「帯状疱疹の痛みのピークはいつまで?」
帯状疱疹の症状や痛みを緩和する方法を、お医者さんに聞きました。
病院に行く目安をチェックし、悪化を防ぎましょう。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
帯状疱疹の「痛みのピーク」はいつ?
帯状疱疹の痛みのピークは発症から1〜2週間前後です。
発疹や水ぶくれとともに、最初は皮膚がピリピリとした違和感が生じ、段々とかゆみや痛みが増してきます。
痛みは1週間程度続くケースが多いです。
その後、通常は発疹が出てから治るまで、3〜4週間程度かかると言われています。(※個人差があります)
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2022-12-23
帯状疱疹ってどんな病気…?
放っておいてもいいの?
帯状疱疹という病気について、分かりやすくまとめました。
発症する原因や初期症状、治療方法についても解説します。
帯状疱疹とは?
帯状疱疹とは、過去に感染した「水ぼうそうのウイルス」が再活性化することが原因で発症する感染症です。
帯状疱疹になると、体の片側に痛みやチクチクとした感覚、かゆみが生じます。
その後そこに、まわりが赤い小さな水ぶくれがたくさんできます。ピリピリとしたしびれを感じることもあります。
帯状疱疹の症状
体の片側のかゆみ
体の片側の発疹・水ぶくれ
発熱
頭痛
※かゆみ・発疹等は、腕・胸・顔に出ることもあります。
症状の経過
帯状疱疹は、「①かゆみや痛み→②発疹→③水ぶくれ」と症状が変化していきます。
① 痛みやかゆみが出る
体の左右どちらか片側に、はじめは皮膚の痛みやかゆみなどの症状があらわれます。
胸から背中など、上半身に症状が出ることが多く、顔や目の周りに発症することも多いです。
② 紅斑・発疹ができる
痛みやかゆみなどの症状がある箇所に、赤い斑点(紅斑)が出てきます。
その後、虫に刺されたような発疹ができます。
発疹は神経に沿って帯状にあらわれ、数日から1周間ほど続きます。
③ 水ぶくれができる
発疹ができた部分にみずぶくれができます。発疹の中央の部分が膿のようになり、ただれたり、潰瘍のようになったりします。
やがて、かさぶたとなり、自然に枯れて剥がれ落ちます。
皮膚の症状は、一般的には1~2周間から1ヶ月ほどで良くなります。色素沈着が残る人もいます。
帯状疱疹の原因
帯状疱疹は、体内に潜んでいる「水痘ウイルス(水ぼうそうのウイルス)」が原因です。
免疫力が低下しているときにウイルスが活動を再開すると、帯状疱疹を発症します。
帯状疱疹になりやすい人は?
40~50代以上
疲労やストレスがたまっている
睡眠不足
免疫力が低下していると、神経細胞に潜んでいた「水ぼうそうのウイルス」が活性化して、帯状疱疹を発症しやすくなります。
※水ぼうそうに感染した人全員が、帯状疱疹を発症するわけではありません。
帯状疱疹は人にうつるの?
帯状疱疹は、周囲の人に帯状疱疹として感染することはありません。
しかし、過去に感染した水ぼうそうのウイルスが帯状疱疹の原因なので、乳幼児など水ぼうそうにかかったことがない人には、水ぼうそうとして感染することがあります。
帯状疱疹かもと思ったら…
時間をかければ自然治癒しますが、早めにウイルスや痛みを抑えるのがよいため、帯状疱疹の疑いがあったら、皮膚科にいくのがよいでしょう。
病院で処方される抗ウイルス剤を飲めば、自然治癒を待つより早い回復が期待できます。
また、免疫力が低下している状態です。まずは安静にして、食事をしっかりとりましょう。
お家では、お風呂に入ったりホットタオルをあてたりして、体を温めて痛みを和らげましょう。帯状疱疹による痛みは、血行が悪いと強く感じます。
治療内容
抗ウイルス剤の点滴や内服を行います。痛みに対しては鎮痛薬を使用することもあります。水疱には軟膏を塗ります。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
帯状疱疹の「かゆみ」はいつまで?
かゆみは初期症状として出てくる場合が多く、症状が落ち着くまで3週間程度かかります。
ただし、後遺症としてかゆみ・痛みが残る場合があります。
帯状疱疹は、自然治癒を待つと、何週間もかかってしまうことが多いです。
早めに受診し、抗ウイルスの処方薬を使用するのが悪化させない・早く治す鍵になります。帯状疱疹に有効な市販薬も現在販売されていないため、早めに医療機関を受診しましょう。
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痛み・かゆみを緩和する方法
蒸しタオル・シャワー・入浴で温めましょう。
温湿布や使い捨てカイロも温める方法の1つですが、やけどに注意してください。
帯状疱疹の場合、温めることで血行が良くなり、痛みやかゆみが改善されることがあります。
市販薬を使ってもいい?
痛みやかゆみをともなう帯状疱疹の症状が出ている場合、自己判断で市販薬を使用するのは控えてください。まずは医療機関を受診しましょう。
合わない市販薬を使用することで、症状が悪化したり、副作用が出たりする場合があるので、早めに医療機関を受診して適切なお薬を処方してもらいましょう。
また、症状の原因が帯状疱疹だけではなく、他の病気の可能性がある場合もあります。
これはNG!帯状疱疹のとき「してはいけないこと」
症状が悪化する可能性があるので、
- 無理をする
- 水ぶくれを触る
- 冷やす
ということは控えてください。
① 無理をする
疲労が溜まったり、免疫力が落ちたりすると症状は悪化します。
仕事や学校を休むなど、できるだけ身体を休めて安静にしましょう。
しっかり睡眠や栄養をとってください。
② 水ぶくれを触る
水ぶくれは触らないでください。
痒いからといってかいてしまうと、水ぶくれが破れて細菌やウイルスに感染しやすくなります。
③ 冷やす
痛みや痒みがある場所は冷やさないでください。
痛みやかゆみがある部分を冷やすと、逆に痛みがひどくなります。
冷やすことで血管が収縮し、痛みを起こしてしまいます。
お風呂は入ってもいい?
入浴は痛みやかゆみを抑える効果もあるので、入浴してもかまいません。
ただし、発症から1〜2週間はウイルスが活動的です。
うつさないように家族がいる場合は最後に入浴するようにしましょう。水疱瘡にかかったことがない家族がいる場合、その家族に感染する可能性があります。タオルの共有もしないでください。
また、シャワーやタオルで体を拭く程度にしておきましょう。発症時は体も疲労しやすく、入浴で余計疲れがでやすい状態です。他の人に感染させないためにも、シャワー程度にしておくことをおすすめします。
入浴時の注意
水ぶくれを潰さないように気をつけてください。
水ぶくれがある場合、ゴシゴシ体を洗わず優しく洗いましょう。
自然治癒する?病院行くべき?
軽症の場合は自然治癒することもありますが、他人にうつしてしまう可能性があるので、医療機関を受診しましょう。
症状の原因を特定してしっかり治療することで、症状悪化や後遺症を防ぎましょう。
病院は何科?
帯状疱疹を発症した時は、「皮膚科」を受診しましょう。
帯状疱疹かわからない場合は、「内科」を受診してもよいでしょう。
▼帯状疱疹を発症したら…
皮膚科を探す
▼帯状疱疹かはわからない場合は…
内科を探す
どんな治療を受けるの?
帯状疱疹に対してはウイルスの増加を抑える抗ウイルス薬や痛みや痒みを抑える鎮痛剤を使用することが多いです。
帯状疱疹による皮膚にできてしまった傷の治療は主に抗菌薬などで治療を行います。
治療にかかる費用は?
治療費は保険適用(3割負担)で、2,000〜6,000円程度が目安となります。
保険の負担額や服用する薬や期間に応じて金額は変わります。
痛みがひどい場合は注射により痛みを抑える場合もあるので、症状に応じて治療方法も変わり、目安の金額より高くなる場合があります。
治療中、仕事に行ってもいい?
なるべく安静にした方がいいので、できれば仕事はお休みすることをおすすめします。
どうしても休めない場合は、
- ガーゼ等で水疱を覆う
- 免疫力の低い高齢者や子どもに接触しない
など、他者へ配慮しましょう。
▼帯状疱疹を発症したら…
皮膚科を探す
▼帯状疱疹かどうかわからない場合は…
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2021-03-08
帯状疱疹の発熱は、ウイルスに対抗するための体の免疫反応です。
「熱はどのくらい続くの?」
「すぐに病院に行くべき?」
などの疑問にも回答します。
帯状疱疹の対処が遅れると「発熱」することがある
帯状疱疹を、治療しなかったり、治療が遅くなったりすると、発熱することがあります。
多くの場合は微熱ですが、重症化すると39度以上の熱が出ます。
熱が続く期間は?
個人差がありますが、数日から1週間程度で徐々に引いていく場合が多いです。
帯状疱疹の発熱には個人差があり、帯状疱疹の状態が改善されていけば、熱も引くことが多いです。
放っておくのはNG?
顔面神経麻痺や角膜炎、網膜炎、難聴などの合併症が心配されますので、治療しないというのは危険です。
帯状疱疹の症状がさらに悪化すると…
帯状疱疹が悪化すると、神経を傷つけて、目や耳などに異常をきたすことがあります。
▼目にあらわれる症状の例
視力の低下
失明
▼耳にあらわれる症状の例
耳鳴り
難聴
▼全身にあらわれる症状の例
めまい
麻痺
排尿障害
※後遺症が残ることがあるため、早めに病院で対処することが必要です。
帯状疱疹は“免疫力が低下している”サイン
帯状疱疹がでているということは、疲れやストレスで「体が弱っている」サインかもしれません。
帯状疱疹は、子どもに多い水ぼうそうと同じウイルスです。
水ぼうそうのウイルスは、症状がなくなっても体内に潜伏しているため、いなくなることはありません。そして、体が弱って来たときや免疫力が低下したときに力を増し、再び湿疹や痛み、発熱を引き起こします。
帯状疱疹は「冷やす」のはNG
発疹が出た場合は、患部を冷やさないようにしてください。
冷やすとウイルスが活性化し、症状が悪化することがあります。発熱があっても、できるだけ冷やさないようにしましょう。
病院に行くべき?
微熱で体を動かすのに支障がない場合は、自宅療養でも良いでしょう。
ただし、
38度以上の熱がでている
「発熱」と「帯状疱疹の諸症状」が同時にでている
ときは、病院を受診してください。
帯状疱疹の諸症状
ピリピリ、チクチクとした皮膚の痛み
水ぶくれを伴う帯状の発疹
しびれ
病院に行かずに放置すると「後遺症」の恐れが
治療が遅れると皮膚の損傷が大きくなり、後遺症として神経痛が残ってしまう恐れがあります。
38度以上の熱があるときは、顔面神経麻痺・角膜炎・網膜炎・難聴などの合併症が心配されます。
神経痛は快方まで何年もかかることもよくあるため、避けたいものです。
また、顔面に帯状疱疹が出た場合は、脳に炎症が起こるリスクがあり危険です。
重症化すると入院が必要となるケースもあるため、早めの受診をおすすめします。
受診するのは何科?
帯状疱疹の疑いがある場合は、皮膚科を受診しましょう。
どんな治療をするの?
病院では、お薬による治療を行うことが多いです。
抗ウイルス薬や解熱剤を処方し、症状の改善を図ります。
帯状疱疹ウイルスに有効とされている市販薬はありません。病院で処方してもらう必要があります。
問診、視診が中心ですが、他のヘルペスなどと区別する際に、血液検査や生検を行うこともあります。
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▼参考
公益社団法人日本皮膚科学会 Q13帯状疱疹の症状は?
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。