マイコプラズマ肺炎は、学校保健安全法では、「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまでの期間の出席停止の措置が必要」とされていますが、具体的にどういう症状なら学校を休んだほうがいいのかわかりづらいですよね。
登校OKの目安をお医者さんに聞きました。早く治すためのケアの方法や、登校の際の注意点も解説します。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
学校はいつから行ける?
マイコプラズマ感染症(肺炎)になったら、いつから学校にいけるのでしょうか?
登校OKの症状の目安
熱が下がり平熱となって、体が元気な状態になり、咳がおさまれば学校へ行けます。
その際は医師を受診し診断を受けてください。
何日くらい休む?
マイコプラズマ感染症は、個人差はありますが7日間程度で快方に向かいます。
登校の際に気をつけること
治ったと思ったら、また熱がぶり返すこともあるマイコプラズマ。悪化させないように、学校ではどういったことに気をつけたらいいのでしょうか?
マスクを着用し、体育などは見学しましょう。
マイコプラズマ感染症は、喉の痛み咳、痰などの症状が主体です。マスクをしていると保湿されのどが乾燥しにくいので、呼吸も楽になります。
また、激しい運動や無理をして体を動かすと、体力が戻っていないと症状がぶり返す可能性があります。体育を見学にする、運動系の部活はお休みをするなどして体調を整えましょう。
学校でうつさないために気をつけること
登校の際、他の児童にうつさないように、どういったことに気をつければいいのでしょうか。
マイコプラズマ感染症は、くしゃみ、つば、鼻水から感染します。マスクの着用をしてください。
つばやくしゃみを吸い込んで感染します。マスクを外して他の人と話さないようにしてください。
また、手についたつばや鼻水でも感染します。つばや鼻水を手で拭い、そこら中に触ればマイコプラズマを蔓延させます。鼻水はティッシュで拭いて、手洗いをこまめに行いましょう。
早く治す方法
お家での対処法
部屋を加湿し、楽な体勢で寝るようにしましょう。
マイコプラズマ感染症は、喉の痛みや咳、痰など症状が出現します。のどの炎症を軽くするためにも部屋は加湿してください。また、のど飴をなめさせたり、水分を口に含ませたりすると咳症状はおさまりやすくなります。
家で寝かせていても咳が止まらない、咳が辛い時は、横になるよりソファや布団を丸めたものに寄りかかっていると楽かもしれません。小さい子どもであれば保護者の方が、抱きかかえるように抱っこしてあげてもいいでしょう。
看病する際の注意点
マイコプラズマは、大人でも感染します。
子どもの看病をするときは、大人もマスクを着用してください。体や鼻水、咳からのつばなどに触れた際には、手洗いをしてください。
お風呂は入っていい?
熱がおさまり、体を動かすのが楽になればお風呂に入っても構いません。
脱水に注意して、体を温めて、ゆっくりと過ごしましょう。
自然に治る?
マイコプラズマ肺炎は、症状が軽ければ自然に治癒することがあります。それでも7日間程度は、かかると言われています。
しかし重篤な合併症もありますので経過観察には注意が必要です。
病院で検査する場合
病院では、迅速キットや採血を用いて検査します。
マイコプラズマ感染症の迅速検査は、綿棒でのどを拭い取るだけの簡単な検査です。検査結果は、15分程度でわかります。
マイコプラズマ肺炎は、RSウイルスなどの風邪、気管支炎、肺炎を引き起こすウイルスや細菌と症状が似ていて、区別が難しいです。インフルエンザウイルス・RSウイルスで感染もなく、咳が主体の風邪の症状であれば、マイコプラズマ感染症を疑って検査します。
合わせて読みたい
2022-02-28
マイコプラズマ肺炎になって発熱したとき、どう看病するのが正しいの?
熱が続くとき、熱が上がったり下がったりするときの症状別の対処法と、熱が続く期間も解説します。
熱が下がらないときの対処
熱が長引いてなかなか下がらないとき、どうしたらいいのでしょうか・・・?早く治す方法を聞きました。
対処法
熱があるときは、体が病気と闘っています。無理に冷やさずに安静にしましょう。
体は温めてください。あまりに高熱(38度以上)となると体に支障が出る場合もあるので、病院を受診します。
熱が上がりきるまでは、寒がったり、ガタガタ震えたりする症状が現れる場合もあります。
汗を掻き、手足が温まったら、熱が上がりきった証拠なので、着替えをこまめに行い、体を冷やさないようにしてください。
小児科を探す
原因
発熱は、感染と体が戦っている体の免疫反応です。
熱が上がったり下がったりするときの対処
熱が下がってもぶり返したり、夕方から夜だけ上がるという子どももいます。
対処法
熱が下がって回復したと思っても、もう少し体を動かさずに安静にしてください。
体は、病気と闘っている最中です。病気を快方に向かわせることに集中しましょう。
原因
少し元気になってくると起き上がり、TVを見たり、インターネットをしたりしていませんか?
じっとしているのに飽きて家の中で動き回っていませんか?
日中も安静にせず、動いてしまうと、まだ、体調が万全でない体は疲れてしまい、熱がぶり返す場合があります。
マイコプラズマ肺炎の熱、いつまで続く?
熱が続く期間
マイコプラズマ肺炎は、初期に発熱が2〜3日ほど続きます。
その後咳が見られます。咳は解熱した後も3週間ほど続くことがあります。
自然治癒する?
マイコプラズマ肺炎は自然治癒することもありますが…。
抗生物質や気管支拡張薬を使うことで、症状が長引かず、早く治癒します。
病院にいく目安
マイコプラズマ肺炎になったら、子どもは、小児科、もしくは内科、呼吸器内科を受診してください。大人の方は、内科、呼吸器内科を受診しましょう。
小児科を探す
内科を探す
呼吸器内科を探す
症状の目安
発熱が38度以上になったら病院を受診しましょう。
マイコプラズマ感染の合併症には、肺炎、無菌性髄膜炎や脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群など様々な合併症があります。
熱はそのサインの場合もありますので、体調が急変する前に病院を受診してください。
病院での検査方法
病院では、マイコプラズマ感染の可能性があれば迅速キットを用いて検査します。検査結果は、15分ほどでわかります。
マイコプラズマ肺炎は、RSウイルスなどの風邪、気管支炎、肺炎を引き起こすウイルスや細菌と症状が似ています。区別が難しいのです。咳が主体の風邪の症状でインフルエンザウイルス感染やRSウイルスでもないようなら、マイコプラズマ肺炎を疑って検査されます。マイコプラズマ肺炎の検査は、綿棒でのどを拭い取るだけの簡単な検査で、どんな人でも受けられます。
入院が必要な場合
肺炎や脳炎など、他の病気の可能性がある場合や、各種症状が重い場合は、入院を必要とする場合もあります。
▼参考
マイコプラズマ肺炎とは - 国立感染症研究所
合わせて読みたい
2022-02-28
子どもがマイコプラズマに感染したら…。
どんな症状がでるのか、どう看病したらいいのか、感染予防対策のためにどんなことができるのか、お医者さんに聞きました。病院受診のタイミングも。
子どものマイコプラズマ肺炎の「症状」
感染初期は、咳や鼻水、喉の痛み、発熱がみられます。
マイコプラズマ肺炎になると、発熱して、喉の痛み等が出ます。
他にも、頭痛が起こる場合もあります。筋肉痛や体がだるい症状なども現れます。熱が出た数日後に、「こんこんこん」と咳が出てきます。乾いた咳で、初期は、痰が絡みません。その後、痰が絡み始めます。ひどくなるとゼーゼーという息をする場合もあります。
気づかないこともある?
人によっては、感染に気づかない場合もあります。
症状には、個人差があります。軽度の症状で気がつかないで自然におさまる人もいるでしょう。
自然治癒する?
マイコプラズマ感染症は、自然に治癒することがあります。その場合は、7日程度かかります。
しかし、体力のない小さな子どもは、咳が続くと体力を奪われます。また、肺炎を発症する場合もあります。小さな子どもの場合は苦しそうな症状に気がついたら、早急に病院を受診しましょう。
小児科を探す
子どものマイコプラズマ肺炎の「対処法」
マイコプラズマ肺炎の代表的な症状「熱」と「咳」の自宅ケアの方法を知っておきましょう。
熱が下がらないときの対処
体を無理に冷やさず、暖かくして安静にしましょう。
38度以上になった場合は、早めに病院を受診しましょう。
【医師監修】夜になると子どもの熱が上がる&咳もでる!対処法は?
2020-01-31
続きを読む
咳がとまらないときの対処法
喉の乾燥をさけるために、部屋を加湿したりマスクをつける等の対処をしましょう。
通常の咳止めではなく、病院から処方された抗菌薬を服用してください。食べ物は刺激物をさけて、おじややうどんなど消化にいいものを与えましょう。
どうやってうつる?
マイコプラズマは、症状がでる前から治まった後まで感染に注意が必要です。
感染経路
マイコプラズマに感染している人の唾液、鼻水が飛んで口、鼻から感染します。咳やくしゃみ、痰でもうつります。
感染期間
初期症状が出る1週間ほど前から菌の排出が始まります。急性期の症状が出ているときに最も感染力が高いです。
その後4〜6週間程度も菌が排出され続ける場合もあります。
感染の予防
マイコプラズマの感染者が出た場合は、予防のためにマスクを着用してください。
マイコプラズマは、口や鼻粘膜から感染します。この部分をマスクで覆い守りましょう。また、手についたマイコプラズマが口や鼻に触れれば感染します。手洗いをこまめに行いましょう。特に食事前には、念入りに洗ってください。
一度感染してもまたかかることはありますか?
マイコプラズマ感染は再発します。
一度感染してもまた感染します。感染者がでた報告があった場合は、マスクを着用しましょう。
感染しやすい年代
5歳から14歳くらいまでの感染者が多いとされています。大人は重症化に注意です。
学校や幼稚園で集団感染することもあります。1歳以下の発症は、少ない傾向があります。
幼児・児童がかかりやすい一方、重症化するのは、大人に多く見られます。風邪と間違いやすい症状ですが、息苦しい、ゼーゼーという息の仕方、咳が辛いという場合は、マイコプラズマ感染を疑い、早めに受診しましょう。
病院受診のタイミング
熱が38度を超え、2日以上熱が下がらない。
呼吸困難
息切れ
これらの症状がある場合は、肺炎を疑い病院を受診してください。
急激に症状が進行すると、歩行困難、意識障害などを引き起こすことがあります。早めに受診して、適切な治療を受けましょう。
小児科を探す
検査の方法
迅速検査は喉を拭うだけの簡単な検査です。15分程度で結果が出ます。
治療方法・薬
一般的には抗菌薬を使い治療が行われます。
マイコプラズマは、一般的な細菌とは異なる形をしているため、一部の抗菌薬には治療の効力がありません。
マイコプラズマの治療に使用されるのは、主にマクロライド系の抗菌薬となります。
しかし、マクロライド系の抗菌薬も、効かない耐性菌が報告されています。
マクロライド系の抗菌薬で症状がよくならない場合は、テトラサイクリン系やニューキノロン系の抗菌薬を使用します。
保育園・学校へはいつからOK?
保育園や幼稚園・学校は、いつから登園・登校可能でしょうか?
保育園・幼稚園の場合
抗生剤を投与後24〜48時間過ぎ、熱も下がれば登園してもいいといわれています。
小学校・中学校・高校の場合
咳と熱がおさまり、体が元気になってから登校しましょう。
▼参照
マイコプラズマ肺炎とは - 国立感染症研究所