「最近、しょっちゅう足をつる…」
「もしかして何かの病気?」
ふくらはぎの筋肉が、異常に収縮して起こる「こむら返り」。
一般的には、「足がつる」という言い方をします。
足がつる原因や病気の可能性について、お医者さんが解説します。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
よく足がつる「主な4つの原因」
足がつる原因には、
- 体が疲れている
- 体が冷えている
- 大量に汗をかいた
- ふだん使わない筋肉に負荷がかかった
などが考えられます。
原因① 体が疲れている
疲労が溜まっていると、体の血流やリンパの流れが滞り、足がつりやすくなります。
原因② 体が冷えている
冷えていると、血管が収縮して血行が悪くなったり、筋肉が緊張状態になったりすることで、足がつりやすくなります。
原因③ 大量に汗をかいた
運動などで大量の汗をかいて体が脱水状態になると、筋肉を安定させている電解質(カルシウム・マグネシウムなど、ミネラル)が不足します。
その結果、筋肉が十分な代謝を行えなくなり、足がつりやすくなります。
原因④ 普段使わない筋肉に負荷がかかった
普段からあまり負荷がかかっていない筋肉は、十分に鍛えられていません。
その筋肉に急な負荷をかけると、滑らかな動きが取れずに、つってしまうことがあります。
足がつったら、ストレッチとマッサージで対処しよう
足がつるのは一時的なもののことが多いです。
その場合は、ストレッチやマッサージを行うと快方に向かうことがあります。
ストレッチのやりかた
- 膝を伸ばして座る
- 足の指先を手前にゆっくり引き寄せる
- 立ちながら足を前後にずらしてアキレス腱を伸ばす
つっている状態が長時間続くことはほぼありません。安静にしていると改善するケースがほとんどです。
マッサージのやりかた
つった部分の筋肉を、柔らかくほぐすようにマッサージしましょう。
足が動くようになったら、蒸しタオルや入浴で温めるのも有効です。
なぜ?足がつった後、痛みが残る…
足がつると、重症の場合は肉離れの状態になり、痛みが数日残ることがあります。
- 歩行が困難なほど強い痛みがある
- 触ると激しい痛みがある
- 長期間痛みが続く
という場合は、早めに整形外科を受診しましょう。
この状態を放置してさらに悪化すると、回復が遅くなる可能性があります。
よく足がつる人は、食生活にも気をつけよう
食生活の面では、ビタミン・ミネラルが不足すると、電解質のバランスが崩れ、こむら返りが起こりやすくなると考えられています。
よく足がつるという人は、「ビタミン・ミネラルの摂取ができているか」を振り返って、日々の食生活を見直すことをおすすめします。
ビタミン・ミネラルを多く含む食材
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- 牛乳
- 小魚
- 玄米
- バナナ
- 里芋
- ほしひじき
- みそ
- 豆類 など
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「糖分」や「アルコール」は控えめに
糖分やアルコールの過剰摂取は、代謝のためにビタミンが消費されるため、足がつってしまうことがあります。
食事から栄養素を摂るときは、ただたくさん食べるのではなく、糖分のバランスにも気をつけてください。
控えめにしよう!糖分を多く含む食材
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- 穀類(パン、麺類)
- イモ類(ジャガイモ、サツマイモなど)
- 根菜(ゴボウ、レンコンなど)
- 果物(バナナ、みかんなど)
- 砂糖入り飲料
- 砂糖入り菓子 など
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要注意!頻繁に足がつるのは「病気の前兆」かも
- 夜間のこむら返りを繰り返す
- 覚えている期間に何度も足がつっている
という場合、“病気のサイン”の可能性があります。
足がつりやすくなる病気【糖尿病・脳梗塞など】
足がつりやすくなっている場合、
- 糖尿病
- 腎臓病
- 椎間板ヘルニア
- 脳梗塞
などの病気が原因かもしれません。
病気① 糖尿病
糖代謝の異常によって、常に血糖値が高い状態が長期的に続く病気です。
高血糖状態によって血管が傷つき、足の血流に悪影響を与えると、足がつりやすくなります。
糖尿病に「なりやすい人」
- 生活リズムが整っていない
- 食事の時間が不規則
- 食事のバランスが悪い
- 長年暴飲暴食をしている
といった人が発症しやすいです。
糖尿病の「症状の特徴」
基本的には無症状ですが、悪化していくと、
- 疲労感
- 手足の感覚がおかしい
- 感染症にかかりやすくなる
- 頻尿
- 喉が渇く
- 目がかすむ
- ED
などの症状があらわれます。
病気② 腎臓病
腎臓の働きが低下して血液をろ過できなくなり、水分や塩分を排出することが困難となる病気です。
足のミネラルバランスが悪化することで、足がつりやすくなります。
腎臓病に「なりやすい人」
- 糖尿病
- 高血圧症
- 脂質異常症などを持っている
- 喫煙をよくする
- 肥満気味
といった人が発症しやすいです。
腎臓病の「症状の特徴」
などの症状があらわれます。
病気③ 椎間板ヘルニア
骨と骨の間にある「椎間板」という柔らかいクッション材が飛び出しまい、骨が神経を触るなどして腰痛、下半身の痺れなどを発症する病気です。
筋肉を動かしにくくなるので、足がつりやすくなります。
椎間板ヘルニアに「なりやすい人」
- 腰に負担をかけている
- 長時間同じ姿勢で座っている
- 運転の仕事をしている
- 重い物を持つ作業が多い
人などに多いです。
椎間板ヘルニアの「症状の特徴」
といった症状があらわれます。
病気④ 脳梗塞
脳の血管が詰まってしまう病気です。
脳梗塞は少しずつ起きることもあり、諸症状の一つとして足がつる場合もあります。
脳梗塞の場合、すぐに治療しないと脳細胞が壊死してその後の生活に支障をきたします。
脳梗塞に「なりやすい人」
- 糖尿病・高血圧症・脂質異常症などを患っている
- 喫煙習慣がある
- 肥満気味
といった人が発症しやすいです。
脳梗塞の「症状の特徴」
- 急な強いめまい
- 頭痛
- 手足の力が入らなくなる
- 足を引きずるようになる
- つまずく
- 片目の見え方がおかしい
- 急に言葉が理解できなくなる
- 物が二重に見える
などの症状があらわれます。
病院は何科に行けばいい?
出ている症状によって適切な診療科が異なりますので、下記の表を参考にしましょう。
あらわれている症状
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適した診療科
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「足がつりやすい」以外に症状はない
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内科
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腰痛、下半身のしびれ
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整形外科
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だるい、血圧が高い、血尿が出る
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内科
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頭痛がある、手足の力が入らない、体の片側がおかしい
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脳神経外科
脳神経内科
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お医者さんに伝えること
- 足がつるようになった時期
- どれくらいの頻度で起きているか
- 他に体の不調はないか
上記のことをお医者さんに伝えると、スムーズに診察を受けられます。
整形外科を探す
内科を探す
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2021-07-12
「太ももがつるのは、病気の前兆?」
“こむら返りを起こす病気”をお医者さんに聞きました。
倦怠感や体重減少を伴う方は、糖尿病、甲状腺の病気に注意しましょう。
太ももがつるのは病気の前兆って本当?
代謝機能や内分泌の異常によって、太ももがつることもあります。
ただし、多くの場合のこむら返りは病気ではなく、イオンバランスの乱れによって起こるものです。
「イオンバランス」ってなに?
イオンバランスとは、体液に含まれるカリウム・ナトリウム・カルシウムなどの電解質(イオン)のバランスのことです。このカルシウム、カリウム、マグネシウムは筋肉の収縮や神経伝達に関与しています。これらが体内で減ると、筋肉が痙攣しやすくなります。
これって病気?どう見分ける?
<病気ではないと考えられるケース>
運動した後に太ももがつる
汗をたくさんかいた後に太ももがつる
<病気を疑うべきケース>
太ももがつる症状を頻繁に繰り返す
他にも体に不調がある(倦怠感、むくみなど)
病気を疑うときは、早めに医療機関で相談しましょう。
糖尿病が隠れているケースもあるため、放置は危険です。
病院は何科?
太ももがつる症状で病気を疑う場合は、内科を受診しましょう。
病気が初期のうちに発見できれば、お薬の治療のみで済むケースもあります。
病気が悪化すると、手術や入院といった負担の大きい治療が必要になるため、早めの受診をおすすめします。
内科を探す
考えられる2つの病気
太ももがつる原因となる病気として、
糖尿病
甲状腺の病気
などが挙げられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
病気① 糖尿病
糖尿病による“こむら返り”は、眠っているときに発生することが多いです。
糖尿病は、慢性的な高血糖状態によって、血管がダメージを受ける病気です。
糖尿病による神経障害、血管の循環不良が起こると、太ももがつりやすくなります。
ほかにも「こんな症状」はありませんか?
倦怠感、だるさ
手足の感覚の麻痺
目のかすみ
風邪をひきやすい
皮膚の乾燥
傷が治りにくい
糖尿病の「原因」
食べすぎ、飲みすぎ
肥満
運動不足
遺伝的な要因
などが挙げられます。
乱れた食生活を送っている人、家族に糖尿病患者がいる人に発症しやすい傾向があります。
自分でできる対処法は?
食生活の見直し、禁煙、減量などのセルフケア方法があります。
ただし、糖尿病の進行具合によっては、薬による治療が必要になります。
心当たりがある方は、一度医療機関で検査を受けてください。
病院は何科?
糖尿病を疑うときは、内科を受診しましょう。
医療機関では、薬物療法、食事療法、運動療法を柱として治療を進め、血糖値をコントロールします。
内科を探す
病気② 甲状腺の病気
甲状腺の病気によるこむら返りは、夜中の寝返り、足を動かしたタイミングで起こりやすいです。
甲状腺機能が低下する“橋本病(甲状腺機能低下症)”を発症すると、太ももがつりやすくなります。これは、病気によって筋肉量が低下するためです。
橋本病は、免疫の異常による病気です。
免疫は本来、外部から体を守るために機能していますが、異常が起こると正常な細胞も攻撃してしまい、体のさまざまな不調を引き起こします。
ほかにも「こんな症状」はありませんか?
首の腫れ
体重減少
体のむくみ
皮膚の乾燥
月経異常
話をしようとしても舌がもつれる
物忘れ
無気力
体の冷え
便秘
甲状腺の病気の「原因」
橋本病は、甲状腺に異常が起き、甲状腺ホルモンが排出されなくなるために起こります。
しかし、何がきっかけとなって発症するのかは、未だ原因不明です。
男性よりも女性に発症しやすい病気だと言われています。
自分でできる対処法は?
甲状腺の病気には、セルフケアは行えません。
心当たりがある方は、医療機関で診察を受けてください。
橋本病が悪化すると、貧血や低体温の症状に悩まされることがあります。
また、心不全のリスクも上昇するため、放置しないようにしましょう。
病院は何科?
甲状腺の病気を疑うときは、内分泌内科を受診しましょう。
橋本病の場合、甲状腺ホルモンを薬で補う治療を行います。
病気の進行具合によっては治療が必要なく、経過観察となります。
内分泌内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
一般社団法人 日本内分泌学会 甲状腺機能低下症
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2020-02-28
「足の指がつると曲がるのはなんで?」
「一度つると癖になるの?」
「病気の前兆って本当?」
この記事では、足の指がつる原因と予防法、隠れた病気の可能性まで、医師が詳しく解説します。
足がつったときの治し方
つっている足指の先を体側に引きつけ、つっている部分の筋肉をゆっくり伸ばしましょう。
つっている部分の筋肉をゆっくり伸ばす
つっている部分の筋肉を柔らかくほぐすようにマッサージする
つっている部分の筋肉をだんだんと強めに圧迫する
上記のようにすることで、収縮・痙攣している筋肉がほぐれ、つっている状態から正常に戻りやすくなります。
Q.足の指がつると指が曲がってしまうのはなぜ?
A.つった指が曲がってしまうのは、筋肉の過度の収縮によると考えられます。
“つる”とは、無意識に体の一部の筋肉が突如痙攣を起こし、過度に収縮したまま固まってしまう状態です。痛みを伴い、数秒から数分間継続されます。
一度つると、クセになることも…
一度起こすと繰り返しつりやすくなるケースが多いようです。
足がつることが慢性化する原因としては、
筋肉量が減っている
脱水状態
冷え
血行不良
神経障害
等によるものが考えられます。
足の指がつる4つの原因
筋肉の疲労
電解質不足
水分不足(脱水)
冷え
の4つが原因として考えられます。
筋肉の疲労
運動等により筋肉を使い過ぎると、疲労が溜まり、神経系統とスムーズに連携できなくなります。
すると、筋肉が緊張状態になり、収縮や痙攣を起こし、つりやすくなると考えられています。
電解質不足
筋肉の動きをコントロールする働きを持つマグネシウム・カリウム・ナトリウム等のミネラル成分不足により、筋肉が正常に機能できなくなると、筋肉の異常収縮が起こり、足がつりやすくなると考えられています。
水分不足(脱水)
脱水状態になると、筋肉を拡張したり収縮したりする自動調節機能が低下し、筋肉が収縮状態のままもとに戻れずに足がつりやすくなると考えられています。
その他、服用している薬の影響(利尿薬、降圧薬、胃薬、抗甲状腺薬、脂質異常症治療薬、ステロイド等)で足の指がつることもあります。
足がつる主な原因を解説しましたが、足指がつる原因は多岐にわたるため、その原因を特定するのは困難なケースが多いです。
冷え
寒くて足が冷えると、筋肉が硬直して血行不良を起こしやすくなります。
すると、筋肉が収縮し、足がつりやすくなる場合があります。
また、寒くて体をぎゅっと縮めていると、筋肉が緊張した状態になります。
すると、筋肉が動く(収縮する)ために必要な栄養分が届かなくなり、つりやすくなると考えられています。
ヒールを履くと足がつるのはなぜ?
慣れない状態で足に負担を掛けることで、筋肉の疲労や血行不良等を起こすためと考えられています。
また、ヒール以外にもぺたんこのパンプスやスニーカーでも足指をつるという人は、歩き方や歩く距離が普段と異なって、いつもはあまり使っていない筋肉を使った場合につりやすくなると考えられます。
足がつるのは「病気の前兆」ってホント?
頻繁に足がつるのは、次の病気の可能性もあります。
電解質異常
低カルシウム血症
低カリウム血症
低ナトリウム血症
低マグネシウム血症等
多尿
口渇
食思不振
胃部不快感
頭痛 等
血管病変
血管炎
閉塞性動脈硬化症
下肢静脈瘤等
あざ
しびれ
倦怠感 等
代謝性疾患
低栄養
腎臓病
糖尿病等
疲れやすい
口渇
多尿 等
内分泌疾患
甲状腺機能低下症
アジソン病等
体重増加
食欲減退
倦怠感 等
脳疾患
脳梗塞等
手足のしびれ
脱力感 等
自己免疫疾患
スティッフパーソン症候群等
筋肉のこわばり 等
神経筋疾患
腰椎椎間板ヘルニア
脊柱管狭窄症
筋萎縮性側索硬化症等
腰痛
首こり
しびれ
痛み
筋肉のこわばり 等
肝機能障害
-
食欲不振
倦怠感
浮腫 等
病気じゃないか心配…何科を受診すべき?
まずは整形外科を受診しましょう。
糖尿病や腎臓病など、何か持病がある方は主治医に相談するのもいいですね。
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もう痛いのは嫌!「足つりの予防法」
運動前に準備運動を行う
運動する際は、水分とミネラルを補給しながら行う
運動後は、ストレッチ等行い、筋肉を休ませる
日常生活に適度な運動を取り入れる
お風呂で体を温める等、冷やさないようにする(足湯、締め付けがないレッグウォーマー)
漢方薬を使う(芍薬甘草湯等)
スニーカーなど、履きやすい靴を履く(インソールを入れて辛くない状態にしたり、ヒールに日頃から慣れるようにする)
睡眠時間を確保して疲労を溜め込まない
筋肉疲労を防ぐため、マッサージ等を行う
上記の予防法をおこなってみましょう。
足がつるのを予防する「食べ物」
ミネラルを含む食べ物
血流改善が期待できる食べ物
タウリンやビタミンB1を含む食べ物
上記の3種類を意識して摂取してみましょう。
ミネラルを含む食べ物
わかめ
かぼちゃ
ひじき
アーモンド
しらす 等
血流改善が期待できる食べ物
大豆製品
鶏肉
牛肉
魚
クコの実
なつめ
酢 等
筋肉疲労の改善|タウリンやビタミンB1を含む食べ物
タウリンを多く含む食べ物…イカ、タコ、貝類等
ビタミンB1を多く含む食べ物…豚肉、レバー、豆類等
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▼参考URL
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参考
メルクマニュアル 筋痙攣 — プロフェショナル版