熱はないのに体が熱い…だるい…。
原因不明の「ほてり」と「倦怠感」の原因を、お医者さんに聞きました。
お困りの方は、対処法や受診の目安を確認しましょう。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
熱はないのに体が熱くてだるい…これは大丈夫?
他に気になる症状がない場合は、一旦様子を見ても良いでしょう。
ストレスやホルモンバランスの乱れによって、ほてりや倦怠感が一時的に生じることもあります。
ただし、他にも不調を伴う場合は、何らかの病気が隠れている可能性が高いです。
考えられる2つの原因
熱はないのに体が熱くてだるいのは、
- 慢性疲労症候群
- 自律神経失調症
の可能性があります。
① 慢性疲労症候群
慢性疲労症候群とは、原因不明のほてり・倦怠感などが6ヶ月以上続く状態を指します。
症状が重いと、起き上がれなくなる場合もあります。
慢性疲労症候群の原因
明確な原因は、未だ解明されていません。
ストレスによって免疫機能と脳機能に異常が生じ、慢性疲労症候群を引き起こすケースもあります。
しかし、詳細の原因は不明です。
発症しやすい人
慢性疲労症候群の主な症状
- 体のほてり、倦怠感
- 筋肉痛、関節痛
- 筋力低下
- 不眠、過眠
- 気分の落ち込み
- 集中力低下
- 喉の痛みやリンパの腫れ など
自分でできる対処法
休息を取り、体を温めましょう。
免疫機能を正常に戻すことが大切です。
それでも改善しない場合は、早めに医師の診察を受けましょう。
② 自律神経失調症
自律神経失調症になると、体温を調節する機能が低下します。
そのため、病気ではないのに体が熱くなる、だるいといった症状が起こります。
体全体が重く、ベッドから起き上がるのが困難になります。
自律神経失調症の原因
過度のストレスによって、自律神経と脳機能が正常に働かなくなることが原因です。
発症しやすい人
- ストレスを感じやすい人
- 環境の変化で気分が悪くなりやすい人
- 旅行先で便秘・下痢・不眠になる人
自律神経失調症の主な症状
- めまい
- 頭痛
- 微熱、ほてり
- 疲れやすい
- 食欲減退
- 下痢、便秘
- 耳鳴り
- 頻尿
- しびれ
- イライラ
- 気分の落ち込み
- 動悸 など
自分でできる対処法
規則正しい生活を送りましょう。
体を冷やさないようにすることも大切です。
ご自身でケアしても改善しない場合は、病院を受診しましょう。
病院に行く目安
- ほてりや倦怠感が7日以上続く
- だるくて動けず、起き上がれない
- 気分の落ち込み
といった症状がある場合は、病院に行きましょう。
受診するのは何科?
まずは内科を受診しましょう。
万が一他の病気の場合(慢性疲労症候群など)でも、自身で病気を判断して診療科を選択するのは難しいです。
まずは内科に行き、その後、医師の指示で専門家へ相談するようにしましょう。
※精神的要因に心当たりがある方は、心療内科を受診するのがよいでしょう。
内科を探す
心療内科を探す
原因不明の体調不良は、命に関わる病気の可能性もあります。
早めに受診して検査を受けることで、病気の悪化を防ぎやすくなります。
症状に心当たりのある方は、放置しないようにしましょう。
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なぜだかわからないけど、とにかく体調が悪い…。
どうすればいいのか教えて!
原因不明の体調不良をどう解消すればいいのか、お医者さんに聞きました。
もしかするとその症状は、隠れた病気のサインかもしれないので、不調が続く方は注意しましょう。
なぜ?原因がわからずとにかく体調が悪い
内科を受診しても悪いところが見つからず、体調不良が続いている場合は、「自律神経失調症」の可能性が高いです。
自律神経失調症のメカニズム
「体の熱が上がる」「心拍数が上がる」「眠る」といった自律神経の機能が正常に働かなくなり、バランスが崩れることによって、自律神経失調症となります。
自律神経失調症の主な症状
動悸がする
ほてりがある
疲労感、だるさがある
気分の落ち込みがある
めまい、耳鳴りなどがある
自律神経失調症の2つの原因
原因① ストレス・疲労過多
ストレスや疲労によって、体の機能が正常に働かなくなります。
疲労状態が長いと、自律神経にも影響がおよび、自律神経失調症を引き起こします。
原因② 更年期障害
更年期障害は、女性ホルモンの急激な減少を招き、脳にも影響を及ぼします。
女性ホルモンが急激になくなると脳をコントロールする部分が乱れ、自律神経失調症を発症させます。
改善するにはどうすればいい?
自律神経失調症は生活習慣を整えることで、改善に向かうケースが多いです。
次の3ポイントの改善を意識してみてください。
1.十分な睡眠をとる
毎日決まった時間に就寝・起床するようにしましょう。
食後は3時間ぐらい空けてから就寝してください。また、朝は朝日を浴びて目を覚まし、体内リズムを整えるようにしましょう。
2.食生活の見直す
毎日3食、栄養バランスのとれた食事をとりましょう。
朝食を食べ、朝から行動的に過ごすようにしてください。朝食を抜くと1日の生活リズムが崩れてしまいます。
★摂取したい栄養素★
玄米やトマトに多く含まれている「GABA」を摂取するようにしましょう。
脳の機能を助けてくれます。
※食品なので、食後すぐに症状が改善するわけではありません。
3.適度に運動をする
毎日、適度に運動すると、心地よい疲労感が生まれ、睡眠もしっかり摂れるようになります。
軽めのウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を30分程度行うのがおすすめです。
市販薬でも改善できる?
自律神経失調症を直接よくする市販薬はありません。
質のよい睡眠を誘導するものや、「GABA」のサプリメントなどがありますので、薬剤師に相談の上、使用するようにしてください。
特に「既に薬を飲んでいる」方は注意!
普段から常用しているお薬がある方は、市販薬を使用しないでください。
主治医に相談の上、処方薬やサプリメントを使用するようにしてください。
それでも改善されない場合は…
生活習慣を整えても症状が中々改善されない場合は、病院で治療を受けることをおすすめします。
何かを変えなければ治らない可能性が高いため、治療を受けましょう。
疲労感・頭痛・微熱などの「全身症状」がでている方
⇒内科をおすすめします。
内科を探す
イライラ、焦り、憂鬱など「ストレス症状」が強い方
⇒心療内科をおすすめします。
心療内科を探す
「病気のサイン」のケースも
「とにかく体調が悪い」という症状が続く場合
慢性疲労症候群
甲状腺機能低下、機能亢進症
がん
など、病気のサインの可能性があります。
それぞれの症状を解説します。
病気① 慢性疲労症候群
継続的な微熱
関節痛
倦怠感
朝起きられない
といった症状があります。
このような症状が現れた場合、内科の受診をおすすめします。
内科を探す
病気② がん
体調不良
倦怠感
疲労感
食欲不振
痩せる
微熱
といった症状があります。
このような症状が現れた場合は、内科の受診をおすすめします。
内科を探す
病気③ 甲状腺機能低下、機能亢進症
体調不良
倦怠感
むくみ
脈が速くなる
痩せる
イライラする
息があらくなる
といった症状があります。
このような症状が現れた場合、内科の受診をおすすめします。
内科を探す
この症状は早く病院へ
急に元気が出なくなり、倦怠感や疲労が取れない、体の一部が腫れてきているなどがある場合は、要注意です。
病院で治療を受けるメリット
自律神経失調症が原因の場合
短期間での症状改善が期待できます。また症状によって治療法が用意されているので、必ず病院を受診しましょう。
他の病気が原因の場合
早期に発見して治療を開始することで、悪化を防止できる可能性が高くなります。
▼参考
厚生労働省e-ヘルスネット 自律神経失調症
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2020-05-21
初めて心療内科に行くけど…実際には何を話すの?
心療内科で初診を受ける際の流れについて、お医者さんに聞きました。
当日準備していくことをはじめ、初診でかかる料金、診断書はもらえるのかどうかも解説します。
心療内科の初診の流れ
初めてで緊張する方もいらっしゃるかと思いますが、基本は一般の内科などと変わりません。
問診→診察という通常の病院受診と同じ流れで行われます。
<治療開始までの流れ(一例)>
電話やウェブで予約
来院、問診表を書く
診察を受ける
必要であれば検査
治療の開始
心療内科の予約のしかた
電話予約が一般的かと思われますが、最近ではウェブ予約ができるところも増えてきています。
時間がなくて電話ができない、電話が苦手という方でも予約することができます。初診は日時が決まっているところが多いため、調べてから行くのがよいでしょう。
心療内科を探す
受診前に準備しておいたほうがいいことはある?
次のことが伝えられるように準備しておくと良いでしょう。
今、何に困っているのか
受診に至った経緯
いつから困っているのか
どのようなときに、どのような症状がでるか
思い当たるストレス要因 等
初診で聞かれること
(症状や状態にもよりますが)ストレス要因に関連するような質問をされる可能性があります。
例えば、家族との関係や本人の職業・仕事内容、交友関係や休日の過ごし方、趣味などの話です。あくまで関連のある事柄に対してなので、あまり言いたくないことは言わなくても大丈夫です。
いずれにしても専門家がお話を聞くので、安心して相談してみてください。秘密は守られます。
初診で持っていくもの
心療内科の初診には、次のものを持参すると良いでしょう。
保険証
お薬手帳(あれば)
現状「困っていること」や「医師に相談したいこと」を受診の経緯をスムーズに話せるようにメモを持っていくのもよいでしょう。
初診の費用目安
自己負担3割の方で、初診時は約2,500円~3,000円、2回目以降は1,500円程度です。
薬を処方された場合、診察とは別に薬代が5000円前後かかります。
検査を行った場合には別途1,000~3,000円かかりますが、検査の種類にもよります。
こんなときは、悩まず心療内科に相談してください
「ストレスで胃が痛い」「悩み事があり夜眠れず、不眠気味だ」「ストレスが多く髪が抜ける」「イライラが収まらない」などの症状がある場合は、早めに専門医に相談してみましょう。
心配事や悩み事、ストレスがあり、気持ちや情緒が不安定で「いつもと違う」と感じられているのであれば、受診することをお勧めします。
辛い、苦しい、不安な状態を長く我慢してしまうと、症状がより重いものになる可能性もあります。
早期受診のメリット
早期に治療を始めることで、治療期間が短く済む、正常な状態に戻るのも早くなる、通院の回数や医療費も安く済むというメリットがあります。
ストレスが要因の病気は特に、放置し続けることで症状が悪化してしまうケースが多く、うつ病もそのうちの一つです。
何よりも、軽い症状のうちに治療を受けた方が心身の負担もあまりかからずに済みます。
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はじめての心療内科「よくある質問」
「診断書はもらえるの?」「心療内科に行ってはいけないと言われるのはなぜ?」
心療内科に関するよくある質問にお答えします。
質問1.診断書が欲しいのですが…
休職等の申請に診断書が必要な場合、すぐにもらえるものなのでしょうか?
診断書は本来診断がついて初めて発行されるものです。しかし診断書は医師に申し出れば、比較的速やかに発行されるところも多いです。
休職や職場に提出が必要な書類として、すぐに必要な場面が多いためです。病院によっては別に窓口が設けられている場合もあるため、受診の際に確認すると良いでしょう。
質問2.よく「心療内科に行ってはいけない」と言われるけど…
「行ってはいけない」「行ったら最後」と言われているのは、なぜなのでしょうか?
「行ったら最後」ということはありません。
そう言われるのは、精神科や心療内科のお薬を服用すると、患者さん自身の判断で勝手にやめることができず、飲み続けなければならないことが要因となっている可能性があります。
もしくは、薬の副作用が強くて日常生活により支障が出るなどという想像での発言かもしれません。
また、精神科・心療内科に行って診断を受けた時に、自分が精神病患者なのだと認めてしまうのが怖いと思ったり、周りの目を不安に感じる方もいらっしゃいます。
精神科や心療内科は、重い精神疾患を持つ人が行く場所というネガティブなイメージが少なからずあるというのが背景にあるようです。
つらい時は我慢せずに病院に行った方が良いのでしょうか?
ネット上でも多くの情報が錯綜していますが、自分の体の声を聞き、本当に辛い、苦しいと感じていて、日常生活に支障が出ているのであれば、相談だけでもいいので受診してみてください。
実際に、精神的な症状や心身症が現れているにも関わらず、受診を躊躇している方が多くいらっしゃいます。
しかし、自己判断で市販の漢方薬などの薬を飲み続けていたとしても、根本的な治療にはなりません。その点、専門の医師に相談することで、症状の要因をふまえた治療を受けることができます。
一人で抱え込まずにまずは相談してみましょう。
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参考URL
・心療内科で初診を受ける場合の流れを分かりやすく解説!/ひだまりこころクリニック栄院
https://hidamarikokoro.jp/sakae/blog/心療内科で初診を受ける場合の流れを分かりやす/
・精神科・心療内科の診察料金 | こころみ医学
https://cocoromi-cl.jp/knowledge/other/psychiatry/cost/
・診察にはどれくらいの費用がかかりますか? | 心療内科・精神科
https://namba-minato.com/faq/faq09/
・心療内科に行くべきかどうか迷う。受診すべき兆候とは?/神楽坂こころのクリニック
https://www.kagurazaka-mc.com/colum/psychosomatic-medicine/