「ぐっすり眠っているはずなのに…」
なかなか昼間に眠気が取れないという時はありませんか?
眠気がほとんど取れないせいで仕事や家事、育児などに支障が出ていて、困っている人もいるはず。
眠気を覚ますための対処法を医師が解説します。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
なぜ?眠気がとれない原因は…
眠気がなかなか解消されない場合は、体が慢性的な疲労状態になっているかもしれません。
また、自律神経が乱れている場合も、眠気や疲労などの症状がでることがあります。
疲れが取れない人の特徴
寝ても疲れが取れない人には、次のような特徴があります。
- 1日の仕事・通勤時間が10時間以上
- 寝つきが悪い
- 寝てもすぐ目が覚める
- ストレスがある
- 多忙
- 悩み事がある
など
疲れをとるために“ぐっすり寝る”方法
眠気と疲れがとれない場合は、
といったことを、まず心掛けてみましょう。
睡眠時間の目安
7〜8時間ほど睡眠をとりましょう。
寝る前の行動
寝る前は部屋の照明をおとし、テレビやパソコンなどは消しましょう。
また、室温は寒すぎず、暑すぎず、快適な状態にしてください。
軽いストレッチは良いですが、激しい運動は目が覚めてしまうので、避けてください。
ぐっすり寝るためのアドバイス
寝る時はできるだけ部屋を暗くしましょう。
テレビを見たり、スマホを見たり、音の大きい音楽を聴いたりしながら寝るのは避けましょう。
ゆったりとした音楽を聴いたり、好みの香りのアロマをたいたりすると寝やすくなります。
寝られないときは、無理に寝ようとせず、読み慣れた本を読んだりするのもおすすめです。
眠気を覚ます「朝のストレッチ」
起きるのがつらい朝は、軽い運動を行うことで眠気覚ましができます。
仕事の都合などで時間のとれない現代人には、簡単ストレッチがおすすめです。
例えば…
- 椅子に座ったまま「背伸び」や「首回し」
- 肩の力を抜いて「手首をブラブラ」
といった、血流を良くするストレッチがよいでしょう。
ストレッチは、ダラダラするのではなく、メリハリをつけて行うのがポイントです。
時間がある人は、もうワンステップ!
時間がとれるのであれば、ウォーキングやジョギングをするのもよいでしょう。
ウォーキングやジョギングは、自分の体に負荷をかけないように行うことが重要です。
また、どこか身近に段差があれば、踏み台昇降をすると感神経を刺激し、眠気を抑えることができます。
あなたに合った運動を見つけましょう。
眠気を覚ます「おすすめのツボ」
眠気冷ましにおすすめのツボには「中衝」「合谷」「労宮」などがあります。
これらをそれぞれ試してみて、自分に合ったツボを探してみましょう。
ただし、あまり強く押しすぎてもその部分がアザになったり、手や足を痛めたりすることもあるので、注意してください。
ツボ1「中衝(ちゅうしょう)」
中指から2~3mm下の部分にある「中衝」というツボを、もう片方の親指と人さし指で強く押すと、眠気覚ましに作用します。
ツボ2「合谷(ごうこく)」
親指と人さし指の間(手の甲側の骨が交わるくぼみのところ)にある「合谷」というツボを、反対側の手の親指と人さし指で刺激すると眠気に対する効果が期待できます。
ツボ3「労宮(ろうきゅう)」
手の中央にあるツボである「労宮」を、ボールペンなどで強く押すと、眠気を抑えてくれます。
朝におすすめの「食べ物・飲み物」
おすすめの飲み物は?
コーヒーや緑茶、炭酸水がおすすめです。
コーヒーや日本茶にはカフェインが含まれています。日本茶であれば、高級な玉露がカフェインを多く含んでいるので、おすすめです。
ただし、カフェインが血中に到達するまでは30分ほどかかるので、早めに飲むことが重要です。
また、カフェインにはデメリットもあります。飲みすぎると胃が荒れやすくなり、腹痛や下痢を起こすだけではなく、利尿作用もあるため、会議などの途中でトイレにいきたくなることもあります。
胃が弱い方は何か食べてから飲むようにしましょう。飲み過ぎには注意が必要です。
シュワッとした爽快感が眠気を吹き飛ばしてくれる炭酸水もおすすめです。
ただし甘い物を摂取すると眠気を増すこともあるため、糖分の入ってないものを選んでください。
おすすめの食べ物は?
眠気覚まし用のガムやタブレットがおすすめです。
ミントに含まれているメントールという成分が気分をすっきりさせてくれます。
また、ガムを噛むことによって脳を活性化してくれるので、眠気覚ましに効果てきめんです。
会社の机の中に、眠気覚ましのガムやタブレットを常備しておくと便利です。
どうしても眠い時は「15分仮眠」
会社であれば昼休みなどに、15分程度の仮眠をとるのがおすすめです。
心も体もすっきりして、眠気を感じることが少なくなります。
ただし、仮眠の取り過ぎはいけません。
かえって体が疲れてしまい、眠気がとれにくくなることがあります。
眠気がとれないときに疑う「病気」
どうやっても眠気が取れない場合は、
- 睡眠時無呼吸症候群
- うつ病
- ナルコレプシー
といった病気が原因かもしれません。
病気① 睡眠時無呼吸症候群
睡眠時に、平均して1時間に5回以上、それぞれ10秒以上呼吸が止まり、日常生活に支障がでている病気です。
いびきや夜間頻尿なども起こり、起きた時に頭痛がある方もいます。
発症の要因としては、
- 首周りに脂肪が多い
- 扁桃肥大がある
- 鼻の病気がある
- 舌が大きい
- あごが小さい
などが挙げられます。
上記によって上気道の空気の通りが悪くなることで、発症につながると考えられています。
病気② うつ病
精神的ストレスや身体的ストレスによってうつ症状になる病気です。
気分が落ち込んだり、趣味が楽しくなくなるといった精神症状や、食欲がない、疲れやすいといった症状が出ることが多いです。
病気③ ナルコレプシー
日中に自分では制御できないくらい強い眠気が起こる病気です。
眠気によって短い時間で眠りにおち、目覚めは比較的すっきりしますが、またすぐに眠気が起こることがあります。
お医者さんに相談すべきケースも
眠気が取れない日が1ヶ月以上続いたり、腹痛や下痢、息苦しいなどの症状がでたりするときは、病院を受診してください。
日常生活に支障があるほど眠気がひどい場合は、内科で相談するとよいでしょう。
眠気以外に、精神的ストレスなどの症状がある場合は、心療内科で受診してください。
お医者さんに伝えるポイント
- いつからその症状が起こっているか
- 日常生活でどのような支障があるか
- 最近の睡眠時間は何時間か
- 今までの睡眠状況はどうだったか
といったことを伝えると、スムーズに診断しやすくなります。
内科を探す
心療内科を探す
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2020-12-04
なぜだかわからないけど、とにかく体調が悪い…。
どうすればいいのか教えて!
原因不明の体調不良をどう解消すればいいのか、お医者さんに聞きました。
もしかするとその症状は、隠れた病気のサインかもしれないので、不調が続く方は注意しましょう。
なぜ?原因がわからずとにかく体調が悪い
内科を受診しても悪いところが見つからず、体調不良が続いている場合は、「自律神経失調症」の可能性が高いです。
自律神経失調症のメカニズム
「体の熱が上がる」「心拍数が上がる」「眠る」といった自律神経の機能が正常に働かなくなり、バランスが崩れることによって、自律神経失調症となります。
自律神経失調症の主な症状
動悸がする
ほてりがある
疲労感、だるさがある
気分の落ち込みがある
めまい、耳鳴りなどがある
自律神経失調症の2つの原因
原因① ストレス・疲労過多
ストレスや疲労によって、体の機能が正常に働かなくなります。
疲労状態が長いと、自律神経にも影響がおよび、自律神経失調症を引き起こします。
原因② 更年期障害
更年期障害は、女性ホルモンの急激な減少を招き、脳にも影響を及ぼします。
女性ホルモンが急激になくなると脳をコントロールする部分が乱れ、自律神経失調症を発症させます。
改善するにはどうすればいい?
自律神経失調症は生活習慣を整えることで、改善に向かうケースが多いです。
次の3ポイントの改善を意識してみてください。
1.十分な睡眠をとる
毎日決まった時間に就寝・起床するようにしましょう。
食後は3時間ぐらい空けてから就寝してください。また、朝は朝日を浴びて目を覚まし、体内リズムを整えるようにしましょう。
2.食生活の見直す
毎日3食、栄養バランスのとれた食事をとりましょう。
朝食を食べ、朝から行動的に過ごすようにしてください。朝食を抜くと1日の生活リズムが崩れてしまいます。
★摂取したい栄養素★
玄米やトマトに多く含まれている「GABA」を摂取するようにしましょう。
脳の機能を助けてくれます。
※食品なので、食後すぐに症状が改善するわけではありません。
3.適度に運動をする
毎日、適度に運動すると、心地よい疲労感が生まれ、睡眠もしっかり摂れるようになります。
軽めのウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を30分程度行うのがおすすめです。
市販薬でも改善できる?
自律神経失調症を直接よくする市販薬はありません。
質のよい睡眠を誘導するものや、「GABA」のサプリメントなどがありますので、薬剤師に相談の上、使用するようにしてください。
特に「既に薬を飲んでいる」方は注意!
普段から常用しているお薬がある方は、市販薬を使用しないでください。
主治医に相談の上、処方薬やサプリメントを使用するようにしてください。
それでも改善されない場合は…
生活習慣を整えても症状が中々改善されない場合は、病院で治療を受けることをおすすめします。
何かを変えなければ治らない可能性が高いため、治療を受けましょう。
疲労感・頭痛・微熱などの「全身症状」がでている方
⇒内科をおすすめします。
内科を探す
イライラ、焦り、憂鬱など「ストレス症状」が強い方
⇒心療内科をおすすめします。
心療内科を探す
「病気のサイン」のケースも
「とにかく体調が悪い」という症状が続く場合
慢性疲労症候群
甲状腺機能低下、機能亢進症
がん
など、病気のサインの可能性があります。
それぞれの症状を解説します。
病気① 慢性疲労症候群
継続的な微熱
関節痛
倦怠感
朝起きられない
といった症状があります。
このような症状が現れた場合、内科の受診をおすすめします。
内科を探す
病気② がん
体調不良
倦怠感
疲労感
食欲不振
痩せる
微熱
といった症状があります。
このような症状が現れた場合は、内科の受診をおすすめします。
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病気③ 甲状腺機能低下、機能亢進症
体調不良
倦怠感
むくみ
脈が速くなる
痩せる
イライラする
息があらくなる
といった症状があります。
このような症状が現れた場合、内科の受診をおすすめします。
内科を探す
この症状は早く病院へ
急に元気が出なくなり、倦怠感や疲労が取れない、体の一部が腫れてきているなどがある場合は、要注意です。
病院で治療を受けるメリット
自律神経失調症が原因の場合
短期間での症状改善が期待できます。また症状によって治療法が用意されているので、必ず病院を受診しましょう。
他の病気が原因の場合
早期に発見して治療を開始することで、悪化を防止できる可能性が高くなります。
▼参考
厚生労働省e-ヘルスネット 自律神経失調症
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2023-01-17
「明日も朝早いのに眠れない…」
「すぐに眠れる方法が知りたい!」
公認心理師・臨床心理士の赤田太郎先生が、スムーズな入眠をサポートする方法をご紹介。
寝付けなくてお困りの方は、ぜひお試しください。
※動画による解説は記事末尾から
今すぐ寝たいときは「漸進的筋弛緩法」を試してみよう
最近寝つきが悪くて困っています。
明日も仕事で朝早いのに…。すぐに眠れる方法ってないのでしょうか?
眠れないときには、「漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)」がおすすめです。
意識的に筋肉の緊張と弛緩(緩める)を繰り返すことで、体と心の緊張をほぐしていきます。
体全体がリラックスするので、スムーズな入眠に繋がりますよ。
漸進的筋弛緩法のやり方
まずは楽な姿勢で座ります。
その後、体の各部位の「筋肉を緊張させる⇒脱力する」という行為を2回ずつ繰り返していきます。
手・腕
頭部(額・目・顎)
首肩まわり
上半身(胸・お腹)
足
の順に行いましょう。
大切なのは、緊張した筋肉が緩んでいく感覚を意識することです。
ここからは詳しい手順を解説していきますので、ぜひ実践してみてください。
※漸進的筋弛緩法の注意点※
漸進的筋弛緩法は、著しく体力が低下している方や治療中の疾患・ケガのある方が行うと、不快感が生じたり、症状が強くなったりする可能性があります。特に現在通院中の方は、必ずかかりつけ医に相談してから実践するようにしましょう。
1. 手・腕の筋弛緩
▼手の筋弛緩のやり方
椅子やベッドで楽な姿勢で座り、目を閉じる。
右の拳を、体を痛めない程度に、少し強めに握る。
指と腕の力を抜いていく。
①~③を2回繰り返す。
左手も同様に行う。
▼腕の筋弛緩のやり方
右腕の肘を曲げて力を入れる。
腕をゆっくり伸ばして、緊張を緩める。
緊張のある状態とない状態の違いを感じながら、リラックス感を深める。
①~③を2回繰り返す。
左腕も同様に行う。
目を閉じるのが不安な人は、開いたままでも構いません。
「力を入れたときの緊張」と「脱力するときの弛緩」の違いを味わうようにしましょう。
2. 頭部(額・目・顎)の筋弛緩
▼額の筋弛緩のやり方
額にシワを寄せるようにして力を入れる。さらに力を入れる。
だんだんと額の力を抜く。額全体のシワがなくなっていくことをイメージする。
①~②を2回繰り返す。
▼目の筋弛緩のやり方
目を強く閉じる。目やまぶた以外の部分に力が入らないようにする。
目を閉じたまま、力を抜いていく。
①~②を2回繰り返す。
▼顎の筋弛緩のやり方
歯を食いしばる。
顎を固めて、唇も強く閉じる。
だんだんと力を緩めて顎と口をリラックスさせる。
①~③を2回繰り返す。
額・目・顎の筋弛緩トレーニングを行うことで、顔全体が自然とゆったりして、表情がリセットされます。
顔の筋肉を滑らかにして、穏やかな気持ちを味わいましょう。
3. 首肩まわりの筋弛緩
▼首の筋弛緩のやり方
首をできるだけ後ろに曲げて、首の緊張を感じる。さらに強く緊張させる。
ゆっくりと首を楽な位置に戻す。
①~②を2回繰り返す。
▼肩の筋弛緩のやり方
肩をすくめて上にあげる。
さらに肩を上にあげながら、胸を開くように肩を開く。
ゆっくりと肩の緊張を緩める。
①~③を2回繰り返す。
リラックス感が、顔・腕・肩・背中に染み渡るのを感じましょう。
4. 上半身(胸・お腹)の筋弛緩
▼胸の筋弛緩のやり方
楽に呼吸を続ける。息を吐くとき、体全体が緩んでいくことを感じる。
深く息を吸う。
しばらく息を止めて緊張を感じる。
ゆっくりと胸の緊張を緩めて、息を吐きだす。
自然に呼吸しながら、体全体をゆったりさせる。
①~⑤を2回繰り返す。
▼お腹の筋弛緩のやり方
腹筋に力を入れてお腹を固くする。
力を抜いて腹筋を緩める。
①~②を2回繰り返す。
5. 足の筋弛緩
両足をつま先まで精いっぱい伸ばして、足を突っ張る。
同時に足全体とおしりにも力を入れる。
ゆっくりと自然に足の力を抜く。
①~③を2回繰り返す。
全部終わったら、大きく深呼吸をします。ゆっくりと長い深呼吸をして、リラックス感を味わいましょう。
最後にもう一度深呼吸をして、体全体の筋肉をゆったりさせます。
全身の筋肉が緩んだら、5~1までの数字を心の中で数えてください。1まで数えると、頭がすっきりして気分爽快になります。
眠気が強い方は、そのままお休みください。
毎日の習慣にすると効果的!
漸進的筋弛緩法は、初めてすぐには効果を実感しにくい可能性があります。
まずは1週間続けてみることをおすすめします。
効果を感じた場合もすぐにやめるのではなく、毎日の習慣にして、できるだけ長く続けるといいですよ。
▼動画による解説はこちら
≪チャンネル紹介≫
【公認心理師】赤田太郎の「仕事に役立つ心理学」
公認心理師・臨床心理士の赤田太郎先生が、仕事や生活をよりよくするための心理学を、誰でもわかる易しい言葉で解説。
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