「お腹に茶色のシミがたくさんができた…」
「原因は何?」
お腹に茶色いシミができる原因をお医者さんに聞きました。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
お腹に茶色のシミがたくさん…原因は?
腹部にできるシミは
などが原因となって発生することが多いです。
腹部はズボン・スカート・タイツ・下着などが接触する部分です。
「服を脱ぐとウエスト部分に跡が残っていた」という経験がある方も多いでしょう。
腹部はそれだけ刺激を受ける機会が多いため、シミができやすくなります。
また、洗浄不足で残った「酸化した皮脂」が刺激となり、シミを作ることもあります。
体を丁寧に洗わない人は、皮脂が原因となっている可能性も考えられます。
加齢によるシミは「40代から」現れてくる!
加齢によるシミは「脂漏性角化症」と呼ばれるもので、健康な人にも起こる皮膚の老化現象です。
一般的に40代頃から見られる傾向があり、早い人では30代から発生する人もいます。
お腹のシミを予防するために
お腹のシミを予防するために
- 腹部をこする、締め付ける衣類を避ける
- 衣類は通気性の良いものを身につける
ことを普段から心がけましょう。
腹部のシミは、衣類の接触が原因で起きる場合があります。
ストッキング・タイツ・ベルトは締め付けが少ない物を使用してください。
帰宅したらすぐに「ゆるいラインの衣類」に着替えましょう。
特にかぶれやすい人は、ワンピースなどできるだけ腹部に刺激を与えない服装にしましょう。
汗をかいたら、シャワーを浴びよう!
「汗」や「酸化した皮脂」はシミを作る原因になります。
汗をかいたら衣類を変える・こまめにシャワーを浴びるなどの対策で、汗や皮脂が肌に触れている時間を短くしましょう。
お腹の大量のシミは、皮膚科に行くべき?
放っておくと、シミが徐々に色濃くなって目立ってくることもあります。
シミが自然に消えることほぼないので、気になる場合は皮膚科で治療を受けるとよいでしょう。
市販のクリーム等でセルフケアをするよりも、「専用の医療機器」で治療するほうがシミ取りに効果的です。
ただし、シミ治療は自由診療のケースが多いため、費用面で負担がかかりやすい点がデメリットといえます。
※老化によるシミ(脂漏性角化症)の場合、保険適用になるケースもあります。
「急にシミが大きくなっている」は皮膚ガンの疑いも
- 急激にシミが大きくなる
- 湿疹のようなものが数ヶ月以上続く
- 形が変化している
といった症状がある場合は、皮膚ガンの疑いがあります。
心当たりのある方は、早めに皮膚科で診てもらいましょう。
皮膚ガンの場合、進行すると体中にがん細胞が拡がっていきます。
命を守るためにも、早めの受診で早期発見につなげることが大切です。
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皮膚科ではどんな治療を受けるの?
治療法
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保険適用or自由診療
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費用目安
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薬剤による治療
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自由診療
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2,000~3,000円
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レーザー治療
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自由診療
※脂漏性角化症には保険適用される場合もある
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数千円〜数万円(自由診療)
2,000~3,000円(保険診療)
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凍結療法
(脂漏性角化症に行われる)
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保険適用
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2,000~3,000円
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治療法① 薬剤による治療
「ハイドロキノン」を配合した塗り薬をシミに塗り、シミの色を薄くさせます。
ハイドロキノンには、シミの元となる「メラニン」の生成を抑えたり、メラニンを生成する「メラノサイト」そのものを減少させたりする効果があります。
「ハイドロキノン」を含む市販品と、どう違うの?
医療機関で取り扱う薬の方が、ハイドロキノンの濃度が高いです。
「シミにしっかりと働きかける」という点で、市販品よりも優れているといえます。
費用は?
薬剤を使ったシミ治療は保険適用外です。
医療機関によって差はありますが、2,000円〜3,000円程度の場合が多いでしょう。
治療法② レーザー治療
色の濃いものに反応するレーザーをシミに照射します。
1週間ほどでシミがかさぶたのようになり、はがれ落ちると色が薄くなります。
費用は?
基本的に保険適用外です。
シミ1つにつき数千円〜、数が多い場合は数万円などの様々な料金設定があります。
※脂漏性角化症の場合は保険適用となり、イボの個数にもよりますが2,000〜3,000円です。
治療法③ 凍結療法(脂漏性角化症の場合)
液体窒素を使ってシミを凍結させ、切除します。
「脂漏性角化症(加齢によるシミ)」と診断した場合に検討される治療法です。
費用は?
脂漏性角化症の場合は保険適用です。
シミの個数にもよりますが、2,000〜3,000円です。
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2021-02-17
全身に痒いブツブツができた…!
「痒みを抑えるためには、冷やす?温める?」
「市販薬を使ってもいい?」
お医者さんに、“正しい対処法”を聞きました。
発疹の原因と病院に行く目安も解説します。
全身に痒いぶつぶつが出た!どう対処する?
冷水・タオルで巻いた保冷剤を使い、かゆい部分を冷やしましょう。
また、市販のかゆみ止めや抗アレルギー薬を使用しても大丈夫です。
よくあるNG!間違った対処法
患部に爪でバッテンを作る
掻きむしる
温める
などの行動は、症状を悪化させる恐れがあります。
このぶつぶつは大丈夫…?病院行くべき?
ぶつぶつが数十分~数時間で治まり、症状を繰り返さない場合は、一旦様子を見てもいいでしょう。
ただし、
1日以上経っても治らない
ぶつぶつが悪化している
他にも不調(腹痛、吐き気、発熱等)がある
といった場合は、早めに病院を受診してください。
受診する際は、まず皮膚科で相談しましょう。
たとえば蕁麻疹なら1日で治りますが、1日経過しても出ている場合は他の病気の恐れがあります。中には他人にうつす皮膚の病気のケースもあります。
自己判断で症状を判断するのは難しいです。
病院できちんと原因を調べて対処するのが安心です。
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考えられる2つの原因
全身にあらわれる痒いぶつぶつは
蕁麻疹(じんましん)
虫刺され(ダニ)
が原因となっているケースが多いです。
原因① 蕁麻疹(じんましん)
蕁麻疹を発症すると、全身に痒いぶつぶつができる場合があります。
ぶつぶつの大きさには個人差があり、1~2mm程度から、皮膚のほとんどが覆われるケースまであります。
蕁麻疹は、あらゆる人が発症する症状です。
ぶつぶつの特徴
皮膚の一部が赤く盛りあがる
線状・円形・楕円形など、形はさまざま
通常、ぶつぶつは数十分から数時間以内に消える
(半日から1日ほど消えない場合もある)
蕁麻疹の原因
蕁麻疹の原因は、実に様々です。
例えば…
汗による刺激
寒い環境にさらされる
日光の刺激
アレルギー物質の接触、摂取
特定の薬剤による作用
などがよくある原因です。
疲労やストレスも、蕁麻疹の発症に関わっています。
また、膠原病やシェーグレン症候群など、病気によって引き起こされるケースもあります。
発症しやすい人
アトピー体質やアレルギー体質の方に発症しやすいです。
自分でできる対処法は?
アレルギーに心当たりがある場合は、原因の食品や物質を避けましょう。
また、ストレスや疲労がきっかけで蕁麻疹が出ることもあるので、日頃からしっかりと体を休めるようにしてください。
上記の対処を行っても症状を繰り返す場合は、皮膚科での相談をおすすめします。
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原因② 虫刺され(ダニ)
ダニに刺されると、全身に痒いブツブツができる場合があります。
わき腹や下腹部、ふとももの内側など、虫刺されはあらゆる場所に生じます。
ぶつぶつの特徴
かゆみが強い
赤く小さなぶつぶつ
虫刺され(ダニ)の原因
ダニが付着した家具、寝具の使用
屋外でのダニの接触
ダニは高温多湿の環境を好むため、カーペットやソファー、畳などに潜んでいます。
また、“マダニ”という屋外(庭や公園、野山等)にいるダニに刺されるケースもあります。
発症しやすい人
犬や猫を飼っている人は、発症しやすいといえます。
ペットに付着したダニが、室内に侵入するためです。
自分でできる対処法は?
部屋や寝具にこまめに掃除機をかけ、清潔な環境を保ってください。
部屋を換気したり、布団乾燥機を使用したりするのもよいでしょう。
また、ネズミに媒介するダニもいるので、ネズミ駆除が必要なケースもあります。
病院で相談がオススメ
“ぶつぶつ”をかいたことによって、症状が悪化するケースもあります。
お困りの場合は一度皮膚科を受診し、原因に合わせた治療を受けましょう。
特に「早急な受診が必要」なケース
腹痛や発熱
気分不良
気道閉塞感(喉がつまる感じ・息苦しい感じ)
などを伴うときは、アレルギーの可能性が高いため要注意です。
アレルギー症状に心当たりがある方は、早急に受診してください。
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▼参考
公益社団法人 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 蕁麻疹
日本皮膚科学会ガイドライン 蕁麻疹診療ガイドライン 2018
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2021-08-04
「お腹にブツブツができた…」
「かゆいけど、ダニが原因?」
市販薬の使用や病院に行く目安を医師が解説します。
かゆみの対処法やお腹にかゆみが出る病気についても聞きました。
お腹にかゆいぶつぶつが…!これはいったい何?
原因として「①虫さされ(ダニ、ノミ等)」「②汗によるかぶれ」「③化学繊維による刺激」等が挙げられます。
① 虫さされ(ダニ、ノミ等)
虫のもつ刺激や毒により、アレルギーを引き起こす神経伝達物質のヒスタミンが増加し、炎症が生じてぶつぶつが生じる場合があります。
② 汗によるかぶれ
汗に含まれる塩分や尿酸等の成分が皮膚に刺激を与えることで、かゆみやぶつぶつが生じる場合があります。
③ 化学繊維による刺激
化学繊維(ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタンなど)の下着や服による刺激が原因で、ぶつぶつやかゆみが生じる場合があります。
お腹のぶつぶつ、どう対処する?
患部をタオル巻いた保冷剤等で冷やす
汗をかいたら早めに洗い流す・拭く
汗をかいたら着替える
などの対処をすることで、かゆみを抑制できる場合があります。
市販薬を使ってもいい?
症状が軽い場合や原因が判明している場合は、市販薬を使用してもかまいません。
薬局で薬剤師に相談し、購入してください。
ただし…
強いかゆみで患部を掻き壊している
患部が拡大している
原因がわからない
という場合は、市販薬を使用せず医療機関を受診してください。
病院に行く目安
アトピー性皮膚炎を患っている
細菌等の感染が疑われる
眠れないほどのかゆみがある
という場合は、すみやかに皮膚科を受診してください。
お腹にかゆいぶつぶつができる3つの病気
お腹にぶつぶつができるのは、
汗疹(あせも)
疥癬
痒疹
が原因だと考えられます。
病気① 汗疹(あせも)
大量の汗により、お腹の皮膚表面の汗腺が閉塞され、皮膚中に汗が溜まり炎症が生じます。
高温多湿の環境下で汗が大量にかく・通気性が悪い衣類の着用・発熱が原因で発症すると考えられています。
症状の特徴
かゆみがある
赤くて小さいぶつぶつができる
透明な粒状の水膨れができる
ひりひりするような熱感がある
かゆみを伴わない白っぽい湿疹ができる
どんな人に多い?
子どもから大人まで幅広い世代で発症します。
汗っかきの人・肥満傾向の人(皮下脂肪が多い)・多汗症の人・高齢者・汗をかいても放置してしまう人に発症しやすいです。
自分でできる対処法は?
汗をかいたらこまめに洗い流す
肌を清潔に保つ
下着をこまめに変える
通気性のよい綿素材の衣類を着用する
患部をタオルで巻いた保冷剤等で冷やす
かゆくてもかかない
病院を受診する目安
患部を引っ掻いて細菌感染を起こし、とびひ状態になっている・ただれている場合は、早めに皮膚科を受診してください。
<とびひ状態とは>
とびひになると、傷口や皮膚の一部に、かゆみのある赤み・腫れ・湿疹が現れます。その後、強いかゆみを伴う水ぶくれ(水疱)があらわれます。水ぶくれは破れやすく、かいて潰してしまうと、まるで”飛び火”のように全身に発疹が広がっていきます。
病院で受ける治療法は?
炎症によるかゆみが強い場合 → ステロイド(塗り薬)
細菌感染が起きている場合 → 抗菌薬(塗り薬、飲み薬)
アレルギーが原因でかゆみが起きている → 抗アレルギー薬(飲み薬)
を用いた治療が行われることが多いです。
どれぐらいで治る?
症状や治療内容により個人差がありますが、1~2週間ほどで症状が改善するケースが多いと考えられています。
病気② 疥癬(かいせん)
ヒゼンダニ(ダニ)がお腹の皮膚に寄生することでぶつぶつが発生します。
同居している家族間での感染もあります。
症状の特徴
赤色のぶつぶつが発生する
小さい水膨れのようなものが発生する
強いかゆみを伴う (特に夜間)
どんな人に多い?
高齢者施設や入院している人にみられるケースが多いです。
自分でできる対処法は?
疥癬は接触により感染する恐れがあります。
自己判断でケアせず、皮膚科を受診してください。
病院で受ける治療法は?
クロタミトンクリームやフェノトリンローションの塗り薬、抗ヒスタミン薬の飲み薬を用いた治療が行われます。
また、イベルメクチンという飲み薬が日本でも使用可能になりましたが、副作用が出る場合があるため医師との相談が必要です。
どれぐらいで治る?
出現している症状や治療内容による個人差がありますが、3~4週間ほどで症状が改善するケースが多いです。
病気③ 痒疹(ようしん)
痒疹には急性と慢性があります。
どちらも発症原因ははっきりとわかっていませんが、
急性痒疹 → 虫さされ
慢性痒疹 → アレルギー(アトピー性皮膚炎等)・虫さされ・内臓疾患・糖尿病・悪性腫瘍・使用中の薬
などが関係していると考えられています。
症状の特徴
かゆみを伴うぶつぶつができる
赤い色のぶつぶつができる
ぶつぶつが散らばるように発生する
小豆くらいの大きさのぶつぶつができる
硬い茶色のイボ状の塊が発生する
どんな人に多い?
急性痒疹は子どもに多くみられます。
慢性痒疹は40歳から50代に多くみられると考えられています。
自分でできる対処法は?
痒疹は強いかゆみを伴うケースが多いので、皮膚科の受診をおすすめします。
引っかくと皮膚の一部が剥がれて細菌感染が起こり、伝染性膿痂疹を起こす恐れがあります。
病院で受ける治療法は?
ステロイド薬の塗り薬・抗ヒスタミンの飲み薬・抗アレルギーの飲み薬・漢方薬を用いた治療が行われるケースが多いです。
どれぐらいで治る?
1週間程度で改善するケースもあれば、年単位の時間を要するケースもあります。
症状や治療内容により個人差は大きいです。
何科で受診すればいい?
お腹にかゆいぶつぶつができた時は、皮膚科を受診しましょう。
薬の処方により、かゆみ等の不快な症状の改善や症状の悪化予防が期待できます。
放置してかゆみが強くなり引っ掻いてしまうと、細菌感染を起こす可能性があるので、早めに医療機関を受診しましょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
日本臨床皮膚科医会 ひふの病気 疥癬
公益社団法人 日本皮膚科学会 痒疹・かゆみ
公益社団法人 日本皮膚科学会 疥癬