体のあちこちに湿疹ができていてかゆい…なぜ?
全身に湿疹ができてかゆくなる原因について、お医者さんに聞いてみました。
内臓からくる湿疹の特徴や病院に行く目安も解説します。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
かゆい!体のあちこちに湿疹が…これは何?
48時間以内に湿疹がおさまる場合は、「アレルギー性蕁麻疹」が疑われます。
アレルギー性蕁麻疹は、食べ物や薬の服用、虫刺され、化粧品・洗剤の使用などをキッカケに発症することがあります。特に、体調がすぐれないときに起きやすいです。
免疫細胞がタンパク質を外敵とみなして取り込んでしまい、かゆみを起こす「ヒスタミン」が放出されることで皮膚がかゆくなります。病気が隠れていない場合は、自然に症状がおさまることが多いです。
かゆすぎる…どうすればいい?
といった対処を行うことで、かゆみを軽減できるでしょう。
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2022-11-25
季節の変わり目は湿疹ができやすいってホント?
季節の変わり目に「全身に湿疹ができる理由」について、お医者さんに聞いてみました。
季節ごとにありがちな原因と対処法を紹介するので、湿疹に悩んでいる人は必読です。
なぜ?季節の変わり目に全身に湿疹が出る
季節の変わり目に湿疹ができている場合、下記の原因が考えられます。
季節
原因
春に多い
花粉による肌への刺激
夏に多い
紫外線
秋に多い
夏のダメージを受けた肌・寒暖差
冬に多い
肌の乾燥
なお、季節を問わず「睡眠不足」「食生活の乱れ」「スキンケア不足」などは、湿疹ができる要因となります。
以下、湿疹ができる「よくある原因」について、季節ごとに見ていきましょう。
【春に多い原因】花粉による肌への刺激
冬は肌が乾燥するため、バリア機能が低下しやすいです。
そこに、春先に増える花粉などの刺激が加わると、炎症を引き起こし、湿疹の原因となります。
特に、花粉にさらされる首や顔に湿疹ができやすいため、スキンケアが大切です。
春に湿疹ができやすい人の特徴
乾燥肌
アトピー体質
睡眠不足
など
春に多い「花粉による湿疹」の症状チェック
肌がヒリヒリする
肌がカサつく
肌に赤みがみられる
首や顔に湿疹ができる
化粧品のノリが悪くなる
【夏に多い原因】紫外線
7~8月頃になると、紫外線や冷房による空気の乾燥の影響で、肌のバリアが低下し、湿疹ができやすくなります。
夏に湿疹ができやすい人の特徴
外にいる時間が長い
アトピー体質
不規則な生活を送っている
スキンケアが不足している
など
夏に出やすい湿疹の症状チェック
肌がカサカサする
毛穴が目立つ
【秋に多い原因】夏のダメージを受けた肌・寒暖差
10~11月頃になると、夏の紫外線で受けたダメージや空気の乾燥によって、肌のバリア機能が低下し、湿疹ができると考えられます。
また、ブタクサなどの花粉が刺激となり、湿疹の原因となるケースも多いです。
秋に湿疹ができやすい人の特徴
夏に紫外線をたくさん浴びた
乾燥肌
アトピー体質
不規則な生活を送っている
スキンケアが不足している
など
秋に出やすい湿疹の症状チェック
肌がカサつく
洗顔後に肌がつっぱる
化粧のりが悪い
【冬に多い原因】肌の乾燥
冬の時期は空気が乾燥しているため、肌の水分量が減り、バリア機能が低下します。
さらに、「熱い湯船につかる」「暖房が効いた部屋で過ごす」ことも多くなりがちなため、肌が乾燥し、湿疹ができやすいです。
「保温インナー」が影響している可能性も
冬は、衣類の下に「保温インナー」を着用する人が多いです。
このインナーによく使われている「吸湿発熱繊維」という繊維により、汗などの水分が熱に変換され、湿疹の原因となっていることも考えられます。
特に肌が乾燥しやすい人は、皮膚の赤み・かゆみ・ぶつぶつなどの症状が出やすいです。
寒い時期に「保温インナー」をよく着るという人は、素材を綿100%のものに変えてみるとよいでしょう。
冬に湿疹ができやすい人の特徴
冷え性
乾燥肌
アトピー体質
睡眠不足
など
体が冷えると血行不良になり、肌の代謝が悪化して湿疹が出やすくなります。
冬に多い「肌の乾燥による湿疹」の症状チェック
肌のカサつき
肌が粉をふいている
肌のかゆみ
季節の変わり目の湿疹のセルフケア
肌をこすらずに優しく洗う
保湿クリームや乳液で肌の乾燥を防ぐ
紫外線対策をする
6~8時間程度の睡眠時間を確保する
ビタミンBを積極的に摂取する
湿疹を予防するには、上記のセルフケアが効果的です。
対処法① 肌をこすらずに優しく洗う
洗顔や体を洗う時は、肌への摩擦を起こさないように、優しく洗いましょう。
\洗うときのコツ/
ボディーソープ・洗顔料を泡立てる
泡を肌にのせて優しく洗う
ぬるま湯で洗い流す
また、熱いお湯は肌の乾燥の原因となります。入浴する際は、40度以下のぬるま湯に20分以内で済ませましょう。
対処法➁ 保湿クリームや乳液で肌の乾燥を防ぐ
洗顔後やお風呂上りに、保湿クリームや乳液で肌を保湿しましょう。
肌に負担をかけないように、優しく伸ばすように塗ってください。
保湿剤で肌の乾燥を防ぎ、バリア機能を保つことで、湿疹を予防することにつながります。
防腐剤・アルコール・香料などが含まれる保湿剤は、肌への刺激となる可能性があるため、注意して使用するようにしましょう。
対処法③ 紫外線対策をする
外出する際は、
日焼け止めを塗る
日傘や帽子を利用する
などで、紫外線対策をしましょう。
紫外線対策は、夏だけでなく1年を通して意識してください。
紫外線は肌のバリア機能を低下させるため、湿疹予防のために対策が必要です。
日焼け止めは、「肌に負担が少ない」「石けんで洗い流せる」ものを選びましょう。
対処法④ 6~8時間程度の睡眠時間を確保する
6~8時間程度を目安に、しっかりと睡眠時間を確保しましょう。
朝すっきりと目覚められるように、0時までには寝るように心がけてください。
入眠の1~2時間前にぬるま湯につかると、眠りにつきやすくなります。
睡眠中は肌の細胞が修復・再生する時間なので、しっかり睡眠をとることで、湿疹などの肌トラブルを予防できます。
対処法⑤ ビタミンBを積極的に摂取する
卵や納豆などの、ビタミンB群が豊富な食品を積極的にとりましょう。
ビタミンB2やビタミンB6には、「皮膚・粘膜の健康を保つ働き」や「タンパク質の代謝を促進して健康な肌を作る働き」があります。
ビタミンBを豊富に含む食品
卵
納豆
マグロ
鮭
赤パプリカ
ほうれん草
アーモンド
バナナ
水溶性のビタミンB群を無駄なく摂取するために、スープや炊き込みご飯にしたり、生の状態で食べたりするのがおすすめです。
こんな湿疹は要注意!
湿疹が広がってくる
ジュクジュクしてくる
水ぶくれができる
かさぶたができる
腫れ・痛みが出現する
発熱を伴う
上記の症状が見られる湿疹は、「とびひ(伝染性膿痂疹)」が疑われます。
とびひとは、患部に「黄色ブドウ球菌」や「A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)」などの細菌が感染している状態です。
アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患がある人や、湿疹を掻きむしってしまう人は、発症しやすいので要注意です。
特に、こんな症状は早く病院へ
湿疹の範囲が広がっている
かゆくて眠れない
等の症状がある場合は、「皮膚科」で受診してください。
皮膚科では、アレルギー検査で何に対してアレルギーがあるのか調べてもらえるため、今後の予防にもつながります。
受診時に伝えるとよいこと
全身に湿疹が出始めた時期
花粉症などのアレルギーの有無
湿疹以外に悩んでいる症状
アトピーの有無
過去にかかったことがある病気
受診の際に上記の点を伝えると、診察がスムーズに進むと考えられます。
皮膚科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
ユースキン製薬株式会社:季節の変わり目は肌荒れに注意!肌荒れが起こる原因とは
田辺製薬株式会社:かゆみや赤み、湿疹…乾燥による冬の皮膚トラブルにどう対処する?
株式会社明治:季節の変わり目・体調で肌が荒れがち。原因と対策を知ってすべすべ肌に
第一三共ヘルスケア株式会社:湿疹・皮膚炎の予防
ただし、湿疹が48時間以上続くときは病院へ!
- 湿疹が48時間以上続く
- 顔・唇・舌が腫れている
- 呼吸が「ゼイゼイ」または「ヒューヒュー」している
- 発熱・リンパ節の腫れを伴う
- 目が黄色い
- かゆみだけでなく痛みを伴う
上記に該当する場合は、何らかの病気が疑われます。
まずは、かかりつけ医に相談するか、「皮膚科」を受診してください。
アレルギーの検査をしても特に異常がなければ、ガンなどの病気も疑われます。ガンの場合は自覚症状が出てからでは手遅れになってしまうこともあるので、早期発見が大切です。
心配であれば、48時間を待たずに病院へ行っても構いません。
「かゆみを伴う湿疹」考えられる5つの原因
体のあちこちに湿疹が出る場合、上記の原因が考えられます。
よくある原因① 食べ物
湿疹を引き起こす原因に思い当たるものがない場合は、食べ物により湿疹が引き起こされている可能性があります。
食後、小腸で吸収されたタンパク質(ペプチド)に、免疫細胞が反応してしまうため湿疹やかゆみが出ます。
特に、
- 不規則な生活を送っている
- 体調を崩している
- 病み上がり
といった人は、免疫力が低下しているため、症状が出やすいです。
食べ物が原因の場合、症状は30分~12時間でおさまります。
湿疹を繰り返さないために、規則正しい生活を送り、疲れをためないようにしましょう。
よくある原因② 薬
薬によってアレルギー反応が引き起こされ、かゆみを伴う湿疹が体のあちこちに出ることがあります。
特定の薬を飲むようになってから2週間~1年経過している場合、薬が原因で症状が出ている可能性が疑われます。
薬を飲んでいるうちは湿疹が治らないので、心当たりがある場合はかかりつけ医に相談しましょう。
よくある原因③ 虫刺され
虫に刺される・噛まれる・触るなどした場合、虫の毒により炎症を起こして、かゆみを伴う湿疹が出ることがあります。
また、一度刺された虫にもう一度刺されると、アレルギー反応によって「湿疹」や「腫れ」を起こすこともあります。
虫刺されによる湿疹は、1週間程度でおさまることが多いです。
外で過ごすときは、防虫スプレーを使いましょう。
よくある原因④ 感染症
「水疱瘡」「はしか」などの感染症にかかると、湿疹が出てかゆみを伴うことがあります。
予防接種をしていない幼児に多いです。
症状は3日~1週間くらいでおさまります。
医療機関を受診して、かゆみ止めを塗ってあげましょう。
よくある原因⑤ 化学物質
特定の化学物質に対してアレルギー反応を起こしている状態です。
自宅に使われている塗料や建材、皮膚に接触する洗剤や化粧品などでも起こります。
アレルギー体質や敏感肌の人は、症状が起こりやすい可能性があります。
アレルギーを起こす原因
- 家に使われている塗料・建材
- 洗剤
- 化粧品
- 食品添加物
「引っ越しをした」「普段使っている生活用品を変えた」などがキッカケになると考えられます。
原因を取り除けば、1週間ほどで治ることが多いです。
内臓の病気が疑われるケースも
症状が長引く場合は、「胃ガン」「腎臓病」などの内蔵の病気により湿疹が出ている恐れがあります。
また、「悪性リンパ腫」や「白血病」、「糖尿病」などの病気が原因となっている可能性も考えられます。
【要注意】こんな症状は病気の疑いアリ
症状・特徴
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疑われる病気
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- 首やわきの下の皮膚が黒く変色して厚くなる
- ドブ・便のような口臭
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胃ガン
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腎臓病
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- 発熱・寝汗をかく
- 皮膚炎・しこりができる
- 全身に赤く盛り上がった湿疹(紅斑)ができる
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悪性リンパ腫・白血病
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糖尿病
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体中にかゆみを伴う湿疹があり、上記の症状にも心当たりがある場合は、早急に医療機関を受診してください。
まずは「皮膚科」で相談するとよいでしょう。または「かかりつけ医」に相談してもかまいません。
医師に伝えるポイント
- かゆみを伴う湿疹が出始めた時期
- 湿疹以外の気になる症状
- 現在服用している薬
- 思いあたるキッカケ(食べたもの・触ったもの等)
受診の際に上記を伝えると、診察がスムーズに進むと考えられます。
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2023-01-30
最近、湿疹がよく出る…。
もしかして病気のサイン?
病気の症状として湿疹が出ることはあるのか、お医者さんに聞いてみました。
早急に治療が必要な病気が隠れていることもあるので、症状に心当たりがないかチェックしましょう。
湿疹は病気のサイン?
最近、湿疹がよく出ます…。
何か病気にかかっている可能性はありますか?
はい。内臓の病気により肌のバリア機能が低下することで、皮膚の乾燥を招き、湿疹が出る場合があります。
こんな湿疹は要注意!「内臓の病気」の可能性あり
原因が分からない肌荒れを伴う
背中・腹部・太ももの内側などに湿疹ができている
湿疹の範囲が広い
皮膚全体の色が変わっている
全身にかゆみを伴う
いつまでも治らない
何度も同じ場所に湿疹ができる
上記に当てはまる場合は、病気が原因で湿疹が出ている可能性があります。
皮膚炎による湿疹の可能性も高い
肌に刺激が加わった部分に湿疹ができている場合は、「皮膚炎」のケースが多いです。
肌の刺激になりやすい要因として、
外気が乾燥していた
エアコンなどの風を直接受けていた
強い紫外線を浴びた
刺激物質を触った
虫に刺された
などが挙げられます。
この場合、かゆみが強いときは、保冷材などをタオルに巻いて冷やすとよいでしょう。
湿疹を伴う内臓の病気
肝臓病
慢性腎臓病
糖尿病
病気① 肝臓病
急性肝炎・肝硬変・肝臓ガンなどの肝臓病による皮膚症状として、湿疹が出る場合があります。
肝臓の病気は、肝臓への長期的な負荷やウイルスなどへの感染が原因となることがあります。
湿疹以外に、腹部のしこり・圧迫感・黄疸といった症状が出現します。
「肝臓病」の湿疹の特徴
手のひらに赤い斑点(手掌紅斑)ができる
顔・首・胸などに糸くず状の赤い発疹ができる(クモ状血管腫)
肝臓の病気は、自然に治ることはありません。
放置すると命に関わる恐れがあるので、早急に医療機関を受診しましょう。
まずは「皮膚科」を受診してください。
肝臓などの病気が疑われる場合は、他の診療科を紹介してもらえます。
皮膚科を探す
病気② 慢性腎臓病
慢性腎臓病は、腎臓が機能低下を起こしている状態です。
腎臓の機能が低下すると、血液・皮膚に老廃物がたまります。
その結果、「全身のかゆみ」や「皮膚の乾燥」が起こり、湿疹があらわれることがあります。
慢性腎臓病を引き起こす原因はさまざまです。
特に「糖尿病」と「高血圧」の影響が大きいと考えられており、ほかに肥満・加齢・細菌感染・自己免疫疾患などが原因となることもあります。
「慢性腎臓病」の主な症状
血尿
貧血
倦怠感
むくみ
尿量の減少、もしくは増加
慢性腎臓病は、自然に治ることはないため、早めに医療機関を受診しましょう。
治療が遅れると、薬物療法や食事療法では間に合わず、透析治療が必要になってしまいます。
湿疹の状態を診てもらうために、まずは「皮膚科」を受診してください。
皮膚科を探す
病気③ 糖尿病
糖尿病は、血液中の糖の量をコントロールできず、血糖値が高い状態が続いてしまう病気です。
血糖値が高い状態が続くと、血液中のブドウ糖を排出するために多尿になり、脱水気味になります。
そのため、肌の乾燥・肌のバリア機能の低下を招き、湿疹が出ることがあります。
「糖尿病」の主な症状
体が疲れやすい
異常にのどが渇く
皮膚の乾燥やかゆみ
頻尿
傷が治りにくい
糖尿病を疑う場合は、まず医療機関を受診しましょう。
治療せずに放置すると、全身の臓器に障害が起こり、命に関わる恐れがあります。
まずは「皮膚科」を受診して、湿疹の状態を診てもらいましょう。
皮膚科を探す
湿疹が治らないときは病院へ
3~7日様子を見ても快方に向かっていない場合は、病院を受診しましょう。
進行すると湿疹が広がったり、かゆみが強くなったりする恐れがあります。
病院は「皮膚科」を受診してください。
まずは皮膚の専門家に、湿疹の状態を診てもらうことが大切です。
内臓の病気が疑われる場合は、「内科」を紹介されます。
皮膚科を探す
こんな人は要注意!内臓の病気のリスクが高いです
薬を長期間大量に内服している
お酒をたくさん飲む
タバコを吸っている
運動不足
食べ過ぎることが多い
汗を大量にかく
多尿
皮膚のかゆみを伴う
感染症にかかりやすい(風邪を引きやすい)
性機能が低下している
切り傷などの皮膚の傷が治りにくい
むくみがある
上記に当てはまる人は、先に挙げた「肝臓病」「慢性腎臓病」「糖尿病」などの病気により、湿疹ができているリスクが高くなります。
不安な症状がある場合は、早めに病院で相談しましょう。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
日本赤十字社医療センター 肝臓がん
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。