「最近生理の血が少ない…」
「1~3日目にはかなり量があったんだけど、これって大丈夫…?」
生理の血が少量になってしまうのは大丈夫なのかを、お医者さんに聞いてみました。
対処法や医療機関に行く目安も詳しく解説していきます。
監修者
経歴
医療法人社団 石野医院
日本医科大学
日本医科大学付属病院
日本医科大付属第二病院
国立横須賀病院
東部地域病院
石野医院
生理の出血量が少ない…大丈夫?
最近生理の血が少なく不安です…。前までは1~3日目にはかなり量があったのですが…。最近初日の出血が明らかに少なくて、日数が経つと量が増えてきます。これって大丈夫でしょうか…?
血の量が少なくても、排卵の周期がきちんと来ていれば問題ありません。
基礎体温をつけて、排卵の周期が正しく来ているのかをチェックしましょう。
2日目なのにナプキンを交換する必要がほとんどない、あるいは月経が2日で終わってしまうなどの症状が見られる場合は、過少月経の可能性が高いです。
過少月経自体はあまり心配ありません。
女性ホルモンには、子宮内膜を作る作用がある「エストロゲン」と子宮内膜を剥がす作用がある「プロゲステロン」があります。この2つのホルモンがバランスよく分泌されないことで、生理がうまく起こらず血の量が減る場合があります。
一時的なホルモンバランスの乱れが原因で出血量が乱れる場合には、特に治療の必要はありません。
ただし、こんなときは婦人科に相談を
生理の血が少ないだけでなく排卵周期も乱れている場合は、セルフケアでどうにかしようとせずに医療機関を受診しましょう。
自己流で漢方薬を試したり、市販薬を服用したりすると体に合わないことがあるのでやめてください。
前述した過少月経自体はあまり心配ありませんがホルモン異常や子宮内膜炎などの病気が見つかることがあります。
特に妊娠を希望している方は、不妊症の原因が隠れているかもしれませんので、医療機関を受診しましょう。
また、一時的に生理の血の量が少ない場合は妊娠の可能性もあります。
妊娠の可能性が考えられる場合は、検査薬で確認し医療機関へ行きましょう。
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2021-08-20
「生理の血が少ない…これって大丈夫?」
「妊娠している?」
血が少なくなる原因を医師にうかがいました。
不妊や病気が悪化する可能性もあるので要注意です。
生理の血が少ない…原因は妊娠?
妊娠している場合、生理予定日前後にごく少量の出血「着床出血」が起こることがあります。
また、ホルモンのバランスが乱れて、過短月経(短い月経)になっている可能性があります。の場合、妊娠の可能性はないです。
「着床出血」と「出血が少ない生理」はどう見分ける?
着床出血と生理は、出血量が明らかに違います。
妊娠によっておこる着床出血は、ごく少量の出血(トイレットペーパーに血が付く・下着が少し汚れる程度の出血)です。
着床出血は、生理予定日前後に起こるため、「生理の血が少なくなった」と勘違いする人もいます。しかし、生理のようにどんどん出血量が増えることはありません。
<生理の出血量>
生理は通常数日間(7日程度)出血が続きます。
個人差がありますが1周期の出血量は20ml〜140mlで、ナプキンを1日に何枚か変える必要があります。
<着床出血の出血量>
着床出血はごく少量です。
ティッシュに少し血がつく、オリモノに少し血が混じる程度の出血が1日~数日起きます。
「生理の血が少ない」状態が続いたら…病気サインかも
生理の出血量が少ない状態が3か月以上続く場合は
過少月経
子宮腔癒着症(アッシャーマン症候群)
等の病気の可能性があります。
病気① 過少月経
月経量が極端に少ない状態を指します。
過少月経には、「機能性過少月経」と「器質性過少月経」の2種類があります。
<機能性過小月経>
黄体ホルモンの分泌量が減少し、排卵に不具合が起こっている状態です。
原因には、脳の視床下部や下垂体の異常が挙げられます。
<器質性過少月経>
子宮や卵巣に異常があるために、経血量が少なくなっている状態です。
原因となる病気には、子宮内膜炎などが挙げられます。
過少月経の主な症状
生理の血の量が減るだけでなく、月経が2日以内に終わる「過短月経」になることもあります。
どんな人に多い?
「機能性」の場合は10〜20代、また40代後半の人にみられる傾向があります。
「器質性」の場合は30代以降の子宮に異常がある人にみられる傾向があります。
病気② 子宮腔癒着症(アッシャーマン症候群)
炎症によって、子宮内膜の組織同士がくっついている状態です。
子宮内膜が育たなくなることで、生理の血の量が減ります。
子宮腔癒着症の主な症状
月経の量が減少したり、無月経になったりします。
また、着床しにくくなるため、不妊の原因となります。
妊娠を望んでいる方は、一度医療機関に相談しましょう。
どんな人に多い?
中絶手術した人
出産した人
子宮の病気を治療した人
に発症しやすい傾向があります。
「病気が原因かも…」と思ったら、放置せずに婦人科へ
病気が原因の場合、放置すると不妊を引き起こしたり、治療が長くかかったりするリスクがあります。
治療開始が早ければ早いほど、病気の進行を食い止めやすくなります。
異常を感じたら、速やかに医療機関を受診しましょう。
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「妊娠したかも…」と思ったら
妊娠を疑う場合、生理予定日を7日間過ぎたら検査薬でチェックしてみましょう。
あまりに早く使うと、正確な判定が出ない可能性があります。
産婦人科はいつ行けばいい?
妊娠検査薬で陽性が出たら、7日間以内に診察を受けましょう。
検査を受けるまで日を空けてしまうと、妊娠が進み、異常妊娠などの診察が遅れて、母体に負担がかかる場合があります。
妊娠検査薬を自宅で行なった後には、医療機関での妊娠判定を受けてください。
妊娠検査薬は妊娠の判定はできますが、妊娠が正常かどうか確認できません。
母子の健康のために、医療機関での検査が重要になります。
妊娠したら「やってはいけないこと」
妊娠に気が付いたら禁煙・禁酒をしてください。
「喫煙」は、胎盤異常・早産・胎児の発育異常の原因につながります。
また「飲酒」は、胎児の低体重・顔面の奇形・脳の障害などを引き起こす恐れがあります。
禁煙・禁酒できない方は、医療機関で治療を受けられるので、かかりつけ医に相談してください。
妊娠中に心がけるとよいこと
体を冷やさない
長時間歩かない
無理しない
お腹を圧迫しない
重い荷物を持たない
インフルエンザの予防接種を受ける
ストレスや疲労をためない
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
一般社団法人日本内分泌学会 多嚢胞性卵巣症候群
乱れたホルモンバランスを整えるには?
ホルモンバランスの乱れの原因の多くは生活習慣の中にあります。
できるだけストレスを取り除き、十分な睡眠と栄養のある食事を摂りましょう。
ホルモンバランスの乱れは、
- 過度なストレス
- 過度なダイエット
- 栄養不足
- 疲労の蓄積
- 環境の変化
- 不規則な生活リズム
などの生活習慣が原因で起こります。
まずは、上記のような生活になっていないかを見直しましょう。基本は「しっかり眠り、しっかり食べて、疲れやストレスを溜めない」ことです。
そして、基礎体温を計測し排卵が行われているかを確認しましょう。
その上で、体がつらくない程度に運動習慣も取り入れましょう。
ヨガやウォーキングなどの有酸素運動を生活に取り入れることで、自律神経が整いホルモンバランスの乱れが整うこともあります。
もしかすると婦人科系の病気の疑いも…
生理の血が少ない場合に考えられる病気として、
- 子宮奇形
- 子宮内腔癒着
- 無排卵周期症
があげられます。
原因① 子宮奇形
子宮奇形とは、過少月経、月経異常、月経困難症などの月経異常が起こりやすくなる病気です。
この病気にかかると月経痛が強く現れることが多く、また不妊や流産も多くなります。
ただ、子宮奇形では、毎月月経異常は起こりません。
受診する目安
月経異常が起こる場合は、医療機関で検査を受けましょう。
子宮奇形の場合は子宮の内壁に傷がつき子宮内壁が癒着した状態になっているため、自分でできる対処方法はありません。手術によりくっついてしまった内壁を剥がす治療を行います。
無症状で妊娠、出産に障害にならない場合は、治療が必要ないこともあります。
原因② 子宮内腔癒着
子宮内腔癒着とは、過少月経や無月経になる病気です。
進行すると、不妊症や月経困難症になることもあります。
受診する目安
月経困難症が3~6ヶ月ほど続く場合や不妊の場合は、一度医療機関で検査を受けましょう。
手術によりくっついてしまった内壁を剥がす治療を行います。
原因③ 無排卵周期症
月経の周期が不規則だったり、月経の期間が長くなったり短くなったりする病気です。不正出血が起こることもあります。
基礎体温に変化がなく、一定になることが多いため、基礎体温をチェックしておくと無排卵月経の可能性がわかりやすくなります。
どう対処するのがよいのか
過度のストレス、過度のダイエット、過度なスポーツによる負荷などが原因で起こることがあります。
その場合は、生活習慣を見直して、規則正しい生活習慣に切り替えていきましょう。
受診する目安
- 生理が1ヶ月以上遅れる
- 生理が止まらない
- 生理が月に2回以上起こる
- 不正出血がある
といった症状が起切る場合は医療機関を受診しましょう。
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2022-08-26
最近、体の調子が悪い…。
生理不順が続いている…。
それは、エストロゲン不足のサインかもしれません。
「エストロゲン不足になると出る症状」を、お医者さんに聞きました。
不足しやすい人の特徴や、エストロゲンの分泌を整える生活習慣についても解説します。
エストロゲン不足で出る症状って?
顔のほてり
発汗
息切れ
耳鳴り・めまい
頭痛
疲れやすい
体が冷えやすい
寝付きが悪い・眠りが浅い
イライラしやすい
不安感に襲われる
「エストロゲン」の分泌が少ない場合、上記のような症状があらわれることがあります。
エストロゲンの不足によってホルモンバランスが崩れて、心身に様々な影響を与えるからです。
エストロゲン不足が続くと…
エストロゲンは血管をしなやかに保つ働きがあるため、症状を放置すると動脈硬化が進んで「心筋梗塞」「脳梗塞」などの病気を起こしやすくなります。
また、エストロゲンには骨を丈夫にする働きもあるため、エストロゲン減少による症状を放置すると、将来的に「骨粗しょう症」のリスクが高くなります。
エストロゲン不足かも…病院に行くべき?
病院に行くべきかの判断は、まず月経の有無が大切です。エストロゲンが極端に不足すると、月経がこなくなります。無月経が続く場合は、すぐに病院へ相談しましょう。
その他、
不正出血(生理以外の膣からの出血)
憂鬱な気分が続く
不眠
などの症状がある場合も、医師に相談してください。
「婦人科」で受診しましょう。
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なぜ?エストロゲンが不足する原因
20代~30代でエストロゲンの分泌が不足する場合、
職場・人間関係・家庭内でのストレス
過度なダイエット
激しい運動
などの影響が考えられます。
上記によって心身に負担が大きくかかると、自律神経が乱れて、エストロゲンの分泌量の低下につながります。
心当たりは?エストロゲンが不足しやすい人の特徴
低血圧・朝すっきり起きられない
冷え性
月経不順
生理痛がひどい
生活習慣が不規則
何でも思い悩む
神経質
ストレスを溜め込みやすい
人間関係に問題を抱えている
上記に5つ以上当てはまる場合、エストロゲンが不足しやすいと言えます。
エストロゲンの分泌を整える「5つの習慣」
エストロゲンの分泌を促すには、食生活・睡眠・運動などが重要になってきます。
普段から、
6~8時間程度の質の良い睡眠をとる
1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事をとる
15~30分程度の軽い運動を定期的に行う
ストレスをこまめに発散する
漢方を取り入れる
といったことを意識して生活しましょう。
おすすめ習慣① 1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事をとる
1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事をとり、バランス良く栄養を摂取しましょう。
特に、「大豆製品」や「ビタミンB6を含む食品」がおすすめです。
大豆には女性ホルモンに似た働きをする「イソフラボン」が多く含まれています。
即効性はありませんが、イソフラボンは、ホルモンバランスを整えるサポートをしてくれます。
また、「ビタミンB6」はエストロゲンの代謝に関与しており、ホルモン分泌を助けると言われています。
過度のダイエット(食事制限)や暴飲暴食は、ホルモンバランスの乱れにつながるので、控えましょう。
\イソフラボン・ビタミンB6を豊富に含む食品/
イソフラボン
納豆
豆腐
味噌
油揚げ
ビタミンB6
マグロ
カツオ
大豆製品
卵
バナナ
おすすめ習慣➁ 6~8時間程度の質の良い睡眠をとる
女性ホルモンのバランスを整えるには、十分な睡眠時間を確保することが重要です。
6~8時間程度の質の良い睡眠をとることを心がけましょう。
ただし、理想の睡眠時間には個人差があります。
朝目覚めたときに疲れがとれていて、日中に眠気を感じない状態であれば、「睡眠が足りている」と判断できます。
“深い眠り”を得るためのポイント
朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びる
昼寝は15時までに30分以内にする
夜は11時(遅くとも12時)には寝る
夕方以降は「カフェインを含む食品」を控える
夕食は就寝の2~3時間前までに済ませる
飲酒は、就寝の3~4時間前までにする
就寝の2~3時間前に入浴する
就寝前はできるだけパソコン・スマホを触らない
おすすめ習慣③ 15~30分程度の軽い運動を定期的に行う
週3~5日(毎日でもOK)、1回15~30分程度を目安に、
ウォーキング
ヨガ
ストレッチ
スクワット
等の軽い運動を行いましょう。
血行が改善されるため、脳や生殖器等の活性化につながり、ホルモン分泌が促進されると考えられています。
なかなか運動の時間が取れない場合は、仕事や家事、勉強の合間にストレッチをしたり、テレビを見ながらスクワットをしたりして、スキマ時間を活用するのもおすすめです。
おすすめ習慣④ こまめにストレスを発散する
過剰な精神的・身体的ストレスは、ホルモン分泌に悪影響を与えると考えられています。
できるだけストレスを溜め込まないよう、上手に発散する方法を身に付けましょう。
「ストレス発散方法」の例
熱中できる趣味を持つ(ガーデニング・映画鑑賞など)
生活の中に、好きな香りを取り入れる
湯船に浸かってリラックスする
外で日光浴をする
好きな物を食べる(過食はしない)
旅行に行って、気持ちをリフレッシュさせる
ウォーキング・ストレッチなどの軽い運動を習慣にする
おすすめ習慣⑤ 漢方を取り入れよう
加味逍遙散(カミショウヨウサン)
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
などの漢方は、ホルモンのバランスを整えるのに役立つと考えられています。
漢方を取り入れる場合は、服用回数や注意点について、必ず薬局の薬剤師や登録販売者に相談しましょう。
また、医療機関で受診して、医師から症状に合った漢方を処方してもらうことも可能です。
※漢方の効果には個人差があります。
不安な症状は婦人科で相談を
エストロゲン不足を感じている方や、不調がなかなか改善しない方は、一度婦人科で相談してみるといいでしょう。
医師に症状を伝えるポイント
具体的な症状
症状が出始めた時期
症状が強くなるタイミング
月経周期
過去にかかったことのある病気
生活習慣
受診の際は上記の点を医師に伝えられるようにしておくと、スムーズな診察に役立ちます。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
香川明夫、『八訂 食品成分表2022』(2022)、女子栄養大学出版部
更年期障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
久光製薬株式会社:【第12回】エストロゲンの減少による身体の影響
大塚製薬株式会社:更年期の症状
厚生労働省:健康づくりのための睡眠指針2014