尿の色が濃いけど…これって何かの病気?
尿の色が濃いと病気の疑いがあるのか、お医者さんに聞いてみました。
肝臓病などの危険な病気も考えられるので、要注意の症状をチェックしましょう。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
「尿の色が濃い」のは病気のサイン?
上記に当てはまる場合は、健康な人でも尿の色が濃くなることがあります。
ただし、一日中尿の色が濃い場合は、病気が疑われるので要注意です。
尿の色が濃くなる病気には、下記の3つが挙げられます。
疑われる病気
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尿の色の特徴
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尿路感染症
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白っぽく濁る
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尿路結石
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赤褐色・血尿
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肝臓病
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褐色・濃い黄色
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病気① 尿路感染症
尿路感染症は、膀胱や尿道に微生物が侵入し、炎症を起こしてしまう病気です。
白血球が増加するため、尿が白く濁ります。
発症しやすい人の特徴
- 女性
- 50歳以上
- 抵抗力が落ちている
- 尿道にカテーテルを挿入している
上記に該当する人は、尿路感染症にかかりやすいです。
尿路感染症は、尿の出口から細菌などが侵入することで発症します。
女性は男性よりも尿道が短いため、細菌に感染しやすいです。
尿路感染症は「泌尿器科」で相談を
尿路感染症が疑われるときは、「泌尿器科」で受診しましょう。
軽度であれば、抗生物質などの服用で治療が可能です。
治療せずに放置すると、腎臓にまで細菌感染が広がり、全身の感染症を引き起こす恐れがあります。
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病気➁ 尿路結石
尿路結石とは、腎臓・尿管・膀胱に結石ができてしまう病気です。
結石が移動するときに出血することがあるため、「赤褐色の尿」や「血尿」が出る場合があります。
こんな症状は「尿路結石」の疑いアリ
- 頻尿
- 排尿時の灼熱感や痛み
- 吐き気・嘔吐・発熱
- 突然、背中・脇腹・下腹部に激痛が走る
発症しやすい人の特徴
- 中年以降
- 男性
- 家族に尿路結石になった人がいる
- 特定の食べ物ばかり食べる
- 水分をあまりとらない
上記に該当する人は、尿路結石になりやすいです。
尿路結石は、「尿中のカルシウムが多すぎる」「尿酸値が高い」などが原因で発症すると考えられます。
尿路結石は「泌尿器科」で相談を
尿路結石が疑われるときは、「泌尿器科」で受診してください。
治療せずにいると、尿路結石で尿が滞り、感染症のリスクや腎臓が傷つく恐れがあるので、早急に治療を受けましょう。
病院では、「音波で結石を砕く」「内視鏡で取り除く」などの治療が受けられます。
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病気③ 肝臓病
肝臓病は、肝臓の細胞が炎症を起こして壊死し、働きが失われている状態です。
消化酵素として使われている「胆汁」が尿中に出て、尿が褐色・濃い黄色になります。
こんな症状は「肝臓病」の疑いアリ
- 疲れやすい
- 食欲がない
- 右上のお腹が痛い
- 目の色や皮膚が黄色くなる
- 発熱・嘔吐・吐き気を伴う
発症しやすい人の特徴
- お酒をよく飲む
- 肥満
- 不特定多数と性交している(ウイルス感染を起こしやすい)
肝臓病の原因には、アルコール・肥満・ウイルス感染が挙げられます。
お酒をよく飲む人は、肝臓病を発症するリスクが高いと考えられます。
また、不特定多数と性交している人は、ウイルスに感染(血液・体液による感染)しやすいため、発症のリスクが高くなると考えられます。
肝臓病は「消化器内科」で相談を
肝臓病が疑われるときは、「消化器内科」または「内科」で受診しましょう。
症状に応じて薬物療法や食事療法が行われます。
肝臓病を治療せずに放置すると、悪化して「肝硬変」や「肝臓ガン」を発症する恐れがあります。
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心配なし!尿の色が濃いときに「よくある原因」
尿の色が濃い場合、病気でないケースも多いです。
下記のように、尿の色が濃い理由がはっきりしていれば、心配いらないでしょう。
原因
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尿の色
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ビタミンC・B2の摂取
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濃い黄色
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薬の服用
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赤くなりやすい
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水分不足
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黄褐色
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シュウ酸のとりすぎ
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白っぽく濁る
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ニンジンの食べすぎ
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オレンジ色
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よくある原因① ビタミンC・B2を摂取した

ビタミンをサプリメントで摂取していると、ビタミンが分解されて排出されるため、濃い黄色の尿が出やすいです。
よくある原因② 薬の服用によるもの

などを服用すると、薬の色素や薬が代謝分解されたものが尿中に出るため、色が濃くなることがあります。
薬の影響による場合、尿の色が赤くなりやすいです。
ただし、色は薬によって異なります。
よくある原因③ 体の水分が少ない

などのタイミングでは、体の水分が少なくなるため、尿が凝縮して色が濃くなることがあります。
この場合、普段から水分をこまめにとることが大切です。
上記のタイミングは特に水分不足になりやすいので、注意しましょう。
よくある原因④ シュウ酸の多いものを食べた

などの「シュウ酸」を多く含む食品をとると、尿が白っぽく濁ります。
シュウ酸をとると誰でも尿の色が変化するので、水分をきちんととっていれば問題ありません。
よくある原因⑤ ニンジンを食べた

ニンジンの色素が尿中に排出されて、オレンジ色になることがあります。
ニンジンを食べると、誰でも尿の色が変わることがあるので、特に問題ありません。
尿の色以外にも異変があるときは、早めに病院へ
- 発熱・悪寒・冷や汗がでる
- 吐き気を伴う
- 背中側の腰と股関節の周辺が痛い
- 右上の腹部が痛い
- 全身のかゆみを伴う
- 目が黄色に変色している
上記のような症状が見られる場合は、何らかの病気が疑われるので、医療機関で相談しましょう。
放置していると、「全身が感染症に侵されるリスク」や「肝臓の機能を失う恐れ」があるので、早期治療が大切です。
何科で相談すればいい?
何科の病院に行くべきかは「尿の色が濃い」ことに加えて、どんな症状が出ているかで判断しましょう。下記を参考にしてください。
「尿の色」以外の症状
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おすすめの診療科
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泌尿器科
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- 目の色が黄色っぽい
- 全身のかゆみ
- 右上のお腹の痛み
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消化器内科または内科
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病院では、「尿検査」や「血液検査」などを行って原因を見極めていきます。
医師に伝えるポイント
- 1日当たりの尿の回数
- 尿意の頻度
- いつから尿が濃いのか
- 服用している薬
- 発熱の有無
受診の際に上記の点を伝えると、診察がスムーズに進むと考えられます。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
合わせて読みたい
2021-03-04
「なんだか尿の色が濃い…」
それは、肝臓の病気のサインかもしれません。
“尿の色”と“肝臓病”の関係をお医者さんに聞きました
注意すべき症状やそのまま放置するリスクについても解説します。
おしっこの色、濃いかも…これ大丈夫?
起床時だったり、汗をたくさんかいた後は、尿が濃くても過剰に心配しなくても大丈夫です。
ただし、日中や夜になっても尿の色が濃い場合は、肝臓病の可能性があり、注意が必要です。
「尿の色」と「肝臓病」の関係
肝臓が悪いと、尿の中に「ビリルビン※」という物質が混じり、尿が濃い茶色になる可能性があります。
通常であれば、ビリルビンは血流によって肝臓に運ばれて、胆汁と結合した後、胆管と消化管を通過して便として排泄されます。
しかし、肝臓の調子が悪くビリルビンがスムーズに通過できなくなると、血液中に蓄積し、尿に混ざるため、色が濃くなります。
※ビリルビン…黄色い色素で赤血球が分解されるときにできる物質
肝臓病のリスクが高いのはこんな人
お酒をたくさん飲む人
肥満体型の人
は、肝臓病のリスクが高いといえます。
大量にお酒を飲むと…
アルコールは肝臓で無毒化されるため、大量にお酒を飲むと肝臓に負担がかかります。
また、アルコールが代謝されてできる「アセトアルデヒド」という毒性の強い物質によって、肝臓の線維化しやすくなります。
肥満になると…
肥満の人の約8割は、肝臓に過度の中性脂肪が溜まる「脂肪肝」という状態になり、放置すると肝細胞がんになる可能性があります。
こんな症状は要注意!
皮膚が黄色くなる
全身がかゆい
吐き気がする
吐いてしまう
お腹が痛い
熱が出る
お腹がはる
倦怠感がある
疲労感がある
食欲がなくなる
便の色が薄い
便が柔らかく、かさばる
便が脂っぽくなる
便から異常な悪臭がする
肝臓は“沈黙の臓器”といわれています。症状がでるころには、肝臓病が進行しているということも多いです。早期受診・早期対処が大切です。
体や便に異常ある場合は、肝臓病が進行している可能性が高いです。
早急に病院に行きましょう。
病院は何科?
「尿の色が濃い」「肝臓の病気が疑われる」というときは、内科を受診しましょう。
内科を探す
放置すると…より深刻な「肝臓病」になるリスク大
慢性的に肝臓に炎症を生じる「慢性肝炎」を放置すると、「肝硬変」や「肝細胞がん」を生じることがあります。
「慢性肝炎」とは
肝臓の炎症が6カ月以上続く病気です。
無症状のケースが多いですが、全身倦怠感・食欲不振・疲れなどの症状がみられることがあります。
C型肝炎ウイルスやB型肝炎ウイルスが主な原因ですが、脂肪肝・アルコール性肝炎・自己免疫性肝炎なども原因となりえます。
「肝硬変」とは
肝臓が繰り返し損傷を受けることで、硬い組織へと変化し、肝臓の機能が低下する病気です。
全身の倦怠感・食欲不振・体重減少などの症状がみられます。
慢性的な大量のアルコール摂取・慢性ウイルス性肝炎・脂肪肝などが原因です。
「肝細胞がん」とは
肝臓の細胞が、がん化し悪性腫瘍になった状態です。
初期は自覚症状がほとんどなく、進行すると腹部のしこり・圧迫感・痛みなどを感じることがあります。
B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスが主な原因です。ウイルスが体内にとどまり、肝細胞の炎症と再生が繰り返し起こることで、遺伝子が突然変異し、がんが発生すると考えられています。
肝臓病が疑われる場合は速やかに内科を受診し、検査(血液検査・画像検査・尿検査・腹腔鏡検査など)を受けましょう。
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▼参考
MSDマニュアル家庭版 成人の黄疸
藤元メディカルシステム 藤元総合病院 家庭の医学シリーズ 肝臓病について
大塚製薬株式会社 肝硬変の栄養療法の考えかた肝臓病の原因はいろいろとある
MSDマニュアル家庭版 慢性化炎の概要
MSDマニュアル家庭版 肝硬変
国立がん研究センター がん情報サービス 肝細胞がん