「爪に縦線があるのは、肝臓病のサイン?」
“爪の状態と肝臓の関係”をお医者さんに聞きました。
倦怠感や食欲低下などの症状がある方は、要注意です。
肝臓病の原因や、受診すべき診療科も併せて解説します。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
爪の縦線って肝臓と関係あるの?
爪の縦線は、肝臓病が原因で現れる可能性もあります。
肝機能が低下し、体内のタンパク質の供給がうまく行われなくなると、爪の状態が悪化しやすくなります。
ただし、爪の縦線には加齢・乾燥といった生理的な原因もよくあるため、これだけで肝臓病か否かを判断することはできません。
肝臓が原因か、どう判断する?
肝臓が悪い場合、爪が暗く変色するケースもあります。
また、爪だけでなく「爪の他にも、体に不調が出ていないか」という点にも注意してください。
この症状が出たら、「肝臓病」の可能性大
- 体のだるさ
- 食欲低下
- 吐き気
- むくみ
- 皮膚や目が黄色くなる(黄疸)
- 腹部の膨張
こんな人は肝臓病に注意!
- 日頃からお酒をたくさん飲む
- 脂っこい食事ばかり食べる
- 食べ過ぎや運動不足による肥満
といった人は、肝臓病のリスクが高いです。
上記の行動は脂肪肝の原因となり、肝臓の炎症を引き起こしやすくなります。
心当たりがある場合は、一度医療機関で検査することをおすすめします。
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2023-02-28
脂肪肝ってどんな状態?
自覚症状はある?
脂肪肝について、分かりやすくまとめました。
脂肪肝の人に「おすすめの食べ物」や「控えた方が良い食べ物」もご紹介するので、肝臓の数値に不安がある人は必読です。
脂肪肝とは
脂肪肝とは、肝臓に脂肪が多く蓄積されている状態のことをいいます。
肝臓には、肝細胞の中に脂肪を蓄えて、エネルギー源として利用する機能があります。
しかし、脂肪の量が多くなりすぎると、脂肪が消費しきれずどんどん蓄積されて、脂肪肝になります。
検査でどれくらいの数値が出ると脂肪肝?
ASTとALTは、人間ドック学会の基準によると、30IU/L以下が基準値で、
31~50 IU/L → 「要注意」
51 IU/L以上 → 「脂肪肝の可能性大」
100 IU/L以上 → 「肝炎の疑いあり」
と考えられています。
脂肪肝の症状
脂肪肝はほとんど自覚症状がありません。
人によっては、
疲れやすい
全身の倦怠感がある
お腹が張った感じがする
といった症状が現れるケースもあります。
脂肪肝の原因
文字通り、脂肪を多く含む食事の食べ過ぎが主な原因です。
欧米型の高脂肪な食事が増えてきたことで、脂肪肝の発症率も上昇しています。
その他、
暴飲暴食
過度の飲酒
運動不足
肥満
無理なダイエット
などの原因が挙げられます。
脂肪肝になりやすい人の特徴
肥満傾向
糖尿病・高血圧・脂質異常症を患っている
つい食べ過ぎてしまう
運動不足
お酒をよく飲む
脂肪肝の改善にいい食べ物は?
脂肪肝を改善するには、栄養価が高く低エネルギーな「野菜」「キノコ類」「海藻類」を積極的に食べましょう。
肝臓で栄養を代謝するとき、ビタミンやミネラルが必要となります。
野菜・キノコ類・海藻類には、これらの栄養素が豊富に含まれています。
脂肪肝の人が食べてはいけないものは?
脂肪肝になったからといって、食べてはいけないものはありません。
ただし、
糖質を多く含むもの(ごはん・ジュース・お菓子・果物)
脂質を多く含むもの(揚げ物・お肉)
お酒
はできるだけ控えましょう。
▼摂取量の目安
糖質を多く含むもの
ごはんは1食につきお茶碗1杯程度
(ごはんなどの穀類に含まれる糖質は、肝臓への影響が比較的少ない)
間食は1日200kcalまで
脂身を多く含むもの
週に1〜2回程度まで
お酒
できるだけ禁酒する
我慢できないときは、成人男性の場合、1日に純アルコール20g程度※までとしましょう。女性はさらに少ない量にしましょう。
週2日は休肝日を設けてください。
※1日に純アルコール20g程度の例
ビール・発泡酒:ロング缶1本
酎ハイ:350ml缶1本
日本酒:1合
ウイスキー:シングル2杯
ワイングラス:2杯弱
早く治すために!食事以外で心がける2つのポイント
肝機能の低下が気になるときは、
1日6~7時間の質のよい睡眠をとる
1日30分程度の有酸素運動をする
といった生活習慣を意識しましょう。
肝臓の負担を減らすには、十分な睡眠時間を確保することが大切です。
運動により消費エネルギー量が増加すると、脂肪肝の予防につながります。
脂肪肝を放置するとどうなる?
脂肪肝が悪化すると、「肝炎」や「肝硬変」を引き起こすリスクがあります。
また、肝硬変から肝がんに進行すると命に関わります。
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれており、無症状で病気が進行することが多く、放置は危険です。
脂肪肝を疑う場合は、早めにお近くの内科・消化器内科を受診しましょう。
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肝臓病にはどんなものがあるの?
肝臓病には
- 急性肝炎
- 慢性肝炎
などの病気があります。
病気① 急性肝炎
肝炎ウイルスや自己免疫性、薬物などの影響によって、肝機能が急激に低下する病気です。
肝炎ウイルスは、
に潜んでいることがあり、加熱不十分な食事を食べた場合は要注意です。
病気② 慢性肝炎
肝臓の炎症が6カ月以上持続している状態を言います。
原因には、ウイルス性疾患、脂肪肝などが挙げられます。
慢性肝炎の場合、ある程度進行しないと症状を自覚しにくいです。
「脂肪肝」ってなに?
肝臓に脂肪が溜まり過ぎている状態です。
肝臓にダメージが加わるため、炎症を引き起こしやすくなります。
脂肪肝の原因には、乱れた食生活や運動不足などが挙げられます。
肝臓の異変は…「早期受診」が大事!
肝臓病は発見が早ければ早いほど、進行を食い止めやすくなります。
初期段階であれば、治療も比較的楽に進めることができ、日常生活への負担も抑えられます。
病院は何科?
爪の縦線で肝臓病を疑う場合は、まず内科を受診しましょう。
ただし、肝臓病の症状が強く出ている場合は、消化器内科を受診してください。
医療機関では血液検査、超音波検査、CT検査、MRI検査などによって、肝臓の状態を調べられます。
爪の縦線で肝臓病を疑う場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
肝臓病が悪化すると、肝硬変、肝臓がんを発症するリスクが高くなります。
いずれも命に関わる病気であるため、早めの受診が大切です。
<肝硬変>
度重なるダメージによって、肝臓が硬く小さくなっている状態。
肝機能が大きく低下するため、他の臓器にも悪影響を与えてしまう。
重い合併症を引き起こすケースがあり、肝臓がんを発症するリスクも上昇する。
<肝臓がん>
肝臓に悪性の腫瘍が発生している状態。
病気が進行すると死にいたる。
治療の際には、手術による肝臓摘出などが行われる。
▼肝臓病の疑いアリ
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▼肝臓病の症状が強く出ている
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。