「血糖値が高めかも…」
「血糖値を上げない食べ方ってあるの?」
血糖値を上げない食べ方・食事の組み合わせについて聞いてみました。
おすすめメニューとレシピも載せているので、血糖値を改善させたい方は必読です!
監修者
経歴
株式会社Luce代表/健康検定協会理事長、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、日本臨床栄養協会評議員、ダイエット指導士、ヨガ講師、サプリメント・ビタミンアドバイザーなど栄養・美容学の分野で活動をおこなっている。
血糖値を上げない食べ方「4つのルール」
- 「おかず」をしっかり食べる
- 「主食は白くないもの」を積極的に選ぶ
- 食事は「食物繊維からスタート」する
- お腹が空いたら「上手に間食」する
血糖値の急上昇を防ぐには、糖質の吸収をコントロールすることが大切です。
「血糖値が高めかも」と気になっている方には、上記の食べ方をおすすめします。
糖質の摂取は、体を動かすエネルギーを得るうえで欠かせません。
食事で血糖値が上昇すると、「インスリン」というホルモンが分泌されて、血糖値が下がります。
しかし、血糖値が急上昇すると、その分インスリンが大量に分泌されてしまいます。
この状態を繰り返している人は、インスリンの分泌機能が次第に低下したり、インスリンの作用で肥満になったりしやすいです。
その結果、血糖値が下がりにくくなり、糖尿病の発症につながると考えられています。
糖尿病は、腎不全・失明・神経障害・心筋梗塞などの合併症を招く怖い病気です。
健康を守るためにも、食べ方に気をつけるようにしましょう。
ルール① 「おかず」をしっかり食べよう
「おにぎりだけ」「菓子パンだけ」などで食事を済ませず、
- 肉・魚・卵を使用したおかず
- 野菜サラダ
- 具沢山の汁物
をしっかり食べましょう。
ご飯やパン、麺類などの主食は糖質を豊富に含むので、たくさんの量を短時間に食べると血糖値が急上昇してしまいます。
おかずも一緒に食べてタンパク質・脂質・食物繊維をバランスよく摂ると、糖質に偏らない食事になるため、血糖値の上昇が穏やかになります。
ルール② 「主食は白くないもの」を積極的に選ぼう
主食には、
- ごはん → 玄米・雑穀米
- パン → 全粒粉・ライ麦
を選ぶようにしましょう。
精製度の高い白米や小麦は、消化吸収が速いので血糖値も上昇しやすくなります。
一方、玄米や全粒粉のパンなどは食物繊維が豊富で消化吸収が遅く、血糖値の上昇も穏やかです。
ルール③ 食事は「食物繊維からスタート」しよう
ご飯やパンなどの主食を口にする前に、
- 野菜サラダ
- 海藻・きのこを使用した汁物
- こんにゃくの煮物
など、食物繊維の多いおかずから先に食べましょう。
食物繊維は人の小腸で消化されずゆっくりと移動していくため、糖質の吸収を緩やかにしてくれます。
また、食物繊維の多いおかずは咀嚼回数が増えて、満腹感も与えてくれるので食べ過ぎを防ぎます。
ルール④ お腹が空いたら「上手な間食」をとろう
おすすめの間食
- ヨーグルト
- 無塩タイプのナッツ
- 高カカオチョコレート
夜ご飯が遅くなってしまう時などは、夕方に200kcal程度を目安に「間食」を摂り、夕食のドカ食いを防ぎましょう。
間食には、「タンパク質」「食物繊維」が豊富な食べ物」がおすすめです。
糖質の多いお菓子は、血糖値を上げてしまうので避けましょう。
コンビニで食べ物を選ぶときの2つのポイント
- 糖質ばかりにならないようにする
- タンパク質・食物繊維を組み合わせる
ことがポイントです。
例えば、「菓子パン+甘いジュース」・「おにぎり+カップ麺」・「パスタ+ポテトサラダ」などの組み合わせは「糖質+糖質」になるのでNGです。
盲点!「糖質が多いサラダ」は避けよう
が中心のサラダは糖質が多いので、控えた方がよいでしょう。
コンビニの食べ物OK例① ご飯の場合
血糖値の急上昇を抑えるには、
- 「おにぎり+野菜スープ+ゆで卵」の組み合わせ
- おかずの種類が多い「幕ノ内弁当」
を選ぶのがおすすめです。
おにぎりは、玄米や雑穀を使用しているものだと、なおよいです。
幕ノ内弁当を選ぶ際には揚げ物中心のものではなく、焼き魚・グリルチキンがメインで、きんぴら・ごま和えなど、副菜がしっかり入っているものを選びましょう。
副菜が少ないなと感じる場合には、野菜や海藻のサラダをプラスするとよいですね。
コンビニの食べ物OK例② パンの場合
まずは卵・ツナ・チキンなどが入ったパンを選びましょう。
そこに、
- サラダ・海藻スープ
- 牛乳・無糖のカフェラテ・ヨーグルトなどの乳製品
などをプラスするのがおすすめです。
卵・ツナ・チキンは糖質が少なくタンパク質が豊富なので、糖質の多いパンをたくさん食べなくても満足感が得られます。
また、サラダや海藻スープは食物繊維が豊富ですし、乳製品は腹持ちがよくなります。
\ワンポイント・アドバイス/
「菓子パン」は糖質が非常に多いので主食ではなく「嗜好品」と考え、どうしても食べたい時だけ選ぶようにしましょう。
血糖値が気になる方へ「おすすめメニュー」
血糖値が気になる方は、食物繊維をたくさん摂れる「野菜・きのこを使用したメニュー」が主菜におすすめです。
揚げ物は、分厚い衣によって糖質量が増えてしまうため、ゆでる・炒める・煮るといった方法で調理しましょう。
甘味・塩味が強すぎる味付けは、ご飯など主食の食べ過ぎにもつながるので、香辛料や薬味をうまく使って薄味を心がけましょう。
また、砂糖・みりんを多く使用すると、血糖値が上がりやすくなってしまいます。
「市販のめんつゆ」や「焼き肉のタレ」なども砂糖が入っているので、注意が必要です。
※パスタやカレーのような「単品料理」はどうしても糖質に偏りがちなので、主食・主菜・副菜をそろえましょう。
おすすめメニュー① 玉ねぎたっぷり豚のしょうが焼き
炒め玉ねぎの甘味としょうがの風味をいかし、調味料の糖質を控えた豚のしょうが焼きです。
たっぷりの「千切りキャベツ」を添えると食物繊維量がアップできます。
材料(2人分)
- 豚肩ロース(薄切り)…200グラム
- 玉ねぎ…1/2個
- 小麦粉…小さじ1
- 塩…少々
- サラダ油
<下味>
<合わせ調味料>
- しょうゆ…大さじ1.5
- みりん…大さじ1.5
- しょうが(すりおろし)…小さじ2
調理方法
- 合わせ調味料の材料を合わせておく
- ボウルに豚肉を入れて「下味」を揉みこみ、小麦粉を全体にふって軽く混ぜる
- 玉ねぎは1㎝幅のくし形に切る
- フライパンにサラダ油小さじ1を中火で熱し、玉ねぎと塩少々を加えてしんなりするまで1分ほど炒め、火を止めて取り出す
- 同じフライパンにサラダ油大さじ1を足して熱し、豚肉を炒める
- 豚肉に火が通ったら、④の玉ねぎを戻し入れて炒め合わせる
- 「合わせ調味料」を加えて、少し火を強くし全体になじむまで炒めたら完成
おすすめメニュー② 鮭とオクラとしめじのレモンバター焼き
レモンの爽やかな香りとバターのコクを活かした、低糖質・高タンパク質・高食物繊維の料理です。
オクラのネバネバは血糖値の上昇を抑制してくれる水溶性食物繊維なので、おすすめ食材の1つです。
材料(2人分)
- 鮭の切り身…2切れ(200グラム)
- オクラ…4本
- しめじ…30g
- レモン…輪切り2枚
- バター…10g×2
- 塩…少々
- こしょう…少々
調理方法
- 鮭の切り身に塩、こしょうをふる
- しめじは石づきを取って、ほぐしておく
- オクラは板ずりし、沸騰したお湯で30秒ほど茹でざるにあげて粗熱をとる
- ④ ③のオクラのヘタを取って厚めの輪切りにする(※1)
- アルミホイルの上に、「鮭」→「しめじ」→「オクラ」→「バター」→「レモン」の順番にのせて閉じる
- トースター200℃で20分焼いて完成(※2)
(※1)オクラの中のネバネバがしっかり残るようにしましょう。
(※2)オーブンや魚焼きグリルでも可能です。
合わせて読みたい
2021-09-17
「血糖値が気になるけど、パンやケーキが食べたい!」
パンやケーキの「血糖値を上げない食べ方」を栄養士に聞きました。
オリーブオイルを組み合わせる方法、低糖質のパンについてなど詳しく解説していきます。
パンやケーキの「血糖値を上げない食べ方」
パンやケーキには小麦・砂糖といった糖質が多く含まれているため、血糖値が上がりやすいイメージがあります。
ただし、
一度にたくさん食べない
食物線維が多いパンを選ぶ
食べる順番・組み合わせを工夫する
といったことに気を付けると、血糖値の上昇を抑えることができます。
その① 一度にたくさん食べない
糖質の多いものを一気にたくさん食べると血糖値が急上昇するので、食べる量に気をつける必要があります。
菓子パン(メロンパン、あんぱんなど)やケーキは、砂糖をたっぷり使っているので糖質が多く、血糖値が急上昇しやすいです。
空腹時に食べる場合は半分~1/4個程度まで減らし、小分けにゆっくり食べることで血糖値の急上昇を防げます。
その② 食物線維が多いパンを選ぶ
食物繊維を多く含むパンを食べると、糖の吸収を抑えられ、血糖値の上昇がゆるやかになります。
食物繊維の多いライ麦パン、全粒粉パン、ふすまパンがおすすめです。
また、ナッツ入りのようなよく噛むパンを選ぶのも、血糖値の急上昇を抑えます。
その③ 食べる順番・組み合わせを工夫する
糖の吸収を抑える「食物繊維」や「たんぱく質」などを先に食べておくことで、血糖値の急上昇を防げます。
血糖値を上げにくい食べ方は、①野菜 → ②肉または魚 → ③パン の順に食べることです。
食物繊維の多い野菜を先に食べることで、糖の吸収を抑えてくれる働きがあります。
また、肉や魚などのたんぱく質が先でも血糖値の急上昇を抑えることがあります。
たんぱく質を多く含む食品は、胃での滞在時間が糖質よりも長く、満腹感を得やすくなります。
パンとオリーブオイルを合わせるといいって本当?
パンと一緒にオリーブオイルを食べることで、糖質の吸収が緩やかになり、血糖値の急上昇を抑制できます。
ただし、オリーブオイルは油ではあるのでエネルギーは多くなります。そのため摂りすぎには注意が必要です。日常での油摂取の量によっても異なりますが、大さじ1杯ほどを目安にするとよいでしょう。
おすすめの食べ方♪
パンに、バターやマーガリンの変わりにオリーブオイルをつけて食べるのが良いでしょう。
また、パンと一緒にサラダを用意し、サラダのドレッシングがわりにオリーブオイルにしても良いでしょう。
低糖質のパンやケーキってどうなの?
低糖質のパンやケーキは、通常のものに比べて血糖値の上昇が緩やかですが、糖質を全く含んでいないわけではないので、多少の血糖値の上昇を招きます。
たとえ低糖質パンだとしても、食べる順番や量に気をつけて食べるほうが良いでしょう。
▼参考
e-ヘルスネット
「低糖質パンの摂取がセカンドミール摂取後の血糖値に及ぼす影響」日本栄養・食糧学会誌2020年73巻4号金本 郁男、金澤 ひかる、内田 万裕、中塚 康雄、山本 幸利、中西 由季子、佐々木 一、金子 明里咲、村田 勇、井上 裕
合わせて読みたい
2021-07-12
「食後の眠気がひどい…」
食べ過ぎや早食いに心当たりがある場合は、血糖値スパイクが疑われます。
また、糖尿病が隠れているケースもあるため、要注意です。
病院に行く目安や、受診すべき診療科も解説します。
なぜ?食後の眠気がひどい…
食後のひどい眠気は、血糖値スパイクという現象が起こっている可能性が高いです。
「血糖値スパイク」とは、血糖値の急激な上昇と下降を指します。
人の体は、食事を摂ると血液中のブドウ糖が増えて血糖値が上昇しますが、膵臓から出るホルモンである「インスリン」の働きによって血糖値が下がります。
しかし、なんらかの原因で食後に血糖値が急激に上がると、膵臓から大量のインスリンが分泌され、その反動で血糖値が急激に下がります。
急激に血糖値が下がると低血糖状態になるため、食後の強い眠気が引き起こされます。
また、血糖値の急激な上下による体の疲労も、眠気の原因の一つです。
「インスリン」の働きって?
インスリンには、食事から摂ったブドウ糖を体に取り込み、エネルギーに変える作用があります。
余ったブドウ糖は筋肉や肝臓に取り込まれて、“グリコーゲン”というエネルギー代謝に必要な物質に変化します。
「血糖値スパイク」が起こる2つの原因
原因① 食べ過ぎ・早食い
食べ過ぎや早食いは、血糖値を急激に上げてしまう原因となります。
急激に血糖値を上げてしまうと、血糖値を下げようとインスリンが大量に分泌され、血糖値が急激に下降して血糖値スパイクが起きます。
原因② ストレス・睡眠不足
ストレスや睡眠不足は、“血糖値を上げるホルモン”が分泌される原因となります。
これにより血糖値を急激に上昇しやすくなるため、血糖値スパイクが起こります。
先生教えて!食後の眠気予防「3つの対策」
食後の眠気を抑えるには、
バランス良い食事(糖質の多い食事は避ける)
食べる順番を考える
1日3食を心がける
といった対策をおすすめします。
対策① バランスの良い食事をとる
血糖値の急激な上昇を抑えるために、糖質に偏らないバランス良い食事を心がけましょう。
主食(ごはん、麺、パン類など)、主菜(肉、魚、卵、大豆製品など)、副菜(野菜)を組み合わせたメニューをおすすめします。
糖質の多い主食だけに偏らずバランスをよく食べましょう。
対策② 食べる順番を考える
野菜、タンパク質
糖質
の順番で食べ進めてください。
食べる順番を考えて食事することで、血糖値の急激な上昇を防げます。
食べ始めは、血糖値の上昇がゆるやかな野菜・タンパク質を摂るようにします。
特に食物繊維は血糖値の上昇を抑えてくれるため、積極的に食べましょう。
ごはん・麺・パン類は糖質が高いため、一番初めに食べると血糖値が一気に上昇してしまいます。
対策③ 1日3食を心がける
欠食せずに、1日3食食べましょう。
欠食をして次の食事までの時間が空くと、血糖値が急激に上昇しやすくなります。
また、可能な限り毎日同じ時間に食事を摂ってください。
時間がなくて食べられない場合は、バナナや味噌汁だけでも口にするようにしましょう。
注意!その眠気…「糖尿病のサイン」かも
糖尿病を発症すると、血糖値のコントロールが難しくなり、血糖値スパイクのように食後の強い眠気が起こります。
これは、血糖値が慢性的に高くなっていることが原因です。
糖尿病リスクが高いのは「こんな人」
肥満傾向
運動不足
身内に糖尿病の患者がいる
食生活が乱れている
などに当てはまる人は、糖尿病の発症リスクが上昇します。
※なお、上記は2型糖尿病(生活習慣による糖尿病)になりやすい人の傾向です。
1型糖尿病の原因はよくわかっておらず、自己免疫の異常が関わっていると言われています。
こんな症状があるときは、病院で相談を
疲れやすい
喉が渇き、水分をよく飲む
頻尿
食べているのに体重が減る
傷が治りにくい
目がかすむ
男性の場合、性機能の異常(ED)
食後の眠気に加え、上記の症状に当てはまる場合は、糖尿病の疑いが強くなります。
症状を悪化させないよう、すみやかに医療機関で相談しましょう。
糖尿病かも…と思ったら。病院は何科?
糖尿病を疑う場合は、まず内科を受診しましょう。
糖尿病は合併症には、神経障害・網膜症・腎障害などがあり、悪化すると失明や足の切断を招いてしまう恐れもあります。
また、動脈硬化による心臓病、脳卒中のリスクも上昇するため、早めの治療が大切です。
どんな「検査」を受けるの?
採血を行い、血液中のブドウ糖の値やHbA1c(過去の1〜2ヶ月の血糖値の平均)調べます。
また、血液中の糖が出ていないか、尿の検査を行います。
より詳しく調べる場合は、75g経口ブドウ糖負荷試験をします。
空腹の状態で血糖値を測り、その後75gのブドウ糖を摂取して、30分後、1時間後、2時間後の血糖値の変動を確認する検査をします。
どんな「治療」を受けるの?
糖尿病の治療方法には、
食事療法
運動療法
薬の処方
インスリン注射
などがあります。
「食事療法」では、血糖値をコントロールするための食事方法を指導します。
「運動療法」では、毎日の適度な運動によって、血糖値を正常に保つことを図ります。
食事、運動だけで改善できない場合は、薬の処方やインスリンを補う注射で治療していきます。
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
糖尿病ネットワーク