「歯磨きをすると血が出る…」
歯茎の出血の原因には、歯周病や虫歯の悪化も考えられます。
毎日歯茎から血が出る人、大量に出血する人は要注意です。
正しい歯磨き方法をはじめ、対処法も詳しく解説します。
監修者
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歯は健康に欠かせません。美味しいものを食べる・会話をする・美しい表情を保つ…、健康な歯は人生の質を高めます。歯の正しい知識を知って、より健康な日々を手に入れましょう。
歯磨きで歯茎から血が出る…大丈夫?
歯磨きで血が出ていても、強く磨いて歯茎に傷がついた場合は問題ないことが多いです。
ただし、腫れている、膿が出ているといった場合は、歯周病の悪化も考えられます。
毎回大量に血が出る…
歯磨きで毎回大量に出血がある場合、歯は歯肉炎や歯周病が進行していると考えられます。
早めに歯科を受診して診察を受けましょう。
治療が遅れると、歯を失ってしまうリスクが上昇します。
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出血する7つの原因
歯を磨くと血が出る場合は、
- 歯周病
- 虫歯
- 親知らず(智歯周囲炎)
- ストレス、体調不良、過労
- 歯ブラシが合っていない
- 歯に何かが詰まっている
- 口や歯以外の病気
などが原因として考えられます。
原因① 歯周病
歯周病は、歯と歯茎の際部分に歯垢が付着し、細菌が増殖することで歯茎周囲に炎症が起きている状態です。
歯周病の症状の特徴
- ブラッシングの際に歯茎から血が出る
- 歯茎が腫れる
- 歯茎が赤くブヨブヨする
- 口臭がきつくなる
歯周病は「歯肉炎」と「歯周炎」に大きく分かれています。
「歯肉炎」は初期の歯周病や歯茎のみの炎症を指します。
「歯周炎」は歯茎の周りに炎症が広がり、歯を支える骨を溶かしている状態です。
歯周病の対処法
歯磨き、フロスでの清掃を行い、歯石、歯垢のセルフケアを行ってください。
軽い歯周病であれば、歯石がなくなれば良くなっていきます。
ただし、ケアを1週間ほど行っても治らない場合は、歯科を受診しましょう。
見えない部分が多い口の中は、セルフケアだけで歯石が取れないことが多くあります。
特に歯茎の出血をする人は、見えない部分にも歯周病が起きていることが多いので、一度歯科で口腔内のチェックを受けてください。
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原因② 虫歯
小さな虫歯でも、歯茎に近い部分や歯と歯の間にできた場合は、歯茎に炎症が起こり出血しやすくなります。
これは、歯茎付近に歯垢や食べ物がたまりやすくなるからです。
虫歯の進行に伴い、歯周病も進行する場合もあります。
大きな虫歯で歯がほぼ残っていない人は、歯茎が残っている歯を覆うように虫歯が増殖することで、出血を招く場合があります。
虫歯の症状の特徴
- 冷たいものや甘いものがしみる
- 噛むと痛みが出る
- 何もしていないのにズキズキと痛む
- 叩くと響く
虫歯の対処法
残念ながら虫歯はセルフケアでは治りません。
自然に治ることもないので、重症化する前に歯科を受診しましょう。
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原因③ 親知らず(智歯周囲炎)
親知らずの周囲に起こる、歯茎の炎症です。
特に親知らずがまっすぐ生えていない人は、歯茎に細菌が入って炎症を起こし、出血することがあります。
智歯周囲炎の特徴
- 痛みが生じる
- 膿が出る
- 悪化すると腫れる
- 悪化すると熱が出る
- 腫れが原因で口が開けづらくなる
- 食べ物を飲み込みにくくなる
智歯周囲炎の対処法
睡眠をよく取り、体調を整えましょう。
2日ほど経っても治らない場合は、歯科を受診しましょう。
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原因④ ストレス、体調不良、過労
過剰なストレスを抱えている・風邪等の体調不良・過労等が原因で、歯茎から出血する場合があります。
この症状は、免疫力が低下して細菌に負けてしまい、炎症が起こるために生じます。
症状の特徴
- 勉強や仕事など集中している時は症状がない
- 職場や学校に行くと歯が痛む
- 1日の中で、痛みに変化がある
自分でできる対処法
毎日7~9時間程度の睡眠時間を確保し、栄養バランスの良い食事を、1日3食しっかり摂りましょう。
それでも歯茎から血が出る時は、歯科を受診してください。
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原因⑤ 歯ブラシが合っていない
元々歯茎が弱い人は、固い歯ブラシの使用で出血する場合があります。
また、必要以上の力で歯磨きを行うと歯茎を傷つけてしまい、出血させてしまいます。
症状の特徴
- 出血する箇所が一定ではない
- 口臭もきつくない
- 口の中で歯ブラシが、歯や歯茎によく当たる
自分でできる対処法
小さめの柔らかい歯ブラシに変えましょう。
ご自身にある歯ブラシがわからない場合は、歯科医に相談してみることをおすすめします。
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原因⑥ 歯に何かが詰まっている
食べカス等が歯と歯の間に詰まっていると、歯茎が押されて傷が付き出血を起こす場合があります。
また、食べかすが詰まっていると菌が増殖するため、炎症によって出血するケースもあります。
特に歯の被せ物・詰め物が合っていない人は、歯に歯垢や食べカス等が溜まりやすいです。
症状の特徴
- 痛みはないこともあるが、腫れ感を感じる、痛みを感じることもある
- 口臭があることも
自分でできる対処法
歯磨きの際に、歯間ブラシやデンタルフロスを使用しましょう。
歯の被せ物や詰め物が合っていないように感じる場合は、歯科で相談してみることをおすすめします。
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原因⑦ 口や歯以外の病気
「糖尿病」「骨粗鬆症」「高血圧」等が原因で出血が起こる場合があります。
また、薬の副作用で歯茎の腫れや出血が起こることがあるので、医師に確認しましょう。
口や歯以外の病気の対処法
磨き残しがないように、丁寧にブラッシングを行ってください。
1週間ほど行っても治らない場合は何らかの病気かもしれません。歯科を受診して相談しましょう。
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子どもや赤ちゃんは出血しやすい
小さい子どもや赤ちゃんは、歯茎の皮が薄く弱いです。
そのため、歯磨きの際に力を入れ過ぎたり、歯ブラシを動かしすぎたりすると傷つけて出血が起こる場合があります。
子どもに対しては、優しく丁寧な歯磨きを根気よく続けていくことが大切です。
赤ちゃんの場合、毎回無理に歯ブラシを使わずに、清潔な綿棒やガーゼに水を付けてやさしく歯垢を拭きとってあげる方法もおすすめです。
妊娠すると出血しやすい!
妊娠すると女性ホルモンの影響で、歯ぐきが赤くなったり、腫れたり、出血するなどの「妊娠性歯肉炎」になりやすくなります。
また、妊娠で唾液のPH(水素イオン濃度)が低下して酸性に傾いたり、妊娠によるつわりや間食の増加等で歯磨きが不十分になったりするのも、出血の原因として考えられます。
妊娠性歯肉炎の対処法
歯ブラシやフロスなどで、丁寧にセルフケアを行ってください。
1週間ほど行っても治らない場合は、歯科を受診しましょう。
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【これホント?】歯茎から血を出したほういい?
わざわざ歯茎から血を出さないほうがいいでしょう。
細菌感染の危険があるので、わざと血を出すのはやめましょう。
歯磨きの出血は「自然に治る?」
ストレス・体調不良・寝不足・過労が原因の場合は、一時的な出血であるケースが多いです。
この場合は、それらの状況の改善に伴って出血も止まると考えられています。
ただし、進行した歯周病・虫歯は自然に治りません。
歯や歯茎の病気を疑うときは、歯科を受診しましょう。
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歯磨きの出血は「どう予防する?」
普段の正しいケアで血が出ないように予防することができます。
正しい歯磨きの仕方、おすすめの歯磨き粉を確認してみましょう。
正しい歯の磨き方「スクラビング法」
- 鉛筆を持つ要領で歯ブラシを持ち、毛先が曲がらない程度の弱めの力で歯を磨く。
- 歯ブラシの毛は、歯と歯茎に対し直角に当てて、3mmほどの細かさで前後に動かす。
- 一度に磨く歯の本数は1~2本とし、一箇所20回以上細かく振動させて磨く。
- 奥歯や歯の裏側等、毛先を当てにくい部分は、45度を目安に歯ブラシを当てるようにする。
おすすめの歯磨き粉
出血があるときは歯茎を傷つけないよう、歯磨き粉は研磨材の入っていないものやジェルタイプのものにしましょう。
おすすめの成分
◆イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、塩酸クロルヘキシジン…
歯周ポケットの清潔を維持し、歯周病の発症を防ぐ浸透殺菌作用が含まれています。
◆アラントイン…
歯茎細胞を活性化させて歯茎組織を修復する成分です。
◆トラネキサム酸(抗炎症成分)…
歯茎の腫れ・出血を抑制します。
出血を放置するのはキケン!
歯茎の出血は、歯周病をはじめ、何らかの歯茎の異常を表すサインです。
歯茎の出血を放置して症状が悪化すると、歯周病や歯肉炎が進行して歯が抜けてしまうリスクが生じるので、早期発見と早期治療開始がとても重要となります。
特に、次のような場合は、早めに歯医者を受診しましょう。
要注意① 虫歯が原因で歯茎から出血している
大きな虫歯になっていて歯が破壊されている場合、歯茎が腫れて出血している恐れがあります。
要注意② 歯周炎を起こしている
- 歯茎から膿が出る
- 歯がぐらぐらする
- 歯が浮いているように感じる
- 歯茎が腫れて痛みを伴う
といった場合には、歯周炎が疑われます。
要注意③ 何らかの病気の可能性が疑われる
歯茎からの出血が止まらない場合、血液の病気や悪性腫瘍の可能性があるため、念のため歯科を受診してください。
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