「全身が筋肉痛でだるい…原因はなに?」
体の痛みと疲労感には、「慢性疲労症候群」といった病気も考えられます。
原因不明の症状でお困りの場合は要注意です。
病院に行く目安や、受診すべき診療科についても解説します。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
なぜ?全身筋肉痛でだるい…
全身筋肉痛でだるいと感じる場合、
- 過剰な運動による「肉体的疲労」
- 感染症による「発熱の悪寒」
- 何らかの病気による「自律神経や脳の異常」
のいずれかが起きていると考えられます。
この症状は大丈夫?病院行くべき?
一時的な症状であれば、問題ないケースが多いです。
症状が出て間もない場合は、水分と栄養をしっかり摂って体を休めましょう。
体を冷やさないようにすることも大切です。
ただし、
- 休養をとっても症状が改善しない
- 筋肉痛やだるさが悪化していく
といった場合は病気が疑われるため、医療機関の受診をおすすめします。
病院は何科?
原因不明の筋肉痛、疲労感があるときは、まず内科を受診してください。
医療機関を受診すると、症状に合わせた治療によって、苦痛の緩和を図ってもらえます。
また、線維筋痛症やリウマチ性多発筋痛症などの重い病気が隠れている場合、放置すると不快な症状によって日常生活に支障をきたすリスクがあります。リウマチ性多発筋痛症により、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)を合併すると、失明のリスクがあります。
悪化を防げるよう、早めの受診を心がけましょう。
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なぜ?腰に筋肉痛のような痛みを感じる…
和らげるにはどうしたらいい?
「腰に筋肉痛のような痛み」があるときに考えられる原因を、お医者さんに聞きました。
姿勢の保ち方・ストレッチ方法といった対策も解説するので、腰痛を治したい方は必読です。
なぜ?「腰に筋肉痛のような痛み…」
腰に筋肉痛のような痛みを感じる場合、筋肉の一時的な炎症、もしくは筋肉が固くなっている状態が考えられます。
特に、
激しいスポーツをした
運動不足
重い物をよく持つ
長時間、同じ姿勢を続けることが多い
普段から姿勢が悪い(猫背など)
しゃがみ姿勢・中腰になることが多い
体が冷えやすい
といった人は、腰に筋肉痛のような痛みが出やすいです。
多くの腰痛は、腰の筋肉への過度な負荷によって起こります。
また、普段から姿勢が悪い人・体が冷えやすい人は、血行不良による“筋肉の緊張”で腰痛が起こることがあります。
腰を無理に動かすのはNG!
腰痛があるときは、安静にして腰を動かさないようにしましょう。
無理に動かしてしまうと、炎症が悪化して痛みが強くなる恐れがあります。
「筋肉痛のような痛み」の対処法
腰がズキズキする・ほてりがある →「冷やす」
上手な「腰の冷やし方」
「冷たい水で絞ったタオル」または「保冷剤(タオルを巻く)」を腰に当てる
3分程度経ったら、患部から離す
※ある程度痛みが落ち着くまで、上記繰り返しましょう。
腰がズキズキする・ほてりがある場合は、筋肉が炎症している可能性が高いです。
炎症による痛みは、患部を冷やすことで緩和されます。
※冷やしすぎると凍傷を起こす可能性があるので、注意しましょう。
腰が固まっている・慢性的に痛い → 「温める」
腰を温める方法
カイロを腰に貼る
入浴して全身を温める
腰が固まっている感じがする、慢性的に痛いといった場合は、温めて血行を良くすると痛みが緩和されることが多いです。
「鈍い痛みがある」・「腰が重い」といった軽い腰痛の場合も、血行を良くすると楽になります。
腰痛予防のためにできること
腰痛の予防には、「普段から腰に負担をかけない」「腰の筋肉がほぐれている状態を保つ」といった点が大切です。そのために、
正しい姿勢を保つ
中腰で作業するときは休憩をはさむ
湯船に浸かって体を温める
入浴後にストレッチする
などを意識して過ごしましょう。
予防法① 正しい姿勢を保つ
腰痛を予防するためには、腰に負担をかけないように「正しい姿勢」を意識することが大切です。
一日の中で長時間、立って作業することが多い方、デスクワークなどで座る時間が長い方は、特に注意してください。
正しい立ち姿勢のポイント
横から見て「耳」「肩」「太もも」「くるぶし」が一直線になる
後ろから見て「後頭部」「背骨」「お尻の割れ目」「足の間」が一直線になる
立つ際は、軽く足を開いて、頭頂部から引っ張られているイメージで、顎を軽く引き、まっすぐ立ちます。
巻き肩にならないように気をつけましょう。
正しい座り姿勢のポイント
両足の裏がしっかりと地面につくように、椅子の高さを調節する。
背筋を伸ばし、膝と股関節を90度に曲げる
肩の力を抜く
モニターはなるべく顔の正面に来るようにする。
椅子に座るときは90度を意識して、首を前に伸ばさないようにしましょう。
腹筋を使い猫背にならないことを意識してください。
予防法② 中腰で作業するときは休憩をはさむ
中腰で作業するときは、適度に立ち上がって体を伸ばしましょう。
休憩の頻度は30分で2~3回が目安ですが、個人差があるので自分の調子に合わせて実施してください。
中腰の状態を長く続けると、血行が悪くなり、筋肉も緊張してしまいます。
予防法③ 湯船に浸かって体を温める
腰の血流を改善するために、入浴はシャワーだけでなく湯船にも浸かりましょう。
全身が温まり、血行が良くなります。
腰の冷えは、腰の筋肉が固まることにつながり、痛みの原因となります。
予防法④ 入浴後・起床時にストレッチする
入浴後・起床時にストレッチをして、腰の筋肉をほぐしましょう。
入浴後は体が温まっているので、おすすめのタイミングです。
また、起床時にストレッチを行うと、自律神経が整いやすくなるため、体全体の調子をよくする効果が期待できます。
腰の筋肉を伸ばすストレッチ
仰向けに寝転がる
両手で片膝を抱える
膝を胸の方へ引き寄せ、5秒間キープ
ベッドや床などで、上記のストレッチを行いましょう。
※ストレッチの際に痛みを感じる場合は、控えてください。
こんな腰痛は、整形外科へ相談を!
セルフケアしても改善しない・痛みが強くなっているなどの場合は、放置せず「整形外科」で受診しましょう。
放置していると、進行して治療に時間がかかってしまうことが多いです。
また、腰に頻繁に痛みを感じる場合は、「腰椎椎間板ヘルニア」という病気や「内臓の疾患」も疑われます。腰の病気に悪化によって歩けなくなることもあるので、早めに受診しましょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
日本脊髄外科学会 腰椎椎間板ヘルニア
考えられる3つの原因
全身筋肉痛でだるくなる病気として
- 細菌・ウイルス感染(風邪やインフルエンザ)
- 慢性疲労症候群
- 線維筋痛症
が挙げられます。それぞれ詳しく解説していきます。
原因① 細菌・ウイルス感染(風邪やインフルエンザ)
感染症にかかると、全身の筋肉痛、だるさが起こることがあります。
この症状は、細菌やウイルスを撃退する免疫機能が活発に働き、免疫系物質であるサイトカイン類が作用することで起こります。
主な症状
- だるさ(倦怠感)
- 全身筋肉痛(関節痛)
- 発熱
- 頭痛
- 鼻水
- せき、のどの痛み
どんな人に多い?
上記に当てはまると免疫力低下するため、感染症にかかりやすくなります。
自分でできる対処法は?
十分な睡眠時間を確保して、体を休めましょう。
また、水分と栄養をしっかり摂るようにしてください。
なお、3~4日ほど経過しても症状が改善しない、高熱があるといった場合は、医療機関の受診をおすすめします。
※ただし、急な高熱によりインフルエンザが疑われる場合には、早めに医療機関を受診しましょう。抗インフルエンザ薬は、発症後48時間以内の使用が必要です。
病院は何科?
感染症は、内科で治療を受けられます。
医療機関では、抗生物質(細菌感染の場合)、鎮痛剤、うがい薬、抗ヒスタミン薬などのお薬を処方して、症状の改善を図ります。
症状によっては、点滴治療が行われるケースもあります。
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原因② 慢性疲労症候群
突然、全身の筋肉痛や倦怠感に襲われ、身動きが困難になる病気です。
しっかり休んでも症状が改善されないため、日常生活に悪影響を及ぼします。
慢性疲労症候群は未解明な部分が多く、細かい発症メカニズムは明確ではありません。
現段階では、分泌されすぎた免疫物質によって体がダメージを受け、ホルモンバランスや自律神経の乱れ、脳の血流障害などが起こるためだと考えられています。
主な症状
- だるさ(倦怠感)
- 全身筋肉痛
- 抑うつ状態
- 集中力低下
- 微熱
- 頭痛
- のどの痛み、腫れ
- 筋力低下
- 物忘れ
- 不眠、過眠
どんな人に多い?
- 感染症にかかった人
- 怪我をした人
- ストレスが溜まっている人
- お酒を飲み過ぎる人
- 睡眠不足の人
- 運動不足の人
- ビタミンやミネラルが不足している人
に発症しやすいと考えられています。
ただし、健康状態に問題がなかった人に発症するケースもあります。
自分でできる対処法は?
十分な休養を取ると、症状が改善する場合もあります。
ただし、基本的には治療が必要であるため、できるだけ早めに医療機関を受診してください。
原因不明の筋肉痛、疲労感が1週間以上続く場合は、一度検査を受けましょう。
病院は何科?
慢性疲労症候群は、内科で相談できます。
医療機関では、漢方薬、ビタミン剤(ビタミンB12、ビタミンC等)、鎮痛薬、抗うつ薬などのお薬を用いた治療が行われることが多いです。
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原因③ 線維筋痛症
脳の機能の異常によって、炎症がない部分に痛みを感じてしまう病気です。
原因不明の筋肉痛、だるさを生じる場合があります。
主な症状
- 全身の痛み(筋肉痛、関節痛)
- 強い倦怠感、疲労感
- 頭痛、めまい
- 体のこわばり、しびれ
- 不眠
- 不安感
- 便秘、下痢
- 冷え
- 頻尿
- 口、目の乾燥
どんな人に多い?
30~50歳代の女性に多くみられます。
また、
- 睡眠不足
- 精神的・社会的ストレス
- 筋肉の過剰な緊張
- 激しい運動
- 怪我
などが発症に関わっていると考えられています。
しかし、発症の明確な原因は未だわかっていません。
自分でできる対処法は?
ご自身での対処は難しいため、医療機関を受診しましょう。
体の広範囲の痛みが3か月以上続いている、ほんの少しの動きで激しく体が痛むといった場合は、線維筋痛症が疑われます。
悪化すると仕事に支障をきたしやすいため、心当たりのある方は早めの受診をおすすめします。
病院は何科?
体の症状だけがあるときは、内科を受診してください。
気分の落ち込みなど精神症状を伴うときは、心療内科・精神科を受診しましょう。
診療では、痛みの感知機能を正常にする薬、鎮痛薬、抗うつ薬などを用いた薬物治療が行われるケースが多いです。
患者さんの状態に合わせて、認知行動療法、運動療法を加える場合もあります。
▼体の症状のみの場合は「内科」へ
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▼精神的な症状を伴う場合は「心療内科・精神科」へ
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2022-07-04
「線維筋痛症かもしれない…。」
「病院に行きたいけど、何科を受診するべき?」
線維筋痛症は何科で受診するとよいか、お医者さんに聞きました。
放置していると、痛みが慢性化し、日常生活に支障をきたすこともあります。
不安な症状がある場合は、早めに病院で相談しましょう。
線維筋痛症かも…何科に行くべき?
線維筋痛症(せんいきんつうしょう)は、「内科」「心療内科」「整形外科」で治療できることが多いです。
迷うときは「内科」で受診することをおすすめします。
また、かかりつけ医がいる場合は、一度そちらで相談してみてもよいでしょう。
【症状別】おすすめの診療科
線維筋痛症がある場合、出ている症状に合った診療科で受診すると、症状が緩和されやすくなります。
次の表を参考にして、ご自身に合った診療科を選んでみましょう。
現れている症状
おすすめの診療科
強い倦怠感・疲労感
頭痛
微熱
動悸・息切れ
耳鳴り・めまい
胃腸の不調
内科
悲観的思考が強くなる(うつ状態)
不安感
不眠
心療内科
全身の痛み(肩・背中・腰・肘・膝など)
全身のこわばり感
手足のしびれ
整形外科
いずれかの症状が1週間以上続く場合は、受診を検討することをおすすめします。
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線維筋痛症ってどんな病気?
線維筋痛症とは、脳機能の異常によって全身にさまざまな痛みを生じる病気です。
発症の詳しい原因は分かっていません。
一般的な検査だけでは身体の異常を発見できないケースが多く、他の病気と判別しづらいため、確定診断が難しいと考えられています。
以前は治療が難しい病気でしたが、線維筋痛症の研究が進んだことによって、近年では改善が期待できる治療法もいくつかあります。
命に関わるような病気ではないですが、日常生活に支障をきたさないためにも、早めの受診をおすすめします。
線維筋痛症の主な症状
全身の強い痛み
関節・筋肉の痛み
体のこわばり感
手足のしびれ
ドライアイ
頭痛
微熱
倦怠感・疲労感
食欲不振
過敏性腸症候群
不眠
気分の落ち込み
など
上記の不調が3ヶ月以上続いているにも関わらず、通常の検査を行っても異常が発見されない場合、線維筋痛症と診断されることがあります。
診断から治療までの流れ
問診
痛みの強さの確認
診察(視診・触診)
検査(筋力検査・血液検査・画像検査等)
診断(原因に合わせて、治療方針を決める)
治療
線維筋痛症が疑われる場合、上記のような流れで治療が行われることが多いです。
ただし、医療機関によって検査方法や治療の内容は異なります。
診察の際には、患者さんに特定の動作をしてもらい、症状を確認することもあります。
画像診断では、「X線検査」「CT検査」「MRI検査」などが行われます。
線維筋痛症は「薬を使った治療」が多い
線維筋痛症と診断された場合、薬を処方して改善を図ることが多いです。
ただし、薬で痛みを完全に消すことはできないため、あくまでも痛みの緩和を目的として使用します。
処方される薬には、「向精神薬」「抗てんかん薬」「抗けいれん薬」「神経障害性疼痛緩和薬」など、さまざまなものがあります。
薬を使った治療に併せて、
理学療法(マッサージ 等)
運動療法(有酸素運動 等)
認知行動療法
麻酔を用いた治療
などが行われることもあります。
放置すると、治療が長期化することも
線維筋痛症の治療期間は、現れている症状の程度によって変わってきます。
病院に行かず放置していると、痛みが慢性化して、治療期間も長くなる傾向があります。
悪化させないためにも、早めに病院で受診し、正しい診断を受けて治療を開始することが大切です。
症状が1週間以上続く場合は、一度医師に診てもらいましょう。
医師に伝えるポイント
困っている症状
いつから症状があるか
痛みが生じている部位
痛みの程度
痛みが生じるタイミング・頻度
既往歴
受診の際は上記の点を医師に伝えると、診察がスムーズに進みます。
病院に行くまで、どう過ごしたらいい?
痛みがある部分をマッサージすると、痛みがある程度和らぐことがあります。
生活面では、
栄養バランスのよい食事
十分な睡眠
ゆとりのあるリラックスした状態
を心がけましょう。
悪化の恐れがあるため、激しい運動は控えるようにしてください。
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▼参考
オムロン 線維筋痛症は専門とする医師の治療を!!
『線維筋痛症診療ガイドライン 2017』日本線維筋痛症学会
公益財団法人 日本リウマチ財団 線維筋痛症