「喉に何かできている気がする…」
喉の違和感について、お医者さんに聞きました。
ストレスとの関係性や、治療法についても解説します。
病院に行く目安や“何科で受診すべきか”も確認しましょう。
監修者
経歴
大正時代祖父の代から続く耳鼻咽喉科専門医。クリニックでの診療のほか、京都大学医学部はじめ多くの大学での講義を担当。マスコミ、テレビ出演多数。
平成12年瀬尾クリニック開設し、院長、理事長。
京都大学医学部講師、兵庫医科大学講師、大阪歯科大学講師を兼任。京都大学医学部大学院修了。
喉に何かできている感じがする…これ大丈夫?
「喉に何かできている」という感覚が生じるのは、風邪による喉の炎症をはじめ、腫瘍などの重い病気まで、様々な要因が考えられます。
様子を見てもいい場合
風邪や声の出し過ぎなど思い当たる原因があり、数日で異物感がなくなる場合は、通常、心配ないでしょう。
ただし、自己判断では心配な場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
病院に行った方がいい場合
1週間以上喉の異物感が続く場合や、喉以外にも体調不良を自覚している場合は、注意が必要です。
重い病気の可能性や、思いもよらない原因が隠れている可能性があります。
早めに医療機関を受診しましょう。
病院は何科?
「喉に違和感がある」場合は、耳鼻いんこう科を受診しましょう。
「発熱や全身症状を伴っている」場合は、内科を受診しましょう。
喉の違和感は、悪性の症状の場合もあり、放置すると知らないうちに病気が進行します。
症状が軽いうちに治療を始めた場合は、投薬治療で済むことが多いです。
しかし、症状が深刻になってからの場合、手術を受ける必要があることもあります。
少しでも心配な症状がみられる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
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考えられる2つの原因
「喉に何かできている感じがする」場合、
といった原因が考えられます。
それぞれ詳しく解説します。
原因① 咽頭異物感症
「咽頭異物感症」は、心理的に大きなストレスがかかっている場合に発症しやすいとされています。自律神経の乱れによって血流が悪くなることで喉の違和感の原因になります。
「咽頭異物感症」の発症の原因は?
咽頭異物感症は、ストレスや疲労により
などを発症し、引き起こします。
自律神経やホルモンバランスの乱れ、、うつ病などが影響して、血流が悪くなって喉の違和感を感じやすいのでしょう。
「咽頭異物感症」の主な症状
- 喉の違和感や閉塞感・倦怠感
- 疲れて動けない
- 微熱
- イライラする
- 冷えやのぼせ
- 発汗異常
これらを感じる場合は、自律神経失調症や更年期障害、うつ病などの可能性があります。
どうすれば治るの?
まずは、医療機関で検査を受けましょう。
喉自体に問題がなければ、必要な治療を受けて、セルフケアを行いましょう。
ホルモンバランス 、自律神経、更年期障害などは、医療機関で処方される薬での治療と供に、セルフケアも必要です。両方を行うことで、早い回復が見込めます。
セルフケアの方法
生活リズムを整えて、自律神経を整えることが大切です。また、体は冷やさないようにして適度な運動をしましょう。
更年期障害がある場合は、大豆イソフラボンを含む食材を摂取するとホルモンバランスを整えるのに役立ちます。
自律神経を整える生活習慣
- 朝起きたら日光を浴びる
- できるだけ毎日お風呂に浸かる
- 良質な睡眠
- 食生活の改善
- 腸内環境を整える
- 首を温める
大豆イソフラボンを多く含む食材
病院は何科?
「喉に違和感がある」場合は、耳鼻いんこう科を受診しましょう。
「発熱や全身症状を伴っている」場合は、内科を受診しましょう。
咽頭異物感症は、医療機関で検査を行い「喉の違和感」の原因が見つからなかった場合に診断されます。まずは医療機関で喉の違和感の検査を受けましょう。
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原因② 逆流性食道炎
胃と食道をつないでいる、下部食道括約筋の筋力低下が引き金となり、消化途中の食べたものが、食道を逆流してくる病気、逆流性食道炎を発症している可能性があります。
胃液や消化中のものが、食道、喉を度々通るので、食道や喉が炎症を起こすことで、胸焼けや喉の違和感を感じやすくなります。
「逆流性食道炎」の発症の原因は?
ひどい便秘が原因で腹圧が上がり、逆流性食道炎を発症することあります。
また、脂肪分の多い食事は、胃の内容物の食道への逆流を防ぐ筋力(下部食道括約筋)を弱めるとされています。
「逆流性食道炎」の主な症状
- 胸焼け
- ゲップ
- 食欲不振
- 気分が良くない日が続く
- 集中力低下
などが複数現れます。
どうすれば治るの?
「逆流性食道炎」を疑う際は、医療機関を受診してください。
まずは、診察を受けて医療機関での治療を受けつつ、セルフケアとして生活習慣の改善も行いましょう。
治療法は基本的に、医療機関で処方する内服薬です。医師の指示に従い、刺激の少ない食事、食べ過ぎを控える必要もあります。
セルフケアの方法
逆流性食道炎の原因は、元をたどれば生活習慣にある場合が多いです。食生活や姿勢の悪さなどの生活習慣を改善しましょう。
改善すべき生活習慣
- 動物性脂肪の多い食事
- 早食い
- 不規則な食事時間
- アルコールの飲みすぎ
- チョコレートの食べすぎ
- ネコ背などの前かがみの姿勢
などがあげられます。
逆流性食道炎の疑いがある場合は、早めに医療機関を受診し、お医者さんの指示を受けるようにしましょう。
病院は何科?
「逆流性食道炎」の疑いがある場合は、内科・消化器内科を受診しましょう。
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2023-01-30
逆流性食道炎とはどのような病気なのか、分かりやすくまとめました。
逆流性食道炎の主な症状や原因、なりやすい人の特徴も紹介するので、心当たりがないかチェックしましょう。
逆流性食道炎とは
逆流性食道炎とは、胃酸や胃の中の食べ物が食道に逆流することで食道で炎症が起こり、胸やけなどの症状があらわれる病気です。
逆流性食道炎の症状チェック
胸焼け(空腹時や夜間に多い)
胃もたれ
げっぷ
呑酸(※1)
喉の違和感
咳
声のかすれ
睡眠障害
(※1)胃酸により、口の中や喉が酸っぱく感じること
症状が長く続いている場合、睡眠障害を起こし、日常生活に支障をきたすことがあります。
症状が一つでもある場合は、早めに受診して、検査をおこなうことが大切です。
逆流性食道炎の原因
逆流性食道炎はストレスや肥満、更年期が原因となっているケースが多いです。
原因① ストレス
胃と自律神経系は深い関わりがあり、ストレスを受けるとその刺激が自律神経系に伝わります。自律神経系の働きによって胃酸の分泌が過剰になり、食道に逆流しやすくなります。
胃の粘膜には胃酸から粘膜を守る仕組みがありますが、食道にはその仕組みがありません。
さらに、ストレスによって胃や食道の運動機能が落ちているため、胃酸にさらされる時間が長くなり、炎症が起こりやすいと考えられています。
原因② 肥満
お腹が圧迫されると、胃の中の圧も高くなるため、胃酸が食道に逆流しやすくなります。
肥満の人は、脂肪でお腹が圧迫されやすいため、逆流性食道炎の原因となる可能性があります。
また、肥満の人は食道裂孔ヘルニアになりやすく、食道裂孔ヘルニアになると胃に圧がかかりやすい状態であるため、逆流性食道炎を発症しやすいといわれています。
原因③ 更年期
更年期になると胃酸や胃の内容物の逆流を防ぐ下部食道括約筋が衰え、逆流性食道炎を発症しやすくなります。
さらに、食道の働きの衰え・唾液の量の減少も加わり、逆流した胃酸を胃へ戻しにくくなるため、逆流性食道炎を起こしやすくなっています。
逆流性食道炎になりやすい人は?
過食
早食い
肥満
脂肪を多く含む食品をとり過ぎている
お酒をよく飲む
炭酸飲料をよく飲む
タバコを吸う
逆流性食道炎は自力で治せる?
脂肪分を控える
酸味の強いものも控える
満腹まで食べない
重いものを持たない(腹圧が強くかかるため)
ベルトを締めすぎない
といったセルフケアで、改善が期待できます。
ただし、上記のケアで改善が見られない、不調が悪化している、といった人は医療機関で相談してください。
逆流性食道炎の治し方|食事・市販薬など
しばらくの間は、油っこくない、さっぱりとした食事を心がけましょう。
また、早食いや食べ過ぎ、食後すぐに横になる行為は控えてください。
調理方法は「蒸す」「茹でる」を中心にすると、油の摂取量を減らすことができます。
食事の際は、一口ずつよく噛んで、ゆっくりと時間をかけて食べてください。
また、就寝の3時間前に食事を済ませるようにしましょう。
食後2~3時間は体を起こしておくと、発症予防になります。
市販薬で治るの?
逆流性食道炎(胸やけ)に向けた市販薬は、医療薬から転用されたスイッチOTC薬※「H2ブロッカー」です。
ただし、H2ブロッカーは完全に胃酸の分泌を抑える処方薬ではないので、あくまで症状を徐々に和らげるものと考えてください。
※処方薬だった成分が、処方箋がなくても一般薬として薬局・薬店で購入できるようになった薬
商品名は各メーカーにより異なりますが、パッケージや添付文書に「H2ブロッカー胃腸薬」「H2受容体拮抗剤」と表記されています。
こんな症状は早く病院へ
胸焼け
酸っぱい液体が上がってくる、ゲップが出る
せき
のどの不快感
上記のような症状が見られる場合は、病院を受診しましょう。
病院は何科?
胃腸内科や消化器内科を受診しましょう。
症状に関しての相談は内科でも行う場合がありますが、検査は胃腸専門の病院が良いでしょう。
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病院での治療法は?
病院では、薬物療法や外科的治療を行います。
薬物療法では、胃酸の分泌を抑制する薬、胃や食道の運動を高める薬、粘膜を保護する薬を使用する場合が多いです。
薬物療法で改善が見られない場合、手術により逆流を防止する治療を行うケースもあります。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。