「歯が痛い…」
「肩こりもあるけど、もしかして更年期?」
歯痛・肩こりと更年期の関係を、歯医者さんに聞いてみました。
症状がでる原因や、出やすい人の特徴なども解説します。
歯痛・肩こりを緩和させる方法も要チェックです。
監修者
経歴
歯は健康に欠かせません。美味しいものを食べる・会話をする・美しい表情を保つ…、健康な歯は人生の質を高めます。歯の正しい知識を知って、より健康な日々を手に入れましょう。
「歯痛&肩こり」は更年期障害のひとつ?
更年期障害の症状で、歯痛・肩こりを生じる人もいます。
これらは、「ホルモンバランスの乱れ」や「加齢」が影響していると考えられます。
「ホルモンバランスの乱れ」による
などは、歯痛を招くことがあります。
また「加齢」による、
などは、肩こりを招くことがあります。
更年期障害って?何歳頃から症状がでるの?
更年期は、45歳~55歳頃に迎える女性が多いです。
閉経に伴って女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少すると、ホルモンバランスが崩れて“心身にさまざまな不調”があらわれます。
この不調の総称を「更年期障害」と呼びます。
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更年期障害ってどんな症状が出るの?
なりやすい人の特徴は?
更年期障害について、分かりやすくまとめました。
普段の生活で心がけたいポイントや、病院に行く目安も紹介します。
更年期障害とは
女性は40代頃から、卵巣から分泌される「女性ホルモン」が急激に減少します。
これに伴ってあらわれる、さまざまな心身の不調を総称して、更年期障害と呼びます。
更年期障害は何歳から始まる?
更年期とは、閉経前後の5年ずつを指します。
50歳前後での閉経が平均なので、ほとんどの女性が45~55歳で更年期を迎えます。
更年期障害はいつ終わる?
更年期障害が、いつ終わるかは断言できませんが、長くても10年ほどです。
更年期障害の症状をチェック
のぼせ・顔のほてり(ホットフラッシュ)
息切れ・動悸
頭痛
めまい
不安を感じやすい、イライラしやすい
など
上記の症状は、更年期障害の主な症状の一例です。
更年期の症状は多岐にわたるため、上記以外の症状があらわれる人もいます。
「更年期の症状が出やすい人」の特徴は?
以下、それぞれの項目ごとに2~3個ずつ当てはまる場合、更年期障害を発症しやすいと考えられています。
▼睡眠
24時以降に眠り、10時以降に起床する日が週に3日以上ある
低血圧で、朝起きるのがつらい
夜中に目が覚めやすい
寝る前にスマートフォンやパソコンを使っている
浅い眠りしかとれず、熟睡感がない
▼食事
1日3食はとらない(よく欠食する)
食事の時間がバラバラ
食事量を過度に制限するなど「極端なダイエット」をしている
暴飲暴食している
好き嫌いがあり「偏った食生活」になっている
▼性格
人に比べて神経質
何事にも真面目
完璧主義
仕事などを頑張りすぎてしまう
怒りっぽく、些細なことでもイライラしやすい
▼その他
疲れやストレスが多い生活を送っている
休みが少なく、心身ともにリラックスできる時間がない
体が冷えやすい
運動する習慣がない
産後うつ・月経前症候群が重かった
※これらの症状に当てはまらない場合でも、更年期障害を発症する可能性はあります。
今からできる!更年期の症状を和らげる「5つの対策」
1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事をとる
1日7〜8時間程度の質のよい睡眠をとる
週3~4日、有酸素運動を行う
入浴のときは「湯船に浸かる」
こまめにストレスを発散させる
更年期の症状を和らげるには、自律神経を整えておくことが大切です。
上記の点を意識して、生活習慣を見直していきましょう。
こんな症状があったら「婦人科」で相談を!
眠れないことで憂うつな気分が続く
強い不安感がある
食欲がなく、体重が減った
息切れ・動悸がする
めまい・吐き気がする
激しい頭痛がある
上記のような症状が出ている方は、一度「婦人科」に相談してみましょう。
放置していると、症状が悪化して仕事に行けなくなるなど、日常生活に支障をきたす恐れがあります。
また、更年期症状の影響により不眠が続くと、睡眠に対するこだわりが強くなり、眠れないことへの恐怖心から症状が慢性化する恐れもあります。
どんな検査を受けるの?
更年期症状で病院を受診した場合は、一般的に、
問診
身長・体重・血圧の測定
検査(血液・子宮・卵巣・甲状腺・心臓等の検査)
を行い、患者さんの症状に合わせて治療が選択されます。
※検査内容等は、受診する医療機関によって異なることがあります。
どんな治療法があるの?
治療法としては、エストロゲン・プロゲステロンなどの女性ホルモンを飲み薬・塗り薬・貼り薬で補う「ホルモン補充療法(HRT)」や、「漢方薬」を使った治療法があります。
うつ症状が強く表れているときは、抗うつ薬や抗不安剤などの「向精神薬」が処方されます。
※飲み合わせの関係でホルモン補充療法や他の薬が使いにくい場合もあります。治療中の病気や飲んでいる薬は医師に伝えたうえで、薬を処方してもらいましょう。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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実はいろいろある「更年期の症状例」
- 歯の痛み・歯茎の腫れ
- 頭痛・腰痛・関節痛
- 手足の痛み・しびれ、
- 不安感・イライラ・うつ症状
- 発汗異常(大量に汗をかく)
- 不眠
- 月経異常
- 性交痛
- 尿失禁
- 吐き気・胃もたれ、下痢・便秘
- 喉・目が渇く
- 動悸・息切れ
- むくみ
など
“更年期の症状が出やすい”人の特徴
更年期に加え、
などの人は、症状が出やすい傾向があります。
歯の痛みを緩和するには…?
- 十分な睡眠をとって、疲労を改善させる
- ストレスを発散させる
- 3食バランスの良い食事を摂る
上記のような生活を意識して過ごしましょう。
過敏になった神経が落ちついて、歯の痛みも緩和されることがあります。
肩こりを緩和するには…?
- 適度に運動を取り入れる
- 温かい食事を摂る
- 入浴はお湯に浸かる
上記のような生活を意識して過ごしましょう。
血流が良くなり、固まった筋肉がほぐれて、肩こりも緩和されることがあります。
つらい症状が多いと、寝込んでしまったり体を動かさなくなりがちですが、ある程度の適度な運動は体を正常に機能させるために必要です。
1日の中でも体を動かしやすい時間に10〜30分程度運動するようにしましょう。
例えば、散歩や軽いジョギング、ヨガなど適度に汗をかくものがオススメです。
更年期で歯痛&肩こり「何科に行けばいい?」
まずは「歯科」で受診して、歯に問題がないか確認しましょう。
歯の痛みは虫歯が原因になっているケースも多いです。
お口の状態をチェックしてもらった後は、更年期症状を改善させるために「婦人科」に行きましょう。
他にも体調不良があれば、その旨を伝えるとよいでしょう。
更年期症状には個人差があり、起き上がれない程つらい症状が出る人もいます。
更年期世代(40〜50代)の体調不良は、我慢しないようにしましょう。
更年期の症状を我慢、放置すると…
体が思うように動かない状態を無理していると、心と体のバランスが崩れてしまいます。
その結果、うつ病などの精神的な病気などを発症してしまう方もいます。
早期治療で、体調面や精神面の悪化を避けられるケースが多いです。放置せずに一度病院で相談してみることをおすすめします。
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なぜ?更年期に全く眠れない…
どうすれば眠れるの?
「更年期に不眠になる原因」をお医者さんに聞いてみました。
不眠改善の対策・NG行動などを詳しく解説しますので、ぐっすり眠りたい方は必読です。
全く眠れない…原因は更年期障害?
40代以降の女性の「夜に全く眠れない」という症状は、更年期障害が原因となっている疑いがあります。
この場合、女性ホルモンの減少に伴う症状、例えば
のぼせ
発汗
動悸
などが不眠のキッカケとなっているケースが多いです。
また、眠れない日が続くことで“不眠恐怖”が生じ、さらに悪化するケースもあります。
更年期だけじゃない!「うつ病」が隠れているケースも…
更年期になるとメンタルも不安定になりやすいものですが、気分の落ち込みがひどい場合は「うつ病」も疑われます。
うつ病の症状チェック
抑うつ気分
不安感
涙もろくなる
喜びや興味の喪失
無気力、何事も億劫に感じる
集中力の低下
消えてしまいたいと思う
うつ病は不眠の症状を伴いやすく、自分を責める気持ちが強くなって日常生活を送るのがつらくなる方もいます。
放っておくと、状態が悪化して治療が長期化することもあるため、早めに受診するようにしましょう。
「うつ病かもしれない」と思うときは、精神科で相談することをおすすめします。
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ぐっすり眠るための「4つの生活ルール」
更年期の不眠の症状は、自律神経を整えたり、日中に体を動かしたりすると改善されることがあります。
ぐっすりと眠るためにも、
起床時間・就寝時間を毎日同じにする
軽めの運動を毎日続ける
就寝の2〜3時間前に入浴する
ストレスをこまめに発散する
などを意識して生活しましょう。
対策① 起床時間・就寝時間を毎日同じにする
夜に眠れたかどうかにかかわらず、毎日の起床時間・就寝時間を一定にすることが大切です。
起床後はカーテンを開けて太陽の光を浴び、体内時計をリセットさせましょう。
前日眠れなかったからといって翌日に昼過ぎまで寝てしまうと、生活リズムが乱れて不眠が悪化しやすいです。
対策② 軽めの運動を毎日続けよう
ウォーキング
ストレッチ
など、無理なく続けられる運動(有酸素運動)を毎日継続して行いましょう。
体が適度に疲労を感じることで、夜に眠りやすくなります。
前日の睡眠状態にかかわらず、日中はなるべく活動的に過ごし、夜に眠れるような状態を作りましょう。
対策③ 就寝の2〜3時間前に入浴する
就寝時間の2〜3時間前に、38〜40度くらいの「ぬるめのお湯」に浸かりましょう。
入浴の際にアロマオイルを使用すると、リラックスしやすいのでおすすめです。
人は、体の深部の温度が下がるときに眠気を感じやすくなります。
2〜3時間前に入浴して一時的に体の温度を上げると、就寝時間に下がり始め、寝付きがよくなります。
対策④ ストレスをこまめに発散する
ストレスを発散方法の例
友人や家族とおしゃべりする
ウォーキングやヨガ、ストレッチなどの軽い運動をする
熱中できる趣味の時間を作る
自分に合ったリフレッシュの方法で、ストレスをこまめに発散しましょう。
ストレスを感じていると、寝ている間も体が緊張してしまい、眠れなくなることがあります。
眠れないときは…ベッドから出てみよう
ベッド・布団で休む時間をあらかじめ決めておき、もし眠れなければ一度寝床を離れてみましょう。
眠れないのに我慢して無理に寝床にいると、不眠の症状が悪化することがわかっています。
寝床から離れたら、照明を暗くした部屋でリラックスして過ごしてみてください。
夜の時間のお供には「読書」をおすすめします。
スマホ・パソコン等は刺激になりやすいため、控えてください。
しばらく過ごしてウトウトしてきたら、再び寝床に戻りましょう。
これはダメ!睡眠を妨げるNG習慣
夕方以降にカフェインを摂取する
寝る直前に夕食を食べる
寝酒をする
といった習慣は、睡眠を浅くしやすいので避けましょう。
夕方以降は、カフェイン入りの飲みもの(コーヒー/紅茶/エナジードリンクなど)は控えましょう。
また、夕食の時間と就寝時間の間隔が短すぎると、食べたものを十分に消化できず、睡眠を妨げる要因となります。夕食は、寝る2~3時間前までに済ませるのが理想です。
寝酒もやめましょう。お酒を飲むとアルコールの代謝によって生じる「アセトアルデヒド」によって、睡眠の質が悪くなりやすいです。
「眠りにつきやすくするため…」とお酒を飲むのはおすすめできません。
セルフケアで改善しないときは、「婦人科」で相談を
セルフケアで不眠が改善しないときは、「婦人科」で相談してみましょう。
更年期による不眠の症状は、病院で治療を受けると徐々に改善していくケースが多いです。
漢方薬
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
加味逍遥散(かみしょうようさん)
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
などの漢方薬を用いた治療法。
睡眠障害は心と体のバランスの乱れが原因で起こるケースが多いため、漢方薬の使用により症状改善が期待できると考えられている。
ホルモン補充療法
分泌が減少している「エストロゲン」を補充する治療法。
のぼせ・発汗・ほてり等により睡眠障害が起きている場合に有効と考えられている。
プラセンタ注射
ヒトの胎盤から抽出した「プラセンタエキス」を注射する治療法。
プラセンタのもつ、ホルモンを調整する内分泌調整作用や、自律神経のバランスを調整する自律神経調整作用などが役立っていると考えられている。
プラセンタ純末エキス
1日1本を目安に、「プラセンタエキス」を服用する治療法。
プラセンタのもつ、ホルモンを調整する内分泌調整作用や、自律神経のバランスを調整する自律神経調整作用などが役立っていると考えられている。
エクオール
エストロゲンと似たような作用をもつ「大豆イソフラボン」をサプリメントとして摂取する治療法。
漢方薬を使った治療、ホルモン補充療法、プラセンタ注射(※条件有り)には、保険が適用されます。
「プラセンタ純末エキス」、「エクオール」は保険適用外です。
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▼参考
多美クリニック 女性の睡眠障害
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2022-07-04
更年期障害にならない人ってどんな特徴があるの?
今の内から対策できることは?
「更年期症状が軽い人と重い人の違い」を、お医者さんに聞きました。
症状を軽くする「生活習慣のポイント」も詳しく解説しますので、更年期の不調に悩みたくない方は必読です。
“更年期障害になりにくい人”の特徴
1日3食、バランスの良い食事をとっている
運動習慣がある
質の良い睡眠をしっかりとれている
疲労を感じたときに、ちゃんと休息をとれている
ストレスが少ない・上手に発散できている
上記が“更年期障害になりにくい人”の特徴です。
「規則正しい生活を送り、ストレスや疲労を溜め込まない」という習慣がある方は、更年期の症状が軽くなる傾向があります。
ただし、これらはあくまでも「傾向」です。
上記のような生活を送っていても、更年期障害に悩む方はいます。
更年期の症状は、その人の性格や卵巣機能の状態、日常のストレス・疲労など、様々な要素が複雑に絡み合うことで生じます。
子どもの独立・親の介護など、「ライフステージ」がキッカケとなって症状が重くなるケースもあります。
更年期障害が「全くない人」もいるの?
人によっては、「更年期障害を全く感じない」という場合もあります。しかし、更年期の女性は、女性ホルモンの分泌が低下するため、誰しもホルモンバランスが崩れるものです。
そのため「更年期障害がない」と感じている方も、全く症状がないのではなく、「更年期症状が軽い」状態であると考えられます。
更年期の症状が軽い人と重い人「何が違うの?」
症状が軽い人
症状が重い人
食生活
1日3食食べている
栄養バランスがよい
欠食が多い
食事の時間が不規則
栄養のバランスが悪い
運動
体をよく動かす
体をあまり動かさない
睡眠
十分な睡眠をとっている
眠りが深い
睡眠時間が短い
睡眠の質が悪い
ストレス・疲労
ストレスが少ない
ストレスを発散できている
疲れたときにちゃんと休む
ストレスを溜めがち
疲れていても無理してしまう
生活リズム
毎日規則正しく過ごしている
睡眠時間がバラバラ
夜更かしをする
昼まで寝ることが多い
更年期症状は自律神経の乱れによって悪化します。
症状が重い人は、「栄養バランスが悪い」「睡眠時間が短い」といった、自律神経が乱れやすい生活を送っている傾向があります。
※あくまでも全体の傾向です。更年期症状の現れ方には、生活習慣以外の要素も影響します。
更年期の症状を軽くする4つのポイント
1日3食バランスの良い食事をとる
1日7〜8時間程度の睡眠をとる
積極的に体を動かす
湯船に浸かって体を温める
更年期の症状を軽くするためには、ストレス・疲労を軽減して自律神経を整えることが大切です。
そのために、普段から上記の4つの点を意識して生活しましょう。
ポイント① 1日3食バランスの良い食事をとる
1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事をとりましょう。
「和定食」をイメージしたメニューであれば、バランスよく栄養を摂れるでしょう。
適切な栄養補給ができていないと、体の機能を正常に保つことができません。
自律神経やホルモンバランスも乱れやすくなり、更年期障害の悪化につながります。
主食
ご飯
麺
パン など
主菜
お肉
魚
卵
大豆製品 など
副菜
野菜
きのこ
海藻 など
ポイント② 1日7〜8時間の睡眠をとる
1日7〜8時間を目安に睡眠時間を確保しましょう。
また、質のよい睡眠のために、
夜は11時(遅くとも12時)には寝る
入浴・夕食は就寝の2~3時間前に済ませる
夜はできるだけパソコン・スマホを触らない
などを意識してください。
睡眠不足は自律神経が乱れる原因になり、更年期症状を悪化させる恐れがあります。
心身の不調を和らげるには、質の良い睡眠を十分にとり、自律神経を安定させることが大切です。
ポイント③ 積極的に体を動かす
ストレッチ・ヨガ・ウォーキング・水泳等の運動を毎日行いましょう。
忙しくて運動の時間を確保できない場合は、
外出時に「いつもより長く歩く」
テレビを観ながら「スクワットする」
といった習慣で、日常の中に運動を取り入れてみましょう。
体を積極的に動かすことにより、「血行の改善」や「代謝の向上」につながります。
これらは女性ホルモンの働きを助けてくれるので、更年期症状の緩和につながると考えられます。
ポイント④ 湯船に浸かって体を温める
毎日、湯船に浸かって体を温めましょう。
体が温まることで、ストレスが軽減され、女性ホルモンの分泌が整います。
さらに、ストレスが緩和されて自律神経がスムーズに働くと、臓器の血流が良くなってエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌も活発になります。
▼参考
公益社団法人 日本産科婦人科学会 更年期障害
更年期ラボ 更年期の対策 運動でケア
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。