「太ももがつるのは、病気の前兆?」
“こむら返りを起こす病気”をお医者さんに聞きました。
倦怠感や体重減少を伴う方は、糖尿病、甲状腺の病気に注意しましょう。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
太ももがつるのは病気の前兆って本当?
代謝機能や内分泌の異常によって、太ももがつることもあります。
ただし、多くの場合のこむら返りは病気ではなく、イオンバランスの乱れによって起こるものです。
「イオンバランス」ってなに?
イオンバランスとは、体液に含まれるカリウム・ナトリウム・カルシウムなどの電解質(イオン)のバランスのことです。このカルシウム、カリウム、マグネシウムは筋肉の収縮や神経伝達に関与しています。これらが体内で減ると、筋肉が痙攣しやすくなります。
これって病気?どう見分ける?
<病気ではないと考えられるケース>
- 運動した後に太ももがつる
- 汗をたくさんかいた後に太ももがつる
<病気を疑うべきケース>
- 太ももがつる症状を頻繁に繰り返す
- 他にも体に不調がある(倦怠感、むくみなど)
病気を疑うときは、早めに医療機関で相談しましょう。
糖尿病が隠れているケースもあるため、放置は危険です。
病院は何科?

太ももがつる症状で病気を疑う場合は、内科を受診しましょう。
病気が初期のうちに発見できれば、お薬の治療のみで済むケースもあります。
病気が悪化すると、手術や入院といった負担の大きい治療が必要になるため、早めの受診をおすすめします。
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考えられる2つの病気
太ももがつる原因となる病気として、
- 糖尿病
- 甲状腺の病気
などが挙げられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
病気① 糖尿病
糖尿病による“こむら返り”は、眠っているときに発生することが多いです。
糖尿病は、慢性的な高血糖状態によって、血管がダメージを受ける病気です。
糖尿病による神経障害、血管の循環不良が起こると、太ももがつりやすくなります。
ほかにも「こんな症状」はありませんか?
- 倦怠感、だるさ
- 手足の感覚の麻痺
- 目のかすみ
- 風邪をひきやすい
- 皮膚の乾燥
- 傷が治りにくい
糖尿病の「原因」
乱れた食生活を送っている人、家族に糖尿病患者がいる人に発症しやすい傾向があります。
自分でできる対処法は?
食生活の見直し、禁煙、減量などのセルフケア方法があります。
ただし、糖尿病の進行具合によっては、薬による治療が必要になります。
心当たりがある方は、一度医療機関で検査を受けてください。
病院は何科?
糖尿病を疑うときは、内科を受診しましょう。
医療機関では、薬物療法、食事療法、運動療法を柱として治療を進め、血糖値をコントロールします。
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病気② 甲状腺の病気
甲状腺の病気によるこむら返りは、夜中の寝返り、足を動かしたタイミングで起こりやすいです。
甲状腺機能が低下する“橋本病(甲状腺機能低下症)”を発症すると、太ももがつりやすくなります。これは、病気によって筋肉量が低下するためです。
橋本病は、免疫の異常による病気です。
免疫は本来、外部から体を守るために機能していますが、異常が起こると正常な細胞も攻撃してしまい、体のさまざまな不調を引き起こします。
ほかにも「こんな症状」はありませんか?
- 首の腫れ
- 体重減少
- 体のむくみ
- 皮膚の乾燥
- 月経異常
- 話をしようとしても舌がもつれる
- 物忘れ
- 無気力
- 体の冷え
- 便秘
甲状腺の病気の「原因」
橋本病は、甲状腺に異常が起き、甲状腺ホルモンが排出されなくなるために起こります。
しかし、何がきっかけとなって発症するのかは、未だ原因不明です。
男性よりも女性に発症しやすい病気だと言われています。
自分でできる対処法は?
甲状腺の病気には、セルフケアは行えません。
心当たりがある方は、医療機関で診察を受けてください。
橋本病が悪化すると、貧血や低体温の症状に悩まされることがあります。
また、心不全のリスクも上昇するため、放置しないようにしましょう。
病院は何科?
甲状腺の病気を疑うときは、内分泌内科を受診しましょう。
橋本病の場合、甲状腺ホルモンを薬で補う治療を行います。
病気の進行具合によっては治療が必要なく、経過観察となります。
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2021-03-30
痛み、しびれ、むくみが生じたら糖尿病のサインかも!
糖尿病によって足にあらわれる、初期症状を解説します。
そのまま放置すると、重い合併症を引き起こすリスクがあります。
症状に心当たりないかチェックしましょう。
糖尿病の「足にあらわれる初期症状」
痛み、しびれ、むくみが生じる
ほてりやすくなる
足が冷える
足の感覚が鈍い
これらの症状は、糖尿病のせいで血流が悪くなり、神経の細胞に十分な「酸素」や「栄養」が行き届かなくなることで起こります
足以外にも、こんな症状はないですか?
体が疲れやすくなる
異常にのどが渇く
皮膚の乾燥、痒み
頻尿
感染症にかかりやすい
傷が治りにくい
そもそも「糖尿病」ってどんな病気?
「糖尿病」は、血液中の糖の量が高い状態が続いてしまう病気です。
健康であれば、膵臓から出る“インスリン”や“グルカゴン”というホルモンが働き、糖の量を調節しています。しかし、糖尿病になると血糖値をコントロールできなくなるため、血糖が高い状態が続いてしまいます。
高血糖は血流の悪化や血管にダメージ与える原因となるため、体にさまざまな不調を引き起こします。
「糖尿病かも…」どう対処すればいい?
糖尿病を疑う場合は、まず医療機関を受診しましょう。
特に、
家族・親族に糖尿病の人がいる
太っている
食生活が乱れている
よく暴飲暴食する
運動不足
などに心当たりのある方は、糖尿病の発症リスクが高いため要注意です。
放置するとどんどん悪化していくため、早めの受診によって病気の進行を防ぎましょう。
病院は何科?
糖尿病を疑う場合は、まず内科を受診してください。
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病院ではどんな検査を受けるの?
血液検査(血糖値・過去1〜2ヶ月時の血糖の状態を調べる)
経口ブドウ糖負荷試験(食事摂取後の、血糖上昇・下降具合を調べる)
眼底・腎機能・腱反射・動脈硬化の各検査(糖尿病の合併症を判断する)
どんな治療をするの?
2型糖尿病の場合、
生活習慣の指導
インスリン以外の薬物治療
インスリン治療
を行います。
放置はNG!糖尿病が悪化すると…
糖尿病をそのまま放置すると、全身のさまざまな臓器に障害が起こり、命に関わります。
また、ダメージを受けた腎機能を補うために、人工透析を生涯続けることになるケースもあります。
糖尿病は、放置している間にもどんどん進行していきます。
「初期症状に心当たりがある…」という方は、早めに医療機関を受診しましょう。
生活習慣の見直し、血糖値のコントロールを正しく行うことで、重い合併症を引き起こすリスクを下げられます。
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糖尿病で起こる重い合併症
糖尿病が悪化すると
足の壊死
失明
脳卒中、心筋梗塞
などの重い症状を引き起こす恐れがあります。
①足の壊死
足の壊死は、糖尿病による神経障害、治癒力・抵抗力の低下によって引き起こされます。
神経障害で足先の感覚が鈍くなると、怪我や火傷などの発見が遅くなります。
糖尿病の方は傷が化膿しやすいため、傷を放置すると足の壊死が起こります。
足が壊死した場合、切断を避けることはできません。
壊死を防ぐには、足にできた傷を根気よく手当てする必要があります。
②失明
高血糖によって網膜の血管がダメージを受け続けると、失明する場合もあります。
糖尿病に合併して起こる目の障害は「糖尿病網膜症」と呼ばれています。
③脳卒中・心筋梗塞
高血糖による動脈硬化は、脳卒中や心筋梗塞の原因となります。
動脈硬化とは、慢性的なダメージによって血管が硬くなっている状態です。
血管の通り道が狭くなったり、血栓ができたりすることで、脳卒中・心筋梗塞を引き起こします。
いずれも命に関わる病気であるため、
動悸
胸の痛み
体の片側のしびれ
などの症状には要注意です。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
糖尿病ネットワーク
日本臨床内科医会
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2020-05-11
甲状腺が腫れている…
病院は何科に行けばいい?
何科で検査を受ければいいのか、医師が解説します。
受診目安や症状を放置する危険性についても聞きました。
甲状腺の腫れ|病院は何科?
甲状腺の腫れに気づいたら「内分泌内科」または「耳鼻いんこう科」を受診しましょう。
ご自身にかかりつけの内科がある場合は、まずはそこで相談し、専門医を紹介してもらうことも1つの方法です。
耳鼻いんこう科を探す
※上記の診療科目を受診した場合でも、診察が可能かどうかは、各医療機関の設備やご自身の症状によって異なります。
なぜ甲状腺が腫れるの?
甲状腺が腫れている場合、甲状腺機能が過剰に働いている(亢進)、または低下している可能性があります
甲状腺の腫れってどんな感じ?
甲状腺が腫れているときは、やや喉のあたりが膨れていると感じるイメージです。
甲状腺が腫れているのか、風邪による炎症なのか、自分自身で判断するのは難しいと思います。
少しでも気になる場合は、自己判断せずに病院を受診し、医師による触診や超音波検査、血液検査を行いましょう。
腫れの他にも、こんな症状がでることも…
甲状腺が腫れる以外に、次の症状が現れることが多いです。
甲状腺機能が過剰な場合の症状
汗をかく
イライラする
集中力が低下する
食欲はあるが体重が増えない
動悸(息切れ、脈の乱れ)
手足が震える、筋力低下
眼球が出てくる
月経不順・無月経
コレステロール値が低い
甲状腺機能が低下した場合の症状
冷え性
体がだるい、疲れやすい
体重増加、むくみ
便秘気味
皮膚の乾燥
抜け毛が増えて、髪が薄くなる
食欲不振
月経不順、無月経
コレステロール値が高い
症状を放置するリスク
甲状腺の腫れを放置すると、全身に不調を起こします。
また、甲状腺機能が亢進する「バセドウ病」や、機能が低下する「橋本病」、甲状腺の細胞ががん化した「甲状腺がん」などの病気の治療が遅れる可能性があります。
日常生活をおくるためのエネルギーを作るために、甲状腺は必要不可欠です。甲状腺は、体の発育発達を促進、新陳代謝を活発にする働きを持つ甲状腺ホルモンを作っています。そのため、甲状腺が腫れたり、ホルモンの働きに異常が出たりすると、体全体の不調に繋がる恐れがあります。
こんなときは、病院を受診しよう
甲状腺の腫れや、ここまでに解説した症状に心当たりがある場合は、まずかかりつけの医師に相談したり、耳鼻いんこう科、内分泌内科を受診しましょう。
甲状腺の病気は目立った症状がない場合もあります。
健康診断等で甲状腺の腫れや異常を指摘されたら、早めに受診しましょう。
迷う前に、早期の受診を!
甲状腺周囲に何らかの異常を感じた場合は、いろいろと迷う前に、病院を受診しましょう。
バセドウ病や橋本病、甲状腺がん等の病気は、どれも早期に治療を行うことで、普通に日常生活を送ることができますので、早めの受診をお勧めします。
耳鼻いんこう科を探す
病院ではどんな検査が行われる?
一般的に、次のような流れで診察・検査を行います。
問診
症状の確認や遺伝的要因等を確認します。
触診
甲状腺の腫れやしこりがあるか確認します。
血液検査
甲状腺ホルモンの異常を確認します。甲状腺ホルモンの濃度を検査し、甲状腺ホルモンが正常に出ているか確認します。
抗体検査
病気によっては抗体検査を行います。免疫によって自分の体を攻撃する抗体ができ、甲状腺の病気である、バセドウ病や橋本病などを発症します。抗体の種類を調べることで、どの病気なのかを調べることができます。
超音波検査
甲状腺の腫れた部分を確認し、甲状腺全体が腫れているのか、甲状腺の中の一部が腫れているのか等を確認します。
その他、甲状腺穿刺吸引細胞診などがあります。この検査は注射針で甲状腺を刺し、細胞を吸引します。がん細胞などが無いか、炎症などの状態がどうなっているかなど細胞の状態を判断する検査です。
病気を診断するために様々な検査がありますので、主治医の指示の元、検査を受けてください。
検査費用はどれくらいかかる?
病気や状態によっても、検査内容、費用が違います。
検査する項目によって、かなり差があるので、「一般的いくら」ということは難しいです。
例として、血液検査、尿検査、甲状腺超音波検査では、3割負担で5000円〜1万円ほどです。
まずは初診でかかられて、その際にどのくらいの検査が必要なのか、いくらぐらい必要なのかを確認してください。
一度に全ての検査をしなければならないわけでもありませんので、費用や検査の種類なども含めて主治医とよく相談してください。
検査前(当日)に気をつけること
超音波検査の場合は、ネクタイ、ネックレスなどの首に巻くものは外しておく方がよいでしょう。
また、もともと内服している薬がある場合は、主治医に伝えるようにしまてください。
▼参考
一般社団法人 日本内分泌学会
http://www.j-endo.jp
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。