「肥満が原因でいびきが出ることってあるの…?」
「どのように対処したらよい…?」
肥満が原因で、いびきがでるケースはあるのかお医者さんに聞いてみました。
いびき対策や改善方法なども解説します。
耳鼻いんこう科を受診するべき目安についてもチェックしましょう。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
肥満が原因でいびきがでるって本当?
家族にいびきをしていると言われました…太り気味なのですが、もしかしていびきの原因は肥満が関係しているのでしょうか?
はい、肥満が原因でいびきがでるケースはあります。
首周りに脂肪がつくと、上気道(空気の通り道)が狭くなり、いびきが起こりやすくなります。
また舌の周りに脂肪がついていると、舌根部分がのどの奥を塞ぎやすくなり、いびきの原因になる場合があります。
BMI値が30以上の場合、肥満が原因のいびきが出やすいと考えられています。
肥満型のいびきの特徴
肥満型のいびきには、
- 仰向けで寝るといびきがでやすい
- 狭い気道を空気が通っていく様な音のいびきがでる
- いびきが止まったり出たりを繰り返す
といった特徴があります。
肥満型いびきチェック:軽度
軽度の肥満型いびきの場合、
- 肥満(BMI値が25以上)
- 仰向けで寝ているときにいびきがでる
- 大きな音のいびきがでる
- 無呼吸(睡眠中に息が苦しくなる)(睡眠時1時間あたり5回程度)
- 口を開けて寝ている(口呼吸)
- 睡眠の質の低下による疲労過多や集中力低下
のような特徴があります。
肥満型いびきチェック:中等度~重度
中等度~重度の肥満型いびきは、
- 肥満(BMI値が35以上)
- 睡眠中に息が苦しくなる
- 睡眠途中で呼吸が止まる(睡眠時無呼吸)(睡眠時1時間あたり15~30回以上)
- 大きないびきの後、急にいびきが止まりまた数秒後にいびきが出る
- 十分な睡眠時間を確保しても熟睡した感じがしない
- 起床時の頭痛(頭重感)
- 日中の強い眠気
- 夜間頻尿
のような特徴があります。
中等度から重度の肥満いびきの自覚がある場合、病院を受診しましょう。
そのうえで、肥満であれば減量をするなど、ご自身でできることを行いましょう。
「自分でできる」いびき対策
肥満が原因のいびきには、
- 減量する
- 横向きで寝る
- MFTエクササイズ
といったことを行うとよいでしょう。
その① 減量
まずは体重の5%減量を目標にしてください。
体重が80キロであれば、まずは4キロの減量を目指してみましょう。
▼食事は何に気を付ければいい?
1日3食、栄養バランスのよい食事をしっかり摂るようにしてください。食事を抜くと、代謝が落ちてかえって痩せにくくなります。欠食はしないようにしましょう。
また、食事はよく噛んでゆっくり食べてください。
反対に、早食い・就寝前の食事・間食・アルコール摂取は控えましょう。
▼運動はどれくらいやればいい?
ウォーキング、ストレッチ、水泳、ジョギング等の運動を毎日行うようにしてください。
1回30~60分程度を目安に行いましょう。
その② 横向きで寝る
仰向けではなく、横向きで寝るようにしてください。
寝返りが多く横向きで寝ることが難しい場合は、抱き枕を抱えながら眠るとよいでしょう。
横を向いて寝ると舌根部分が沈むことの予防になり、気道が確保されるため、いびきの緩和につながると考えられています。
その③ MFTエクササイズ(口腔筋機能療法)
MFTエクササイズとは、舌や唇、頬などの口周りの筋肉を鍛えることで正しい機能を取り戻させる療法です。
口周りや舌のエクササイズにより、唇や舌の筋肉のバランスを調整し、舌の位置や働きを改善することで、口呼吸が改善されいびき改善にもつながります。
鼻呼吸の練習
- 右小鼻を押さえ左鼻から息を吸います
- 左小鼻を押さえ右鼻から息を出します
- ①②の動作を5回ほど繰り返します
- 逆も同じように5回ほど繰り返します
舌を動かす練習
- 口を開けて舌をまっすぐ前に出し10秒間キープします(舌が唇に触れない)
- 舌先端を右口角につけた状態で10秒間キープします
- 次は左口角につけた状態で10秒間キープします
- ①~③を1クールとし10回ほど繰り返します
舌を上顎の天井につける練習
- 舌先端を上顎の前歯後方の歯茎につけてそのまま舌を持ち上げて上顎に密着させます
- ポンと音をたてて離します
- ①②を10回ほど繰り返します
舌を上顎の天井につけながら唾を飲む練習
- 舌先端を上顎の前歯後方の歯茎につけたまま口を閉じます
- 30秒で唾液を溜めます
- 舌を上顎につけたまま奥歯を軽く噛み合わせ唾液を飲み込みます
- ①~③を10回ほど繰り返します
口周りの筋肉ストレッチ
- 右頬に空気を溜めて頬を膨らませて5秒間キープします
- 左側も同じように行います
- 上唇と歯の間に空気を溜めて膨らませて5秒間キープします
- 下唇も同じように行います
- ①~④を10回ほど繰り返します
こんないびきは病院へ相談を!
- 家族から指摘されるほど大きいいびきが続く
- 無呼吸発作を起こしている
- 寝ているとき呼吸が苦しくなる
- 日中に眠気がある
- 起床時に頭痛が起こる
といった症状が出現している場合は病院を受診してください。
肥満によるいびきを放置した場合、
- 睡眠時無呼吸症候群の発症や悪化
- 心拍数増加による血圧上昇(高血圧)
- 血管収縮が起き、さらなる血圧上昇を招く
- 糖尿病を引き起こす場合がある
- 心疾患(狭心症、心筋梗塞等)や脳疾患(脳梗塞等)を発症する
といったリスクが生じる可能性があります。
早めに医療機関を受診しましょう。
病院は何科?
極度肥満。睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、呼吸器内科(特にいびき外来・無呼吸外来など)の受診をおすすめします。
鼻炎等を伴う場合(咽頭にも問題があると考えられる場合)は、耳鼻いんこう科を受診してください。
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