コレステロールと中性脂肪の違いを、お医者さんに聞きました。
「コレステロールや中性脂肪が高いとどうなってしまうの?」
「数値を下げる方法はある?」
といった疑問にもお答えします。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
「コレステロール」と「中性脂肪」の違いをわかりやすくいうと?
どちらも血液中に存在する脂質ではありますが、体での役割が異なります。
<コレステロール>
細胞膜やホルモン、胆汁酸など材料になります。
「悪玉」と「善玉」があり、善玉であれば数値が高くても問題のないことが多いです。
<中性脂肪>
体温を一定に保ったり、体を動かすときのエネルギー源として働きます。
基準値を超えて中性脂肪がたまっていると、動脈硬化のリスクが上昇します。
詳しく知りたい人向け解説「コレステロールとは」
健康診断で測定されるコレステロールには、
- LDLコレステロール
- HDLコレステロール
- 総コレステロール
の3種類あります。
LDLコレステロール
「悪玉コレステロール」と呼ばれるものです。
この値が高いときは要注意です。
LDLコレステロールは、肝臓から体全体にコレステロールを運ぶ作用があります。
余ったコレステロールを回収できないため、血液中にたまって酸化し、動脈硬化を招くことがあります。
HDLコレステロール
「善玉コレステロール」と呼ばれるものです。
この値が高い場合は、通常問題ありません。
HDLコレステロールの働きはLDLコレステロールの逆です。
コレステロールを体の各組織から肝臓に運びます。
体全体にたまった余分なコレステロールを、肝臓に運ぶので「善玉」と呼ばれます。
※HDLコレステロールが極端に高い場合は、肝障害などが疑われるため要注意です。
総コレステロール
LDLコレステロールと、HDLコレステロールを合わせたものを「総コレステロール」と考えておいていいでしょう。
総コレステロールの値が高くても、LDLコレステロールの値が高くなければ問題ない場合もあります。
また、近年は悪玉と善玉のバランスをみるために、「LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値」の比率(L/H比)を結果に記載することも多くあります。
LDH/HDL比が2.5以上だと、動脈硬化や血栓のリスクが高くなります。
そのため、「ほかの病気がない場合は2.0以下に」「高血圧や糖尿病がある場合、あるいは心筋梗塞などの病歴がある場合には1.5以下に」を目安とする病院が増えています。
詳しく知りたい人向け解説「中性脂肪とは」
体内に蓄えられた余剰エネルギーが「中性脂肪」です。
消費量を超えてカロリーを摂取することで生じます。
使われなかった中性脂肪は肝臓や血中などに溜まるため、脂肪肝・動脈硬化の原因となります。
1日の摂取エネルギーの目安
1400~2000kcal:活動量の少ない成人女性
2200±200kcal:活動量が普通以上の成人女性/活動量の少ない成人男性
2400~3000kcal:活動量の多い成人男
合わせて読みたい
2023-02-28
脂肪肝ってどんな状態?
自覚症状はある?
脂肪肝について、分かりやすくまとめました。
脂肪肝の人に「おすすめの食べ物」や「控えた方が良い食べ物」もご紹介するので、肝臓の数値に不安がある人は必読です。
脂肪肝とは
脂肪肝とは、肝臓に脂肪が多く蓄積されている状態のことをいいます。
肝臓には、肝細胞の中に脂肪を蓄えて、エネルギー源として利用する機能があります。
しかし、脂肪の量が多くなりすぎると、脂肪が消費しきれずどんどん蓄積されて、脂肪肝になります。
検査でどれくらいの数値が出ると脂肪肝?
ASTとALTは、人間ドック学会の基準によると、30IU/L以下が基準値で、
31~50 IU/L → 「要注意」
51 IU/L以上 → 「脂肪肝の可能性大」
100 IU/L以上 → 「肝炎の疑いあり」
と考えられています。
脂肪肝の症状
脂肪肝はほとんど自覚症状がありません。
人によっては、
疲れやすい
全身の倦怠感がある
お腹が張った感じがする
といった症状が現れるケースもあります。
脂肪肝の原因
文字通り、脂肪を多く含む食事の食べ過ぎが主な原因です。
欧米型の高脂肪な食事が増えてきたことで、脂肪肝の発症率も上昇しています。
その他、
暴飲暴食
過度の飲酒
運動不足
肥満
無理なダイエット
などの原因が挙げられます。
脂肪肝になりやすい人の特徴
肥満傾向
糖尿病・高血圧・脂質異常症を患っている
つい食べ過ぎてしまう
運動不足
お酒をよく飲む
脂肪肝の改善にいい食べ物は?
脂肪肝を改善するには、栄養価が高く低エネルギーな「野菜」「キノコ類」「海藻類」を積極的に食べましょう。
肝臓で栄養を代謝するとき、ビタミンやミネラルが必要となります。
野菜・キノコ類・海藻類には、これらの栄養素が豊富に含まれています。
脂肪肝の人が食べてはいけないものは?
脂肪肝になったからといって、食べてはいけないものはありません。
ただし、
糖質を多く含むもの(ごはん・ジュース・お菓子・果物)
脂質を多く含むもの(揚げ物・お肉)
お酒
はできるだけ控えましょう。
▼摂取量の目安
糖質を多く含むもの
ごはんは1食につきお茶碗1杯程度
(ごはんなどの穀類に含まれる糖質は、肝臓への影響が比較的少ない)
間食は1日200kcalまで
脂身を多く含むもの
週に1〜2回程度まで
お酒
できるだけ禁酒する
我慢できないときは、成人男性の場合、1日に純アルコール20g程度※までとしましょう。女性はさらに少ない量にしましょう。
週2日は休肝日を設けてください。
※1日に純アルコール20g程度の例
ビール・発泡酒:ロング缶1本
酎ハイ:350ml缶1本
日本酒:1合
ウイスキー:シングル2杯
ワイングラス:2杯弱
早く治すために!食事以外で心がける2つのポイント
肝機能の低下が気になるときは、
1日6~7時間の質のよい睡眠をとる
1日30分程度の有酸素運動をする
といった生活習慣を意識しましょう。
肝臓の負担を減らすには、十分な睡眠時間を確保することが大切です。
運動により消費エネルギー量が増加すると、脂肪肝の予防につながります。
脂肪肝を放置するとどうなる?
脂肪肝が悪化すると、「肝炎」や「肝硬変」を引き起こすリスクがあります。
また、肝硬変から肝がんに進行すると命に関わります。
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれており、無症状で病気が進行することが多く、放置は危険です。
脂肪肝を疑う場合は、早めにお近くの内科・消化器内科を受診しましょう。
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健康診断表のみかた
みる数値
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基準値
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異常値とされる値
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総コレステロール
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140~199㎎/dl
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260㎎/dl以上
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LDLコレステロール
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60~119㎎/dl
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140㎎/dl以上
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HDLコレステロール
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40~119㎎/dl
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40㎎/dl以下or120㎎/dl以上
|
「コレステロールが高い」ってどんな状態?
コレステロールが高いと、血管壁にコレステロールが蓄積され、血液の流れがスムーズではなくなってしまいます。
値が120㎎/dl以上の場合、
- 脂質異常症
- 高血圧
- 動脈硬化
- 糖尿病
- 腎臓疾患
- 甲状腺機能低下症
- 心疾患
などが疑われます。
高くなる原因
遺伝的要因や生活習慣が原因として挙げられます。
生活習慣では
- 過食(脂質の摂りすぎなど)
- 運動不足
- 肥満
- 喫煙
- アルコールの飲みすぎ
- ストレス
などが原因となります。
将来的なリスク
動脈硬化が進み、脳梗塞、心筋梗塞などを引き起こすリスクが高まります。
「コレステロールの数値を下げる」ためには?
食事、運動など生活習慣の改善が必要です。
- 過食を避ける
- 運動習慣をつける
- 肥満を改善させる
- 禁煙・節煙を行う
- 禁酒・節酒を行う
- ストレス解消をする
などを行いましょう。
コレステロールの排泄を促す食物繊維を多く取るのも良いでしょう。
「中性脂肪が高い」のはどんな状態?
中性脂肪の分解が遅れ、動脈硬化が進みやすい状態です。
150㎎/dl以上では要注意です。
同時にLDLコレステロールが高いと、糖尿病や心疾患のリスクが増していきます。
「中性脂肪の数値を下げる」ためには?
脂質、糖質を控えましょう。
- 乳脂肪分の多いもの(バター、クリーム)
- お肉の油
- 果物
- 甘いお菓子
などは食べ過ぎないでください。
また、余分な脂質の排泄を促すために食物繊維を多く取るのも良いでしょう。
「健康診断でひっかかった」方へ
脂質異常症の場合、早期受診によって「脳梗塞」や「心筋梗塞」の重症化を防げます。
まずは総合的に健康状態を診てもらうためにも、医療機関を受診しましょう。
中性脂肪が高かった場合、血糖や血圧など他の数値も悪化しやすくなるので要注意です。
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