「手の震えと動悸がある…」
「これって何かの病気?」
手の震え・動悸の原因を、お医者さんに聞いてみました。
バセドウ病を発症している場合、放置すると心不全を起こすリスクもあります。
心当たりのある症状がないかチェックしてみましょう。
手が震えて動悸がする…原因は?
手が震えて動悸がする原因には、
のいずれかが考えられます。
よくある原因としては、緊張・不安による一時的な震え・動悸が挙げられます。
症状が出たときは、まず深く息を吸ってゆっくりと息を吐いてみましょう。
気持ちがリラックスしているときに症状が出ないのであれば、ストレスの可能性が高くなります。
生活でストレスを感じることが多い方は、できるだけ休憩を挟むようにすることが大切です。
症状を繰り返す場合は「病気」の疑いも
手が震え・動悸が頻繁に起こる場合、
といった病気が疑われます。
病名
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どんな病気?
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症状の特徴
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パニック障害
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ストレスなどが原因で、パニック発作を起こしてしまう病気
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強い不安・恐怖とともに、震え・動悸が起こる(5~20分程度)
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バセドウ病
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甲状腺ホルモンの分泌が過剰になってしまう病気
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震え・動悸が長時間続く
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病気① パニック障害(動悸・震えに強い不安を伴う)
パニック障害の人は、突然なんの前触れもなく動悸・震えなどの発作が起こります。
発作は5~20分続くことが多く、長くても1時間程度で症状が治まります。
これらの症状は、心理的要因・脳の機能異常が関わって発症していると考えられています。
「疲れやすい人」「ストレスを感じやすい人」は、パニック障害の発症リスクが上昇すると言われています。
また、18歳〜60歳の女性に発症しやすい傾向があります。
パニック障害で起こる発作
- 動悸
- 体の震え
- 汗が出る
- 息切れ・窒息感
- 胸部・腹部の不快感
- 吐き気
- めまい(気が遠くなる感じ)がする
- 現実でない感じ・自分が自分でない感じがする
- コントロールを失う恐怖・死への恐怖がある
パニック障害が疑われるときは、「心療内科」で相談を
パニック障害に心当たりがある方は、心療内科で相談しましょう。
治療が遅れると完治が難しくなったり、うつ病を併発したりするリスクがあります。
パニック障害の治療は「薬物療法」「認知行動療法」の二軸で行われます。
「薬物療法」では、抗うつ薬・抗不安薬の服用によって、不安やストレスなど心理的な症状を落ち着かせます。
「認知行動療法」では、物事の受け取り方や考え方に焦点を当て、ストレスに対して柔軟に対処できるように考え方を修正していきます。
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病気② バセドウ病(震え・動悸が長時間続く)
バセドウ病とは、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。
交感神経系の活動が上昇するため、手の震え・心拍数の上昇に伴う動悸があらわれます。
発症の原因には、遺伝・ウイルス感染・ストレス・妊娠・出産などが挙げられます。
20代~30代の女性に多い病気です。
バセドウ病で起こる症状
- 長時間、手足が震える
- 動悸
- 体重が減る
- 下痢
- 疲労感
- 食欲が増える
- 汗が出る
- 眼球が出る
- イライラして落ち着かない
バセドウ病は「内科」で相談を
バセドウ病を放置すると、心不全など命に関わる合併症を引き起こすリスクがあります。
心当たりのある方は、早めに内科で受診しましょう。
バセドウ病の場合、薬物療法・放射線療法・手術などの治療法があります。
最初は薬物療法から始めるケースが多いです。
飲み薬での治療は最短でも2年程かかります。
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「手の震え」の病院に行く目安
- 手の震えと動悸を頻繁に繰り返す
- 他にも体調不良を併発している
場合は、一度病院で診てもらうことをおすすめします。
ストレスなどによるパニック障害は、治療が遅れると治りにくくなります。
また、ホルモン分泌の異常の場合、心臓に負担をかけてしまうため、早めの治療が大切です。
何科で相談したらいい?
- 強い不安を伴った症状を繰り返す(1回5~20分程度) → 心療内科
- 震え・動悸が長時間続く → 内科
の受診をおすすめします。
お医者さんには、どう伝える?
- どんな症状が出ているか
- 症状がいつ始まって、どのように変化しているのか
- どんな時に症状があらわれるのか
- どんな時に症状が強くなるのか
- 今までかかったことのある病気
- 現在使用している薬
診察時は、上記の点を伝えると診療がスムーズに進みます。
「うまく説明できないかも」と思う方は、メモに書いておくと良いでしょう。
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2020-12-16
「全身の震えの原因は、もしかして病気…?」
体の震えが起こる病気について、お医者さん聞きました。
当てはまる症状がないか、チェックしてみましょう。
全身が震えるのは病気のせい?
寒くないのに震えている
症状を止められない
といった場合は、病気による震えも考えられます。
病院に行く目安
全身の震えが2日以上続く場合は、病院を受診してください。
日常生活に支障がある場合はすぐに受診しましょう。
受診するのは何科?
まずは内科、脳神経内科を受診しましょう。
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考えられる3つの病気
全身が震える症状がある場合、
本態性振戦(ほんたいせいしんせん)
パーキンソン病
バセドウ病
の可能性があります。
それぞれ詳しく解説していきます。
病気① 本態性振戦(ほんたいせいしんせん)
交感神経の過剰な働きによって、震えが起こる病気です。
病気が進行すると震えが多少強くなりますが、麻痺することはありません。
震え以外に症状がないのも特徴です。
体の力を抜くと震えは起こりません。緊張や興奮にともなって、症状が強くなります。
本態性振戦になりやすい人
40歳以上の人に多く発症します。
主な症状
手が震える(指先や腕)
声が震える
頭が横向きに揺れる
文字がうまく書けない
自分でできる対処法は?
震えが気になる場合には、受診が必要です。
病院では、症状の改善のために投薬治療を行っています。
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病気② パーキンソン病
運動機能が少しずつ失われていく病気です。
脳の神経伝達物質が減少することで発症します。
全身の震えも症状の一つです。何もしていないときに震えが起こります。
眠っているときは震えません。
パーキンソン病になりやすい人
65歳以上の人に多く発症します。
主な症状
全身の震え
歩くときに足が出にくい
転倒しやすい
素早い行動ができない
話し方に抑揚がなくなる
膝や肩、指などの痛み
顔の筋肉がこわばる
方向転換ができない
自分でできる対処法は?
病院で医師に相談しましょう。
内科を探す
病気③ バセドウ病
バセドウ病は、全身の新陳代謝が活発になりすぎる病気です。
症状の一つに手足の震えがあり、疲労を感じるのが特徴です。
バセドウ病になりやすい人
女性に多く、妊娠・出産を機に発症するケースもあります。
症状は徐々に出るのではなく、突然発症します。
また、ストレスが多い人も発症リスクが高まります。
主な症状
長時間の手足の震え
体重減少
下痢
疲労感
食欲増進
発汗
動悸
眼球が出る
イライラして落ち着かない
月経不順
自分でできる対処法は?
バセドウ病は、病院での治療が必要です。
症状に心当たりがある場合は、内分泌内科を受診しましょう。
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▼参考
日本臨床内科医会 本態性振戦
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2021-07-12
「体が小刻みに震えるのは、なぜ?」
体の震えは、問題のないケースもあり、震えの原因が病気であるとは限りません。
ただし、本態性振戦やパーキンソン病などの病気も考えられます。
「病院に行く目安」や、受診すべき「診療科」もあわせて紹介します。
体が小刻みに震えるのは「これって病気のせい?」
震えだけで病気を判断することはできません。
例えば、なんらかの病気によって脳に異常が起こっていると、体が小刻みに震えることがあります。
その他にも、自律神経の乱れによって生じるケースもあります。
「私は大丈夫?それとも病気?」どう見分けるか
以下に当てはまる方は、特に問題はないと考えられます。
ストレスや疲れ、眠気があるときの震え
不安や恐怖、緊張を感じたときの震え
寒さを感じるときの震え
これらは誰にでも起こる「生理的な震え」です。
ほかに体の異常が見られないのであれば、一旦様子を見てみましょう。
こんな症状は病気を疑いましょう
震えだけでなく、
汗を異常にかく
脈が速い
筋肉がこわばる
といった症状を伴うときは、病気を疑う必要があります。
病気が隠れていた場合、悪化すると歩行に支障が起こるケースもあります。
心当たりのある方は、放置せずに早めに医療機関を受診しましょう。
病院は何科?
体が小刻みに震えるときは、脳神経内科を受診してください。
病気が原因となっているケースも考えられるため、気になる場合は早めの受診をおすすめします。
医療機関を受診すると、診察を検査によって震えの原因を調べてもらえます。
病気が発見された場合は、進行を遅らせるための治療も行えます。
脳神経内科を探す
考えられる2つの病気
体が小刻みに震える病気として、
本態性振戦
パーキンソン病
などが挙げられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
※稀にその他疾患により、本能性振戦の症状と似た震えが出ることもあります。心配な場合はかかりつけ医、または内科などにご相談ください。
病気① 本態性振戦
体の小刻みに震える場合、本態性振戦の可能性も考えられます。
この病気は、震え以外に症状が出ることはありません。
本能性振戦は65歳以上の人に発症しやすい傾向があります。
また、加齢とともに症状が悪くなるケースも見られます。
発症には遺伝も関わっていると言われており、どの年齢でも発症する可能性はあります。
震えが出やすいタイミング
コップを持ち上げるとき
ボタンを押すなどの動作
重力に対して腕や手を維持する姿勢のとき
本態性振戦の原因
発症の原因はよくわかっていません。
なんらかの原因によって、小脳や視床、脳幹など、手足の動きに関係する脳の一部に異常が起こり、震えが生じると考えられています。
自分でできる対処法は?
十分な睡眠をとり、ストレスをため込まないようにしましょう。
リラックスすることで、症状が軽減しやすくなります。
ただし、根本的な改善を目指すのであれば、医療機関での治療が必要です。
病院は何科?
本態性振戦は、脳神経内科で治療を受けられます。
医療機関では、交感神経に働きかけるβブロッカーや抗てんかん薬、精神安定剤などの薬を使って治療します。
薬物療法でも改善しない場合は、震えに関与している脳のエリアに電気で刺激を与える“脳深部刺激療法”を行うこともあります。
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病気② パーキンソン病
安静時に震えが生じる場合は、パーキンソン病が疑われます。
この病気になると、体の運動を上手く調節できなくなり、歩行にも支障をきたします。
50歳以上の人に発症することが多く、年齢の上昇とともに発症リスクが上昇していきます。
なお、発症には食事の内容や地域差もなく、特別な原因となるものはないといわれています。
症状の特徴
手を膝に置いているときの震え
歩くのが遅くなる
小刻みに歩くようになる
動きが遅くなる
便秘
気分の落ち込み
幻覚を見る
パーキンソン病の原因
脳から筋肉へと運動の調節を伝える“ドパミン”という神経細胞が減ることで発症します。
ただし、ドパミンが減る原因は、未だよく分かっていません。
近年では、神経細胞の中に異常なタンパク質である“αシヌクレイン”が蓄積して、ドパミンが減るのではないかと考えられています。
自分でできる対処法は?
パーキンソン病には、ご自身でできる対処法はありません。
薬を使った治療が必要であるため、早めに医療機関を受診してください。
悪化すると運動機能が大きく低下し、生活に支障が出るケースもあります。
病院は何科?
パーキンソン病は、脳神経内科で治療を受けられます。
パーキンソン病と診断した場合、症状や年齢に合わせて、ドパミンを補う薬を使用します。
薬での治療が難しい場合は、脳のドパミンに関係する部分に電気で刺激を与える“脳深部刺激療法”を行うことがあります。
また、運動機能を維持するために、治療と併せてリハビリテーションを行うことも大切です。
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※稀にその他疾患により、本能性振戦の症状と似た震えが出ることもあります。心配な場合はかかりつけ医、または内科などにご相談ください。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
一般社団法人日本神経学会:ふるえ
難病情報センター:パーキンソン病(指定難病6)
オムロン株式会社:vol.51パーキンソン病と間違えられやすい『本能性振戦』