20代後半だけど、なかなか妊娠できない…。
考えられる原因をお医者さんに聞きました。
健康的に妊娠・出産するために心がけたい生活習慣や、病院に相談する目安についても解説します。
監修者
経歴
医療法人社団 石野医院
日本医科大学
日本医科大学付属病院
日本医科大付属第二病院
国立横須賀病院
東部地域病院
石野医院
20代後半でなかなか妊娠できない「よくある原因」は?
20代後半なのですが、なかなか妊娠しません…。
何が原因でしょうか?
20代後半で「なかなか妊娠できない」場合、以下のような原因も考えられます。
- 食事の栄養バランスが偏っている
- 過度の肥満
- 過度の体重減少
- 精神的ストレスの蓄積
- 激しすぎる運動習慣
それぞれ解説するので、心当たりがある場合は、生活を見直してみましょう。
原因① 食事の栄養バランスが偏っている
食生活の乱れによる栄養バランスの偏りは、妊娠しにくくなる要因の一つとなります。
卵巣や子宮を正常に働かせるためには、食事によって健康な体を作ることが大切だからです。
心当たりはありませんか?
- 食事の量が多すぎる
- よく欠食する
- 揚げ物ばかり食べている
- 炭水化物ばかり食べている
- 加工品(インスタント食品やレトルト食品など)ばかり食べている
- 野菜を食べない
- お菓子やジュースをとりすぎている
- お酒をよく飲む
- 夜食が多い
- 極端に食事制限をしている
原因② 過度の肥満
過度の肥満は、「卵子の質の低下」や「子宮内膜が受精卵を受容する能力の低下」につながります。特に、BMI30以上の方は、不妊のリスクが高くなると考えられています。
BMIの計算方法
BMI = 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
心当たりはありませんか?
- 食事の量が多すぎる
- 揚げ物ばかり食べている
- 早食いをしている
- 野菜を食べない
- 食事の回数が少なく、一度の食事量が多い
- 間食・夜食が多い
- 運動不足
- 生活リズムが不規則
原因③ 過度な体重減少
痩せすぎてしまうと、脳の下垂体(※)からホルモンが分泌されなくなり、卵巣の働きに影響が出ます。
すると、排卵がうまく行かず不妊の原因になる可能性があります。
※下垂体:さまざまなホルモンの分泌量を調整する働きを持つ脳の部位。
特に、BMIが18.5未満の方は要注意です。
心当たりはありませんか?
- 最近、食欲が出ない
- 過度なダイエットをしている
- 食べる量は変わっていないが、運動量が増えた
- 普段のストレスが多い
- 疲労がたまっている
原因④ 精神的ストレスの蓄積
過度のストレスを感じることで女性ホルモンの働きが鈍くなり、不妊を招いてしまう可能性があります。
心当たりはありませんか?
- 不安を感じやすい
- 緊張しやすい
- 真面目すぎる性格
- 感情の起伏が激しい
- 相談相手がいない
- 自分の気持ちを表現することが苦手
- 人間関係が難しい環境下にいる
原因⑤ 激しすぎる運動
激しすぎる運動をすると、体内に大量の活性酸素が発生します。
その影響により、卵子の老化を促す恐れがあり、不妊につながる可能性があります。
心当たりはありませんか?
- 長時間の筋トレをする
- ランニングをする
- 冷たいプールに入る
- 縄跳びをする習慣がある
- 重い荷物を運ぶ
普段から、上記のような体に強い負荷がかかる運動をしていたり、仕事で体を酷使していたりする方は注意が必要です。
「運動の強度を落とす」「適度に休憩する」など、負担がかかりすぎないようにしましょう。
健康的に妊娠・出産するために…意識したい「5つの習慣」
- 必要な栄養を十分摂取する
- 生理周期を確認する
- 湯船につかって体を温める
- ストレスを適度に発散する
- 睡眠の質を向上させる
母子ともに健康的に妊娠・出産するために、上記のことを意識して生活しましょう。
おすすめ習慣① 必要な栄養を十分摂取する
母子ともに健康的に妊娠・出産するためには、十分に栄養を摂取する必要があります。
特に、
を積極的にとるように心がけましょう。
必要な栄養素
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多く含む食品
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ビタミンD
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鮭/サンマ/ブリ/しらす干し/きくらげ/干ししいたけ/卵
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ビタミンE
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アーモンド/卵/アボカド/オリーブオイル
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葉酸
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枝豆/ほうれん草/ブロッコリー/とうもろこし/納豆/グリーンアスパラ
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必要な栄養素① ビタミンD
「ビタミンD」は魚類に多く含まれており、免疫力を高めてくれます。
20代の場合、ビタミンDの1日あたりの必要量は、「8.5μg」です。
過剰に摂取すると、健康を害する恐れがあるため、適量を摂取しましょう。
必要な栄養素➁ ビタミンE
「ビタミンE」はナッツ類に多く含まれており、子宮内膜の状態を整えてくれます。
20代の場合、ビタミンEの1日あたりの必要量は「5.0mg」です。
また、ビタミンEは、抗酸化作用を高めるためにも「ビタミンA」や「ビタミンC」と一緒に摂取するとよいとされています。
必要な栄養素
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多く含む食品
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ビタミンA
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卵黄/バター/人参/ほうれん草/モロヘイヤ(※)
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ビタミンC
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パプリカ/ブロッコリー/芽キャベツ/ジャガイモ/サツマイモ/オレンジ/レモン
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※人参・ほうれん草・モロヘイヤなどにはβカロテンが豊富に含まれています。βカロテンは、ビタミンAに変換されて作用します。
必要な栄養素③ 葉酸
「葉酸」は、枝豆やブロッコリーに豊富に含まれています。
健康な胎児が育つよう、妊娠前から必要です。
葉酸は1日あたり食事で「240㎍」(※)、サプリメントで摂取する場合は、1日あたり「400㎍」を目安にとりましょう。
※ゆでた枝豆100g弱には、約240㎍の葉酸が含まれています。1食分40g(25さや程度)に含まれる葉酸は、約104㎍となります。
これはやめよう!NG食生活
食事を抜いたり、1回の食事でたくさん食べたりするのはやめましょう。
「和定食」をイメージして、一日3食、主菜・副菜・主食の揃った食事をとるようにするといいですよ。
また、脂質や糖質のとりすぎは、肥満につながるのでよくありません。
肥満気味の方は、揚げ物やお菓子は控えめにしましょう。
おすすめ習慣② 生理周期を確認する
ご自身の「生理周期」を確認しつつ、「生理日数」についても知っておきましょう。
生理周期や日数が乱れている場合には、ホルモン異常や無排卵の可能性があります。
生理周期は25~38日、生理日数は3~7日程度が一般的です。
スマートフォンのアプリを使うと、日数管理がしやすくなります。
なお、「生理痛の重さ」も普段から気にするようにしてください。
生理痛が重い場合には、「子宮内膜症」や「子宮筋腫」の可能性があり、不妊のリスクが高まります。
これらを早めに知ることで、早期の治療につながり、よりよい健康状態で妊活に臨むことができます。
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2022-12-23
子宮内膜症ってどんな病気?
よくある初期症状は?
子宮内膜症についてわかりやすく解説します。
病院へ行く目安も紹介するので、心当たりのある症状がないかチェックしましょう。
子宮内膜症ってどんな病気?
子宮内膜症とは、子宮の内側を覆う膜(子宮内膜)が、子宮以外の部分で増えてしまう病気です。
通常であれば、子宮内膜は生理のたびに体の外へ排出されます。
しかし、子宮内膜症になっていると、これらが卵管を通ってお腹の中にばらまかれてしまい「出血」「炎症」「他の組織への癒着」などが起こります。
子宮内膜症の症状チェック
腹痛
腰痛
重い生理痛のような痛み
生理の出血量が多い
不正出血
性交痛
不妊
次第に出血量が多くなる傾向があり、ナプキンの交換が何度も必要になるケースもあります。
特に起こりやすい初期症状は?
子宮内膜症の初期症状として、生理痛(下腹部痛)がみられます。
初期は、生理痛以外に特に症状はみられません。ただし、徐々に生理痛が強くなることが多いです。
症状が進行すると、痛みは月経時だけではなく、月経前後や月経時以外にも起こる場合があります。
子宮内膜症にかかりやすい人の特徴
20~40歳代の女性(月経がある女性)
初潮が早かった人
母親や姉妹が子宮内膜症になった経験がある(遺伝的要因)
妊娠・出産の経験がない(もしくは少ない)
帝王切開を経験したことがある
子宮内膜症になる原因は?
子宮内膜症の原因は、はっきりと分かっていません。
ただし、生理の血がお腹で逆流する現象が影響していると考えられています。
病院には行くべき?
子宮内膜症は、早めの治療が必要です。
症状に心当たりがある場合は、「婦人科」または「産婦人科」を受診しましょう。
治療を行うことで、子宮の機能が改善し、生理時の痛みや出血の正常化を目指せます。
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産婦人科を探す
放置するとどうなる?
放置していると、臓器と子宮内膜が癒着を起こします。
また、生理のたびに大量に出血をするようになり、痛みや出血で通常の生活を送れなくなる人もいます。
進行すると、生理時以外も腹痛を感じるようになります。
妊娠が望めなくなったり、排便痛・性交痛・腰の痛みなどが慢性化したりするリスクも高まります。
どんな検査を受けるの?
はじめに「問診」を行い、どのような症状があらわれているのか確認します。
その後、「内診」を行い、子宮や卵巣などの状態を確認します。
必要に応じて、
直腸診
超音波検査
MRI
血液検査
腹腔鏡検査
などを行います。
内診や検査があるため、脱ぎ着がしやすい服装がおすすめです。
できれば、パンツよりもスカートの方がよいでしょう。
なお、生理中にはできない検査もあるため、できれば生理期間を避けるとよいでしょう。
子宮内膜症の治療法は?
薬を飲む「薬物療法」と「手術療法」があります。
治療方法は、症状・重症度・年齢・妊娠の希望などに応じて決めます。
治療法① 薬物療法
まずは、痛みを和らげるために鎮痛剤を飲みます。
鎮痛剤で効果があらわれない場合は「低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬」「低用量ピル」などのホルモン量の少ないピルを使用します。
女性ホルモンの分泌を抑え、症状を緩和させる作用がある「GnRHアゴニスト(偽閉経療法)」や「黄体ホルモン剤」などを投与するケースもあります。
治療法➁ 手術療法
チョコレート嚢胞(※)と呼ばれる卵巣の内膜症性嚢胞がある場合は、手術を検討します。
妊娠を望んでいるケースは、病気の部分のみを切り取り、卵巣や子宮の正常な部分は残します。
一方、妊娠を望まないケースでは、病気の部分の摘出だけでなく、子宮や卵巣、卵管などを摘出する手術を行うこともあります。
※チョコレート嚢胞とは
卵巣の内部に子宮内膜が増殖し、出血した血液が卵巣にたまってチョコレートのような状態になることを言います。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
おすすめ習慣③ 湯船につかって体を温める
体を冷やしてしまうと、子宮まで血液が行き届かなくなってしまいます。
毎日、お風呂の湯船につかり、体の芯から温まりましょう。
38~40℃の湯に15分程度つかるようにしましょう。
体を温めて血流をよくすることで、妊娠しやすい体を作ります。
また、食後すぐに入浴するのは避けましょう。
就寝の2~3時間前ぐらいに入浴すると、入眠しやすくなるのでおすすめです。
おすすめ習慣④ ストレスをこまめに発散する
- 睡眠をしっかりとる
- ストレッチなどで軽く体を動かす
- 人と話したり、笑ったりする
- 夢中になれる趣味を見つける
などにより、ストレスをこまめに発散して、溜め込まないようにしましょう。
ストレスを軽減して自律神経を整えることは、女性ホルモンを正常に分泌させることにつながるため、妊娠に効果的です。
「やらなきゃ」と思うとかえって負担になるので、無理なく続けられるストレス発散方法を見つけましょう
おすすめ習慣⑤ 6~8時間程度の質のよい睡眠をとる
睡眠の質が上がると自律神経が整いやすくなります。
その結果、女性ホルモンを正常に分泌させることができ、妊娠に効果的です。
目安の睡眠時間は6~8時間ですが、個人差があります。
「起床時に疲れがとれている」「日中に眠気を感じない」状態を目安にして、ご自分にとって十分な睡眠時間を確保しましょう。
「深い眠り」を得るためのポイント
- 朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びる
- 昼寝は15時までに30分以内にする
- 夜は23時(遅くとも24時)には寝る
- 夕方以降は「カフェインを含む食品」を控える
- 夕食は就寝の2~3時間前までに済ませる
- 飲酒は、就寝の3~4時間前までにする
- 就寝の2~3時間前に入浴する
- 就寝前はできるだけパソコン・スマホを触らない
病院は行くべき?
妊活中に「もしかしたら不妊なのでは?」と思ったタイミングで、病院で医師に相談してみるとよいでしょう。
「不妊」は、一般的に1年ほど避妊をしないで性交していても妊娠しない場合を指します。
ただし、現時点で「不妊かも?」と思うのであれば、1年を待たずに受診してもかまいません。
不妊治療にはこんな「メリット」が
病院で診てもらうことで、
- 妊娠に対して前向きになれる
- 生活習慣の改善につながる
- 万が一病気があった場合に早く見つけられる
というメリットがあります。
なお、従来から保険が適用されていた「タイミング法」に加えて、2022年4月から「人工授精」「体外受精」「顕微授精」にも保険適用が始まりました。
不妊治療に「デメリット」はないの?
不妊治療を受けることで、
といったデメリットはあります。
まずは、生活習慣を見直すなど、今自分たちにできることを行いましょう。
その上で不妊治療を受ける場合には、ぜひ前向きな気持ちで向き合ってみてください。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2021-02-19
生理の量が少ないことと不妊にどのような関係があるのか、お医者さんに聞きました。
「なぜ生理の量が減るの?」
「対処法はある?」
といった疑問にもお答えします。
「生理の量が少ない」と「不妊」の関係
生理の量は、「女性ホルモンの分泌量」と関係しています。
生理に関わる女性ホルモン「エストロゲン」や「プロゲステロン」の分泌量が減ると、生理の量も減り、妊娠しづらくなります。
女性ホルモンの働きって?
エストロゲンは、毎月の生理に関わる女性ホルモンです。
毎月の生理には、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの2種類が関係しています。
生理に関わる「2つの女性ホルモンの働き」
◆エストロゲン
…子宮内膜を厚くする働き
◆プロゲステロン
…子宮内膜を剥がし、子宮の中を綺麗にする働き
「エストロゲン」の分泌量が多くなり子宮内膜を厚くした後、「プロゲステロン」の働きで不要になった内膜を剥がし、経血として外に出すことで生理が起こります。
生理が少ない場合「ホルモンバランスが崩れている」可能性アリ
生理の量が少ない場合、女性ホルモン「エストロゲン」「プロゲステロン」のの分泌量が減っている可能性があります。
エストロゲンの分泌量が少ないと…
子宮内膜を厚くする働きや弱まり、経血量が減る(生理の出血量が少なくなる)。
プロゲステロンの分泌量が少ないと…
内膜が剥がされずに溜まっていくという現象が起きて、経血の量が減る(生理の出血量が少なくなる)。
ホルモンバランスが崩れて、生理の量が減っているというのは、“妊娠しづらい状態”といえます。
妊娠を望んでいる女性は、女性ホルモンバランスを整えることが大事です。
ホルモンバランスは、なぜ乱れるの?
ホルモンバランスが乱れる主な原因は、ストレス・疲れ・食生活の乱れ・睡眠不足です。
女性のホルモンバランスはとてもデリケートなため、ちょっとしたことですぐに乱れてしまいます。
また、加齢が原因になることがあります。
(加齢とともにエストロゲンの分泌量が減り、生理の量も減っていきます。)
ホルモンバランスが乱れているサイン
PMS(月経前症候群)の症状がひどくなる
生理痛がひどくなる
経血の量が少なくなる
経血の量が多くなる
不正出血が起こる
生理周期が乱れる
3ヵ月以上生理が止まる(無月経)
生理周期が短くなる(24日以下)
自律神経失調症になる(めまい・ふらつき・倦怠感など)
※PMS…生理開始3~10日前に起こる、腰痛・腹痛・頭痛などの身体的不調・精神的不調の症状。生理が始まると症状が改善するのが特徴。
ホルモンバランスの整え方
女性ホルモンを整える基本は、「生活を整えること」です。
規則正しい生活を心がける
1日しっかり睡眠時間を確保し、質のよい睡眠をとる
栄養バランスの良い食事を摂る
お腹や足などを温め、血行を良くする
ウォーキングなど軽い運動を1日20~30分程度行う
ストレスを溜めない
といったことを意識してください。
残念ながら「◯◯を食べれば大丈夫」「~~しておけばOK」というものはないため、日常生活の意識を変えることが必要です。
注意!生理の量が少ないのは「病気」のケースも
生理の量が少ないのは、“病気”が隠れているケースがあります。
<女性ホルモンの分泌に異常が起こる病気の例>
多嚢胞卵巣症候群
甲状腺機能低下症(橋本病)
下垂体腺腫
黄体機能不全
<生理の量が少なくなる子宮の病気の例>
子宮腔癒着症
子宮発育不全
生理の量が少なく、不妊でお困りの場合は、婦人科や産婦人科に行って相談してみましょう。
病気が隠れていないか、検査を受ける必要があります。
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病気①多嚢胞卵巣症候群
卵巣に小さな卵胞が詰まることで排卵に障害を起こすため、経血の量が減ります。
原因:卵巣内の男性ホルモンが多いことが原因です。
その結果、女性ホルモンのバランスが崩れ、排卵障害が起こります。
その他の症状:無月経・不妊・肥満・にきび・多毛・糖代謝異常など
病気②甲状腺機能低下症(橋本病)
甲状腺の機能が低下するとエストロゲンの分泌量が低下し、子宮内膜が正常に作られなくなり経血量が減ることがあります。
原因:自己免疫の異常が原因だと言われています。
その他の症状:疲れやすい・肥満・脱毛・抑うつなど
病気③下垂体腺腫
脳の下垂体に腫瘍ができ、ホルモンの分泌に異常をきたします。
母乳の分泌に関与している「プロラクチン」というホルモンが大量に分泌されると、妊娠していないのに母乳が出たり生理が止まったりします。
原因:現在、詳しい原因はわかっていません。
その他の症状:無月経・月経不順・不妊など
病気④黄体機能不全
黄体の働きが悪くなる病気です。
排卵後に卵胞からプロゲステロンの分泌が十分にされなくなるため、経血の量が減ります。
原因:現在、詳しい原因はわかっていません。
その他の症状:月経周期の短縮・不正出血・不妊・流産などの症状が起こります。
病気⑤子宮腔癒着症
子宮内膜が炎症を起こし、内膜同士がくっつく病気です。
そのため、子宮内膜が十分な厚さにならず、経血の量が減ってしまいます。
原因:帝王切開や妊娠中絶など子宮に関する手術や、結核菌など
その他の症状:着床不全・流産・癒着胎盤など
病気⑥子宮発育不全
子宮が十分に発育していない病気です。
子宮内膜が適当な厚さにならないため、経血の量が少なくなります。
原因:女性ホルモンの生産不足や生まれつきの子宮の形成異常が原因と考えられています。
その他の症状:月経不順、月経困難、不妊、流産など
妊娠を望んでいる方は、「早めに病院で相談を」
早めに病院を受診することで、妊娠しづらい原因となっている他の病気が見つかるケースや、妊娠しやすい状態にすることができます。
病気の発見が遅れると、不妊や子宮・卵巣摘出手術が必要になることもあります。
経血量だけでなく、生理痛など他の症状がある場合は、一度病院へ行くことをおすすめします。
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2018-10-31
「赤ちゃんを迎える身体になるためのサプリメント」という広告を目にしたことはありませんか?赤ちゃんを欲しいと思ったら、妊娠しやすい体作りが大切になります。
では、妊娠しやすい体になるには、どのようなことに注意したらよいのでしょうか? 妊活中に必要なサプリメントや、また、産婦人科ではどのような薬が処方されるのかを詳しく解説していきます。
妊活中にどうして葉酸が必要なの?
葉酸は、胎児の正常な発育に欠かせない栄養素です。
妊活中の女性は、特に摂取しておきたい栄養素の一つでもあります。
葉酸は、妊活中に取りたい栄養素として注目されており、サプリメントも販売されています。
例えば、妊娠初期に形成される神経系の正常発育のために、葉酸は不可欠な栄養素です。また、神経管閉鎖障害の先天異常を予防するのに、葉酸は妊娠前からの積極的な補充が必要と考えられています。 葉酸には赤血球の形成を助ける作用もあるので、貧血の改善や赤血球の形成にも必要な栄養素とも言えます。
神経管閉鎖障害とは
妊娠の4~5週ごろに胎児の神経管がうまく形成できない状態。無脳症や脊椎が二つに分かれる二分脊椎のような障害を起こすことがある。
葉酸を多く含む食べ物
ほうれん草
小松菜
モロヘイヤ
いちご
など
食事+サプリメント摂取がすすめられている
食事で十分な葉酸を摂取できれば問題ないのですが、葉酸は調理損失も大きいです。また妊娠に必要な葉酸量は非妊娠時の倍量を取らなければなりません。
先天性の神経管閉鎖障害を予防する働きがあることから、 2000年以降、厚生労働省もサプリメントでの葉酸摂取を奨励しています。
妊活中に意識したいこと
バランスのよい食事をとる
体を温める
ことは大切です。
妊活中はバランスの良い食事が大切ですが、不足分はサプリメントで補ってもよいと思います。
また、冷え性で悩む方は多くいますが、冷えは妊娠しにくくなります。
季節を問わず、1年を通しての冷え対策が大切です。 特に、お腹周り・下半身は温めるようにしておきましょう。
もっと妊娠しやすくなるために
葉酸の他にも、
鉄分
亜鉛
カルシウム
ビタミンC
なども大事な栄養素です。
これらは意識して、積極的に取るようにしましょう。
「鉄分」の役割
鉄分が不足すると、次のような悪影響が生じます。
貧血(子宮の血流も悪くなる)
赤ちゃんの体重増加が緩慢になる
早産になりやすい
「ビタミンC」の役割
鉄分の吸収をよくするためにビタミンCは欠かせません。ビタミンCは、鉄分の体内吸収率を高めるからです。 特にほうれん草や小松菜など野菜類の鉄分はそのままでは吸収されず、ビタミンCの働きでようやく体に取り込まれるくらいです。
「亜鉛」の役割
亜鉛も赤血球作りに欠かせないのですが、それと同時に受精卵の細胞分裂を助ける働きがあります。
「カルシウム」の役割
カルシウムは赤ちゃんの骨格を作りますが、お母さんの摂取量が足らないと、赤ちゃんはお母さんの歯や骨からカルシウムを取ろうとします。 いずれも妊娠前からの補充が大切です。
妊娠しやすい体づくりのための「お薬」について
産婦人科では妊娠しやすい体を作るため、薬を処方することがあります。
例えば、次のような薬です。
排卵誘発剤
排卵をコントロールする薬
排卵を促す薬
女性ホルモンを補充する薬
場合によって、男性に薬を処方することもあります。
かわいい赤ちゃんを産むには、妊娠しやすい体作りをしておくことも重要です。妊娠する前にバランスよく栄養を取って、きちんと準備ができているとよいですね。