足だけが冷えてしまうのは病気なの…?
足の冷えの原因を、お医者さんに詳しく解説してもらいました。
改善するための食事や運動、病気の可能性をご紹介します。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
なぜ?「足だけ」が冷える原因は…
血行不良や自律神経の乱れなどが原因だと考えられます。
足先まで血液が行き渡りにくくなっている状態です。
足が冷たすぎて眠れない…どう対処する?
眠れないほど足が冷えているときは、ストレッチがおすすめです。
心臓へ戻る血液の流れを活発にすることで、冷えの改善が期待できます。
ストレッチ方法
- 仰向けになり、足をゆっくり真上に上げます
- 上半身はリラックスさせたまま、足の指をグーパーグーパ―と閉じたり開いたりします。
パーの状態のときは、指を離すように広げましょう。
病院に行く目安
- 足だけの冷えが2週間程度続く
- しばらく歩いた後、おしりや足が痛い(間欠性跛行)
これらの症状が現れる場合は、一度病院に行きましょう。
受診するのは何科?
循環器内科や心臓血管外科を受診しましょう。
循環器内科を探す
ひどい冷えは“病気のサイン”かも
足の冷えは、単なる冷え症ではなく、
など病気が潜んでいるケースもあります。
病気① バージャー病
足の動脈が詰まることで血の流れが悪くなり、足が冷えることがあります。
喫煙習慣のある30歳代~40歳代の男性に多い病気です。
今のところ原因ははっきりとわかっていませんが、手足の末梢血管が炎症(血管炎)を起こしているためと考えられています。
主な症状
- 足の指が冷える・痺れる・青白くなる
- しばらく歩いた後に、おしり・太もも・ふくらはぎが痛くなる(間欠性跛行)
- 安静にしていても、激しい痛みがある(安静時疼痛)
- 静脈に沿って赤い、痛みがある(遊走性静脈炎)
行うべき対処は?
上のような症状が現れている場合は、病院での治療が必要になります。
自己判断で対処せずに、一度病院に行きましょう。
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病気② 末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)
腹部から両足に伸びる動脈が狭くなったり詰まったりすることで、血の流れが悪くなり、足が冷えることがあります。
60歳以上の男性が発症しやすいと言われています。
動脈硬化が原因と言われており、加齢に伴い発症リスクが上がります。
主な症状
- しばらく歩いた後に、おしり・太もも・ふくらはぎが痛くなる(間欠性跛行)
- 足が痺れる・冷える
- 寝ている時も足が痛い
行うべき対処は?
上のような症状が現れている場合は、病院での治療が必要になります。
自己判断で対処せずに、一度病院に行きましょう。
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ガンコな足の冷えに「おすすめの食べ物」
①ビタミンE
②鉄分
③ビタミンC
を多く含む食品を摂ると良いでしょう。
①ビタミンEを豊富に含む食べ物
ビタミンEは血行促進に繋がります。
②鉄分を豊富に含む食べ物
鉄分不足で貧血の状態だと手足が冷えやすくなります。
鉄分には、動物性食品に多い「ヘム鉄」と、植物性食品に多い「非ヘム鉄」の2種類があり、吸収率の高いヘム鉄がおすすめです。
非ヘム鉄を摂る場合は、吸収を助けるビタミンCや動物性たんぱく質をいっしょに摂ると良いでしょう。
ヘム鉄
非ヘム鉄
- ひじき
- 豆乳
- 生揚げ
- 小松菜
- ほうれん草
- カシューナッツ など
③ビタミンCを豊富に含む食べ物
ビタミンCは、非ヘム鉄の吸収を促します。
- パプリカ
- ブロッコリー
- キウイフルーツ
- イチゴ
- レモン など
こんな食事は控えめに…
冷え性を改善したい場合、
- 冷たい飲み物や食べ物
- 鉄の吸収を妨げる食べ物(シュウ酸・フィチン酸・タンニン・食物繊維・炭酸)
を過剰摂取するのは控えましょう。
シュウ酸:葉菜類の野菜、たけのこ、緑茶、コーヒー、紅茶、ココア、ピーナッツなど
フィチン酸:穀類、豆など
タンニン:コーヒー、赤ワイン、紅茶、緑茶など
食物繊維:キノコ類、いも類、海藻類など
ガンコな足の冷えに「おすすめの運動」
筋肉量を増やすことで基礎代謝が上がり、体を温かく保つことができます。
基礎代謝を上げるためには
- 体幹を強化
- スクワット
- ダンベル運動
- ピラティス
- ウォーキング
などがおすすめです。
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2019-04-02
靴下は、足の通気性を良くしたり、歩くときのクッションになったり、足を保温するための役割がありますよね。
「冬や夜はもこもこの靴下が欠かせない!」という方も多いと思います。
もちろん通常は日中履くものですが、中には冷え性対策として寝るときに履いている方もいるようです。
そこでこの記事では、靴下を履いて寝ることが体へどんな影響を及ぼすのか、医師に詳しく解説していただきました。
靴下を履いて寝るメリット&デメリット!
靴下を履くことで足の表面を温めることはできますが、残念ながら根本的な冷え性の改善にはなりません。
靴下を履いて寝るメリット・デメリットについて下記にまとめてみました。
靴下を履いたまま寝るメリット
寒さから、足の表面が守れます。
素足で寝るよりも、多少乾燥を防ぐ効果が期待できます。
また、保湿クリームを塗って靴下を履けば、より乾燥を防ぐことができます。
靴下を履いたまま寝るデメリット!
締め付けるため血行が悪くなる
足指を自由に動かせなくなり、ますます足先に血液が届きにくくなります。
また、皮膚感覚が麻痺し、脳からの体温を調節する指令が伝わりにくい状態になります。
睡眠時、足からの放熱を邪魔をする
通常は入眠時に、体の中心の温度を下げるために熱を放散しますが、靴下はそれを妨げてしまいます。
睡眠中に足に汗をかきやすくなる
汗が足の皮膚の温度を外へ逃し、ますます足が冷たくなります。
足の不快感の原因となり、質の良い睡眠を妨げます。
なぜ冷えていると眠れないの?
冷えていると眠れない理由
私たちは体の中心の温度(深部温度)を37度前後に維持しようと、血液を集めています。
また、深部温度を下げるため、皮膚表面を通して熱を外へ放散させます。
そして体温が低くなると、眠くなる仕組みがあるのです。代謝活動を減らし、脳の温度を下げることで、眠りに入ります。
しかし、手足を含め体の表面が冷えていると、血管が収縮してうまく深部温度が下がらず、眠りを促すホルモン(セロトニン)分泌の働きに影響を及ぼします。
その結果、眠りにくくなってしまうのです。
冷え性が悪化することもある?
汗をかくことで、冷えている手足からさらに熱を奪い、冷えが悪化することがあります。
冷え性を解消し、良い睡眠をとるには?
睡眠は心と体を休め、細胞を修復し、記憶を整理するのに重要です。
睡眠時間は、ホルモン分泌や成長、疲労回復といった体のメンテナンスの時間であるため、睡眠不足は、免疫システムの衰えや肌荒れ、肥満といった体の不調の原因になります。
睡眠不足が長期間継続すると、常に交感神経が優位になるため、体の緊張が取れず健康にも悪影響を及ぼします。
冷えを解消して良い睡眠をとるための工夫をいくつかご紹介いたします。
入浴時にできること~睡眠の質を高める準備
入浴は寝る1時間前に
お湯の水圧により、血液やリンパの流れが促進されるので、入浴は睡眠の質に影響します。
入浴で上がった体の中心部の温度が下がるのには1時間程度かかるため、睡眠直前ではなく、1時間前に入りましょう。
温めのお湯でリラックス
温めのお湯(38〜40度)に10分程度ゆっくり浸かってリラックスすると、副交感神経が活発になり血流が良くなります。
入浴が無理なら足湯や首を温めるだけでも良いですね。
湯上りは湯冷めしないように
寝るまでに体の表面が冷えてしまうと、入眠時に熱の放散がうまくできなくなります。
布団に入る前や寝るときまでは、靴下や衣類で体の表面を温めておきましょう。
睡眠時~睡眠の質を高める方法
厚着をしない、湯たんぽ・電気毛布・電気あんか等は使わないで寝る
体の表面を温めすぎないようにしましょう。
睡眠中に体温がこもり、熱が放散されにくくなります。
湯たんぽなどを使用する際は、寝る直前まで布団に入れておき、寝る時に取り出すようにしましょう。
足を温めるならレッグウォーマーを
その他、腹巻きで腰周りを温めたり、放熱の邪魔にならないようレッグウォーマーで足首を温めたりするのも良いですね。
布団の中で、手足の指をゆっくり握ったり開いたりして血流を良くすることも体が温まるのでおすすめです。
靴下を履かないと眠れない人におすすめの靴下の選び方
レッグウォーマーやルーズソックスのような、足首を締め付けない靴下を選びましょう。
また、足全体を覆うものではない指が出るもの、通気性のよい5本指ソックスや綿素材のものを選ぶのも良いですね。
まとめ
日頃から対策をしていたのに冷えが改善されず、眠れぬ日々を過ごしていた方もいらっしゃるかと思います。
これまでの入浴時間、靴下の着脱、湯たんぽや、電気毛布などの使用…それらのタイミングや睡眠時の衣類などを少し変えてみてはいかがでしょうか。
また、日中の活動量を増やし、体温を上げることも睡眠時の冷え対策になります。
【参考文献】
第一三共ヘルスケア株式会社→くすりと健康の情報局:手足の冷え(冷え症)の原因
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/11_teashinohie/
テルモ株式会社→テルモ体温研究所 体温から健康に:体温と生活リズム 睡眠と体温
http://www.terumo-taion.jp/health/sleep/01.html
株式会社協和→wotopi:靴下を履いて寝るのはNG!臨床内科専門医に聞く、冷え対策のウソホント
https://wotopi.jp/archives/50180
世界睡眠会議:やってみよう!快眠TIPS ぐっすり眠れる「手足の温め方」お教えします!
https://suiminkaigi.jp/tips/tips-warming
社会保険出版社→良い睡眠で快適生活:なぜ睡眠が必要なの?
http://www.shaho-net.co.jp/suimin/01/index.html