離乳食が始まったら…赤ちゃんの口の周りがカサカサ、ブツブツに…。
これはよだれかぶれ?
それともアレルギー反応?
お医者さんに、判断のポイントを聞きました。なかなか治らない場合の対処法も解説します。
監修者
経歴
公益社団法人 日本小児科学会 小児科専門医
2002年 慶應義塾大学医学部を卒業
2002年 慶應義塾大学病院 にて小児科研修
2004年 立川共済病院勤務
2005年 平塚共済病院小児科医長として勤務
2010年 北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室勤務
2012年 横浜市内のクリニックの副院長として勤務
2017年 「なごみクリニック」の院長として勤務
2020年 「高座渋谷つばさクリニック」院長就任
「よだれかぶれ」と「アレルギー反応」の見分け方
かぶれや発疹の出方、出るタイミングが違います。
食事後の皮膚の状況を観察しましょう。
よだれかぶれは、徐々に現れてきます。
長時間よだれが口周りにあり、皮膚が濡れてかぶれてしまうのです。
一方、口周りのアレルギー反応は、食品が皮膚や口の粘膜に触れ、食事中~食事の後30分以内に赤みやかぶれ・ブツブツなどの症状が現れます。
よだれかぶれの対処
よだれかぶれは、唾液が長時間ついていることが原因で起こります。
通常、皮膚は、皮脂膜で守られています。よだれ(水分)が多いことで皮脂膜の保護が足りなくなり、炎症・かゆみ・ただれを引き起こします。
よだれかぶれのケア方法
よだれかぶれの状態になっているときは、炎症止め配合の薬を皮膚科あるいは小児科でもらいましょう。
薬は、口周りを清潔にした後、薬を塗ります。ぬるま湯などで濡らしたタオルやティッシュで、皮膚をこすらないように汚れを取り除いて薬を塗ってください。
「よだれかぶれかもしれない」というときは、口周りが荒れないように保湿剤か薬でケアをしましょう。口周りが汚れたら、「汚れを拭き取り、保湿剤を塗る」という対処を繰り返しましょう。
口まわりにかぶれがなくなってから、与える食品を増やしていくと、口周りの異常反応が見分けやすくなります。
アレルギー反応の対処
食事中~食後30分以内で、口周りに赤み・痒み・ブツブツなどが出たときは、「一時的な皮膚の反応」なのか「食物アレルギー反応」なのか確認が必要です。
皮膚反応が、「食品がついた口周りだけ(一時的な皮膚反応)」なのか「腹痛や呼吸困難など全身症状がある(アレルギー反応)」のかを確認してください。
食べ物がついた皮膚だけに症状がでて全身症状ない場合は、アレルギーではなく、食品の刺激による皮膚の反応と考えます。別の日にまた同じ量か減らした量の食物を与えます。特に発疹や異常がでなければ、問題ありません。少しずつ量を増やしていきましょう。(醤油や味噌などの塩分、果物に汁など、一時的に軽い反応が出るものがあります。)
アレルギー反応の対処法
食品がついた皮膚にのみ反応があるときは、まずは問題ないでしょう。少しずつ量を増やして食べさせてみましょう。
食べ物がついていない箇所にも何らかの反応(赤み、湿疹、腹痛や咳など)がある場合は、食物アレルギーの疑いがあります。病院に相談しましょう。
※離乳食を始めたら、初めて与えるものは、与えた日時・時間・量などのメモを取っておきましょう。
※アレルギーがあると急激に体調が変わることもあるので、新しい食べ物は、病院へ行ける時間(日中)に自宅で与えるようにしましょう。
「原因がわからない」「なかなか治らない」ときは、小児科へ
なかなか改善しないときは、小児科を受診しましょう。
初めて与えた食べ物がある日に、何らかの不良がある場合は自己判断せずに、念のため病院受診をしましょう。
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2020-06-02
「赤ちゃんに蕁麻疹が…!」
「すぐ消えるけど…よく繰り返す」
蕁麻疹は、赤い小さなプツプツが出て、その腫れがくっ付いて大きな腫れになります。赤ちゃんに蕁麻疹が出たときの親がすべき対処法をお医者さんに聞きました。
応急処置や、病院に行くべき目安についても解説します。
なぜ?赤ちゃんの蕁麻疹の原因
赤ちゃんの体は未発達で刺激に弱く、様々なことが蕁麻疹の原因となります。
食物アレルギー
細菌感染
ウイルス感染
寒暖差
紫外線
ストレス
物理的な刺激(振動や運動など)
発汗(入浴、運動など)
薬(解熱剤や抗生物質など)
蕁麻疹は、母乳が原因?
母乳が原因になっているんじゃないかと不安です。
ママが食べた物は数時間で母乳に移行しますが、その量はとても微量です。それが蕁麻疹を引き起こすとは考えにくいです。
ただし、もし飲ませるたびに蕁麻疹が出るというような場合は、早めに病院に相談してください。病院では、ママの食べ物の偏りがないか、赤ちゃんのアレルギーがないかを確認し、食生活指導などが行われます。
※授乳するときは肌が密着して赤ちゃんの体温が上がるので、寒暖差によるアレルギー反応のケースもあります。
蕁麻疹の原因がわからない!
原因を特定するためには、蕁麻疹が出た前の行動を記録につけておくとよいでしょう。病院で医師が判断する基準になります。
初めての蕁麻疹の後は、
直前に食べたもの
直前の行動
環境(温度・シチュエーション・近くにあるもの等)
を記しておきましょう。何度も蕁麻疹を繰り返す場合は、皮膚科を受診し、医師に皮膚状態を確認してもらいましょう。
それでも原因が特定できない場合もあります。
また、汗や運動といった避けられないことが原因となっていることも多いです。
蕁麻疹は長時間続くものではないので、応急処置を覚えて対処するようにしましょう。
また、何度も繰り返す場合は皮膚科の医師に相談をしましょう。
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蕁麻疹の応急処置
腫れとかゆみだけであれば、患部を冷やしてあげましょう。
腫れているとびっくりすると思いますが、冷たいタオルやタオルで包んだ保冷剤をあてて、かゆみを抑えてあげましょう。
※保冷剤を直接赤ちゃんの肌にあてるのはやめましょう。
ケース1.蕁麻疹がすぐ消える
通常は、蕁麻疹はすぐに消失します。
蕁麻疹は、短ければ数十分程度で無くなってしまいます。1度出た程度であれば心配しなくても大丈夫です。
ただし、かゆみだけではなく「息苦しそう」「意識が朦朧としている」といった症状がある場合は、すぐに救急で病院を受診しましょう。
ケース2.蕁麻疹を繰り返す
蕁麻疹を繰り返す場合は、皮膚科の医師の診察をうけましょう。
蕁麻疹の原因がわからず何度も繰り返す場合、「疲れ」や「体調不良」が要因になっていることもあります。蕁麻疹が出た後は、無理をさせずに安静にして静かに過ごしましょう。
皮膚症状のみであれば、成長とともに蕁麻疹は減少していくケースが多いです。
しかし、蕁麻疹とともに発熱などの症状がある場合は内臓疾患が原因となっていることもあります。一度、医師に相談をしましょう。
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病院の受診目安
・蕁麻疹を繰り返す
・皮膚以外にも症状がある(発熱など)
という場合は、一度皮膚科を受診しましょう。
特に、呼吸がおかしい・意識が朦朧としているといった場合には、早急に病院受診が必要です。
お医者さんへの説明のしかた
赤ちゃんの蕁麻疹をどう説明したらいいのかわかりません…。
1.蕁麻疹が出る前の行動の詳細
2.蕁麻疹が出た後の赤ちゃんの様子
を伝えるのがよいでしょう。
例えば、
蕁麻疹が出たときにいた「場所」、「やっていたこと」、「食事内容」を伝えましょう。
蕁麻疹が出た後に、赤ちゃんの体調の変化があれば、あわせて伝えてください。
皮膚科?小児科?どっち?
皮膚科を受診しましょう。
もし近くにない場合は、小児科でもかまいません。
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参考
公益社団法人日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 蕁麻疹Q13蕁麻疹の治療方法は?
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa9/q13.html
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2020-06-05
「顔の湿疹が治らない!」
湿疹の原因と対処法をお医者さんに聞きました。
早く治す方法をはじめ、やってはいけない対処法も解説します。
病院へ行った方がいい症状もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
なぜ?顔の湿疹が、なかなか治らない!
顔の湿疹がなかなか治らない場合、アレルギー反応の可能性があります。
また、肌状態は健康状態にも左右されます。ストレスや疲れ、食生活の乱れなどでも湿疹が治らないがあります。
<アレルギーの原因の例>
花粉
ハウスダスト
乾燥
メイク
シャンプー
ボディソープ
金属
ずっと治らないと…どうなっちゃうの?
湿疹が慢性化すると、皮膚が硬くなり、黒ずみや跡が残ることがあります。
先生教えて!早く治す方法は?
「スキンケアのコツは?」「市販薬を何を選べばよいの?」
自宅でできる顔湿疹のセルフケア方法をご紹介します。
洗顔方法
皮脂の表面についた汚れをしっかりと洗い流すことが大切です。
<スキンケアの4ポイント>
低刺激の石けんを使う
優しく洗う(こすりすぎない)
石けんは少量を泡立てて使う
石けんが残らないように、しっかりすすぐ
スキンケアの方法
しっかり石鹸を洗い流した後は、乾燥を防ぐため保湿をします。
乾燥がひどくないときはローションタイプ、乾燥がひどい時はクリームタイプがおすすめです。まずは手を清潔にして行いましょう。こすらずに、力を入れず塗ります。傷口がある場所は避けましょう。
<ローションの場合>
適量を手のひらにとり、その後、手のひらで皮膚に馴染ませるようにやさしく伸ばします。
<クリームの場合>
人差し指でクリームをとって、肌に点在させ、その後、手のひらで皮膚に馴染ませるようにやさしく伸ばします。
皮膚の乾燥は湿疹や痒みの悪化につながります。保湿剤は刺激の少ないものを選び、優しく全体に伸ばすように塗りましょう。
市販薬の選び方
皮膚の炎症を抑えるもの:ステロイド外薬
痒みを伴うもの:抗ヒスタミン薬
原因にもよりますが、基本はステロイド外薬を使用します。
しかし、自己判断はせずに病院を受診することをおすすめします。
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やってはいけない“絶対NG”ケア
皮膚を清潔するために、強い力で顔を洗うと皮膚を傷つけてしまい、逆効果になります。
また、1日のうちに何度も洗顔を行うと、皮膚が乾燥してバリア機能が低下してしまうため、注意しましょう。洗顔は、1日2回~3回ほどでよいでしょう。
セルフケアでは治りにくいことも!
セルフケアでは湿疹の原因がわかりません。
そのため、皮膚科を受診して、原因にあった薬を処方してもらうことをおすすめします。
肌荒れで、皮膚科に行ってもいいの?
肌荒れで皮膚科を受診しても大丈夫です。
肌荒れの原因は、人によって様々です。
そのため、原因を突き止めて正しい治療をすることが、早く治すためには必要になります。
また、合わない市販薬を使い続けるより、症状に合った薬を使う方が、金銭的にも安く済みます。
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湿疹が出る病気の場合も…
湿疹がでる「病気」のケースもあります。
病気1. 光線過敏症
日光アレルギーとも呼ばれます。
日光に皮膚が過敏に反応して、炎症が生じることをいいます。
<湿疹の特徴>
日光にあたると、赤くなり炎症を起こす
皮膚が腫れる
水ぶくれができる
かゆみを伴う
病気2. 帯状疱疹
水疱瘡のウイルスによって発症する感染症です。水疱瘡にかかったことのある人なら、誰でもなる可能性があります。
体の片方だけ(右半身だけ、左半身だけ)に症状が出ている場合は、帯状疱疹の可能性が高くなります。
水疱瘡は、治癒してもウイルスが体内に残っています。
ストレスや疲れ、加齢などが原因で免疫力が低下した際に、潜伏していたウイルスが活性化し、皮膚に発疹が起こります。
<湿疹の特徴>
数日間、神経痛のような痛みがある
水ぶくれのような赤い発疹が現れる
強い痛みが起こる
病気3.アトピー性皮膚炎
肌のバリア機能が低下し、皮膚が炎症を起こし、かゆみや湿疹を繰り返す病気です。
<湿疹の特徴>
かゆみがある
赤みやささくれだって皮が剥ける
良くなったり、悪くなったりを繰り返す
病気4.全身性エリテマトーデス
原因が不明な難病です。
自分の体を自分の免疫が攻撃をし、自己免疫反応により自分の体に様々な炎症が起こる病気です。
38度以上の発熱や全身倦怠感、関節痛などの症状が現れます。
<湿疹の特徴>
顔や耳、首の周りなどに蝶の羽のような紅斑がでる
痛みやかゆみはない
こんな症状なら皮膚科へ
基本的に、湿疹が出たら早めに皮膚科を受診しましょう。
跡が残ってしまったり、早く治すのを予防するためにも、早期受診が大切です。
特に、
湿疹が増える
湿疹に痛みがある
発熱
疲労感
全身倦怠感
食欲不振
という症状を伴う場合は、悪化していたり、深刻な病気の可能性もあるのですぐに受診するようにしましょう。
病院での治療法
塗り薬や飲み薬で治療を行います。
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参考
公益財団法人 日本皮膚科学科会
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa7/s2_q05.html
第一三共ヘルスケア ひふ研
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_hifuken/symptom/shisshin/
かゆみナビ
https://www.kyowakirin.co.jp/kayumi/
東京医科大学病院 お薬のしおり
https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/yakuzai/data/138.pdf