“子どもの病気”のイメージが強い水疱瘡。
基本的に「1度かかったら、2度かかることはない」といわれていますが、大人でも水疱瘡にかかってしまうことがあります。しかも、大人の場合、重症化してしまうことも…。
「大人が水疱瘡に感染したらどうすればいい?」
お医者さんに、早く治す方法を聞きました。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
大人でも水疱瘡にかかることがある!
水疱瘡は、子どもに多い病気ですが、大人でも感染するウイルス感染症です。
大人になるまでに、一度も水疱瘡のウイルスに感染していない人もいます。そのような方は、大人になってから感染するリスクがあります。
現在は水疱瘡の予防接種率が高くなっているので子ども時代に感染しなかった人が、免疫が低下したために発症するというパターンもあります。
また、水疱瘡は一度かかると免疫ができるので2度かかることは通常ありませんが、水疱瘡のウイルスは感染後に体の中に潜んでいます。疲れやストレスで免疫が低下している方は体の中のウイルスが活性化して「帯状疱疹」(赤いポツポツができて、その発疹に痛みや痒みが出る)として、発疹が出るという人もいます。
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2022-12-23
帯状疱疹ってどんな病気…?
放っておいてもいいの?
帯状疱疹という病気について、分かりやすくまとめました。
発症する原因や初期症状、治療方法についても解説します。
帯状疱疹とは?
帯状疱疹とは、過去に感染した「水ぼうそうのウイルス」が再活性化することが原因で発症する感染症です。
帯状疱疹になると、体の片側に痛みやチクチクとした感覚、かゆみが生じます。
その後そこに、まわりが赤い小さな水ぶくれがたくさんできます。ピリピリとしたしびれを感じることもあります。
帯状疱疹の症状
体の片側のかゆみ
体の片側の発疹・水ぶくれ
発熱
頭痛
※かゆみ・発疹等は、腕・胸・顔に出ることもあります。
症状の経過
帯状疱疹は、「①かゆみや痛み→②発疹→③水ぶくれ」と症状が変化していきます。
① 痛みやかゆみが出る
体の左右どちらか片側に、はじめは皮膚の痛みやかゆみなどの症状があらわれます。
胸から背中など、上半身に症状が出ることが多く、顔や目の周りに発症することも多いです。
② 紅斑・発疹ができる
痛みやかゆみなどの症状がある箇所に、赤い斑点(紅斑)が出てきます。
その後、虫に刺されたような発疹ができます。
発疹は神経に沿って帯状にあらわれ、数日から1周間ほど続きます。
③ 水ぶくれができる
発疹ができた部分にみずぶくれができます。発疹の中央の部分が膿のようになり、ただれたり、潰瘍のようになったりします。
やがて、かさぶたとなり、自然に枯れて剥がれ落ちます。
皮膚の症状は、一般的には1~2周間から1ヶ月ほどで良くなります。色素沈着が残る人もいます。
帯状疱疹の原因
帯状疱疹は、体内に潜んでいる「水痘ウイルス(水ぼうそうのウイルス)」が原因です。
免疫力が低下しているときにウイルスが活動を再開すると、帯状疱疹を発症します。
帯状疱疹になりやすい人は?
40~50代以上
疲労やストレスがたまっている
睡眠不足
免疫力が低下していると、神経細胞に潜んでいた「水ぼうそうのウイルス」が活性化して、帯状疱疹を発症しやすくなります。
※水ぼうそうに感染した人全員が、帯状疱疹を発症するわけではありません。
帯状疱疹は人にうつるの?
帯状疱疹は、周囲の人に帯状疱疹として感染することはありません。
しかし、過去に感染した水ぼうそうのウイルスが帯状疱疹の原因なので、乳幼児など水ぼうそうにかかったことがない人には、水ぼうそうとして感染することがあります。
帯状疱疹かもと思ったら…
時間をかければ自然治癒しますが、早めにウイルスや痛みを抑えるのがよいため、帯状疱疹の疑いがあったら、皮膚科にいくのがよいでしょう。
病院で処方される抗ウイルス剤を飲めば、自然治癒を待つより早い回復が期待できます。
また、免疫力が低下している状態です。まずは安静にして、食事をしっかりとりましょう。
お家では、お風呂に入ったりホットタオルをあてたりして、体を温めて痛みを和らげましょう。帯状疱疹による痛みは、血行が悪いと強く感じます。
治療内容
抗ウイルス剤の点滴や内服を行います。痛みに対しては鎮痛薬を使用することもあります。水疱には軟膏を塗ります。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
水疱瘡の初期症状
- 赤いプツプツした発疹
- 発熱(38度程度)
- 倦怠感
- 食欲不振 など
発熱とほぼ同時に、発疹が顔・腹部・腕・足などに出ることが多いです。
私は初感染?それとも再発症?
水疱瘡に初めて感染した場合と、再発症した場合で、症状の特徴が違います。
初感染のケース
<症状の特徴>
- 発熱
- 倦怠感
- 全身に赤いポツポツした発疹(発疹→水疱→かさぶた)
※大人の場合は、発疹よりも、発熱やだるいなどの症状が先に出る場合が多いです。
まず、しっかり安静にすることが第一です。
かゆみはできるだけ我慢しましょう。症状がつらいときは、病院を受診しましょう。
発熱は、3〜4日でおさまる場合が多いので、しっかり休息をとりましょう。
発疹はかゆみが強く、同時にズキズキするような痛みも感じます。水疱を潰してしまうと、跡になることが多いので、なるべくかゆみを我慢します。病院では、解熱剤やかゆみ止めを処方する対症療法が基本です。
大人の場合、重症化して脳症・肺炎を発症する可能性もあるので、呼吸が荒い・苦しそうに肩で息をしているといった症状がある場合は、早急に病院を受診してください。
再発症(帯状疱疹)のケース
<症状の特徴>
- 主に上半身に症状が出る
- ピリピリ・チクチクと耐え難い痛み・かゆみのある発疹
眠ることが困難になるほど痛いこともあります。
肩や背中、腹部などの一部に水疱を含む赤い発疹が集まって現れたり、広い箇所に点在したりします。
かゆみと痛みで日常生活を送ることが困難な場合も多いので、早めに病院を受診してください。
疲れやストレスが引き金になることが多いので、体力が戻って元気になると自然に治癒する人もいます。ただし発疹が動けないほどの痛い場合は、さらに悪化する前に薬を飲みましょう。長引くと、症状が3〜4週間続く人もいます。病院では抗ウイルス薬や鎮痛剤・外用薬が処方されます。
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何日くらいで治る?
病院で治療すれば、平均して2〜3日で快方に向かいます。
病院に行かずに放置した場合、治るまでに1ヶ月〜それ以上かかる方もいます。
大人は重症化しやすいって本当?
大人の場合、疲労やストレスがかかっているときに感染しやすいため、子どもがかかるよりも重症化率や死亡率が高くなります。
重症化すると、肺炎(水痘肺炎)や髄膜炎や脳炎などを発症します。
仕事に行ってもいい?
発熱があったり体がだるい場合、発疹が水疱状態の場合は休んだ方がよいでしょう。
体に負担がかかったり、他の人に感染する可能性が高いです。
全身症状がなくなり、発疹が全てかさぶたになったら、ウイルスが飛び散らなくなった証拠です。医師に全身を確認してもらい、出勤するのが望ましいでしょう。
水疱瘡を早く治す方法
発症したら無理をせずに休みをとるのが、早く快方に向かうために大事です。
また水疱瘡の可能性がある人に接触してから3日以内に水疱瘡の予防接種をすれば、8割~9割発症を免れるとされています。(水疱瘡は感染力が高いので抗体のない人が、発症している人に接触するとほぼ感染します。)
お湯に浸かると発疹の痛みや痒みが増すので、シャワー浴にしましょう。
こんな症状がでたら早めに病院へ
- 発疹や水疱の症状が強く、かき壊してしまう
- 40度以上の高熱が2日以上下がらない
- 呼吸がしにくい
- 意識が朦朧とする
何科で診てもらう?
皮膚科を受診しましょう。
治療は、対処療法が取られます。
皮膚科を探す
家族や友人にうつさないために
予防接種を受けていない人とは接触しないようにします。咳や唾液からも感染するので、マスクを着用しましょう。
※今までに水疱瘡にかかったことがない人は、予防接種を受けるようにしましょう。タオル等は、ウイルスが付着している可能性があるので、共有しないでください。
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2020-05-21
発熱後に発疹が!
これは一体何?
お医者さんに対処法を聞きました。
受診目安や病院に行く前に気をつけてほしいことも解説します。
何科に行く?仕事は行ってもいい?お風呂は?といった疑問についてもお答えします。
なぜ出る?大人の発熱後の発疹の原因
代表的な原因として、
麻疹(はしか)
水疱瘡
りんご病
デング熱
発疹チフス
が考えられます。
それぞれの「症状の特徴」と「治し方」を解説します。自分に当てはまる症状がないか、確認してくださいね。
原因1.麻疹(はしか)
麻疹ウイルスによる、急性の感染症です。
熱は一回下がりますが、再度発熱し、全身に発疹が現れます。発疹は首・おでこ・耳の後ろから始まり、最終的に全身に生じます。肺炎、脳炎、中耳炎等の合併症を併発する可能性もあるため注意が必要です。
<発疹の特徴>
赤く平らな発疹がでる
その後発疹が盛り上がり、約1mmの白っぽい凸凹状になる
発疹を指で押すと色が退色する
<それ以外の症状>
咳/鼻水/39度以上の高熱/倦怠感/結膜充血等
口の中の粘膜に、斑点(コプリック斑)が現れるケースも
麻疹の治し方は?
発熱や発疹があった場合、麻疹かもと思った場合は病院へ行きましょう。
麻疹に対する特別な治療法がないため対症療法がメインで行われます。
肺炎、中耳炎等の細菌性の合併症を併発した際は、抗菌薬を用いた治療が行われる場合があります。
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原因2.水疱瘡
子どもの病気のイメージが強いですが、大人が感染することもあります。
ウイルス感染後、14日間ほどの潜伏期間ののち、発熱や倦怠感が生じます。
<発疹の特徴>
かゆみを伴う赤い発疹
粘性の液体を含む水疱や膿疱
<それ以外の症状>
発熱/倦怠感
水疱瘡の治し方は?
水疱瘡の疑いがあるときは、皮膚科を受診してください。
原因ウイルスの増殖を抑制するため、抗ウイルス薬での治療や発熱、かゆみの症状を緩和させるための治療が行われます。
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原因3.りんご病(伝染性紅斑)
ヒトパルボウイルスに感染して、発疹や風邪と似た症状が出現します。
稀に脳炎を起こしたり、妊婦の方は流産の恐れがあったりするため、軽視するのは危険です。
<発疹の特徴>
(顔に)蝶々のような形の赤い斑点
(手足に)蕁麻疹のような発疹
<それ以外の症状>
発熱/寒気/筋肉痛/喉の痛み/倦怠感等
りんご病の治し方は?
通常は自然治癒します。
高熱(38度以上)でつらい
妊娠している
という場合は、内科を受診してください。
病院では、症状に合わせた対症療法が行われます。
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原因4.デング熱
発症後、3~4日程度たってから発疹が出始めます。
稀に重症化すると、デング出血熱、デングショック症候群を起こす場合があるため、早期発見、早期治療開始が重要です。
<発疹の特徴>
赤い発疹
体の中心(体幹・胸部)から手足や顔へと広がる
<それ以外の症状>
発熱/頭痛/吐き気/嘔吐/関節痛等
デング熱は治し方は?
病院で早期治療を行いましょう。
出現している症状に合わせた対症療法が行われます。
発熱や痛みがある場合は、アセトアミノフェン等の薬剤を用いた治療が行われる場合があります。
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原因5.発疹チフス(リケッチア症)
発熱から2~5日程度経過した時点で、体幹に発疹が出現します。重症化すると、精神神経障害(うわごと、幻覚、錯覚、意識混濁等)が現れる場合があります。
<発疹の特徴>
腕・足から全身に広がる
初期段階の発疹(ピンク色)は、指で押すと色が消失する。
徐々に指で押しても消失しない暗紫色になる。
<それ以外の症状>
39度以上の高熱/寒気/頭痛/吐き気/嘔吐/脱力感/手足の痛み等
発疹チフスの治し方は?
発疹チフスの疑いがある場合はすぐに病院に行きましょう。
発熱してから2週間程度経過すると、急に熱が下がるという特徴があります。
テトラサイクリン系の抗菌薬を用いた治療が行われるケースが多いです。
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病院へ行くべき?
次のような症状が現れた場合は、早急に病院を受診しましょう。
皮膚の色が蒼白、暗紫色
高熱が続く
倦怠感が続く
激しい嘔吐、腹痛等が続く
水分等が摂れず脱水状態
発疹が化膿した
発疹(水ぶくれ)がどんどん増た
呼吸困難がみられる
発熱がある場合は、水分補給をこまめに行い、脱水症状を起こさないようにしてください。
※“人に感染する発疹”の場合、病院に行く前に事前に電話をして、症状を伝えるようにしてください。
病院は何科?
内科または皮膚科を受診しましょう。
発熱などの全身症状を伴う→内科
発疹など皮膚症状のみ→皮膚科
に行くとよいでしょう。
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お医者さんへ伝えるポイント
いつ頃から発疹が生じているのか
発疹の状態(発疹の色/かゆみの有無/数の増減)
発疹が出現してからの体調の変化
発疹以外の症状の有無
海外渡航歴について把握しておく
症状がでてから毎日検温し、症状を記録しておきましょう。
発疹を写真に撮って、病院へ持参するのもおすすめです。
仕事は行っても大丈夫?
麻疹→解熱後3日間は自宅待機が必要とされています。
水疱瘡→軽症であっても、発疹が全部かさぶた状になるまで安静にして過ごすことをおすすめします。
りんご病→発熱などの症状が治れば、特に他に感染するリスクは低くなります。ご自身の症状が落ち着いたら出勤しましょう。
デング熱・発疹チフス→他の人への感染リスクがあるので、医師の許可が出るまでは自宅待機をしましょう。
お風呂は入っても大丈夫?
熱が続いている
水ぶくれ状の発疹が増えている
等は、症状が落ち着くまでお風呂は控えましょう。
その場合は、短時間のシャワーや濡らしたタオル等で体を優しく拭いてください。
▼参考
厚生労働省 デング熱について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000131101.html
京都府 感染症緊急情報
https://www.pref.kyoto.jp/kentai/260903kansenkinkyuu.html
NIID国立感染症研究所 発しんチフスとは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/517-typhus.html
国立がん情報センター がん情報サービス 発熱
https://ganjoho.jp/public/support/condition/fever.html
NIID国立感染症研究所 麻疹とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/518-measles.html
NIID国立感染症研究所 水痘とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/418-varicella-intro.html
NIID 国立感染症研究所 伝染性紅斑とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/443-5th-disease.html
NIID 国立感染症研究所 デング熱とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ta/dengue/392-encyclopedia/238-dengue-info.html
東京都感染症情報センター デング熱
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/dengue/
東北大学病院 デング熱について総合感染症科の具先生に聞きました
https://www.hosp.tohoku.ac.jp/release/news/3076.html