赤ちゃんの鼻水が止まらない…!
鼻づまりが苦しそう。
そんなとき、どう判断したらいいのか、お医者さんに「鼻水タイプ」ごとの原因と対処法を聞きました。
監修者
経歴
公益社団法人 日本小児科学会 小児科専門医
2002年 慶應義塾大学医学部を卒業
2002年 慶應義塾大学病院 にて小児科研修
2004年 立川共済病院勤務
2005年 平塚共済病院小児科医長として勤務
2010年 北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室勤務
2012年 横浜市内のクリニックの副院長として勤務
2017年 「なごみクリニック」の院長として勤務
2020年 「高座渋谷つばさクリニック」院長就任
赤ちゃんは「鼻水が出やすい」
赤ちゃんは、ちょっとした刺激で鼻水の量が増えてしまいます。また、まだ十分に鼻毛がはえていなかったり、鼻と耳をつなぐ通路(耳管)が太く水平のため、細菌やウイルスが入りやすい構造なのです。
鼻づまりが続くと、苦しそうなのはもちろんですが、うまく母乳やミルクが飲めなくなったり、目が腫れてしまうことがあります。赤ちゃんの鼻水は、こまめに排出してあげることが大事です。
タイプ1.サラサラの鼻水が出る
アレルギーの疑いがあります。
粘着質ではないサラサラとした鼻水は、鼻に侵入してきた何か(チリ・ホコリ・花粉など)を洗い出そうとしている可能性があります。
サラサラ鼻水の対処法
部屋の掃除をこまめに行い、ハウスダスト対策をしましょう。
花粉やホコリは大量に付着するので、カーテンも定期的に洗いましょう。
赤ちゃんを床に布団を引いて寝かせている場合、周りを歩いた時にホコリが飛び、赤ちゃんが吸い込んでいる場合もあります。少し高めの位置に寝かせるように工夫してみましょう。
タイプ2.透明でネバネバの鼻水が出る
風邪のひき始めかもしれません。
「母体から受け継いだ免疫があるから風邪をひかない」といイメージがありますが、赤ちゃんでも、風邪をひきます。
ママからもらった免疫が働いてはいますが、風邪の症状を引き起こす細菌やウイルスは多く、免疫でまかないきれずに赤ちゃんでも風邪を引く場合があります。
“ネバネバ鼻水”の対処法
出てくる鼻水をそのままにはせず、ハンカチやタオル、ガーゼなどでふき取ってください。
鼻水をとってあげるとは鼻通りも楽になります。
ミルクや母乳を飲みやすくなるので、栄養を補給して早く体調も回復します。
タイプ3.咳・くしゃみを伴う鼻水
風邪をひいていると思われます。
風邪が進行すると発熱や咳を赤ちゃんでも出します。
息苦しくしていないか・熱はないか・元気はあるか・呼吸しているかなどを確認してください。
咳・くしゃみ鼻水の対処法
熱を測り、体調に異変がないかはチェックしましょう。
風邪の場合、基本的には安静にさせて様子を見ても大丈夫ですが、熱が38.0度以上になるようであれば、すぐに小児科を受診しましょう。
赤ちゃんは、まだ体力がないので一気に体調が悪くなる場合があります。高熱の場合は医師の診察が必要です。
タイプ4.黄色・緑色の鼻水が出る
風邪が治りかけているサインだと考えられます。
風邪の後、ウイルスと戦った白血球が大量に死骸となり鼻水に混ざります。白血球の死骸が混ざると黄色や緑色の粘っこい鼻水になります。
緑色の鼻水の対処法
出てくる鼻水を拭き取ってあげてください。
鼻水が粘っこくなると詰まりやすくなります。鼻水吸引器を使用するのも良いでしょう。
鼻水が粘っこくなると詰まりやすくなります。鼻水吸引器を使用するのも良いでしょう。
タイプ5.鼻水に血が混じっている
赤ちゃんは好奇心で鼻に指を入れて、自分で傷をつけてしまう場合もあります。
赤ちゃんは、鼻の粘膜が弱く、少しの刺激で細い血管が破れて出血する場合があります。
血が混じる鼻水の対処法
少量の血が混じっている程度でしたら、ふき取ってあげるだけで大丈夫です。
大量の鼻血が止まらない場合は、早急に医療機関を受診してください。
鼻づまりが気になって、鼻に指を入れて、鼻の中を傷つけてしまうこともあります。赤ちゃんの鼻水ケアはしっかりしてあげましょう。
赤ちゃんの鼻水の取り方
ティッシュやガーゼで、外に出てくる鼻水をやさしく拭き取りましょう。
鼻の中に鼻水がみえても、奥までほじったり、無理やり鼻水を出したりしなくても大丈夫です。
ティッシュやガーゼを当てるときは、力を入れないようにしましょう。ゴシゴシこすると、鼻周りの皮膚が荒れてしまいます。鼻周りが荒れそうなときは、ワセリンなどで保湿してあげるとよいでしょう。
市販の「鼻吸い器」もおすすめ
ネバネバの鼻水は、なかなか取りづらいですよね。
赤ちゃんの鼻づまりがひどい、夜に寝つけないほど鼻水がでる場合は、鼻吸い器を使うのもよいでしょう。
鼻吸い器は使用する鼻吸い器にあった月齢であれば使用可能です。素早く、正確に行うのが嫌がらせないコツです。
▼鼻水をとった後に気をつけること
- 鼻水をとったティッシュ等は、フタ付のゴミ箱にすぐに捨てましょう
- 鼻水をとったら、手を洗いましょう
赤ちゃんの鼻水から、風邪などをもらってしまうことがあります。
「鼻づまりで寝られない」…どうすれば?
赤ちゃんが鼻水が苦しそうで眠れないみたいです…。
どう対処してあげたらよいでしょうか。
蒸しタオルを鼻の根元にあてて、鼻水を出してあげるとよいでしょう。
また、鼻水が出やすいように、お部屋を加湿してあげましょう。
また、苦しそうであれば、横に寝かせておくよりも縦に抱っこしてあげた方が、鼻は通りやすくなります。
▼部屋の湿度の目安
夏:45~60%程度
冬:55~65%程度
▼加湿器がない場合の代用方法
- お湯を沸かす(赤ちゃんに熱気・熱湯ががかからないように注意してください。)
- 洗濯ものを干す
- 濡れタオルを干す
鼻水が出ているけど…お風呂は入っていい?
風邪や鼻水のみ症状の場合は、入浴しても大丈夫です。
お風呂にはいることで、お鼻が温められて、鼻水が出やすくなることもあります。
ただし、38度以上の発熱を伴うときは、入浴はお休みしましょう。その場合は、ホットタオルで体を拭く程度にしてください。
病院に行くタイミング
赤ちゃんの鼻水が止まりません。
どれくらい続く場合は、病院に行った方がよいでしょうか。
1週間以上経っても鼻水の量が減らない場合は、医療機関を受診して、適宜必要な治療を受けましょう。
放置すると、鼻呼吸ができないためうまくミルクを飲めなくなったり、「中耳炎」や「副鼻腔炎」などの病気を誘発してしまったりすることもあります。
こんな症状がある場合も病院へ!
- 鼻づまりがひどく、苦しそうに息をしている
- 哺乳をする力が弱い
- 発熱がある
病院は何科?
耳鼻いんこう科や小児科を受診しましょう。
鼻水の症状のみの場合は、耳鼻いんこう科を受診しましょう。
発熱がある場合や、元気がない場合は、小児科を受診しましょう。
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合わせて読みたい
2021-01-20
子どもの副鼻腔炎、早く治してあげるには…?
これ以上悪化させないためには?
お医者さんに、子どもの副鼻腔炎の対処方法を聞きました。
子ども副鼻腔炎の「原因」
子どもの副鼻腔炎は、「風邪」などの感染症や、「アレルギー」による鼻づまりが原因となって発症することが多いです。
風邪をひいて細菌・ウイルスが副鼻腔で増殖してしまったり、アレルゲンとなる物質による刺激で炎症を起こしてしまうのが主な原因です。
よく聞かれますが、プールが原因で副鼻腔炎を発症するといったことはありません。もともと、副鼻腔に炎症があり、その期間にプールに入ると炎症が悪化して、副鼻腔炎を発症することはあります。体調が悪いときや風邪の後にまだ鼻づまりが残っているときは、プールは避けましょう。
子どもの副鼻腔炎は「家族にうつる?」
副鼻腔炎そのものが直接うつることはありません。
(インフルエンザのように次々感染するものではありません。)
ただし、細菌やウイルスを含む鼻水・くしゃみには、感染力があります。そこから風邪などをもらってしまうことはあるので、手洗い・うがいをしっかりして対策をとしましょう。
子どもの副鼻腔炎の「症状」
最初は…(軽症)
鼻づまり
鼻水(緑色、黄緑色)
症状が進むと…(中等症)
頭痛
鼻周辺を押すと痛む
もっと症状が進むと…(重症)
鼻水、鼻から臭い匂いがする
顔を触ると痛む
慢性化すると…(慢性副鼻腔炎)
匂いや食べ物の味がわからない
鼻汁が喉に垂れてくる
子どもの副鼻腔炎は「自然治癒する?」
副鼻腔炎は自然に治るのでしょうか…?
軽傷の場合、常に鼻水を外に排出できていれば、自然治癒する場合も多いです。
しかし、慢性的になり、「鼻水がつまりっぱなしで出てこない」「鼻水がネバネバして出せない」「頭痛・顔面痛がある」といった重症になると、治療が必要です。
自宅でできる「副鼻腔炎ケア」
鼻水をすすらせないようにしてください。
鼻をティッシュで押さえて、極力鼻水は出すようにさせましょう。
鼻水を吸い出す機器も市販されているので、ひとつ持っていると、風邪をひきやすい小さな子どもがいる家庭では便利です。
副鼻腔炎が「なかなか治らない」ケース
鼻が自分でかめず、鼻水をすすってしまう
鼻や喉が弱く、風邪をひきやすい
という子どもは、「慢性副鼻腔炎(蓄膿症)」を発症するリスクが高くなります。
症状が慢性化すると…「味がわからない」「口臭がする」ことも
慢性副鼻腔炎になると、常に頭や顔に痛みを感じるようになり、日常生活に支障が出ます。鼻がつまっているので食べ物に味や匂いを感じなくなります。また、膿んだ鼻水が鼻の内部に詰まっているので、鼻から悪臭を感じます。この悪臭は患者本人だけでなく、他者でも感じます。ひどくなると、鼻からの臭いにとどまらず、口臭がする場合もあります。
市販薬を使ってもよい?
市販薬は、副鼻腔炎と医師の診断を受けてから使用するようにしましょう。
その際は年齢に合ったものを使用してください。診断前に自己判断で市販薬を使用すると必要ない薬を飲んでしまう原因となります。
また、市販薬を数日使用しても快方に向かわない(もしくは何らかの症状が増えた)場合は、すぐに使用をやめて、病院で診察を受けましょう。
病院の受診目安
風邪や感染症の後、鼻づまりが1週間経っても快方に向かわない場合は、診察を受けましょう。
特に
鼻水が緑色や黄緑色である
頭痛がする
顔を押すと痛がる
などの症状がある場合は受診が必要です。
小児科を探す
▼参考
一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会 急性副鼻腔炎診療ガイドライン2013年版追補版
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2021-02-24
透明のネバネバ鼻水がずっと続く…。
その原因はもしかして「副鼻腔炎」かもしれません。
お医者さんに、改善方法を聞きました。
病院に行かないと悪化してしまうケースもあるので要注意です。
透明でネバネバの鼻水がずっと続く…これはなぜ?
ウイルスが鼻に侵入している(副鼻腔炎・風邪)
アレルギーを発症している(アレルギー性鼻炎)
の2つの可能性が考えられます。
鼻の中にウイルスやアレルギー物質が溜まり、体を守るためにネバネバとした鼻水が続いているのでしょう。
ウイルスなど異物が侵入した場合
ウイルスなど異物を排出するために、より多くの鼻水を分泌します。
死んだウイルスの死骸も鼻の中に溜まるので、これらも鼻水と一緒に体外に排出されます。
アレルギーの場合
アレルギー物質から体を守るために鼻水の分泌量が増えます。
その結果、常に鼻水が出ているような状態となります。
放置すると…ウイルスが広がってしまうことも!
放置すると、炎症がどんどんと広がり、中耳炎や難聴などになってしまうリスクがあります。
また、鼻は耳や喉とも繋がっています。放置すると、鼻から入った雑菌やウイルスが耳や喉へも入り込んで悪化する恐れがあり大変危険です。
早期に病院を受診すれば、鼻の中の状態をきちんと把握した上で治療することができ、治りが早くなります。
止まらないネバネバ鼻水の3つの対処法
優しく鼻をかむ
蒸しタオルを鼻にあてる
乾燥を防ぐ
の3つを行いましょう。
① 鼻は“優しく”かみましょう
ネバネバの鼻水が止まらないときは優しくかみ、ウイルスなどを排出してください。
反対に、ネバネバの鼻水はすすらないでください。
すすってしまいがちですが、体内に戻さず排出しましょう。
② 温かい蒸しタオルを、鼻にあててみよう
蒸しタオルを鼻にあてると鼻水が止まりやすくなります。
優しくかんだ後に、蒸しタオルでケアしましょう。
③ 鼻の中に入る空気の乾燥を防ごう
加湿器を使用したり、マスクを着用したりして、乾燥を防ぎましょう。
乾燥していると鼻水が出やすくなります。
また、お風呂やシャワーの湯気も適度に湿気を与え、鼻水が止まりやすくなります。
病院に行く目安
透明でネバネバの鼻水が1週間以上続く
ネバネバの鼻水がかんでもかんでも止まらない
風邪やアレルギーなど原因がわからないまま、鼻水が続く
鼻水の色が、透明から黄色や緑色など変色した
これらの症状に当てはまる場合は、「副鼻腔炎」や「肥厚性鼻炎」、「血管運動性鼻炎」などが進行している可能性があります。耳鼻いんこう科を受診しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
▼参考
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会