子どもの熱が39度に!
病院に行くべき?まだ様子をみても大丈夫…?
お医者さんに、その対処法を聞きました。
病院を受診する目安や、食事や水分のとりかた、看病の仕方を解説します。
監修者
経歴
公益社団法人 日本小児科学会 小児科専門医
2002年 慶應義塾大学医学部を卒業
2002年 慶應義塾大学病院 にて小児科研修
2004年 立川共済病院勤務
2005年 平塚共済病院小児科医長として勤務
2010年 北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室勤務
2012年 横浜市内のクリニックの副院長として勤務
2017年 「なごみクリニック」の院長として勤務
2020年 「高座渋谷つばさクリニック」院長就任
まずは「慌てない」こと
39度の発熱には驚くかもしれませんが、発熱そのものが脳に影響を与えたり、後遺症を残すことはないとされています。
発熱は、体がウイルスや細菌をやっつけるための免疫反応です。
無理に冷やしたり、市販薬を使ったりしない方がよいケースもあります。まずは慌てず行動しましょう。
生後3ヶ月未満の赤ちゃんは、すぐに病院へ!
生後3ヶ月未満の赤ちゃんの場合は、38度以上になったら医療機関を受診してください。
赤ちゃんの体は未熟です。高熱に負けてしまったり、体調が急変することもあります。後遺症が残ったり、敗血症・肺炎・髄膜炎のリスクもあるため、迷わず小児科を受診しましょう。
「病院に行くべきか」体調チェックをしよう
発熱以外にどんな症状がでているか確認しましょう。
「呼吸が苦しい」「顔色が悪い」などの症状がなければ、基本は安静にして寝かせます。
数時間おきに熱を測り、体調に変化がないか観察しましょう。
- 発疹がでている
- 嘔吐・下痢がある
- 飲食がままならない
→子どもの様子を見ながら、症状がつらいときは早めに医療機関を受診しましょう。
- ぐったりしている
- 脱水症状のサインがある
- 会話ができない
- 呼吸が苦しい
→すぐに医療機関に行きましょう。
夜の場合は、急患診療を受診してください。
→救急車の手配をしましょう。
「熱が上がりきったサインがでているか」を確認しよう
「熱が上がりきる前」と「熱が上がりきった後」で、対処法が変わります。
熱が上がりきる前に、いくら熱を冷まそうとしても、熱は下がりません。
熱が上がる途中のサイン
この状態のときは、体を温めてあげましょう。
体を冷やしたり、解熱剤を使っても、熱が下がりにくい状態です。
熱が上がりきったサイン
この状態になったら、体をすずしく楽にしてあげましょう。
汗をかきはじめるので、水分補給することが大事です。
39度の対処法(熱が上がりきる前)
子どもの体を温めて、お部屋を加湿してあげましょう。
熱が上がっている途中は、むやみに体を冷やさないようにしましょう。
子どもが寒がっている場合は、重ね着をしたり、お部屋の温度を高めに調整して、子どもの体を温めてあげましょう。
また、お部屋の湿度を上げてあげると、喉や鼻の中にいるウイルスが繁殖しづらくなります。
加湿器がないときは…
- 塗れタオルを干す
- カーテンに霧吹きをかける
- お湯を沸かす
39度の対処法(熱が上がりきった後)
熱が上がりきると、汗をかき始めます。こまめに汗を拭き取ってあげましょう。
水分補給だけはしっかり行ってください。
このときに厚着をさせすぎると、汗をかきすぎて脱水症状になるリスクもあります。子どもが暑がる場合は、Tシャツ1枚でもかまいません。
また、発熱後は食欲がないことも多いです。
無理して食べなくても大丈夫ですが、水分だけはしっかり補給してくださいね。
冷やす場所はどこがいい?
効率よく熱を冷ましてあげるためには、首回り・脇の下・股の付け根を冷やすと良いでしょう。
「高熱で眠れない」ときの対処法
子どもが寝ている部屋の温度・湿度を適切に整えてあげましょう。
寒がっている→布団や衣類で保温しましょう。
暑がっている→薄着にさせて大丈夫です。無理に布団をかける必要はありません。
厚着させすぎたり布団をかけすぎたりすると、熱がこもり、余計に具合が悪くなることもあります。
また、エアコンや扇風機の風は、直接体に当たらないようにしてください。
<お部屋の温度・湿度の目安>
温度:(夏場)25~28度/(冬場)18~22度
湿度:40~60%ほど
おすすめの飲み物
飲み物は、子どもが飲みやすいいものであれば、水やジュースなどでもかまいません。
もしあれば、経口補水液がおすすめです。
子どもの口に合わない水分(経口補水液や水など)を無理やり飲ませる必要はありません。
※吐き気・下痢がある場合は、柑橘系の飲み物は避けましょう。
水分がとれない場合
スプーン1杯程度でもいいので、少しずつ飲ませてください。
一気にゴクゴク飲ませようとすると、吐いてしまうこともあります。
子どもが欲しがるジュースやスポーツドリンクでもよいので飲ませましょう。
経口補水液は、果汁で少し味をつけてあげると子どもでも飲みやすくなります。
脱水症状のサイン
- 汗をかいていない
- おしっこが少ない
- 泣いても涙が出ていない
- 唇がカサカサ
- 汗をかいていない
- 顔色が悪い
- 吐き気がある
小さな子どもは、あっという間に脱水症状が進むことがあるので、小まめに体調をチェックしましょう。脱水症状がでているのに水分摂取ができないときは、医療機関を受診してください。
おすすめの食べ物
子どもが「食べたい」というものがあれば、食べさせてあげてください。
プリンやゼリーなど、食べやすいものでもよいでしょう。
食欲がありそうなら、消化によいうどんやおかゆ、みそ汁、スープなどがよいでしょう。
※嘔吐や下痢がある場合は、脂肪分の多い揚げ物や、食物繊維の多い海藻・根菜・キノコは避けましょう。
よくある質問①「お風呂」に入ってもいい?
ふらついて転倒の可能性がないようであれば、入浴してもよいでしょう。
ただし、無理して入浴させる必要はありません。
入浴は体力を使います。
無理をさせてまで、入れなくても大丈夫です。
赤ちゃんの場合は、38度の以上の発熱がある場合は、入浴を控えた方がよいでしょう。
熱が下がった後も、シャワーでさっと汗を流す程度から始めてください。
よくある質問②「解熱剤が効かない」なぜ?
熱が上がっている途中で解熱剤を飲んでも、あまり効きません。
また、病気の勢いが強いと、薬を飲んでも熱が下がらないことがあります。
もう一度解熱剤を使うときは、薬の使用方法通りに時間をあけましょう。
また、熱の原因がわからない場合は、自己判断で解熱剤を使うのは避けましょう。
「苦しそうで眠れない・水分をとれない」といった場合で、どうしても市販の解熱剤を使いたい場合は、アセトアミノフェン系統の解熱剤を使って体を一度、楽にしてあげてもよいでしょう。
▼アセトアミノフェン系統の市販薬の例
- 小児用バファリンCII(3歳以上)
- ムヒのこども解熱鎮痛顆粒(1歳~11歳)
など
よくある質問③「痙攣」と「震え」の見分け方は?
ガクガクしていても、声をかけて意識があれば、痙攣ではないでしょう。
意識がなく、視線が一点を見つめて反応がない時は「痙攣」が疑われます。
よくある質問④高熱で「よく寝る」大丈夫?
子どもの呼吸や脈を確認しましょう。
呼吸も安定しており、寝顔も苦しそうではなくいつも通りであれば、様子を見ましょう。
子どもが息苦しそうにしていたら、早めに受診しましょう。
こんなサインがでたら病院へ
病院に行くべき症状
- 発疹がでている
- 嘔吐・下痢がある
- 飲食がままならない
→子どもの様子を見ながら、症状がつらいときは早めに医療機関を受診しましょう。
早急に病院に行くべき症状
- ぐったりしている
- 脱水症状のサインがある
- 会話ができない
- 呼吸が苦しい
→すぐに医療機関に行きましょう。
夜の場合は、急患診療を受診してください。
救急車を呼ぶ症状
→救急車の手配をしましょう。
お医者さんに伝える3ポイント
- いつから発熱しているか
- 発熱の経過
- 発熱以外の症状(嘔吐、下痢など)
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子どもが40度の発熱!
どう対処すればいいのか、お医者さんに聞きました。
3ヶ月未満の赤ちゃんは、迷わず受診!
3ヶ月未満の赤ちゃんの場合、40度の熱がでていたら迷わず医療機関を受診してください。
細菌感染症(髄膜炎、敗血症、尿路感染など)のリスクが高いからです。
生後3ヶ月未満の赤ちゃんは、免疫機能が未熟です。容易に敗血症などで全身状態が急激に悪化するリスクが高く、緊急性が高い状態です。
子どもに40度の高熱がでたら…親はどうする?
まず、
子どもがぐったりしていないか
話す・飲むことはできるか
他にも症状がないか(吐き気、下痢、鼻水、発疹など)
をチェックしましょう。
子どもに元気や活気があり、水分を摂れる場合は、一度自宅で様子を見てもよいでしょう。
ただし、40度以上の高熱は、体への負担が大きいので、基本は医療機関を受診して医師の診察を受ける必要があります。
特に注意すべき症状
特に、「ぐったりしている」、「意識が薄い」、「水分を摂れない」、「呼吸が荒い」と行った場合は、医療機関を受診しましょう。
急激な発熱による体調不良は、インフルエンザなどの感染症の疑いがあります。ウイルスが体内で増殖している状態です。
発熱の他にも、吐き気・下痢・鼻水・発疹がある場合は、なんらかの感染症にかかっている可能性があります。感染症を疑う場合は、症状を元に一度医療機関へ連絡入れ、指示に従い受診しましょう。(感染症対策の入り口などがある医療機関もあります。)
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自宅で看病するときの対処法
「熱が上がりる前」と「熱が上がりきった後」で対処法が異なります。
熱が上がりきる前は、無理に熱を下げようとしても下がらないので注意しましょう。
熱が上がりきる前の対処法
熱が上がりきる前は、寒がります。
ガタガタと体が震えることもあります。また、熱が上がっている途中では、汗をかきません。
親御さんは落ち着いて、厚着をさせ、部屋の温度を上げましょう。特に首元や足元を温めてください。また、布団を追加してもよいでしょう。
熱が上がりきった後の対処法
熱が上がりきった後は、暑がります。
汗も出てくるので、水分補給をさせて着替えさせます。汗をかいている時は、着替えを行なってください。濡れた衣類を長時間身につけていると体温を奪われ、体が冷えて、また発熱する場合があります。
また、このとき厚着の必要はありません。
子どもが“ちょうど良い”と感じるものを着させてください。
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水分摂取のしかた
水分を飲めるようであればこまめに与えます。
経口補水液がおすすめです。
経口補水液は、飲みにくければレモンなどの果汁を足すと飲みやすくなります。また、自宅に経口補水液がない場合は、水1Lに対し、砂糖40グラム、塩3グラムいれるとすぐに作れます。
熱が高く飲めない・嘔吐してしまうときは、無理に水分をとらせなくても大丈夫です。熱が上がりきったら、飲めるようになります。
ただし、高熱が続き、半日も水分を摂取できないと、脱水を起こすことがあるので、口の中にだけでも水分を含ませる必要があります。飲み込めなくても、スプーンに水や経口補水液を乗せて、口に含ませてください。子どもが起きているようであれば、15分おきくらいに与えましょう。
食べ物は何がいい?
基本的に、食べ物は欲しがれば何を与えても構いません。
通常は、高熱のときは、あまり重たい脂っこいものは欲しがりません。食欲があれば、うどんやおかゆなどを用意しておきましょう。口当たりの良い、バナナ、ゼリー、プリンなども子どもは食べやすいです。
熱が下がれば徐々に食欲は戻っていきます。
栄養があるものを食べてほしいと思うところですが、発熱時に無理に食べさせる必要はありません。
お風呂にはいってもいい?
40度の熱があるときは、入浴は控えましょう。
発熱が38℃以下になり、ふらつきやめまいなどがなくなったら、短時間の入浴をしても構いません。具合が悪い時は無理して入浴する必要もありません。
「悪寒でガタガタ」と「熱性けいれん」、どう見分ける?
悪寒によって震えているときは、ガタガタと小刻みに震えます。
意識がなくなる、チアノーゼなどの症状はありません。
熱性けいれんの場合は、「意識がなくなる」「チアノーゼ(顔色が悪くなる)」「視点が合わない」などの症状が出ます。手足の動きは5分以内で治まることがほとんどです。
発熱に加え「熱性けいれん」がみられるときは、夜間でもすぐに医療機関を受診してください。
熱が上がりきる前は「むやみに冷やさない」ことが大事
熱は、もともと体が細菌やウイルスと戦っているために発生します。そのため、熱を無理に下げてしまうと、細菌やウイルスが増殖して、症状を悪化させてしまいます。
冷やす場所はどこがいい?
腋の下・首・足の付け根などを冷やすと楽に感じます。
おでこを冷やしても意味がないって、ホント?
おでこは、血流が少ないので冷やしても解熱の働きは期待できません。
ただし、子どもが楽になるなら冷やしてあげるのがよいでしょう。
解熱剤の注意点
痛みや頭痛などがあり、苦しそうで休めないときに使用しましょう。
解熱剤は、子どもの年齢にあったものを使用してください。アセトアミノフェン系統がよいでしょう。
15歳未満は、大人向けの解熱剤は使用できません。
用法用量を守って、服用させすぎない様にしてください。
※ただし、熱が上がりきる前に解熱剤を使っても、熱が下がらない場合があります。
解熱剤を使うほど体に負担がかかっている場合は、医療機関の受診をおすすめします。
飲み薬と座薬、どっちがいいの?
飲み薬よりも、確実に投与ができ、効果が期待できるものが座薬です。また、小さな子どもで、飲み薬を飲めないという場合は座薬を使います。
発熱の後遺症が心配…
40度台までの発熱で後遺症を残すということは、ほとんどありません。
発熱そのものは、後遺症につながることはほぼありません。
ただし、重度の感染症である脳症・髄膜炎を発症すると後遺症が出る場合もあります。
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病院を受診したほうがよい目安
40度以上の発熱があり、「元気がない」、「ぐったりしている」という場合は受診しましょう。
悪化すると、脳症や髄膜炎を発症するリスクがあります。
小児科を探す
深夜でも「救急診療」に行くべき目安
40度以上の発熱で、「ぐったりしていて、意識が薄い」「呼吸が荒い」という場合は、夜間でも受診しましょう。
放置すると、さらに高熱となり、脳症や髄膜炎を発症するリスクが上がります。
救急車を呼ぶべき基準
次のような症状がある場合は、救急車を呼んでください。
生後3か月未満で38度以上の熱がある
意識がない(反応が薄い)
顔や唇が土色・紫色で、グッタリしている
突然、頭を痛がる(首の後ろが硬くなる)
呼吸困難、息苦しそうにしている(呼吸が弱い)
嘔吐・吐き気が止まらない
お腹を激しく痛がる
尿が出ない
血便が出る
全身に発疹が出ている
痙攣が止まらない
手足が硬直する
判断に迷うときは…
こども医療でんわ相談「#8000」をプッシュしましょう。
小児科医師・看護師に相談できます。
子どもの高熱のよくある原因
インフルエンザ(急激な高熱・関節痛)
肺炎(咳・息切れ)
髄膜炎・脳炎(頭痛・吐き気・嘔吐)
突発性湿疹(解熱後に発疹が出る)
プール熱(結膜炎・喉の痛み)
溶連菌感染症(喉の痛み・発疹・イチゴ舌)
川崎病(発疹・目の充血・イチゴ舌・首のリンパの腫れ)
おたふく風邪(首やアゴの腫れ・押すと痛い・飲見込むと痛い)
水ぼうそう(だるさ・食欲不振・発疹)
熱中症・熱射病(倦怠感・めまい・吐き気)
など
熱が下がった後の過ごし方
熱をぶり返さないように安静に過ごします。
子どもの場合、熱が下がって体が楽になると、体を動かしてしまい熱をぶり返すことがよくあります。
「日中になると、少し熱が上がる」という段階では、体調が治りきっていないので、学校などはお休みしましょう。
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子どもの熱が5日以上下がらない。咳も!受診目安とホームケア|医師監修
2020-05-01
「子どもの熱が5日経って下がらない」 「咳も出ていて治らない…」
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▼参考
“Dr.365”のこどもの病気相談室 こどもの病気治療の本当のこと
(小学館)
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2020-01-06
ケホケホ…。ケンケン…。
子どもの空咳(乾いた咳)が続く。
止まらない咳を早く治すために、ママ・パパができることをお医者さんに聞きました。食べ物や飲み物のアドバイスや、市販薬の服用についても解説します。
この空咳…大丈夫?
子どもの体調を観察して、「空咳以外の症状が特になく、水分補給や加湿器の使用で咳が治まる」場合はは、しばらく自宅で様子を見てもよいでしょう。
空気の乾燥による咳だったり、軽い風邪をひいているのかもしれません。
ただし、次のような症状を伴う場合は、小児科を受診しましょう。
呼吸がいつもと違う
犬の遠吠えのような咳が出る
咳のせいで眠れない・食べられない
咳が2週間以上続く
発熱を伴う(目安として40度以上、生後3ヶ月未満は38度以上)
子どもの空咳の「よくある原因」
子どもの乾いた咳の代表的な原因として
のど風邪(上気道炎)
空気の乾燥
ストレス
食べ物が気道に入った
があげられます。
上記の場合、「熱がないのに咳が続く」ことがあります。
心当たりがないか、チェックしてみましょう。
1.のど風邪(上気道炎)
風邪によってのどから気管にかけて炎症が生じていると、咳が出やすくなります。
のどの炎症で最も多いものはウイルス感染です。「ケンケン」というような痰が出ない乾いた咳(空咳)が出ます。
2.空気の乾燥
空気が乾燥していると、のども乾燥し、空咳が出る場合があります。
春先や、秋~冬にかけての季節は空気が乾燥しやすいです。
3.心因性咳嗽(主にストレス性の咳)
ストレス等が原因で、ケンケンというような乾いた咳が出る場合があります。
4.気道異物
食べた物が気道に入ることで咳が起こります。
微熱や乾いた咳が出る場合があります。
▼異物を取り除く方法「腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法)」
子どもの背中側から両手を回し、みぞおちの前で両手を組みます。勢い良く両手を絞ってぎゅっと押します。
乳児の場合、片腕に赤ちゃんをうつ伏せに乗せ、手のひらで顎を支えます。頭を体よりも低くし、もう片方の手のひらで背中の真ん中を数回強く叩きます。
遺物を取り出そうとして、口の奥まで無理に指を入れ込まないでください。
「病気」が隠れていることも!
子どもの乾いた咳の裏に、病気が隠れていることもあります。
代表的な病気の例として
クループ症候群
マイコプラズマ感染症
急性気管支炎
咳喘息
百日咳
の5つについて紹介します。
1.クループ症候群
犬が吠えるような咳が出るのが特徴です。
風邪症状に続いて起こるケースが多く、声帯が炎症を起こして腫脹し、呼吸困難を起こします。
クループ症候群の特徴
犬吠様咳嗽(犬が吠えるような咳)
喘鳴(ヒューヒュー・ゼーゼーという呼吸)
夜中に咳が悪化する
クループ症候群の対処法
部屋の乾燥を防ぎ、水分補給をこまめに行ってください。部屋を加湿してあげましょう。
症状の改善が見られない場合には、早めに医療機関を受診してください。
2.マイコプラズマ感染症
肺炎マイコプラズマという細菌が原因でおこる感染症で、主な症状は咳です。
風邪に似た症状からはじまり、発熱が持続して、徐々に咳が激しくなる場合があります。
マイコプラズマ感染症に感染しても全員が肺炎を発症するわけではなく、罹患者の約10~20%が発症するとされています。
マイコプラズマ感染症の特徴
風邪症状(熱・鼻水など)の後に咳が出てくる
痰のからまない空咳
徐々に咳が激しくなる
マイコプラズマ感染症の対処法
安静にして、水分補給をこまめにしてください。通常は1週間程度で徐々に治っていくことが多いです。
咳の症状がひどかったり、子どもが苦しそうな場合は小児科を受診しましょう。
医療機関では、マクロライド系、ニューキノロン系の抗菌薬を用いた治療が行われるケースが多いです。
3.急性気管支炎
気管支にウイルスや細菌の感染により炎症が生じた状態です。
乾いた咳、発熱から症状が始まり、徐々に湿った咳へと移行するのが特徴です。
急性気管支炎の特徴
コンコンという空咳からゴホンゴホンという湿った咳に変わる
熱がでることが多い
乾燥した空気・冷えた空気を吸うと咳き込む
体を動かすと咳き込む
急性気管支炎の対処法
咳で体力を消耗してしまうので安静にしましょう。急性気管支炎は、通常であれば自然に治っていきます。
医療機関での主な治療法としては、咳止め薬の服用です。高熱を伴う場合には、抗菌薬の内服が行われるケースもあります。
4.咳喘息
「咳喘息」とは、“咳だけ”の喘息です。
乾いた咳が慢性的に続き、発熱などの症状はあまりでません。
「気管支喘息」とは異なり、ゼーゼーというような呼吸音や呼吸困難の症状はあまりみられず、就寝時、深夜、早朝に乾いた咳が出るのが特徴です。
アレルギーを持つ人に多くみられると考えられています。
咳喘息の特徴
乾いた咳が慢性的に続く
喉がイガイガする
咳症状がでない時間がある
夜または朝に咳症状がひどくなる
咳喘息の対処法
水分補給をこまめに行い、部屋が乾燥しないように加湿器等を使用して適正な湿度を維持してください。
主な治療法としては、喘息と同様にステロイド吸入薬の使用が挙げられます。
5.百日咳
コンコンという乾いた激しい咳が長期にわたり続きます。
顔を赤くして咳を繰り返すことがあります。発熱はありません。
百日咳になると、風邪をひいたときの症状(発熱・鼻水など)のあとに、咳だけが続きます。
百日咳の特徴
小刻みに何度も咳をする
息継ぎの際に「ヒューヒュー」という吸い込み音
夜になると咳がひどくなる
百日咳の対処法
百日咳は、重症化の危険があるため、早めに医療機関で適切な治療を受けましょう。おうちでは、安静にして水分補給をこまめに行ってください。
また部屋が乾燥しないように加湿器等を用いて湿度を保ってください。
主な治療法としては、抗菌薬の服用が挙げられます。(百日咳の場合、適切な抗菌薬以外は効果がありません。)
子どもの乾いた咳の「対処法」
子どもが乾いた咳をしているときは、以下の6つのポイントを守りましょう。
安静にする
マスクを着ける
小まめにうがいをする
小まめに水分補給
部屋をきれいに保つ
のどを刺激するものは摂らない
基本の対処は「喉を保湿すること」です。マスクをつけたりこまめに喉を潤すようにしましょう。
また、部屋のホコリやチリ、スパイス料理や炭酸ジュースなどは喉の刺激になることがあります。咳が出ている間は、喉への刺激を避けるようにしましょう。
喉におすすめの食べ物・飲み物は?
「栄養バランス」がとれたと「消化のよい食事」を摂るようにしてください。
おかゆ
うどん
柔らかく煮た野菜(じゃがいも、かぼちゃ、さつまいも、かぶ、里芋、大根等)
果物(りんご、梨、バナナ等)
脂肪分が少ない魚(たら、しらす、たい等)
脂肪分が少ない肉(鶏ささみ等)
卵
プリン、ゼリー
しょうが汁
お茶
などがおすすめです。
夜に咳がひどくなる場合はどうする?
夜は、空気が冷たくなり、体も副交感神経が優位になるため、咳が出やすくなります。
喉が加湿される環境を整え、上半身を少し起こす体勢に変えましょう。
水分を摂る(一気飲みではなく、複数回に分けてゆっくり飲む)
上半身を起こす(気管や肺の圧迫を減らすため)
加湿器等を使用して、部屋の中に湿度を適正に保つ
空気清浄機を使用して、きれいな空気を維持する
子どもの咳がひどい場合、子どもの背中をゆっくりさすってあげましょう。
市販薬の服用について
市販の咳止めは、服用しても大丈夫でしょうか?
咳の症状によっては、安易に市販薬で咳を止めない方がよい場合もあります。
例えば咳の原因がウイルス性の風邪だった場合、咳を止めてしまうことでウイルスの排出を止めてしまうことになります。すると余計に咳が長引いたり、症状が悪化してしまうこともあります。
咳の原因によって、使える薬も変わります。
自己判断で服用せず、医療機関を受診して処方してもらった薬を服用することをおすすめします。
小児科を探す
登園・登校の判断目安
熱もなく、咳も軽く、全身状態に問題がないと判断できたら、登園・登校しても大丈夫だと考えられます。
ただし、熱がなくても、夜中に咳が出て眠れない場合や、呼吸困難のような症状が出る場合には無理をせずにお休みすることをおすすめします。
※上記の登園・登校基準は、あくまでも目安です。
現在はコロナ禍のため、診察を担当した医師に相談しましょう。
登園・登校の際の注意点
マスクを着ける
咳やくしゃみをするときは、手やハンカチでしっかり押さえる
小まめに手を洗う
小まめに水分補給する
激しい運動は控える
大声で話したり、歌ったりしない
病院の受診目安
以下のような症状がある場合は、病院を受診しましょう。
呼吸が苦しそうで顔色や唇の色が悪い
呼吸が苦しいため眠れない(横になれない、動けない等)
呼吸が早くなっている、肩で息をしている
息を吸い込んだ際、鎖骨上、肋骨の間、のどがくぼむ
犬の遠吠えのような咳が出る(クループ症候群の疑い)
咳が2週間以上継続される
何科を受診する?
小児科、アレルギー内科等を受診するケースが多いです。
基本的には、小児科の受診でよいでしょう。
アレルギーを疑う場合(特定の場所で咳が出る/特定の季節に咳がでる)場合は、アレルギー科を受診しましょう。
小児科を探す
アレルギー科を探す
▼参考
喘息FAQ(小児喘息情報サイト)
www.s-zensoku.jp/faq.html
せき、喘息(日本医師会)
https://www.med.or.jp/clinic/sick_seki.html
こどもの咳のおはなし ~お子さんの咳について知っておきましょう(シオノギ製薬)
http://www.shionogi.co.jp/wellness/diseases/contagion/cough.html
小児科(東京医科大学茨城医療センター)
http://ksm.tokyo-med.ac.jp/Page/Shinryou/Yokuaru/shounika
教えて !ドクター(佐久医師会)
www.saku-ishikai.or.jp/image/pdf/-2018-all.pdf
夜間や早朝にせきが出ます(一般社団法人日本呼吸器学会)
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=49
独立行政法人環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/sukoyaka/pdf/no42.pdf