爪に膿がたまった…!
それはもしかすると、化膿性爪囲炎かもしれません。
原因や対処法、市販薬の選び方など
化膿性爪囲炎についてお医者さんにおうかがいしました。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
なにこれ?爪に膿が…!
爪のまわりや、爪の中に膿がたまっています。これは何でしょうか…?
傷から細菌などに感染した、化膿性爪囲炎(かのうせいそういえん)と考えられます。
爪の周りにささくれなどの傷ができると、その傷から黄色ブドウ球菌やレンサ球菌が入り、爪囲炎(爪周囲炎)を起こします。
爪囲炎は、数時間から数日かけて爪の周りの痛み、赤みや腫れを起こします。炎症が進行すると、爪のまわりに膿が溜まって黄色くなり、ズキズキとした痛みも生じるようになります。
爪の根もとに向かって化膿が進み、爪の下に膿がたまるケースもあります。
症状が悪化すると…
感染が指の腹側までおよぶと、ひょう疽(瘭疽)が起こります。指の深い部分にまで感染が進むと、感染性の屈筋腱腱鞘滑膜炎、骨髄炎を起こすことがあります。
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2021-07-05
「爪を押すと痛い…」
「化膿しているかも…」
痛みの原因と対処法を、お医者さんに聞きました。
医師が病院は何科に行けばいい?放置するとどうなるの?といった疑問にもお答えします。
爪を押すと痛いとき、病院は何科に行けばいい?
爪を押すと痛みがある場合、まずは皮膚科・整形外科・形成外科を受診しましょう。
爪・爪の中・爪周りの皮膚の異常がある
→皮膚科を受診しましょう。
爪の違和感の他に、骨・指に腫れている、ぶつけた・打ち付けたなど心あたりがある
→整形外科・形成外科を受診してください。
爪に圧痛がある場合、医療機関で爪に溜まっている血液や膿みを除去することで痛みはなくなります。
ご自身で除去しようとすると、細菌が入りさらに悪化する可能性があります。血液が溜まっている場合、血が固まると痛みが続くだけではなく、爪が変形する可能性もあるので早めに治療を受けましょう。
▼爪・爪の中・爪周りの皮膚の異常がある場合
皮膚科を探す
▼爪の違和感の他に、骨・指に腫れている、ぶつけた・打ち付けたなど心あたりがある場合
整形外科を探す
形成外科を探す
爪を押すと痛い4つの原因
爪を押すと痛いのは
爪周囲炎
陥入爪(かんにゅうそう)
爪下出血
グロムス腫瘍
が原因となっているケースが多いです。
原因① 爪周囲炎
爪の周りの皮膚が細菌感染を起こし、炎症を発症しているから痛みます。
どの爪も発症する可能性はありますが、人差し指や親指などが多いです。
ささくれをむくことで、細菌が入る場合があります。
仕事や家事で水仕事が多い人
紙を触る仕事をしている人
乾燥している人
は発症しやすいといえます。
症状の特徴
爪周りの皮膚に赤み・炎症・腫れが起こる
膿むと黄色っぽくなる
膿むと痛みが強く、皿洗いや入浴で痛む
膿むと汁(浸出液)や膿が出る
どうやって治すの?
軽い症状であれば、軟膏などを塗り、水仕事などを避けていれば数日で快方に向かうでしょう。
3~4日ケアをしてもよくならない場合や膿んでいる場合は、皮膚科や整形外科など医療機関で相談しましょう。膿んでいる場合は、医療機関で切開して膿を出すと早く快方に向かいます。
原因② 陥入爪(かんにゅうそう)
爪の角が指の皮膚に食い込んでいるため痛みます。
深爪をしてしまう人、爪を噛む癖のある人などに発症しやすいです。
親御さんが爪を切りすぎてしまう子ども
仕事柄しっかり爪を切る必要がある人(料理人、工事などに関わる仕事)
爪を噛む人
は注意が必要です。
症状の特徴
爪周りの皮膚が赤くなる
爪周りの皮膚が炎症を起こす
爪周りの皮膚から出血がある
爪周りの皮膚が腫れる
膿が出る
どうやって治すの?
軽度であれば、何をしなくても1週間ほどで炎症や腫れは治まります。
深爪ぎみの人は切らず、白いのびた部分の長さが約0.5~1mm残るくらいにしましょう。
出血している、膿んでいるという場合は、早めに皮膚科で治療を受けましょう。
医療機関では食い込んでいる部分を除去して、根本に薬を塗り、爪が生えなくなるようにする(フェノール法)などの治療を行います。
原因③ 爪下出血
ぶつけるなど衝撃が原因で、爪の下が出血し、血が溜まっている状態です。衝撃を受けたため、痛みが生じます。手の指でも、足の指でも発症します。
ぶつけた・重い物が落ちたなど衝撃が原因となることが多いです。
また、爪が剥がれる方向に力がかかった場合も発症します。
武道や体操など足を踏まれやすい運動をしている人に多いです
症状の特徴
爪の下が赤黒く見える
爪の下が少し盛り上がる
痛みが出る
出血する
どうやって治すの?
数日様子を見ても、痛みが持続する場合は形成外科や皮膚科で相談しましょう。
原因④ グロムス腫瘍
グロムスという血流を調整している組織から、良性の腫瘍が発生する病気です。
腫瘍に圧迫されることで痛みが生じます。手の指でも、足の指でも爪の下に発症します。
症状の特徴
爪に物が触れると激しい痛みが生じる
冷水に触れるなど、冷たい状態になると痛みが強くなる
爪に青みがかった部位がある
どうやって治すの?
数日様子を見ても、痛みが持続する場合は形成外科や皮膚科で相談しましょう。
医療機関では手術で摘出する治療を行います。手術を行っても再発することがあります。
▼爪・爪の中・爪周りの皮膚の異常がある場合
皮膚科を探す
▼爪の違和感の他に、骨・指に腫れている、ぶつけた・打ち付けたなど心あたりがある場合
整形外科を探す
形成外科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
公益社団法人日本整形外科学会 爪周囲炎
化膿性爪囲炎になってしまう原因
- ささくれ
- 深爪
- 爪のまわりの皮膚の傷
- 陥入爪(巻き爪)
- 爪上皮(甘皮)の消失
- 指や爪を噛むくせ
- 水や洗剤などの慢性的な刺激による肌荒れ
間違いやすい別の病気に注意!
有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん)や壊疽性膿皮症(えそせいのうひしょう)などの皮膚疾患は、爪囲炎に似た症状を引き起こすことがあります。
有棘細胞癌:比較的大きく、ふぞろいな形の皮膚の盛り上がり(紅色)ができ、皮膚の表面にびらん※や潰瘍があります。出血しやすく、つまむとしこりのようなものに触れます。
※びらん:皮膚などの表面がただれて欠損すること。
壊疽性膿皮症:吹き出物や虫刺されに似た赤い皮膚の盛り上がりや水疱ができ、それらが破れると、びらんや潰瘍になって急速に広がります。強い痛みがあります。いくつかのびらんや潰瘍が合わさって、より大きなものになることもあります。
化膿性爪囲炎の対処法
指先を清潔に保ち、爪先の保湿をしましょう。
保湿には、白色ワセリン、ヘパリン類似物質、尿素配合保湿剤などの保湿剤を使用してください。
深爪が原因の場合は、爪を短く切りすぎないようにしてください。爪のはしを四角くなるように切ると、爪が食い込みにくくなります。また、爪切りは清潔なものを使用してください。
爪や指をかむ癖がある場合は、直してください。水仕事は、ゴム手袋を使用しましょう。
市販薬は何を使えばいい?
爪に膿ができたときは、テラマイシン軟膏を使いましょう。
テラマイシン軟膏には、オキシテトラサイクリン塩酸塩、ポリミキシンB硫酸塩などの抗菌成分が含まれています。
使用方法
使用方法は、1日1~数回、炎症を起こしている部分に適量を塗る、もしくはガーゼなどにのばして貼りつけます。
使用するときの注意点
製品の含有成分や構成物質にアレルギー反応を起こしたことがある、傷が深い場合は使用できません。
病気の治療中、薬によるアレルギーを起こしたことがある、炎症が広範囲という場合は、使用する前に、医師や薬剤師に確認してください。
発疹・発赤やかゆみなどがあらわれたら、副作用の可能性があります。すぐに使用をやめて、医師や薬剤師に相談してください。
また、5~6日使用しても症状が改善されない場合も、医師や薬剤師に相談しましょう。自己判断での長期使用はやめましょう。
こんな状態は病院へ!
次のような場合は病院を受診してください。
- 市販薬を5~6日使用しても改善しない
- 炎症が広範囲にわたっている
- 痛みが強く生活に支障をきたしている
感染がひろがっている、感染性の屈筋腱腱鞘滑膜炎を起こしているなどの可能性があります。また、爪囲炎に似た症状を引き起こす他の病気の可能性も考えられます。
炎症があまりにもひどいときは、爪を抜く処置が必要になることがあります。早期に受診してください。
また、基礎疾患がある方は、爪だけでなく、全身に感染が広がることがあります。特に糖尿病で足えそや末梢循環障害がある方は、爪の処置を間違えると難治性潰瘍になり、最悪の場合、切断する可能性もあるので、注意が必要です。
病院は何科?
皮膚科や形成外科、整形外科を受診しましょう。
皮膚科を探す
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2021-07-05
「傷口がジュクジュクして痛い…」
「化膿した傷口に市販薬を塗ってもいい?」
膿んでしまった傷口の“正しい対処法”をお医者さんに聞きました。
病院に行くべき?受診するのは何科?などの疑問にもお答えします。
化膿したら…病院いくべき?
「傷跡を残したくないとき」は医療機関での治療を優先しましょう。
傷が化膿すると“傷跡”が残りやすいです。
傷跡を残したくない場合は、皮膚科または形成外科を受診することをおすすめします。
また、傷の状態が
痛みがある
かぶれる
炎症が広がっている
腫れる
傷口周辺がしびれる
市販薬を1週間程度塗っても、良くならない
発熱する
という場合も、医療機関で治療を受けましょう。
皮膚科を探す
傷が化膿したら、どう対処する?
軽度の化膿であれば、石鹸で洗浄してください。
洗浄後、抗生物質が配合された市販薬を塗りましょう。
\注意/
消毒液を使うより、石鹸と水道水で洗う方が清潔です。
消毒液は細菌だけではなく、体から出る傷を治す成分(浸出液)も破壊してしまう可能性があります。
絆創膏を貼ったほうがいい?
絆創膏を貼った方がよい
軽い傷で、化膿していない
軽度のやけど
自己判断で貼らない
化膿している(傷口が細菌に感染し、赤み痛みとともに膿が出ている)
ひどい出血がある
傷口が熱をもっている
傷口が腫れている
傷口をきれいに治すためには、傷口を乾燥させないようにします。
浅い傷で化膿していない場合は、傷口をきれいに洗浄した後、密閉タイプ(湿潤療法)の絆創膏を貼りましょう。
化膿している・出血・熱や腫れがある場合、湿潤療法は適さず傷を悪化させる恐れがあります。医師の判断に委ねましょう。
化膿した傷はどれくらいで治る?
個人差はありますが、医療機関での治療後、安静にしていれば通常は4、5日ほどで良くなっていきます。
お風呂に入ってもいい?
医療機関での治療後、こすったり皮膚を刺激したりしなければ入浴可能です。
石鹸を泡立てて、きれいに洗い流してください。
入浴後に医師の指示に従って、薬を塗りましょう。
こすったり、刺激したりすると、炎症が広がって治りが遅くなります。
ただし、発熱など全身状態が悪いときは、入浴を控えましょう。
傷跡は残る?
化膿した傷は、跡が残ってしまうのでしょうか?
皮膚の治療が間に合えば、傷跡が残らないこともあります。
傷跡を残さないためには、
傷口が乾かないようにする
早めに医療機関で治療を受ける
ようにしましょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
一般社団法人日本形成外科学会 外相とは、その種類