※本記事は2020年4月22日に公開された記事を再編集して掲載しています
「歯磨きで毎回血が出る」「大量に出血する」
こんな症状に心配を感じていませんか?
歯茎から血が出る原因には、歯周病や虫歯だけでなく、ストレスや体調不良が関係している場合もあります。
特に、毎日のように歯磨きで血が出る人や、大量に出血する人は注意が必要です。
この記事では、歯磨きで血が出るときに考えられる7つの原因と、それぞれの対処法を詳しく解説します。
監修者
経歴
歯は健康に欠かせません。美味しいものを食べる・会話をする・美しい表情を保つ…、健康な歯は人生の質を高めます。歯の正しい知識を知って、より健康な日々を手に入れましょう。
歯磨きで血が出るのは大丈夫?
歯磨き中に少し血が出ても、強く磨きすぎて歯茎に傷がついただけなら心配はいりません。
ただし、歯茎が腫れている・膿が出ている・赤くなってぶよぶよしている場合は、歯周病の可能性があります。
毎回・大量に血が出るのは要注意
歯磨きのたびに毎回血が出る、または大量に出るのは異常のサインです。
歯肉炎や歯周病が進行している可能性があり、放っておくと歯を支える骨が溶け、最悪の場合は歯を失うこともあります。
出血が続くときは、自分で様子を見ずに早めに歯科医院を受診しましょう。
歯磨きで血が出る7つの原因
歯磨きで血が出るときには、いくつかの原因が考えられます。
代表的なのは次の7つです。
歯を磨くと血が出る原因
- 歯周病
- 虫歯
- 親知らず(智歯周囲炎)
- ストレス・体調不良・過労
- 歯ブラシが合っていない
- 歯に食べ物などが詰まっている
- 口や歯以外の病気
原因によって出血の特徴や対処法は異なります。
次の章からそれぞれ詳しく解説します。
原因① 歯周病
歯周病は、歯と歯茎のすき間に歯垢がたまり、細菌が増えることで炎症が起こる病気です。
初期段階では炎症が歯茎にとどまる歯肉炎ですが、悪化すると炎症が広がり、歯を支える骨が溶けはじめる歯周炎へ進行します。
歯周病の特徴
- 歯磨きのときに血が出る
- 歯茎が腫れて赤くなる
- 歯茎がぶよぶよして弱くなる
- 口臭が強くなる
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2022-02-03
「もしかして歯周病かも…」
「初期症状をチェックしたい!」
歯周病の初期症状を、歯医者さんに聞いてみました。
歯周病の原因、治し方についても解説します。
悪化を防ぐためにできることも確認してみましょう。
【セルフチェック】歯周病の初期症状
次の症状が1~3個以上あてはまる場合、「初期の歯周病」が疑えます。
歯を磨くと血が出る
歯茎が腫れている
歯茎が下がってきた
歯茎を押すと血が出る
歯がうずくような感覚がある
歯が揺れている感覚がある
口の中のネバつき感(特に起床時)
歯と歯の間に食べ物のカス等が詰まりやすくなった
口臭が気になる
初期症状の段階なら…セルフケアで改善できる?
初期の歯周病であれば、「丁寧な歯磨き」などのケアで改善できる場合があります。
ただし、ご自身で症状の程度を判断するのはリスクがあります。
歯周病を疑うときは、まず歯医者で相談してみましょう。
こんな症状は、もう中等度以上に進んでいるかも…!
歯がグラグラする
歯が浮いている感じがする
痛みが強く、ものを噛めない
歯茎が赤く、ひどく腫れる
歯茎から血や膿が出る
強い口臭がする
上記のような症状が出ている場合、「中等度以上の歯周病」が疑われます。
さらに進行すると歯が抜け落ちる恐れがあるため、歯医者での治療が必要です。
歯周病の相談ができる歯科を探す
「いつの間に…?」歯周病になってしまう習慣
歯周病の大きな原因には、日々の歯磨き不足が挙げられます。
歯周病は、歯茎が「細菌」に感染することで発症します。
口内に汚れがあると、細菌のかたまりである「歯垢」「歯石」が溜まり、いつの間にか歯周病になってしまうのです。
“歯周病になりやすい”のはこんな人
毎食後歯磨きをしていない
フロス・歯間ブラシを使用していない
間食が多い
口呼吸、歯ぎしり・食いしばりの癖がある
タバコを吸う
歯並びに問題がある
ストレス過多
薬剤を長期間服用している(免疫抑制剤等)
上記のような習慣がある人は歯周病になりやすいと考えられます。
特に40歳前後から歯周病の発症が増えてくるため、注意しましょう。
「これ以上進行させない」ためにできること
歯周病をこれ以上悪化させないために、
歯磨きをしっかりする
飲酒や喫煙を控える
などを心がけましょう。
その① 歯磨きをしっかりする
<歯ブラシの当て方>
「歯と歯茎の境目」 → 45°の角度
「歯の表面」 → 90°の角度
<歯ブラシの動かし方>
歯ブラシは優しく持つ
力を入れ過ぎず、小刻みに振動させるように磨く
上記の歯磨きに加えて、「フロス」「歯間ブラシ」なども併用しましょう。
使用の際は、歯茎に傷がつかないように注意して行ってください。
その② 飲酒や喫煙を控える
飲酒や喫煙は、歯周病の発症や悪化に影響を及ぼす恐れがあるため、控えましょう。
飲酒のリスク
アルコール摂取により、歯茎の抗酸化力が低下することで、歯周病の発症や進行に影響を与える可能性があるという研究結果が報告されています。
喫煙のリスク
タバコから出る煙は、「タール」「ニコチン」「一酸化炭素」等、様々な有害物質を含んでいます。
タールは、ヤニとなり歯表面に付き、その上には「歯垢」が付着しやすくなります。
さらにニコチン・一酸化炭素は、病原菌への抵抗力を抑えたり、傷口の修復を妨げる等の悪影響を与える働きがあるため、歯周病を悪化させる恐れがあります。
歯周病は「歯医者さんに行けば治るの?」
初期~中等症の歯周病であれば、歯医者での治療で改善が期待できます。
ただし、重度の歯周病で歯がグラグラ状態になると、治療での改善が困難になり「抜歯」が必要になるケースもあります。
また、“他の健康な歯に悪影響を及ぼす恐れがある”場合も抜歯が検討されます。
早期受診は「歯を残せる」以外にもメリットが
早期受診によって初期段階で歯周病を発見できると、
何度も通院しなくて済む
治療費を抑えられる
複雑な治療をしなくて済む(歯茎の切開 等)
など、「治療の負担を軽減」できるメリットが多くあります。
特に「膿・グラグラ」は危険ライン。早急に歯科へ!
歯がグラグラ揺れる
歯茎から膿が出る
歯茎の腫れがひどい
歯を使っていない状態でも痛みが生じる
上記のような症状が出ている場合は、中等度~重度の歯周病が疑えます。
歯が抜け落ちる恐れもあるため、早急に歯科へ受診しましょう。
歯周病の相談ができる歯科を探す
歯医者さんでは「どんな治療をするの?」
「初期」の歯周病の治療
ブラッシング指導
歯垢・歯石除去
などが行われます。
歯垢・歯石除去は、スケーラー(歯科専用器具)を用いて、セルフケアでは除去しきれない汚れをきれいに除去します。
保険は適用される?
保険が「適用されるケース」と「適用されないケース」があるため、受診する歯科で確認してください。
一般的な歯垢・歯石除去治療は、保険適用内です。
レーザー治療・歯周再生治療は保険適用外になります。
治療費はどれくらい?
保険適用の場合…5,000~1万円程度
保険適用外の場合…1万~5万円程度
「中等度」の歯周病の治療
ブラッシング指導
歯垢・歯石除去
などに加えて、外科手術(フラップ手術)が必要になるケースもあります。
歯茎の奥まで歯垢や歯石が付着している場合は、外科手術が検討されます。
手術は、局所麻酔を行って歯茎を切開し、歯周ポケットの中に溜まっている歯垢や歯石をきれいに除去します。
保険は適用される?
保険が「適用されるケース」と「適用されないケース」があるため、受診する歯科で確認してください。
一般的な歯垢・歯石除去治療は、保険適用内です。
レーザー治療・歯周再生治療は保険適用外になります。
治療費はどれくらい?
保険適用の場合…1万~5万円程度
保険適用外の場合…5万円以上
「重度」の歯周病の治療
歯垢・歯石除去
外科手術(フラップ手術)
歯周組織再生治療
歯周補綴(ししゅうほてつ)治療
などが行われます。
歯周組織再生治療は、歯周病によって壊された組織を再生する治療です。
歯周補綴治療は、グラグラした歯に「被せ物」を装着して固定することで、歯を安定させる方法です。
「歯周組織再生治療」の種類
【GTR法(歯周組織誘導法)】
フラップ手術後、「メンブレン(膜)」を挿入することで歯周組織の再生を促進する治療法です。
【エムドゲイン法】
GTR法と同様に歯周組織の再生を促進する治療法です。
再生したい部分に「エムドゲインゲル(薬剤)」を注入します。
【リグロス法(保険適用)】
フラップ手術後、「リグロス(薬剤)」を歯根部分に塗布することで、歯周組織の再生を促進する治療法です。
保険は適用される?
特殊材料を使用する「歯周組織再生療法」は、保険適用外になるケースが多いです。
保険が「適用されるケース」と「適用されないケース」があるため、受診する歯科で確認してください。
治療費はどれくらい?
保険適用の場合…3万~10万円程度
保険適用外の場合…20万円以上
歯周病の相談ができる歯科を探す
▼参考
岡山県歯科医師会 歯周病のセルフチェック票
特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会 歯周病とは?
歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020 歯周病
特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会 歯周病の治療方法
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット 歯周病の予防と治療
歯周病の対処法
歯磨きやフロスで歯垢をしっかり落とすことが大切です。
ただし、歯石はセルフケアでは取りきれないため、歯科医院での除去が必要です。
軽い歯肉炎であれば、歯科医院で歯石を除去すると改善することがあります。
1週間ほどセルフケアを続けても改善しない場合や、出血が続く場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
原因② 虫歯
虫歯が歯茎に近い場所や歯と歯の間にできると、炎症を起こして出血しやすくなります。歯垢や食べかすがたまりやすくなるためです。
虫歯が大きくなると、歯周病も悪化することがあります。
虫歯の特徴
- 冷たいものや甘いものがしみる
- 噛むと痛む
- 何もしていなくてもズキズキ痛む
- 歯を叩くと響く
虫歯の対処法
虫歯は自然に治ることはなく、セルフケアでも治せません。
放置すると悪化してしまうので、痛みや出血があるときは早めに歯科医院を受診してください。
原因③ 親知らず(智歯周囲炎)
親知らずの周囲に炎症が起こる病気を「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」といいます。
特に親知らずが斜めや横向きに生えている場合、歯と歯茎の間に細菌が入り込みやすく、出血や腫れを起こします。
智歯周囲炎の特徴
- 歯茎の痛みや出血がある
- 膿が出る
- 腫れが強くなると口が開きにくい
- 食べ物を飲み込みにくい
- 発熱することもある
智歯周囲炎の対処法
まずはしっかり睡眠をとり、体調を整えることが大切です。
2日ほど経っても治らない場合や症状が悪化している場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
原因④ 歯ブラシが合っていない
歯茎がもともと弱い人は、硬い歯ブラシを使うと出血しやすくなります。
また、力を入れすぎて磨くと歯茎を傷つけてしまうこともあります。
歯ブラシが合っていないときの症状の特徴
- 出血する場所が毎回同じではない
- 強い口臭はない
- 歯ブラシが歯や歯茎に強く当たってしまう
歯ブラシが合っていないときの対処法
柔らかめで小さなヘッドの歯ブラシに替えてみましょう。
どの歯ブラシが自分に合うか分からない場合は、歯科医院で相談するのがおすすめです。
原因⑤ 歯に食べ物が詰まっている
歯と歯の間に食べかすが詰まると、歯茎が押されて傷つき、出血することがあります。
詰まった食べ物を放置すると細菌が増え、炎症を起こしてさらに出血しやすくなります。
特に被せ物や詰め物が合っていない人は、食べ物が詰まりやすい傾向があります。
歯に食べ物が詰まっているときの症状の特徴
- 痛みがない場合もあるが、腫れや違和感を感じることがある
- 出血に加えて口臭が出ることがある
歯に食べ物が詰まっているときの対処法
歯磨きのときに歯間ブラシやデンタルフロスを使い、食べ物や歯垢を取り除きましょう。
被せ物や詰め物が合っていないと感じるときは、歯科医院で調整してもらうのがおすすめです。
原因⑥ ストレスや体調不良
強いストレスや風邪、過労などで体調を崩すと、免疫力が落ちて歯茎に炎症が起こり、出血しやすくなります。
ストレスや体調不良による症状の特徴
- 学校や仕事など、特定の場面で歯が痛むことがある
- 1日の中で痛みや出血の強さに変化がある
- 集中しているときは症状が出にくい
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2021-12-20
「前歯の歯茎を押すと痛い…なぜ?」
「治す方法はある?」
前歯の歯茎を押すと痛い場合に考えられる原因や対処法を、歯医者さんに聞いてみました。
歯茎の違和感はストレスや歯周病が原因かもしれません。
歯医者さんでの治療法も詳しく解説していきます
歯茎の違和感は放置すると歯が抜け落ちるだけでなく、他の病気を引き起こすリスクもあるため放置はキケンです。
なぜ?前歯の歯茎を押すと痛い「2つの原因」
前歯の歯茎を押すと痛みを感じる場合、
歯周病(炎症を起こした)
根尖性歯周炎(膿の袋が、歯の根っこにできた)
といったことが原因として考えられます。
なぜ発症する?
歯周病
歯磨きが不十分な人がなりやすい。
歯と歯茎の境にあるポケットの中にプラーク・歯石がたまり、歯周病菌が増えて発症する。
根尖性歯周炎
虫歯の悪化が主な原因。
細菌感染が歯根の先まで拡がることで発症する。
痛みを和らげる対処法
保冷剤等を使って、患部を冷やしてください。
痛みがある部分の血行が抑制され、痛みが緩和していきます。
反対に、歯茎が痛むときに、歯茎を強くブラッシングするのはやめましょう。
原因① 歯周病はどう治す?
歯周病の症状チェック
歯茎が赤く腫れる
膿・血がでる
歯がグラつく
歯と歯の隙間が目立つ
歯茎が下がる(歯が長く見える)
口臭が強くなる
前歯を押すと痛む
なりやすい人
適切な歯磨きができていない(歯磨き不足)
喫煙習慣がある
不規則な食習慣
ストレスをため込んでいる
口呼吸や歯ぎしりをする
歯医者さんで受ける治療
歯周病では、
歯石の除去(スケーリング・ルートプレーニング)
歯磨き指導
を行います。
歯石はプラークが固まったもので、その表面にはまたプラークが溜まりやすい状態です。そのため、手用もしくは超音波を利用したスケーラーなどで歯石をきれいに取り除きます。
原因② 歯根嚢胞はどう治す?
歯根嚢胞の症状チェック
自覚症状はあまりありません。
嚢胞が大きくなると、不快感や痛みがあります。
また、前歯を押したときに痛む場合、嚢胞が大きくなっている可能性があります。
なりやすい人
虫歯が多い
根尖性歯周炎を放置している
神経を抜く治療をした歯がある
ストレス・疲労が溜まっている
免疫力が低下している
歯医者さんで受ける治療
根管治療や歯茎を切開して嚢胞を取り除く処置を行います。
状態によっては、抜歯をすることもあります。
「歯医者さんに行きたくない」という方へ
歯周病も歯根嚢胞も、「放置していて自然治癒」するものではありません。
それどころか、歯茎の痛みを放置して悪化してしまった場合、歯が抜け落ちることにもつながります。
時間が経つほど、治療も大がかりになり、抜歯・手術を行うことがあります。
治療にかかる時間も費用もどんどんかさんでいきます。
早めに歯医者で治療を受けることで、それらを回避する可能性があがります。
ぜひ“早めの受診”を心がけてくださいね。
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ストレスや体調不良による症状の対処法
まずは十分な睡眠(7〜9時間)をとり、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
生活習慣を整えても出血が続く場合は、歯科医院で相談してください。
原因⑦ 口や歯以外の病気
歯茎からの出血は、歯や歯茎の病気だけでなく、全身の病気が関わっていることもあります。
例えば、糖尿病・骨粗しょう症・高血圧などが原因となる場合があります。
また、薬の副作用で歯茎が腫れたり出血したりすることもあります。
口や歯以外の病気による症状の特徴
- 出血しても痛みが少ないことが多い
- 強い口臭を感じにくい
口や歯以外の病気による症状の対処法
まずは磨き残しがないように丁寧にブラッシングしましょう。
それでも1週間ほど出血が続く場合は、歯科医院で相談してください。必要に応じて病院の受診をすすめられることもあります。
子どもや赤ちゃんは歯磨きで出血しやすい
子どもや赤ちゃんの歯茎はまだ薄くてやわらかいため、大人よりも出血しやすいです。
歯磨きのときに力を入れすぎたり、歯ブラシを大きく動かしすぎたりすると、簡単に歯茎が傷ついて血が出ることがあります。
子どもの歯磨きは、やさしく丁寧に行うことが大切です。焦らず毎日の習慣として少しずつ慣れさせましょう。
赤ちゃんの場合は、無理に歯ブラシを使わなくてもかまいません。清潔なガーゼや綿棒を水でぬらし、歯や歯茎をやさしく拭き取る方法もおすすめです。
妊娠中は歯茎から血が出やすい
妊娠中はホルモンの影響で歯茎が赤く腫れたり、出血しやすくなったりします。
これは「妊娠性歯肉炎」と呼ばれる症状です。
さらに、つわりで歯磨きが十分にできなかったり、間食が増えたり、唾液が酸性に傾いたりすることも、歯茎の出血につながります。
妊娠中の歯磨きは、歯ブラシやフロスを使ってできる範囲で丁寧に行いましょう。
出血が1週間以上続くときや腫れが強いときは、歯科医院を受診して相談することをおすすめします。
歯茎から血を出したほうがいいって本当?
「血を出したほうが歯茎にいい」と聞いたことがあるかもしれませんが、わざと出血させる必要はありません。むしろ、細菌が入り込むリスクがあり逆効果です。
歯磨きのときに自然に血が出てしまうのは、歯茎に炎症があるサインです。
血を出すことで治るのではなく、原因を改善しなければ出血は止まりません。
歯磨きでの出血は自然に治る?
ストレスや寝不足、過労などが原因で一時的に出血している場合は、生活習慣の改善とともに自然に治ることもあります。
しかし、歯周病や虫歯が原因の出血は自然に治ることはありません。
放置すると悪化し、歯を失うリスクが高まります。出血が続く場合は、早めに歯科医院で診てもらいましょう。
歯磨きで血が出ないようにする方法
歯磨きでの出血は、毎日のセルフケアで予防できます。
正しい磨き方と、歯茎にやさしい歯磨き粉を選ぶことがポイントです。
正しい歯の磨き方(スクラビング法)

- 歯ブラシは鉛筆を持つように軽く持つ
- 毛先が曲がらない程度の弱い力で磨く
- 毛先を歯と歯茎に直角に当てる
- 3mmほどの幅で小さく前後に動かす
- 一度に磨くのは1〜2本、1か所につき20回以上を目安にする
- 奥歯や裏側など届きにくい部分は、歯ブラシを45度に傾けて当てる
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2022-01-27
「虫歯の進行を止めるには?」
「歯磨きで止めることはできる?」
歯磨きで虫歯を止める方法を、歯医者さんに聞いてみました。
正しい歯磨きの方法や、歯磨き粉の選び方なども解説します。
虫歯を進行させやすい習慣もチェックしましょう。
虫歯の進行を止めるには?
虫歯の進行を止めるためには、
正しいやり方で歯磨きを行う
フッ素配合の歯磨き粉を使用する
間食・甘いものを摂る回数を減らす
などが重要になります。
虫歯菌は糖をエサにして「酸」を作り出し、歯を溶かします。
そのため、しっかりと歯磨きしたり、間食を減らしたりすることが大切です。
フッ素配合の歯磨き粉には「歯の表面の強化」と「虫歯菌の活動抑制」の効果があるため、使用をおすすめします。
歯の「再石灰化」を促すことも大切
再石灰化とは、唾液の作用による歯の自然修復です。
初期虫歯であれば、再石灰化によって虫歯が治ることもあります。
再石灰化を促せるよう、口の中を清潔に保ち、歯垢を付着させないようにしましょう。
歯磨きで虫歯が治ることはある?
C0の「初期虫歯」であれば、丁寧な正しい歯磨きで再石灰化を促すことで、虫歯が改善される可能性もあります。
ただし、C1以上の虫歯では、虫歯の部分を削って詰め物をする必要があります。
C0…歯の表面にあるエナメル質が溶けはじめて、白く濁った状態
C1…歯の表面にあるエナメル質がさらに溶け、穴が空いてしまった状態
歯磨きのしかたマニュアル
正しい歯磨きについて、
歯磨きの回数・タイミング
歯磨きのやり方
アフターケア
まで、詳しく解説します。
歯磨きの回数は?
起床時、昼食後、就寝前の3回が望ましいです。
それが難しい場合は、朝食後と就寝前の最低2回は磨きましょう。
また、食後は早めに歯を磨くのがおすすめです。
歯磨きのやり方は?
歯ブラシは、歯の表面の根元に90度になるように当てる
歯ブラシは小刻みに動かす(毛先が5mm程動く程度)
奥歯から磨き始め、前歯、歯の裏も、歯の根元まで全て磨く
※歯茎にも歯ブラシを当て、毛先が広がらない程度の力加減で磨いてください。
※一度に磨く歯は2〜3本程度、20回ずつ歯ブラシを動かしましょう。
歯ブラシだけでは、「歯と歯の間の歯垢」を綺麗に取り除くのは難しいです。
デンタルフロスや歯間ブラシも、併せて使いましょう。
歯磨き後のアフターケアは?
歯磨き後に、マウスウォッシュをしましょう。
ただし、マウスウォッシュは1日2~3回程度に留めてください。
使いすぎると、健康な細菌まで排除してしまうことがあります。
夜の歯みがきが大事な理由…それは「再石灰化」を促すため!
睡眠中は唾液の分泌量が減少し、再石灰化がされにくくなります。
また、口の中に残った細菌や汚れも増殖するため、虫歯が進行しやすい状態になります。
虫歯の進行を抑えるためには、夜の歯磨きでしっかりと汚れを落とし、再石灰化を促すことが大切です。
実はNG「虫歯になりやすくなる歯みがき方法」
力を強く入れすぎる
歯ブラシを大きく動かしすぎる
これらの磨き方は、しっかり汚れを落とすことができず、「歯垢」が溜まって虫歯になりやすくなります。
歯磨き粉の選び方
「高濃度フッ素配合」の歯磨き粉がおすすめです。
フッ素は、唾液に含まれるカルシウムやリンを歯に再付着させるのを促進させ、再石灰化を促すことが期待できます。
歯のケアグッズの選び方
フロス・歯間ブラシ
こんな人におすすめ!
歯間ブラシ
歯茎が下がっている
歯間の根元に三角形の隙間がある
ブリッジをしている
フロス
(ホルダータイプ)
フロス初心者の人
フロス
(糸巻タイプ)
フロスを使い慣れた人
フロスと歯間ブラシは、歯茎の状態や使う部位にあったもの、使いやすさなどから自分に合ったものを選びましょう。
マウスウォッシュ・デンタルリンス
「化粧品」と「医薬部外品」の商品があります。
虫歯の進行を止めたいのであれば、「医薬部外品」のものをおすすめします。
また、香料、アルコールの有無など、ご自身に合った商品を選ぶと良いでしょう。
「化粧品」に分類される製品の作用
「医薬部外品」に分類される製品の作用
口の中を浄化する
口臭を防ぐ
など作用が期待できます。
化粧品の効果効能だけでなく、配合されている成分によって、
虫歯・歯肉炎の予防
歯垢沈着の予防
などの作用が期待できます。
また、マウスウォッシュとデンタルリンスは使い方が異なります。
マウスウォッシュ
デンタルリンス
口に入れてすすいだあと吐き出すのみで、ブラッシングをする必要はない
口に入れてすすいだあとや口に含んだまま、歯ブラシでブラッシングする
虫歯の進行を「遅らせる習慣」「早める習慣」
虫歯の進行を早める習慣
砂糖たっぷりのお菓子を食べる
ダラダラと食事をする
誤った歯の磨き方をする
などの習慣は、虫歯の進行を早めてしまうリスクが高まります。
「糖分の摂取」によって虫歯菌が酸を作り、歯を溶かします。
特に「ダラダラ食べ」「誤った歯磨き」は、長時間口の中に食べ物や歯垢が存在することになり、虫歯の進行を早めると考えられます。
虫歯の進行を遅らせる習慣
間食は、控える・時間を決める
おやつが食べたいときは、キシリトールガムを噛む
食事は、よく噛んで食べる
カルシウム・ビタミンDを摂取する
などの習慣は、虫歯の進行を遅らせるのに役立つと考えられます。
「間食を控える・時間を決める」「よく噛んで唾液の分泌を増やす」ことで、再石灰化が促され、虫歯の進行を遅らせることにつながります。
また、「キシリトール」には、虫歯菌の活動を弱める作用があり、おやつにおすすめです。
食事では、再石灰化を促す「カルシウム」、再石灰化の調整を行う「ビタミンD」を摂取しましょう。
▼カルシウムを多く含む食べ物
チーズ、牛乳、小魚、大豆、納豆、卵、小松菜 など
▼ビタミンDを多く含む食べ物
キノコ類、鮭 など
初期虫歯は、治療が「痛くない&安く済む」ことが多い
歯の表面が白く濁る「C0虫歯」の段階では、治療の痛みはほとんどないです。
歯のクリーニングとフッ素塗布のみで改善できることが多く、費用も安く済みます。
症状の進行を防ぐためにも、虫歯に気づいたときは早めに歯医者で相談しましょう。
歯医者を探す
▼参考
歯と口のケア用品 ライオン歯科衛生研究所 マウスウォッシュ(洗口液)・デンタルリンス(液体歯磨)
ライオン株式会社 デンタルフロスと歯間ブラシの使い分けを教えてください。
おすすめの歯磨き粉
出血があるときは、研磨剤が入っていないジェルタイプを選びましょう。
特に次の成分が含まれているものがおすすめです。
おすすめの成分
- イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、塩酸クロルヘキシジン:歯周病菌を抑える殺菌作用があります
- アラントイン:歯茎の組織を修復を助けます
- トラネキサム酸:歯茎の腫れや出血を抑えます
歯茎からの出血を放置するのは危険
歯磨きで血が出るのは、歯茎に何らかの異常があるサインです。そのまま放置すると、歯周病や歯肉炎が悪化し、最終的には歯を失う危険もあります。
特に次のような症状があるときは注意が必要です。
- 大きな虫歯で歯茎が腫れて出血している
- 歯茎から膿が出る、歯がぐらぐらする、浮いた感じがある
- 出血が止まらない場合は、血液の病気などが隠れている可能性もある
出血が続くときは、自己判断せず早めに歯科医院を受診しましょう。