「腕や手のひらが黄色っぽい…これは黄疸?」
黄疸の症状について、お医者さんに聞きました。
内出血など、ほかの原因との見分け方もチェックしましょう。
黄疸の場合、肝臓病が隠れていることが多いため、放置はキケンです。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
なんだか腕や手のひらが黄色っぽい…もしや黄疸?
黄疸の症状が、腕や手のひらに出ることもあります。
ただし、腕や手のひらが黄色くなった場合でも、黄疸以外の可能性も考えられます。
黄疸ではない場合の原因
黄疸でない場合、
- カロチノイド色素の多い食材をたくさん食べた
- 打撲や注射による内出血
といった原因が考えられます。
カロチノイド色素は、ミカンやニンジン、カボチャなどに多く含まれています。
黄疸か打撲か、どう見分ける?
白目の状態をチェックしましょう。
黄疸の場合は、腕だけでなく白目も黄色くなります。
白目が黄色くないのであれば、黄疸ではありません。
こんな症状があったら要注意!
- 尿の色が濃い
- 便の色が薄い
- 全身がかゆい
- 吐き気、嘔吐
- 腹痛
- クモ状の小さな血管が皮膚に浮き出ている
上記の症状が見られる場合は、医療機関を受診しましょう。
内臓の病気によって黄疸が出ている疑いがあります。
病院は何科?
黄疸を疑う場合は、内科・消化器内科を受診しましょう。
黄疸の症状を放置すると体調不良が続くだけでなく、肝硬変や肝がんといった重い病気の発症リスクが上昇します。
体の健康を守るためには、早めに受診して適切な治療を受けることが大切です。
どんな検査を受けるの?
黄疸かどうか判断するために、
などを行います。
必要に応じて、生検や腹腔鏡検査を行うこともあります。
「生検」・・・患部の組織を切り取り、顕微鏡で観察する検査。
「腹腔鏡検査」・・・腹部から内視鏡を入れ、内臓の病気の有無を調べる検査。検査前には全身麻酔を行う。
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黄疸の原因は?考えられる2つの病気
黄疸の症状には、
- 肝炎
- アルコール性肝疾患
といった病気が疑われます。
病気① 肝炎
肝臓の炎症によって肝機能が低下すると、黄疸が生じることがあります。
肝炎の症状
- 食欲の低下
- 全身の倦怠感
- 吐き気、嘔吐
- 発熱
- 右上腹部(肝臓のある部分)の痛み
- 関節痛
- 全身のかゆみ、またはかゆみのある蕁麻疹が出る
- 尿の色が濃くなる
- 便の色が薄くなる
どんな人に多い?
- 二枚貝を食べた
- 加熱不十分な肉を食べた
- 肝炎ウイルス感染者の血液、体液に触れた
といった行動に心当たりがある人は、ウイルス性肝炎の発症リスクが上昇します。
また、特定の薬の副作用(結核の治療薬など)によって、肝炎を発症するケースもあります。
自分でできる対処法は?
肝炎には、ご自身でできる対処法はありません。
治療が必要であるため、早めに医療機関を受診してください。
病院は何科?
肝炎を疑うときは、内科・消化器内科を受診しましょう。
医療機関では、お薬を投与したり、食生活を見直したりして、症状の改善を図ります。
入院が必要になるケースもあります。
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合わせて読みたい
2022-05-30
「なんだか肝臓が弱っている気がする…」
「原因は…一体何?」
肝臓の機能が低下する原因を、お医者さんに聞いてみました。
肝臓からくる体調不良がある場合、「アルコール性肝炎」や「肝硬変」などの重い病気が疑われます。
悪化すると命に関わるケースもあるため、放置は禁物です。
肝臓が機能低下する5つの原因
最近なかなか疲れが抜けず、肝臓が弱っている気が…。
肝臓の機能が低下する原因って何でしょうか?
「肝臓の機能が低下する原因」として
アルコールの過剰摂取
肝炎ウイルスの感染
薬剤
脂肪肝(肥満)
などが考えられます。
なお、肝臓の不調を感じるときは要注意です。
肝臓は“沈黙の臓器”と呼ばれており、機能が少し低下する程度では自覚症状はありません。
倦怠感・体のかゆみ・腹部の圧迫感・黄疸等の症状があらわれている場合、肝臓病がかなり進行した段階だと考えられます。
原因① アルコールの過剰摂取
1日にビール大瓶3本・日本酒3合以上摂取している人は、アルコールの過剰摂取です。
過度の飲酒が長期にわたると、アルコールの分解で負担がかかり、肝臓の機能が低下してしまいます。
この状態が続くと、「アルコール性肝炎」を発症したり、「肝硬変」へと症状が進行したりするリスクがあります。
特に肝硬変は「肝臓がん」を発症しやすくなる等、命に関わる恐れがある病気です。
原因② 肝炎ウイルスの感染
肝炎の種類
発症のキッカケ
A型肝炎
海外渡航時に生水・生ものを摂取した
B型肝炎
母子感染
性交渉による感染
C型肝炎
ウイルスに汚染された血液の輸血血液製剤の使用
注射器の使い回し等
E型肝炎
豚・イノシシのレバーの生食
肝臓が「肝炎ウイルス」に感染してしまうことで、肝機能障害を引き起こすと考えられています。
この状態を放置すると「慢性肝炎」に移行して重症化する、「肝硬変」や「肝細胞がん」を発症するといったリスクが高まります。
原因③ 薬の副作用
「解熱消炎鎮痛剤」をたくさん飲んだ
自己流で漢方薬を服用している
複数の薬を一緒に飲んだ
といった影響によって薬の副作用が出ると、“薬物性肝障害”を発症するリスクがあります。
薬には肝臓で代謝されるものがあり、誤った服用を続けると肝機能が低下しやすくなります。
上記に挙げた薬以外でも起こる可能性があるため、自己判断での薬の服用には注意しましょう。
原因④ 脂肪肝(肥満)
脂肪肝になりやすい人
肥満傾向
糖尿病・高血圧・脂質異常症を患っている
つい食べ過ぎてしまう
運動不足
お酒をよく飲む
脂肪肝とは、肝臓に脂肪が溜まっている状態を指します。
肝機能の低下の原因となり、悪化すると肝炎を招くことがあります。
重症化すると、肝臓がんを発症するリスクもあると考えられています。
肝機能を回復させたい!
症状・原因によって異なるため、セルフケアだけで肝機能を回復させられるとは限りません。
ただし、運動・食事の習慣を見直すことで、肝機能の悪化を防ぐ効果は期待できます。
肝機能の低下が気になるときは、
1日3食、よく噛んでゆっくり食べる
栄養バランスのよい食事を摂る
休肝日をつくる
30分程度の有酸素運動をする
といった生活習慣を意識しましょう。
対処法① 1日3食、よく噛んでゆっくり食べる
食事をよく噛んでゆっくり食べると、過食による肝臓への負担を抑えられます。
1日3食、毎日決まった時間に規則正しく食事を摂るようにしてください。
朝食を抜くと、昼食や夜食の食事量が増える傾向になり、肝臓に負担をかけてしまいます。
また、肝臓は脂肪を溜める作用があるため、高脂肪な食品にも気をつけたいです。
対処法② 栄養バランスのよい食事を意識する
栄養素
食材の例
タンパク質
肉類/魚介類/卵/乳製品/大豆製品
ビタミン
卵/肉類(レバー)/魚介類/バナナ/ブロッコリー
ミネラル
ブロッコリー/にんじん/乳製品/レバー/にぼし
食物繊維
玄米/麦めし/とうもろこし/豆類/芋類/キャベツ/白菜
食事からしっかりと栄養を摂りましょう。
特にタンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維を意識して取り入れるようにしてください。
タンパク質は、しっかり摂ることで健康的な肝臓を維持できます。
また、ビタミン・ミネラルは、アルコールや栄養素の代謝を助け、食物繊維は糖質や脂質の吸収を抑えたり、食べ過ぎの予防になります。
対処法③ 休肝日をつくる
アルコールを摂取しない日を、週に2日以上設けましょう。
「2~3日お酒を飲む日が続いたら、翌日は控える」という間隔で休肝日を作りましょう。
肝臓を休めると、肝臓や消化器系の臓器の修復や脂肪の代謝改善等が期待できます。
※週5日間連続でアルコールを摂取して、2日休むという間隔はおすすめしません。
対処法④ 30分程度の有酸素運動をする
おすすめの有酸素運動
ウォーキング
ストレッチ
ヨガ
ジョギング
サイクリング
上記のような運動を週に3~5回(毎日でも可)、1回30分程度目安に取り組むようにしてください。
有酸素運動により、肝臓に蓄積された脂肪の減少につながります。
筋肉にはアンモニアの代謝により、肝機能の作用を補完する働きがあるため、運動により筋力アップすることは有効と考えられます。
肝臓の不調を感じるときは、迷わず病院へ!
肝臓の不調を疑っている方で、
全身の倦怠
食欲不振
かいても治まらない「かゆみ」
むくみ
微熱
等の症状が出現している場合は、病院の受診をおすすめします。
肝臓疾患の場合、自覚症状がないまま症状が進行していくことが多いです。
倦怠感などの症状が出ているときは、重症化していたというケースが多々あります。
放置すると症状が悪化して「肝硬変」や「肝臓がん」等、命に関わる病気を発症するリスクが高まります。
また、肝機能の低下で解毒作用が十分行われなくなると、有害物質が体の中に蓄積され、脳にまで悪影響を与える恐れがあります。
「肝臓が悪くなっているかもしれない…」と思うときは、早めに医師の診察を受けましょう。
「肝臓の機能低下」は、何科で相談すればいい?
肝臓からくる不調がある場合は、消化器内科で受診しましょう。
病院では原因を調べるために、血液検査・CT検査・MRI検査・腹部超音波検査等が行われます。
原因に合わせて、食事や生活習慣の改善指導・薬物療法・手術療法等の治療が検討されます。
消化器内科を探す
▼参考
保健指導リソースガイド
肥満やメタボは「脂肪肝」の危険因子 見逃されやすい「NAFLD/NASH」に対策
新井病院 肝臓病(肝機能障害・肝炎など)について
ハウス食品 肝機能のことを考えた食事とは?肝臓の数値が気になる方に
全国健康保険協会 肝臓をいたわる食事!
常陸大宮市 肝機能を高める生活の工夫
千葉県
健康診断で「肝機能に異常がある」と言われたのですが、どのような食事(食習慣)および生活習慣にすればよいですか。
のなか内科 肝機能障害(肝機能異常) / 消化器系疾患
公益社団法人松阪地区医師会 松阪市健診センター 血液一般検査
嶋田病院 病状 - 肝機能障害
健診会 東京メディカルクリニック 健康診断における肝機能の数値の異常と肝機能障害
奈良県医師会 脂肪肝
病気② アルコール性肝疾患
アルコールによって肝臓が損傷すると、ビリルビンを胆管に運ぶ能力が下がり、黄疸が生じます。
アルコール性肝疾患の症状
- 発熱
- 右上腹部(肝臓のある部分)の痛み
- 指が曲がる
- 手のひらが赤くなる
- 上半身の皮膚に、クモ状の細い血管が現れる
- 疲れを感じやすい
どんな人に多い?
- 女性
- 30代〜40代
- お酒をたくさん飲む人
- 太っている人
- アルコールで肝臓を傷めやすい家系の人
に発症しやすい傾向があります。
自分でできる対処法は?
お酒を飲むのを止めましょう。
お酒をやめられない場合や、症状の悪化が見られる場合には、医療機関の受診をおすすめします。
病院は何科?
アルコール性肝疾患を疑う場合は、内科・消化器内科を受診しましょう。
医療機関では、まず禁酒を促します。お酒を断ちやすいように、「抗酒剤」を処方することもあります。
抗酒剤を服用すると、お酒を飲むと吐き気が起こるようになるため、自然とお酒に手が伸びなくなります。
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合わせて読みたい
2021-02-04
「全身がだるい」
「むくみがある」
「皮膚や目が黄色くなっているような…」
それは“沈黙の臓器”と呼ばれる肝臓が悪いサインかもしれません。早急に病院に行くべきケースもあります。
お医者さんに、肝臓病を疑う症状について詳しく聞きました。
肝臓が悪いとどんな症状が出る?
皮膚や目の粘膜が黄色くなる
全身がだるい
お腹が張る
吐き気がする
食欲がない
体がむくむ
体がかゆい
意識障害が生じる
こんな症状が現れたら病院へ!
皮膚や粘膜が黄色い
お腹が張る
意識障害
といった症状があったら、すぐに消化器内科を受診しましょう。
肝臓は「沈黙の臓器」と言われています。
症状が現れたときには肝臓の病気がかなり進行している可能性があります。
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放置すると…どうなるの?
放置すると、より危険な病気に移行する恐れがあります。
肝臓の状態は、機能を保っている「代償期」と機能が著しく低下した「非代償期」に分けられます。肝臓が悪いサインがあらわれているときは、すでに「非代償期」になっていることが多いです。
肝硬変や肝がんになると、もとの肝臓に戻すことは難しいので、早期発見、早期治療が大切です。
こんな人は、特に要注意!
毎日大量に飲酒する人
肥満の人
生活習慣病がある人
は、肝臓病の発症リスクが高くなります。
飲酒量が増加すると、アルコールを代謝する肝臓への負担が増え、肝臓病のリスクが高くなります。糖質や脂質の摂りすぎると、中性脂肪として肝臓に蓄積されてしまいます。
ただし、「上記3つに当てはまらないから大丈夫」というわけではありません。最近では、お酒をあまり飲まない方の脂肪肝(NASH(ナッシュ):非アルコール性脂肪肝)が増えています。
肝臓の病気が疑われる症状が出ている場合は、必ず受診してください。
病院は何科に行けばいい?
消化器内科を受診してください。
かかりつけの病院がある場合は、かかりつけ医に相談して、専門の医療機関を紹介してもらってもよいでしょう。
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こんな病気になっているリスクがあります
肝臓が悪くなると、次のような病気を発症します。
脂肪肝
よく飲酒する人は要注意です。
エネルギーとして消費できなかった脂質や糖質が、肝臓に中性脂肪として過剰に蓄積した状態です。
肝臓の働きが悪化しますが、自覚できる症状はほとんどありません。
アルコールを摂取すると中性脂肪が合成されます。そのため、長期間大量のお酒を飲むと、肝臓に中性脂肪が溜まり、脂肪肝になることがあります。
肝硬変
よく飲酒する人は要注意です。
肝炎が続くと肝臓がダメージを受けて、損傷の跡ができる、線維化という現象が起こります。
線維化が進行すると、肝臓が硬くなる肝硬変を発症し、肝臓の機能が著しく低下します。アルコールが代謝されてできるアセトアルデヒドは毒性が強く、肝臓の線維化を進め、肝硬変の原因になることがあります。
肝がん
肝硬変や慢性肝炎などによって、肝臓にできるがんです。ほかの臓器でできたがんが転移することもあります。
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▼参考
厚生労働省:アルコールと肝臓病
MSDマニュアル家庭版:肝不全
日本消化器病学会ガイドライン:NAFLD/NASHガイドQ&A
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。