「着床完了のサインって自分でもわかる?」
「おりものや体温がいつもと違う…」
着床したときに現れる症状について、お医者さんに聞きました。「妊娠検査薬」を使うタイミングも解説します。
監修者
経歴
医療法人社団 石野医院
日本医科大学
日本医科大学付属病院
日本医科大付属第二病院
国立横須賀病院
東部地域病院
石野医院
着床完了のサインって、自分でわかるの?
着床完了のサインとして、
- 基礎体温が上がる
- おりものが「さらさら」「ねばねば」する
- 少量の出血が起こる
- 軽い吐き気・胃がムカムカする
といった体調の変化に気づくことがあります。
※これらの変化は、全員に起こるとは限りません。妊娠初期症状には、かなり個人差があります。
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2025-09-03
※本記事は2022年4月1日に公開された記事を再編集して掲載しています
「生理がきそうでこないのに下腹部痛が続いている」と、妊娠なのか、生理前の症状なのか、それとも病気なのかと気になる方は多いでしょう。
特に、生理予定日を過ぎても生理が来ない場合には、「妊娠の初期症状では?」と考える方も少なくありません。一方で、ホルモンバランスの乱れや婦人科系の病気によって同じような症状が現れることもあります。
この記事では、妊娠の可能性と妊娠初期症状との違い、さらに受診が必要となる病気のサインについて、医師監修のもとで詳しく解説します。
生理がきそうでこないのに下腹部痛があるとき、妊娠の可能性は?
妊娠初期にはホルモン分泌の変化や子宮の反応によって、生理痛に似た下腹部痛が起こることがあります。
これは妊娠初期症状の一つであり、生理が始まりそうで始まらないように感じる原因となります。
妊娠初期に多くみられる症状は?
妊娠初期には女性ホルモンの分泌が大きく変化し、体調や体の感覚にさまざまな変化が現れます。
特に下腹部や胸の違和感は、多くの人が最初に気づく妊娠初期症状のひとつです。
妊娠初期症状の例
下腹部のチクチクした痛みや重い感覚
生理予定日を過ぎても出血が始まらない
胸の張りや乳首の違和感
強い眠気や体のだるさ
少量の出血(着床出血の可能性、生理予定日1週間前ごろ)
「お腹が痛いのに生理が来ない」「生理痛があるのに出血がない」といった症状は、妊娠初期によくみられるものです。
妊娠の可能性がある場合は、市販の妊娠検査薬で確認し、必要に応じて病院(婦人科・産婦人科)を受診しましょう。
妊娠初期の下腹部痛【体験談】
『下腹部の違和感、チクチクするような痛みが不規則にありました。おりものの色が黄色っぽくなり、量も多くなりました。便秘でお腹が張るような様子がありました。』(0歳の男の子と4歳の女の子の40代のママ)
『生理予定日を数日過ぎた頃から体が温かくてほてる感じがありました。それからさらに数日経つと下腹部がつかまれるような痛みがあり、突然吐き気がして飲食がほとんどできなくなりました。』(1歳の男の子の20代のママ)
『妊娠初期は、下腹部がチクチクするような、お腹が張っているような違和感がありました。』(小学1年生の女の子と、小学3年生の男の子のママ)
『下腹部(子宮あたり)が痛くなりました。臭いに敏感になり、吐き気もありました。』(4歳の男の子のママ)
「妊娠かも」と思ったらどうすればいい?
生理開始予定日から1週間以上経過しても下腹部痛が続く場合は、市販の妊娠検査薬を使用するのが一般的です。
妊娠検査薬で陽性反応が出た場合は、高い確率で妊娠していると考えられます。陽性反応が出たら、必ず産婦人科を受診して医師の診断を受けましょう。
妊娠の可能性がある場合には、タバコやアルコールの摂取を避けること、生ものの摂取を控えることが大切です。妊娠中の生活習慣は母体と胎児に影響を与える可能性があるため、早めに注意をしておくことが望まれます。
妊娠以外|生理がこないのに下腹部痛がある原因は?
妊娠ではない場合でも、生理がきそうでこないのに下腹部痛があることは珍しくありません。
月経前症候群(PMS)
女性ホルモンの変化によって、生理予定日前後に下腹部痛や腰痛が出ることがあります。生理が始まると症状が軽くなったり、なくなったりします。
PMSだったらどうすればいい?
体を冷やさないように注意し、入浴などで温めることが大切です。体が冷えると下腹部痛や腰痛が強くなるため、温めて血流をよくすることで症状が和らぐことがあります。
下腹部痛があるときは、無理をせずにゆっくりと過ごしましょう。
痛みが強くなる、または我慢できない場合は、婦人科を受診してください。子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因となっていることもあります。
婦人科系の病気
婦人科系疾患によって下腹部痛と生理不順が同時に起こることがあります。
下腹部痛と生理不順が同時に起こる代表的な病気
子宮内膜症
子宮筋腫
卵巣嚢腫
無排卵月経
ストレスや生活習慣の乱れ
強いストレス、睡眠不足、過度なダイエット、急激な体重変化は排卵に影響し、生理の遅れを引き起こすことがあります。
妊娠初期症状とPMSの違いは?基礎体温で見分けるポイント
「妊娠初期症状なのか、それとも生理前症状なのか」を区別するのは難しいですが、基礎体温をチェックすることで判断の目安になります。
基礎体温でわかる妊娠の可能性と生理前症状の違い
妊娠している場合、基礎体温は高温期を維持し、目安として36.7℃以上が続くことがあります。その結果、生理予定日を過ぎても体温が下がらず、体がポカポカする、頭がぼんやりするなどの感覚が現れることもあります。
一方で、生理が始まるときは基礎体温が下がっていきます。
「生理予定日になっても出血がなく、基礎体温が高い状態が続いている」場合には、妊娠している可能性があります。
妊娠しているときの基礎体温(一般例)
妊娠している場合、生理予定日を過ぎても基礎体温は36.7℃以上を保ち、高温期が続きます。
※体温には個人差があり、基礎体温が低くても妊娠しているケースもあります。
妊娠していないときの基礎体温(一般例)
妊娠していない場合は、基礎体温が下がり、その後に生理が始まります。
※体温には個人差があり、基礎体温が低くても妊娠しているケースもあります。
生理前症状かと思ったら妊娠していた【体験談】
『妊娠超初期は、生理前のような感じでした。とても眠くて寝たりない、とてもだるく動けないのに空腹は感じるという体調でした。』(0歳の子どものママ)
妊娠初期症状と婦人科系疾患による下腹部痛の違いは?
妊娠初期症状と病気による下腹部痛は、症状や痛みの特徴に違いがあります。
症状
妊娠初期症状に多い特徴
病気の可能性が高い特徴
下腹部痛
チクチク・生理痛に似た軽い痛み
強い痛み・長期間続く痛み
出血
少量(着床出血の可能性)
不正出血が続く・量が多い
全身症状
眠気・だるさ・胸の張り
発熱・吐き気・腹部の張り
いつ病院に行く?受診を検討すべき症状
生理が来ない状態で下腹部痛が続くとき、自己判断で放置するのは避けましょう。
次のような症状がある場合には、早めに病院(婦人科・産婦人科)を受診してください。
受診を検討すべき症状
妊娠検査薬で陽性反応が出た(妊娠を確認するために受診)
生理が2週間以上遅れている
強い下腹部痛や腰痛が続いている
出血が長引く、または量が多い
吐き気や発熱など全身症状を伴っている
これらの症状は妊娠初期のトラブルや婦人科系疾患が隠れている可能性があります。早めに医師に相談することで、安心につながり、適切な対応を受けられます。
下腹部痛が強くなるときは危険サイン
正常な妊娠であれば、下腹部痛が急激に悪化することはあまりありません。
「今までにない強い痛み」や「我慢が難しい痛み」を感じるときは、子宮に異常が起きている可能性があります。
特に以下のような症状がある場合は、すぐに病院(婦人科・産婦人科)を受診してください。
すぐに病院に行くべき症状
我慢できないほどの痛み
意識が朦朧とする
冷や汗が出る
歩けないほどの痛み
妊娠している場合の受診の目安
妊娠している場合、受診のベストタイミングは最後の生理開始日から5週後半〜6週前半です。
「妊娠しているかも」と思ったら、生理予定日から1週間待って妊娠検査薬を使用し、陽性反応が出たら産婦人科を受診しましょう。
ただし、受診が早すぎると妊娠が確認できず再診が必要になることもあるため、焦らず受診の時期を見極めることが大切です。
まとめ|生理がこない下腹部痛を感じたら
生理がこないのに下腹部痛があると、不安になる方は少なくありません。妊娠の初期症状に似ていることもあれば、生理前や体調の影響によることもあります。この記事の内容を参考にしながら、ご自身の体の変化と向き合い、必要に応じて医療機関に相談してみてください。
▼ 参考
子宮内膜症|公益社団法人日本婦人科腫瘍学会
妊娠超初期症状はいつから?セルフチェック法とは【医師監修】|ヒロクリニック
サイン① 基礎体温が上がる
生理予定日を1週間過ぎても生理が開始せず、高温期が16日以上続く場合は妊娠している可能性があります。
生理前の症状との「見分け方」
生理前も基礎体温が上がりますが、この場合は生理が近づくにつれて次第に体温が下がっていきます。
着床完了していると、低温期に入らずに高温期が続くケースが多いです。
サイン② おりものが変化する
- 乳白色になっている
- サラサラと水のような状態
- 量が増えている
といった「おりものの変化」が見られる場合、妊娠初期であることが多いです。
これは、着床によって膣の酸性レベルが変化するために起こります。
サイン③ 少量の出血が起こる
生理予定日の前後に少量の出血あった場合、その出血は着床出血(受精卵が子宮内に着床する際の出血)の可能性があります。
※着床出血は、全員に起こるとは限りません。妊娠している人のうち4人に1人程度にみられる症状です。
サイン④ 軽い吐き気・胃がムカムカする
着床すると「プロゲステロン」という黄体ホルモンが大量に分泌されます。
このホルモンに働きによって消化器の働きが低下すると、吐き気・胃の不快感が現れやすくなります。
プロゲステロンには、妊娠している体の状態を安定させる働きがあります。
消化器管の働きが抑制されるのは、「子宮の収縮を抑制する働き」の影響で起こります。
他にもある!「着床完了のサイン」
- めまい
- 強い眠気
- 倦怠感
- 下腹部の痛み・下腹部が重く感じる
- 胸が張る
- イライラする
など
「妊娠検査薬」を使うタイミングは?

妊娠検査薬を「生理開始予定日の7~10日後」に使用すると、妊娠の有無を正しく判定しやすくなります。
着床完了のサインを感じる方は、まずは市販の検査薬でチェックしてみましょう。
「着床したかも…」と思うときは、休息を大切にしよう
妊娠の可能性があるときは、母体に無理をさせないことが大切です。
ゆっくり休息をとりつつ、水分・栄養をしっかりと補給しましょう。
※食べ過ぎには注意してください。
妊娠中の「NG行動」
- 煙草を吸う
- アルコールを摂取する
- カフェインを摂取する
- 医師に相談なく薬を服用する
- 激しい運動をする
上記の行動は、胎児に悪影響を及ぼしたり、流産の原因になる恐れがあります。
「妊娠反応」が出たら、早めに産婦人科へ!

妊娠検査薬を使用して「妊娠反応」が出た場合には、できるだけ早急に産婦人科で受診してください。
産婦人科で超音波検査等を行うと、本当に妊娠しているかどうかを診断できます。
また、子宮外妊娠等の「妊娠異常」が発生していないかを早期に発見できるため、母体の健康を守ることにもつながります。
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お医者さんには、どんなことを伝えればいい?

- 妊娠検査薬を使用した日
- 最終月経の開始日と終了日
- 初潮の年齢
- 生理周期
- 基礎体温の記録
- 妊娠前の「生理前後の症状」の有無
- 現在出現している症状
- 今までの既往歴・持病
- 服用中の薬
- 妊娠・出産経験の有無
- アレルギーの有無
産婦人科の診察では、上記の点を聞かれることが多いです。
事前にメモなどにまとめておくと、医師に伝えやすくなります。
服装は「スカート」がおすすめ!
産婦人科では「内診」による検査を行う場合があります。
スカートなど着脱しやすい服装で受診すると、検査がスムーズに進みやすいです。
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2021-08-20
「生理前になるとオリモノが透明で伸びる…」
「もしかして妊娠?」
産婦人科を受診するタイミングをお医者さんに聞きました。
オリモノが変化する理由も医師が解説します。
生理前に「透明で伸びるオリモノ」が出る理由
生理前に“透明で伸びるオリモノ”出ることはあるのでしょうか?
はい、あります。
一般的には、生理前(排卵後)のオリモノは量が減り、粘り気のある黄白色に変化します。
ただし、オリモノの状態・色には個人差があるため、皆さんが同じように変化しているとは言い切れません。透明で伸びるおりものがでる人もいます。
かゆみ・陰部の異常などがみられなければ、あまり心配しなくても問題ないでしょう。
まさか、妊娠してる?
妊娠すると透明で伸びるオリモノが出ることがあるのでしょうか?
はい、あります。
妊娠するとオリモノは粘着が強くなるため、ドロっとした状態になりやすいです。
このオリモノの変化は、細菌・ウイルスの侵入を防ぐために起こっている正常な反応です。
ただし、色には個人差があり、透明、白っぽい、クリーム色などさまざまです。
ただし、おりものの状態は個人差が大きいものです。
オリモノの状態だけで“妊娠している”と判断することはできません。
「妊娠してるかも…」と思ったら
生理予定日を過ぎても生理が来ない場合は、妊娠検査薬を使ってチェックしましょう。
ただし、検査時期には注意が必要です。生理予定日から1週間を過ぎた頃に検査をすると良いでしょう。検査時期があまりに早すぎると、検査結果が不安定になる場合があります。
妊娠初期にあらわれる症状
基礎体温の高温期が続く
膣からの出血(着床出血)
ボーっとする感覚
胸の張り、痛み
胃腸の不調
倦怠感
腹痛
腰痛
頭痛
肌荒れ
においに敏感になる
唾液や鼻水が増える
イライラする、怒りっぽくなる
強い眠気が生じる
※どのような妊娠初期症状がでるかは、個人差があります。
「妊娠初期症状がない」という方もいます。より正確に判断するには、妊娠検査薬でのチェックを行いましょう。
妊娠している可能性があるときに「気をつける7つのこと」
妊娠しているかも、と思ったら
飲酒しない
煙草は吸わない
受動喫煙に気をつける
お腹を圧迫しない
重い荷物を持たない
インフルエンザの予防接種を受ける
ストレスや疲労をためない
といった点を心がけて生活してください。
お腹の中で成長している赤ちゃんに負担になることは避けましょう。
産婦人科へ行くタイミング
市販の妊娠検査薬で陽性の反応がでたら、産婦人科に行きましょう。
最後の生理が始まってから、5週間目後半~6週間目前半(生理開始予定日から10日~14日以内)を目安に受診してください。
妊娠の継続の希望によらず、医療機関での妊娠検査は必ず受けましょう。
正常妊娠かどうかを確認する必要もあります。(市販の検査薬では、正常妊娠か異常妊娠かは判断できません。)
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お医者さんに伝えるポイント
飲酒、喫煙の有無や頻度
妊娠検査薬をした時期
最後の生理の日にち
妊娠出産歴
これまでにかかった病気
アレルギーの有無
感染症にかかったことがあるか
精神疾患になったことがあるか
ワクチンの接種歴
産婦人科では、上記の点を確認するケースが多いです。
出産に関わる大切な情報になるため、できるだけ正確に医師に伝えましょう。
産婦人科に行く前の準備
産婦人科では内診がありますので、パンツよりもスカートで行った方が、スムーズに内診を受けられます。
下着・靴下なども脱ぎやすいものがおすすめです。
必ずスカートで行く必要はありませんが、パンツスタイルだと下半身を全て出すので、気になる人はスカートの方がいいでしょう。
妊娠検査の「費用」は保険適用外
妊娠は病気にはあたらないため、健康保険の適用外となります。
現金(1万円程度)を持参しましょう。クレジットカードを使いたい場合は、事前に医療機関で確認をとることをおすすめします。
なお、妊娠検査で健康異常が見つかった場合は、病気とみなされて保険が適用されるケースがあります。
持ち物
現金(1万円程度)またはクレジットカード
保険証
お薬手帳
生理用ナプキン
(内診で出血する場合もあります。通常、医療機関にもありますが用意していきましょう)
産婦人科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
日本産婦人科学会