全身の凝りがひどい…。
もしかして病気?
全身の凝りで病気が疑われるケースについて、お医者さんに聞いてみました。
自律神経失調症などの病気も考えられるので、心当たりがないかチェックしましょう。
監修者
経歴
佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。
美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。
精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエットを開発。
「全身の凝り」の原因は病気?
最近、全身の凝りが気になります。何かの病気かもしれないと不安なのですが…。病気によって「全身が凝る」ことってあるのでしょうか…?
はい、病気による疲労感から、全身が凝っているように感じる場合があります。
ただし、疲労や運動不足が原因であることがほとんどです。
「全身が凝る病気」というのはありませんが、自律神経失調症などの病気で、二次的に全身の凝りを感じるケースが考えられます。
こんなケースは、病気の可能性が低いです
- 全身の凝り以外の症状がない
- ストレッチやマッサージで凝りが改善する
- 久しぶりに激しい運動をした
慢性的な運動不足により、肩こり・首こり・腰痛などを発症し、全身が凝っているように感じる場合があります。
体を動かす習慣がないと、体全体の血流が悪くなり、体のさまざまな部分で冷え・こりを招きます。
病気が疑われる症状
- 突然肩こりが生じてすぐに消える
- 胸を締めつけるような感覚を伴う
- めまい・頭痛・吐き気を伴う
上記の症状に該当する場合は、ただの凝りではなく、何らかの病気が疑われます。
こんな人は要注意
- 喫煙者
- 空気が汚染された環境に長くいる
- お酒をよく飲む
- 肥満傾向
- 血圧・血糖値が高い
- ストレスが多い
- 睡眠不足
- 運動不足
- 高齢者
- 更年期の女性
上記に該当する人は、全身に凝りを生じる病気のリスクが高いと考えられます。
全身の凝りを引き起こす2つの病気
病気① 自律神経失調症
自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、心身にさまざまな不調をきたす病気です。
血流の低下・体の冷え・倦怠感を起こし、全身の凝りを感じるケースがあります。
全身の凝り以外に、
- 頭痛
- 便秘
- のぼせ
- 動悸
- イライラ
- 不安感
- 気分の落ち込み
などの症状があらわれることもあります。
自律神経失調症かも…対処法は?
つらいと感じる症状があるのであれば、病院で相談してみることをおすすめします。
身体的な症状が強く出ている場合は、「内科」で受診しましょう。
イライラ・不安感などの精神的な症状を伴う場合は、「心療内科」に相談してみることをおすすめします。
日常生活では、きちんと睡眠時間を確保し、食事からバランスよく栄養をとることを心がけましょう。
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更年期は自律神経が乱れやすい
40代から50代の更年期の時期になると、女性ホルモンの分泌が低下し、自律神経が乱れやすくなります。
すると、全身の凝りを含む、自律神経失調症と似た症状があらわれることがあります。
病気➁ 慢性疲労症候群
慢性疲労症候群は、休んでも疲れが取れず、日常生活に支障をきたす状態が6ヶ月以上続く病気です。
血流の悪化により、全身が凝ったように感じる可能性があります。
全身の凝り以外にも、
などの症状を伴います。
はっきりと原因が分かっておらず、検査をしても異常が見つからない場合に、慢性疲労症候群が疑われます。
慢性疲労症候群かも…対処法は?
慢性疲労症候群はセルフケアで改善することが難しいため、医療機関を受診しましょう。
放置すると抑うつ状態になることがあるため、早期の治療が大切です。
まずは、「内科」で受診することをおすすめします。
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全身の凝りが「1週間以上続く」場合は病院へ
- ストレッチや運動をしても全身の凝りが改善されない
- 全身の凝りが1週間程度続いている
という場合は、一度医療機関で受診しましょう。
治療せずに放置すると症状が悪化し、痛みが出てきたり、体を動かせなくなったりする恐れがあります。
病院は何科に行けばいい?
一度「内科」に相談して、検査を受けることをおすすめします。
全身の凝り以外に、精神的な不調やストレスが多い人は、「心療内科」で受診しましょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2021-03-17
原因不明の微熱と倦怠感…。これは何かの病気?
慢性疲労症候群の症状と原因について、お医者さんに聞きました。
心当たりのある方は、病院に行く目安を確認しましょう。
微熱と倦怠感がある…これ大丈夫?
風邪を引いたときや生理前は、微熱と倦怠感が一時的に起こる人もいます。
症状が出て間もない場合には、一旦様子を見ても良いでしょう。
ただし、原因不明の微熱と倦怠感が1週間以上続く場合は、「慢性疲労症候群」の可能性があります。
慢性疲労症候群って何?
検査で異常が見つからないのに、微熱や倦怠感が半年以上続く状態を指します。
「仕事に行けない」「ベッドから起き上がれない」など、悪化すると日常生活に支障をきたします。
慢性疲労症候群の症状
微熱
倦怠感、脱力感
リンパ腺の腫れ
頭痛
関節痛
のどの痛み
日中の眠気
気持ちの落ち込み、不安感
症状が1週間以上続く場合は、慢性疲労症候群の疑いがあります。
慢性疲労症候群の原因
はっきりした原因はわかっていませんが、過度のストレスが関係していると考えられています。
20〜50代ごろの女性
几帳面な人
協調性が高く、周囲に気を使う人
他人の期待に応えようとする人
疲労を溜め込みがちな人
に発症しやすいと考えられています。
慢性疲労症候群は、なぜ発症するの?
今までサイトメガロウイルスやカンジダなどの感染が原因の1つとされていましたが、現在の研究では、このような感染は原因ではないことがわかっています。
種々の環境要因(身体的・精神的ストレス)と遺伝的要因が関係して発症に強く関わっているというのが現在のみかたです。
慢性疲労症候群は自分で治せる?
ご自身で治すことは難しいです。
慢性疲労症候群を疑う場合は、一度病院を受診しましょう。
慢性疲労症候群の治療方法はまだ確立されていませんが、医師と二人三脚で治療を進めることで、症状が軽減するケースもあります。
症状が軽い場合、仕事に行ってもいい?
日常生活や仕事に支障がなければ仕事をしてもよいでしょう。
仕事を続ける上では「きちんと休養をとる」「ストレスを溜めない」といったことが大切です
病院は何科?
微熱と倦怠感がある場合は、まず内科を受診しましょう。
早めに治療を開始することで、短期間で症状が改善しやすくなります。
また、慢性的な微熱と倦怠感には、消化器の病気や内分泌の病気、悪性腫瘍の可能性も考えられ、命に関わる恐れもあります。
症状でお困りの場合には、放置せずに早めに病院で相談しましょう。
お医者さんになんて伝えたら良い?
医師には
いつから、どんな症状がでているのか
睡眠時間や休日など休養はどれくらいとれているのか
ストレスとなっているものはあるのか
を説明しましょう。
病院ではどんな治療を受けるの?
問診に加え、必要に応じて血液検査や心電図検査、MRIなどを行います。
ストレスの原因や疲労になっている根本が判明して、それを取り除けば1ヶ月ほどで改善することがあります。
ただ、症状が重い場合は数ヶ月以上と、長期間かけて改善していきます。
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慢性疲労症候群の悪化を防ぐための対処法
栄養バランスの良い食事をとる
ストレスの原因になる行動を避ける
の2点を心がけましょう。
①栄養バランスの良い食事をとる
主食、主菜、副菜を揃えたバランスのよい食事にしましょう。
主食:ご飯、ぱん、麺など
主菜:肉、魚、卵など
副菜:野菜、海藻、キノコなど
「主食」は炭水化物が多くエネルギー源に、「主菜」にはたんぱく質が多く体の熱を作り出し、「副菜」はビタミン・ミネラルが多く、食べたものを円滑にエネルギーに変えてくれます。
②ストレスの原因になる行動を避ける
慢性疲労症候群の悪化には、ストレスが大きく関係しています。
そのため、ストレスの原因を上手く避けることが重要です。
過度の飲酒、睡眠不足、運動不足、不規則な生活(昼夜逆転)などがストレスになります。
1日30分程度の散歩、趣味を見つける、気のおけない仲間と会話するなどがあります。
睡眠不足ではありませんか?
「慢性疲労症候群」は、疲労の蓄積も関係しています。
日頃から十分な睡眠をとるようにしましょう。
▼参考
MSDマニュアル 慢性疲労症候群
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2021-05-28
「筋肉がぴくぴくする…」
「原因は、自律神経失調症?」
この症状の原因を、お医者さんに聞きました。
病院に行く目安や、改善のための対処法も併せて解説します。
脳の病気が隠れているケースもあるため、放置はキケンです。
筋肉のぴくつきは「自律神経失調症」のサインかも
自律神経失調症になると、突然無意識に筋肉がピクピク動いたり、引きつれたりすることがあります。
発症する場所には個人差があり、顔面、手足といったあらゆる部分で発症します。
自律神経失調症とは、体の器官がバランスを崩し、さまざま不調が起こる病気です。
筋肉の不安定な動きもその一つで、脳からの信号が乱れて発症すると考えられています。
他にも、こんな症状はないですか?
めまい
動悸
不眠
冷や汗
のぼせ
涙が止まらない
体の冷え
倦怠感
イライラする、集中力の低下
肩こり
頻尿、残尿感
生理不順
便秘、下痢
これらは自律神経失調症の諸症状です。
筋肉のぴくつきに加え、上記症状に2つ以上当てはまる場合は、自律神経失調症の疑いが強くなります。
もちろん、1つしか当てはまらなくても、自律神経失調症のことがありますので、日常生活に支障がある場合は医療機関へ行きましょう。
発症しやすいのはこんな人
ストレスや疲労が溜まっている人
プレッシャーが多い生活を送っている人
生活リズムが崩れている人
更年期(45歳以上)の女性
自律神経失調症かも…病院で相談すべき?
ぴくつきが気にならなければ、受診の必要はありません。
ただし、他にも体の不調がある場合は、医療機関での相談をおすすめします。
自律神経失調症は、単発での症状よりも複数の症状が併発して現れることが多いです。
また、自律神経失調症が悪化すると、長期間の治療が必要になるケースもあります。
悪化を防ぐためには早めに受診し、症状が少ないうちに治療を開始することが大切です。
何科で受診すればいい?
過度のストレスなど「精神面に原因がある」と思う場合は、心療内科・精神科を受診しましょう。
また、「まずは体に不調がないか調べたい」という場合は、内科を受診してください。
お医者さんには、どう伝えればいい?
体に感じている不調を、できるだけ正確に伝えましょう。
また、
いつ頃から症状が出ているか
どんなタイミングで症状が出るのか
なども併せて伝えると、より良い診断につながります。
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改善するために心がける2つのこと
心と体をリフレッシュ
休息をとる
を心がけましょう。
その① 心と体をリフレッシュさせる
ストレス対策は、自律神経失調症に必要です。
ストレスを発散する方法としては、太陽を浴びる、体を動かす、趣味を楽しむなどの方法があります。
体を動かす場合は、ウォーキング、散歩程度の運動でも良いです。
気持ちを変えて、楽な気持ちで過ごしましょう。
その② 休息をとる
自律神経失調症の改善には、十分な休息も必要です。
可能であれば、仕事や学校を休んでください。
自律神経失調症の方は、「頑張ろうとする気持ち」と「動かない体」とのギャップに悩みやすいです。
まずはよく眠って心身の疲れをとり、朝起きて夜眠るという生活リズムを作りましょう。
“病気”が隠れているケースも…
筋肉のぴくつきには、
顔面痙攣(がんめんけいれん)
脳の病気
などの病気が隠れているケースもあります。
病気① 顔面痙攣(がんめんけいれん)
顔の筋肉が勝手にぴくぴくする場合、顔面痙攣の可能性も考えられます。
顔面痙攣は、顔の片側だけ現れる場合が多いです。
こんな症状はありませんか?
目の周り、口元、顎の下がぴくぴくする
顔がきゅーっと突っ張る
勝手に瞼が閉じてしまう
顔面痙攣(がんめんけいれん)の原因
顔の神経が血管によって圧迫されることが原因です。
40代以上の女性が発症しやすいと言われています。
放置するとどうなる?
基本、健康に悪影響はないため、放置してもかまいません。
ただし、対人関係や仕事、また生活に支障をきたす場合は、治療が必要です。
医療機関を受診すると、薬の注射や手術などの治療によって、症状の改善を図ってもらえます。
顔面痙攣は、脳神経外科で相談しましょう。
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病気② 脳の病気
脳梗塞、脳出血などによって、筋肉のぴくつきが起こるケースもあります。
脳の病気の場合、体の片側に症状が出やすいです。
こんな症状はありませんか?
体の片側の麻痺、しびれ
吐き気、嘔吐
頭痛
呂律が回らない
脳の病気の原因
糖尿病や高血圧症といった生活習慣病は、脳の病気につながりやすいです。
そのため、
甘いものばかり食べる
塩分の多い食生活
運動不足
などに心当たりのある人は、発症リスクが上昇します。
放置するとどうなる?
脳の病気は、命に関わるケースがあるため、放置は危険です。
特に、
呂律が回らない
殴られたような激しい頭痛
などの症状があるときは、早急な受診が必要です。
脳の病気を疑う場合は、脳神経内科を受診しましょう。
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筋肉のぴくつきは、早めの受診がおすすめ!
筋肉のぴくつきには、自律神経失調症や“ほかの病気”が隠れている可能性があります。
自律神経失調症の症状が進行すると、朝起きられなくなり、仕事や家事ができなくなってしまうケースもあります。
また、脳の病気が隠れていた場合、放置すると命に関わります。
筋肉のぴくつきが気になる方は、一度医療機関で相談してみましょう。
「精神面に原因がある」と思う場合は、心療内科・精神科を受診してください。
「体の不調」を疑う場合は、内科を受診しましょう。
▼精神面に原因がある場合
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▼体の不調が強い場合
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省 e-ヘルスネット 自律神経失調症