたくない」という思いから、心療内科での治療を不安に思う人もいると思います。
薬を使って治療したとしても、症状が良くなれば、徐々に薬の量を減らすこともできます。医師の指導に従って薬の量を減らしていけば、副作用も大きくありません。
また、先述したように、治療法は薬物療法だけではありません。精神療法やTMS治療など様々な治療法がありますので、医師とよく相談して、不安のない治療法を選択するようにしましょう。
参考
厚生労働省 こころの耳:1 うつ病とは
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad001/
MSDマニュアル家庭版:精神障害の治療
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/10-心の健康問題/米国における精神医療の概要/精神障害の治療
沖縄県医師会:心療内科精神科の薬(2012年12月24日掲載)
http://www.okinawa.med.or.jp/old201402/healthtalk/gusui/2012/data/20121224n.html
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター:認知行動療法とは
https://www.ncnp.go.jp/cbt/guidance/about
BESLI CLINIC:問題解決療法・認知行動療法