「体温が低い」「平熱が低い」と感じている方は多いのではないでしょうか。
体温が低くなってしまう原因や、それに伴う頭痛や吐き気などの症状について、医師が詳しく解説します。
体温が低いままだと、免疫力が低下して、風邪やインフルエンザなどの病気にかかりやすくなります。
体温を上げるための対策もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
低体温って何度くらい?
35度台の場合、体温が低いと言えます。
体温は日々の体調によって変動するので、毎日体温を測っていなければ気づかないこともあります。
毎日体温を測って、自分の平均的な体温を知りましょう。
「低体温」と「低体温症」の違い
「低体温症」になると、深部体温が35度以下になります。この場合体温が低いというだけではなく、人間の体の機能を維持できなくなり、放っておけば生命の危機となります。
これに対し「低体温」に明確な定義はなく、健康的な方の平熱(36.5~37.1度ほど)より低いと、低体温と言われることが多いようです。
なぜ?低体温の「3つの原因」
低体温の原因には、
- 筋肉量の低下
- ホルモンバランスの乱れ
- ストレスや自律神経の乱れ
などが考えられます。
また、妊娠初期は、通常では黄体ホルモンが活発に分泌されるため体温は高温になりますが、つわりがひどく栄養が摂れない場合や、睡眠不足といった理由で一時的に体温が低くなることがあります。
「朝は一番体温が低い」時間
人間は、午後や夜になると体温が上がり、朝になるにつれ徐々に体温が低くなります。そのため、体は朝が最も体温が低いのです。
健康な人では、日中一番動いている時期は、37度台となっている場合もあります。
体温が低いと「頭痛」や「吐き気」症状がでることも
体温が低いと、頭痛や肩こり・腹痛・生理不順・眠りが浅いなどの症状が出ます。
また、睡眠不足や疲労などの要因で自律神経が乱れると、吐き気の症状が出ることもあります。
よくある症状のため、直接、体温が低いのが原因だと気がついていない場合もあります。
体温が低いと「病気になるやすい」ってホント?
体温が低いと、免疫が低下して風邪やインフルエンザにもかかりやすくなります。
また、睡眠不足や疲労、栄養不足が続いていた、怪我をしているといった人たちは、急に体温が低くなることがあるので注意してください。
体温を上げる方法
体温を上げるには、
- 冷やさない
- ストレスためない
- 湯船に入る
- 運動する習慣をつける
といった方法があります。
まずは暖かくして、体を冷やさないようにしてください。足や肩、首を出している服は、体が冷えてしまいます。
ストレスや疲労は体温低下の原因です。ストレス対策をして、体を休めるようにしましょう。
お風呂はシャワーだけではなく、湯船に浸かり体を温めましょう。疲労やストレスを緩和する働きがあります。
そして、運動をする習慣をつけましょう。運動は、基礎代謝を上げて体を温める効果があります。
運動や食事内容を見直して、体温を上げて健康な体を手に入れましょう。
おすすめの「食べ物・飲み物」
体を暖める働きを持つ食材を摂取しましょう。
例えば
といった食材があげられます。
反対に、ビールやコーヒーは体を冷やします。積極的な摂取は避けましょう。
「下半身に筋肉をつける」のもおすすめ!
下半身に筋肉をつけると基礎代謝アップにつながります。
症状がつらいときは病院へ
まずは内科を受診し、体調不良の状態を伝えましょう。
生理不順、生理痛などの症状の場合は、婦人科を受診してください。
体温が低い人は、できれば毎日体温を測って、体温が低いことを医師に伝えてください。
内科を探す
婦人科を探す
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2020-12-04
なぜだかわからないけど、とにかく体調が悪い…。
どうすればいいのか教えて!
原因不明の体調不良をどう解消すればいいのか、お医者さんに聞きました。
もしかするとその症状は、隠れた病気のサインかもしれないので、不調が続く方は注意しましょう。
なぜ?原因がわからずとにかく体調が悪い
内科を受診しても悪いところが見つからず、体調不良が続いている場合は、「自律神経失調症」の可能性が高いです。
自律神経失調症のメカニズム
「体の熱が上がる」「心拍数が上がる」「眠る」といった自律神経の機能が正常に働かなくなり、バランスが崩れることによって、自律神経失調症となります。
自律神経失調症の主な症状
動悸がする
ほてりがある
疲労感、だるさがある
気分の落ち込みがある
めまい、耳鳴りなどがある
自律神経失調症の2つの原因
原因① ストレス・疲労過多
ストレスや疲労によって、体の機能が正常に働かなくなります。
疲労状態が長いと、自律神経にも影響がおよび、自律神経失調症を引き起こします。
原因② 更年期障害
更年期障害は、女性ホルモンの急激な減少を招き、脳にも影響を及ぼします。
女性ホルモンが急激になくなると脳をコントロールする部分が乱れ、自律神経失調症を発症させます。
改善するにはどうすればいい?
自律神経失調症は生活習慣を整えることで、改善に向かうケースが多いです。
次の3ポイントの改善を意識してみてください。
1.十分な睡眠をとる
毎日決まった時間に就寝・起床するようにしましょう。
食後は3時間ぐらい空けてから就寝してください。また、朝は朝日を浴びて目を覚まし、体内リズムを整えるようにしましょう。
2.食生活の見直す
毎日3食、栄養バランスのとれた食事をとりましょう。
朝食を食べ、朝から行動的に過ごすようにしてください。朝食を抜くと1日の生活リズムが崩れてしまいます。
★摂取したい栄養素★
玄米やトマトに多く含まれている「GABA」を摂取するようにしましょう。
脳の機能を助けてくれます。
※食品なので、食後すぐに症状が改善するわけではありません。
3.適度に運動をする
毎日、適度に運動すると、心地よい疲労感が生まれ、睡眠もしっかり摂れるようになります。
軽めのウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を30分程度行うのがおすすめです。
市販薬でも改善できる?
自律神経失調症を直接よくする市販薬はありません。
質のよい睡眠を誘導するものや、「GABA」のサプリメントなどがありますので、薬剤師に相談の上、使用するようにしてください。
特に「既に薬を飲んでいる」方は注意!
普段から常用しているお薬がある方は、市販薬を使用しないでください。
主治医に相談の上、処方薬やサプリメントを使用するようにしてください。
それでも改善されない場合は…
生活習慣を整えても症状が中々改善されない場合は、病院で治療を受けることをおすすめします。
何かを変えなければ治らない可能性が高いため、治療を受けましょう。
疲労感・頭痛・微熱などの「全身症状」がでている方
⇒内科をおすすめします。
内科を探す
イライラ、焦り、憂鬱など「ストレス症状」が強い方
⇒心療内科をおすすめします。
心療内科を探す
「病気のサイン」のケースも
「とにかく体調が悪い」という症状が続く場合
慢性疲労症候群
甲状腺機能低下、機能亢進症
がん
など、病気のサインの可能性があります。
それぞれの症状を解説します。
病気① 慢性疲労症候群
継続的な微熱
関節痛
倦怠感
朝起きられない
といった症状があります。
このような症状が現れた場合、内科の受診をおすすめします。
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病気② がん
体調不良
倦怠感
疲労感
食欲不振
痩せる
微熱
といった症状があります。
このような症状が現れた場合は、内科の受診をおすすめします。
内科を探す
病気③ 甲状腺機能低下、機能亢進症
体調不良
倦怠感
むくみ
脈が速くなる
痩せる
イライラする
息があらくなる
といった症状があります。
このような症状が現れた場合、内科の受診をおすすめします。
内科を探す
この症状は早く病院へ
急に元気が出なくなり、倦怠感や疲労が取れない、体の一部が腫れてきているなどがある場合は、要注意です。
病院で治療を受けるメリット
自律神経失調症が原因の場合
短期間での症状改善が期待できます。また症状によって治療法が用意されているので、必ず病院を受診しましょう。
他の病気が原因の場合
早期に発見して治療を開始することで、悪化を防止できる可能性が高くなります。
▼参考
厚生労働省e-ヘルスネット 自律神経失調症
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2020-12-07
足だけが冷えてしまうのは病気なの…?
足の冷えの原因を、お医者さんに詳しく解説してもらいました。
改善するための食事や運動、病気の可能性をご紹介します。
なぜ?「足だけ」が冷える原因は…
血行不良や自律神経の乱れなどが原因だと考えられます。
足先まで血液が行き渡りにくくなっている状態です。
足が冷たすぎて眠れない…どう対処する?
眠れないほど足が冷えているときは、ストレッチがおすすめです。
心臓へ戻る血液の流れを活発にすることで、冷えの改善が期待できます。
ストレッチ方法
仰向けになり、足をゆっくり真上に上げます
上半身はリラックスさせたまま、足の指をグーパーグーパ―と閉じたり開いたりします。
パーの状態のときは、指を離すように広げましょう。
病院に行く目安
足だけの冷えが2週間程度続く
しばらく歩いた後、おしりや足が痛い(間欠性跛行)
これらの症状が現れる場合は、一度病院に行きましょう。
受診するのは何科?
循環器内科や心臓血管外科を受診しましょう。
循環器内科を探す
ひどい冷えは“病気のサイン”かも
足の冷えは、単なる冷え症ではなく、
バージャー病
末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)
など病気が潜んでいるケースもあります。
病気① バージャー病
足の動脈が詰まることで血の流れが悪くなり、足が冷えることがあります。
喫煙習慣のある30歳代~40歳代の男性に多い病気です。
今のところ原因ははっきりとわかっていませんが、手足の末梢血管が炎症(血管炎)を起こしているためと考えられています。
主な症状
足の指が冷える・痺れる・青白くなる
しばらく歩いた後に、おしり・太もも・ふくらはぎが痛くなる(間欠性跛行)
安静にしていても、激しい痛みがある(安静時疼痛)
静脈に沿って赤い、痛みがある(遊走性静脈炎)
行うべき対処は?
上のような症状が現れている場合は、病院での治療が必要になります。
自己判断で対処せずに、一度病院に行きましょう。
循環器内科を探す
病気② 末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)
腹部から両足に伸びる動脈が狭くなったり詰まったりすることで、血の流れが悪くなり、足が冷えることがあります。
60歳以上の男性が発症しやすいと言われています。
動脈硬化が原因と言われており、加齢に伴い発症リスクが上がります。
主な症状
しばらく歩いた後に、おしり・太もも・ふくらはぎが痛くなる(間欠性跛行)
足が痺れる・冷える
寝ている時も足が痛い
行うべき対処は?
上のような症状が現れている場合は、病院での治療が必要になります。
自己判断で対処せずに、一度病院に行きましょう。
循環器内科を探す
ガンコな足の冷えに「おすすめの食べ物」
①ビタミンE
②鉄分
③ビタミンC
を多く含む食品を摂ると良いでしょう。
①ビタミンEを豊富に含む食べ物
ビタミンEは血行促進に繋がります。
植物油
ナッツ類
アボカド
②鉄分を豊富に含む食べ物
鉄分不足で貧血の状態だと手足が冷えやすくなります。
鉄分には、動物性食品に多い「ヘム鉄」と、植物性食品に多い「非ヘム鉄」の2種類があり、吸収率の高いヘム鉄がおすすめです。
非ヘム鉄を摂る場合は、吸収を助けるビタミンCや動物性たんぱく質をいっしょに摂ると良いでしょう。
ヘム鉄
レバー
赤身肉
赤身の魚
あさり
卵 など
非ヘム鉄
ひじき
豆乳
生揚げ
小松菜
ほうれん草
カシューナッツ など
③ビタミンCを豊富に含む食べ物
ビタミンCは、非ヘム鉄の吸収を促します。
パプリカ
ブロッコリー
キウイフルーツ
イチゴ
レモン など
こんな食事は控えめに…
冷え性を改善したい場合、
冷たい飲み物や食べ物
鉄の吸収を妨げる食べ物(シュウ酸・フィチン酸・タンニン・食物繊維・炭酸)
を過剰摂取するのは控えましょう。
シュウ酸:葉菜類の野菜、たけのこ、緑茶、コーヒー、紅茶、ココア、ピーナッツなど
フィチン酸:穀類、豆など
タンニン:コーヒー、赤ワイン、紅茶、緑茶など
食物繊維:キノコ類、いも類、海藻類など
ガンコな足の冷えに「おすすめの運動」
筋肉量を増やすことで基礎代謝が上がり、体を温かく保つことができます。
基礎代謝を上げるためには
体幹を強化
スクワット
ダンベル運動
ピラティス
ウォーキング
などがおすすめです。
▼参考
合同研究班参加学会 末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン (2015 年改訂版)
日本動脈硬化学会 動脈硬化の病気を防ぐガイドブック
難病情報センター バージャー病(指定難病47)