精神科、心療内科、メンタルクリニック、色々あるけどどこに行けば良いの?
それぞれどのような違いがあるのか、お医者さんに聞きました。
「うつ病の治療は精神科?それとも心療内科?」「料金も違う?」
初めての受診で不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
監修者
経歴
浜松医科大学 ・同大学院修了・博士(医学)
埼玉医科大学精神医学教室
石心会狭山病院(現埼玉石心会病院)精神科部長
医療法人弘心会 武蔵の森病院副院長を経て平成23年4月より現職
精神科・心療内科・メンタルクリニックの違い
精神科・心療内科・メンタルクリニックの「同じところ」は、軽度のうつ病や神経症性障害など、心の病を診るところです
「違うところ」は次の通りです。
精神科
精神科の医療機関で、うつ病や統合失調症、双極性障害など「心の病気」を専門に治療するところです。一般的に、入院と外来を受け付けています。
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心療内科
あくまで「内科」で、ストレスが体の症状に出る心身症を専門に診る診療科です。心因性の症状に対する治療を行うところです。
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メンタルクリニック
入院用のベッドがない、もしくは19床以下の、精神科の医療機関を指します。精神科と心療内科、どちらの要素も含むところがあります。通院して治療する方がメインとなります。
受けられる治療はどう違う?
精神科で受けられる治療
主に、症状に対する薬を処方する薬物療法や精神療法を行います。中でも認知行動療法(※1)を受けられることが特徴と言えます。
また、病院によっては精神保健福祉士や公認心理師などと連携して、心のケアを受けられるところもあります。
日常生活が困難な方は入院して治療を受けることもできます。
(※1)認知行動療法…患者さんの物事の考え方や受け取り方に働きかけて、認知・行動パターンを整え、気持ちを楽にする治療法
心療内科で受けられる治療
軽いうつ病や不安症などの精神疾患の場合は、精神科と同様の治療を受けることが可能です。これに加えて一般の内科と同様の設備がある場合には、内視鏡やエコー検査などの内科的な検査や診察も可能なところもあります。
診察の際は喘息や胃潰瘍などの身体の症状を診るため、それらの症状の原因を探るべく、診察や検査が行われます。
メンタルクリニックで受けられる治療
基本的な治療方法は精神科と同じですが、カウンセリングなどの心理療法に力を入れているところ、検査に力を入れているところなど、クリニックによって特徴があります。
漢方医による診療や、認知行動療法を受けられるところもあるので、ホームページを見てみるのもお勧めです。事前に問い合わせると確実でしょう。
どっちに行くべき?
精神疾患とはっきり区別ができるのであれば、精神科病院やメンタルクリニックへの受診をお勧めします。心療内科は、あくまで体に現れた症状をメインに診るところです。
具体的な症状を例に挙げて、受診すべき診療科について解説します。
精神科の受診がおすすめのケース
食事ができないほど重度のうつ病の場合や、死にたい気持ちが強い場合など、一人にしておけないような危険な状態の方には精神科病院をお勧めします。
精神科病院は、うつ病、パニック障害、リストカット、双極性障害など、精神に疾患を持つ方の専門科です。また症状が重度の場合など、入院が必要な時に入院治療を受けることができるのが最大の特徴です。
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心療内科の受診がおすすめのケース
精神科だと抵抗がある方や、軽度のうつ病の方、自律神経失調症、意欲が出ないなど、身体的、精神的な症状に悩んでいるのであれば、心療内科に相談すると良いでしょう。
悩みで身体に症状が出てつらい、症状が悪化しているということであれば、一度心療内科を受診してみてください。
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メンタルクリニックの受診がお勧めのケース
体調が優れない、うつ病なのかな?と精神の不調を感じ始めた時など、メンタルクリニックを受診すると良いでしょう。
メンタルクリニックは、精神科よりも気軽さがある点がメリットです。しかし、入院することができないクリニックが多いため、症状が重度の場合は精神科への受診をお勧めします。
自分で判断できない場合は…
自分では判断ができないので場合は、病院に直接問い合わせて判断を仰ぐこともできます。
また、精神科は心療内科やメンタルクリニックから紹介を受けることもできるので、まずはそちらで相談してみると良いでしょう。
受診のきっかけ
どのような症状で心療内科に行くべきか、きっかけを掴めずにいます…
行くべきか迷っているのであれば、安心するために、一度診察を受けてみることをお勧めします。
「微熱があるのに内科では異常なしと言われた」「体調が悪いのに検査してもわからなかった」など、症状が出ていてつらいのに原因がわからない場合に受診すると、症状や心配なことについて、医師が親身に診察してくれます。
「精神科に行ってはいけない、行ったら最後だ」とうのは本当ですか?心配です…
そんなことは全くありません。
精神科のお薬を処方されると、患者さん自身の判断で薬の服用を止めることができないので、そのようなイメージがあるかもしれません。
もしくは、薬の副作用が強く出る場合もあるため、日常生活への支障が大きいと信じている人がいるのかもしれませんね。
精神的な症状や心身の症状が現れているにも関わらず、受診を躊躇している方が多くいらっしゃいます。ネット上でも様々な情報が錯綜していますが、自分の体の声を聞き、本当に辛い、苦しいと感じている場合は、受診して医師に相談する方が安心できるでしょう。
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2020-12-28
なんだか体調が悪い…。ストレスのせいかも…。
ストレスが限界に達すると、どのような症状があらわれるのでしょうか。
お医者さんの目線から、「心の症状」と「体の症状」、それぞれ解説してもらいました。
ストレスが限界に達した時に出る症状
ストレスが限界に達すると、脳や自律神経の働きに影響が出て「心の症状」と「体の症状」があらわれます。
ストレスの限界サイン「心の症状」
気分が落ち込む
イライラして、怒りっぽくなる
やる気が出ず、集中できない
何に対しても興味が持てない
ストレスの限界サイン「体の症状」
肩こり
頭痛
腹痛、胃痛
胸が苦しい
息苦しい
だるくて体が動かない
食欲不振、または食欲過剰
下痢、便秘
寒気や冷え
涙が止まらなくなる
不眠、または過眠
過度なストレスを受け続けると脳が正常に働かなくなり、気分が落ち込みやすくなります。
さらに、ストレスは内臓など体全体の調子を整える「自律神経」の乱れを引き起こすため、体の不調の原因にもなります。
ストレスが溜まりすぎると起こる「行動の変化」
浪費が激しくなる
ギャンブルが止まらなくなる
アルコール量が増える
喫煙量が増える
ストレスによって心の調子が不安定になると、お酒を飲む量が増えたり、大胆な行動をとったりする方もいます。
「自分らしくない行動が増えた」という場合も、心の状態に注意したほうがよいでしょう。
ストレス限界サインを感じたら、こう対処しよう
質の良い睡眠をとる
好きな物を食べる
気が合う人と会う
などの方法で、ストレスを発散しましょう。
ストレス対処法① 質の良い睡眠をとる
ストレスの解消には、十分な睡眠が大切です。
質の良い睡眠をとれるよう、就寝前には
ゆっくり入浴する
リラックスを設ける
スマホよりも本を読む
の3つの点を心がけましょう。
湯船にゆっくり入浴する
湯船につかって、ゆっくりと温まりましょう。
時間や体力がないときは、熱めのシャワーを首元に数分当ててください。
入浴が終わったら、冷えないように着替え、水分補給をしましょう。
リラックスタイムを設ける
ゆっくりできる場所に腰を掛けて、気持ちを休めましょう。
好きな音楽やテレビを楽しむのもおすすめです。
スマホよりも雑誌や本を読む
就寝直前はスマホではなく、読書が適しています。
インターネットは情報がどんどん入ってくるため、過度な刺激になってしまいます。
眠気を感じたら、電気を消して早めに入眠しましょう。
ストレス対処法② 好きなものを食べる
好きなものを食べると、ストレスが和らぎます。
※ただし、暴飲暴食は控えてください。
食欲がないときは無理せず、食べられるものを食べましょう。
軽く運動すると、食欲が湧きやすくなります。
反対に、カフェインの強いものはしばらく控えてください。
過度のアルコール摂取も、睡眠の質を低下させる原因となるため、注意しましょう。
ストレス対処法③ 気が合う友人と過ごす
悩みを誰かに相談することも、ストレス解消につながります。
こんなときは病院へ!
なかなか寝つけない
就寝中に何度も目が覚める
いつもより寝すぎてしまう
朝だるくて起きられない
といった場合は、早めに病院で相談しましょう。
何科を受診すればいいの?
心療内科・精神科を受診してみましょう。
初診の際は、下記のことを医師に伝えられるように、まとめておくといいですよ。
今までできていたのに、できなくなったこと
特につらいと感じていること
仕事の内容・職場の人間関係
おかしいと感じる体の症状
メモに書いて持っていくのもおすすめです。
心療内科を探す
心が壊れてしまう前に相談しよう
過度のストレスは、うつ病や自律神経失調症を引き起こす恐れがあります。
頑張りすぎは禁物です。
心療内科や精神科に行くとなると、身構えてしまう方も多いかもしれません。
ですが、メンタルの不調で病院にかかることは、内科で風邪を相談することと大きな違いはありません。
一人で抱え込まずに、病院で相談してみましょう。
▼参考
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス うつ病
受診目安
次の症状が直近2週間で毎日、毎晩のように起こるということであれば、専門医に相談することをお勧めします。
当てはまる項目数が多いほどストレスやうつ病の傾向にある可能性があります。
- 気分が重い、泣きたくなる、ふと涙が止まらなくなる
- 食事が美味しいと思えない、食欲不振
- 好きなことなのにやる気が起きない、興味が湧かない
- 不安感が強くて苦しい、動機や息切れをすることがある
- 物事を悪い方へ考えてしまう
- 寝付きが悪い、朝早く目覚めてしまう
- 歯磨きや着替えなどの日常生活動作が億劫に感じる
- 人と会いたくないと思う
- 休んでも疲れが取れない
- 常に倦怠感がある
- 微熱やダルさ、頭痛などの症状が続いており、他の医療機関では異常がないと言われた
- 人との会話や仕事に集中できない
- 日中の強い眠気
- 強い罪悪感や自傷衝動がある
- 死にたい、逃げたいと思ってしまう
精神科を探す
心療内科を探す
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2020-06-11
この症状は、心療内科に行くべき…?
お医者さんに心療内科に行ったほうがいい目安を聞きました。
初診で話す内容や、料金についても解説しますので、ぜひ最後まで読んでください。
心療内科を受診すべき症状目安
「これくらいで受診してもいいの?」と思ったら、その時点で受診をすることをおすすめします。
受診すべきかどうかは、「日常生活に支障をきたしている可能性があるか」を判断のポイントにしましょう。
例えば、「憂鬱で誰にも会いたくない気分で、学校や仕事に行けなくなった…」という場合は受診をしたほうがよいでしょう。
そのまま病院に行かずに病状が進むと、身体も心も動けなくなる状態になることもあり、病院への受診も考えられなくなることもあります。
受診すべき症状例
眠れない日が続いている
寝ても疲れがとれず、倦怠感がある
悩み事のせいで食欲がない、食べても美味しいと感じない
ストレスがきっかけで、2週間以上落ち込んでいる
頭にモヤがかかったように集中力が低下している
心療内科は、ストレスが原因で身体にも症状が出ている状態を治療するところです。
内科を受診しても原因が分からず症状が続いているという場合も、一度心療内科を受診してみるとよいでしょう。
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「私は行ったほうがいい?」症状チェック
最近2週間で、以下の症状があるかどうかをチェックしてみましょう。
1日中、憂鬱な気分が続いている
何をしても楽しく感じない
疲れやすい、やる気が出ない
集中力や注意力が低下している
自分の価値が分からない
周りに迷惑をかけている、と感じる
将来に希望が持てない
自分の体を傷つけたり、自殺を考えたことがある
夜寝付けない、寝ても途中で起きる、寝すぎてしまう
食欲がない、または過食状態である
これらの症状が1~2個以上当てはまる場合、受診をおすすめします。
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心療内科を受診するメリット
心療内科を受診すると、体や心の不調を早く楽にすることが期待できます。
早期受診することで、学校や会社を休まず、生活をしながら治療ができます。
ネットの「心療内科に行ってはいけない」という声
ネット上で、「心療内科に行ってはダメ!行ったら最後だ!」という言葉を見つけて心配です…。
ネットでは、心療内科や精神科を受診することへのネガティブなイメージも多く見受けられるため、心配になる方も多いでしょう。
しかし、症状を放置すると、さらに悪化して、日常生活も送れなくなる可能性があります。
また、薬を服用すると自己判断で薬をやめることができないため、そんなイメージを持つ方もいるかもしれません。(薬の服用を治療途中でやめてはいけないのは、他の病気でも同じです。)
心療内科の医師は、心と体の専門家です。
病院で話したことが、あなたの許可なく外に漏れることもありません。
まずは、自分がどのような状態であるのかを理解するために、受診してみましょう。
知っておきたい!初診の流れ
初めての心療内科で緊張します…。
心療内科も内科も、受診までの流れは同じです。まずは、電話やネットで初診の予約をしましょう。
予約の時点で、大まかな症状を聞かることもあります。いつ頃から、どのような症状があるのかを伝えましょう。
初診時は、以下のようなことを問診票に記入します。
いつ頃から、どんな時に症状が起こるか
今までにその症状に対して、治療を受けたことがあるか
現在、飲んでいる薬があるか
今まで大きな病気にかかったことがあるか
問診票の問いに対して、書きたくないことは無理に書く必要はありません。
医師とのコミュニケーションを通して、伝えたいことがあれば伝えるのが良いでしょう。
初診ではどんなことを話す?
一般的に、医師からは次のような質問を受けることが多いでしょう。
どんな症状が、いつから出ているのか
家族のこと
仕事のこと
生活のこと
食事をとれているか
睡眠をとれているか
希望する治療法
希望しない治療法
こちらも問診票と同様、答えたくないことは無理に答えなくても大丈夫です。
初診料はどれくらい?
保険診療の初診料は3割負担の患者の場合は約2000~4000円です。
検査の内容などで、費用は変わる場合があります。
時間はどのくらいかかるの?
初診にかかる時間は、30分から1時間程度です。
心療内科を探す
治療方法は?
心療内科での治療は、薬物療法や、精神療法を行うことが多いです。
<薬物療法>
抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などの心のお薬と、お通じや腹痛などの症状に対する身体のお薬や身体全体を調整してくれる漢方薬などを使用します。
<精神療法>
精神療法では、認知行動療法を行います。認知療法とは、患者さんの物事の考え方や受け取り方に働きかけて行動をコントロールすることで、気持ちを楽にする治療方法です。
また最近では、上記の治療法以外にも、脳に対するTMS治療(経頭蓋磁気刺激法)※も、薬で効果がない人や薬の副作用が強い人に注目されています。
※外部からの磁気刺激で脳を局所的に活性化させることで、脳の血流を増加させ、低下した機能を改善する治療法
「薬がやめられなくなったら…」と不安な方に
「薬漬けになりたくない」という思いから、心療内科での治療を不安に思う人もいると思います。
薬を使って治療したとしても、症状が良くなれば、徐々に薬の量を減らすこともできます。医師の指導に従って薬の量を減らしていけば、副作用も大きくありません。
また、先述したように、治療法は薬物療法だけではありません。精神療法やTMS治療など様々な治療法がありますので、医師とよく相談して、不安のない治療法を選択するようにしましょう。
参考
厚生労働省 こころの耳:1 うつ病とは
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad001/
MSDマニュアル家庭版:精神障害の治療
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/10-心の健康問題/米国における精神医療の概要/精神障害の治療
沖縄県医師会:心療内科精神科の薬(2012年12月24日掲載)
http://www.okinawa.med.or.jp/old201402/healthtalk/gusui/2012/data/20121224n.html
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター:認知行動療法とは
https://www.ncnp.go.jp/cbt/guidance/about
BESLI CLINIC:問題解決療法・認知行動療法
初めての受診が怖い方へ
精神科や心療内科を受診することに抵抗を持っている方はたくさんいらっしゃると思いますが、精神科や心療内科も、内科などの普通の病院と同じと考えると行きやすくなるかと思われます。
受診を躊躇して踏ん切りがつかない方は、受診が必要かどうかの相談をする窓口として、メールや電話などで専門機関に問い合わせする方法もあります。
病院やクリニックの方でも、リラックスできる室内やプライバシーを守るような診察の流れ、医師や看護師の対応など、安心して受診できるよう工夫をされています。
診察では何を話すの?
どのような症状で困っているのか話すのがベースとなります。ストレスの原因を知るために、職業や仕事の内容、家族・友人など人間関係について聞かれるかもしれませんが、話したくない場合は無理に答える必要はありません。
同伴者(※)がいれば、家族や周りの人から見た症状等について具体的に伝えると良いでしょう。
※患者本人の了承が得られれば、同室で同伴者も診療につきそうことができます。その際は医者から同伴者に聞くこともあります。
初診の持ち物
精神科、心療内科、メンタルクリニックでは、保険診療が受けられます。保険証を忘れないようにしましょう。
お薬を処方する時に、飲み合わせが悪いものがないかチェックするために必要です。
ストレスとなる要因や出来事に関して、前もって簡単なメモにまとめておくと、診察時にうまく説明できなくて伝えられない心配もなく、医師の確認もスムーズにできます。
ネット上などでみることができるセルフチェックの結果を印刷したものを渡しておくと、診察時の情報にもなるので便利です。
お金はいくら必要?
自己負担3割の方で、初診時は約2,500円~3,000円程度です。
薬を処方された場合、診察とは別に薬代が5,000円前後かかります。
検査を行った場合には別途1,000~3,000円かかりますが、検査の種類にもよります。。
2回目以降は1,500円程度です。
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2020-05-21
初めて心療内科に行くけど…実際には何を話すの?
心療内科で初診を受ける際の流れについて、お医者さんに聞きました。
当日準備していくことをはじめ、初診でかかる料金、診断書はもらえるのかどうかも解説します。
心療内科の初診の流れ
初めてで緊張する方もいらっしゃるかと思いますが、基本は一般の内科などと変わりません。
問診→診察という通常の病院受診と同じ流れで行われます。
<治療開始までの流れ(一例)>
電話やウェブで予約
来院、問診表を書く
診察を受ける
必要であれば検査
治療の開始
心療内科の予約のしかた
電話予約が一般的かと思われますが、最近ではウェブ予約ができるところも増えてきています。
時間がなくて電話ができない、電話が苦手という方でも予約することができます。初診は日時が決まっているところが多いため、調べてから行くのがよいでしょう。
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受診前に準備しておいたほうがいいことはある?
次のことが伝えられるように準備しておくと良いでしょう。
今、何に困っているのか
受診に至った経緯
いつから困っているのか
どのようなときに、どのような症状がでるか
思い当たるストレス要因 等
初診で聞かれること
(症状や状態にもよりますが)ストレス要因に関連するような質問をされる可能性があります。
例えば、家族との関係や本人の職業・仕事内容、交友関係や休日の過ごし方、趣味などの話です。あくまで関連のある事柄に対してなので、あまり言いたくないことは言わなくても大丈夫です。
いずれにしても専門家がお話を聞くので、安心して相談してみてください。秘密は守られます。
初診で持っていくもの
心療内科の初診には、次のものを持参すると良いでしょう。
保険証
お薬手帳(あれば)
現状「困っていること」や「医師に相談したいこと」を受診の経緯をスムーズに話せるようにメモを持っていくのもよいでしょう。
初診の費用目安
自己負担3割の方で、初診時は約2,500円~3,000円、2回目以降は1,500円程度です。
薬を処方された場合、診察とは別に薬代が5000円前後かかります。
検査を行った場合には別途1,000~3,000円かかりますが、検査の種類にもよります。
こんなときは、悩まず心療内科に相談してください
「ストレスで胃が痛い」「悩み事があり夜眠れず、不眠気味だ」「ストレスが多く髪が抜ける」「イライラが収まらない」などの症状がある場合は、早めに専門医に相談してみましょう。
心配事や悩み事、ストレスがあり、気持ちや情緒が不安定で「いつもと違う」と感じられているのであれば、受診することをお勧めします。
辛い、苦しい、不安な状態を長く我慢してしまうと、症状がより重いものになる可能性もあります。
早期受診のメリット
早期に治療を始めることで、治療期間が短く済む、正常な状態に戻るのも早くなる、通院の回数や医療費も安く済むというメリットがあります。
ストレスが要因の病気は特に、放置し続けることで症状が悪化してしまうケースが多く、うつ病もそのうちの一つです。
何よりも、軽い症状のうちに治療を受けた方が心身の負担もあまりかからずに済みます。
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はじめての心療内科「よくある質問」
「診断書はもらえるの?」「心療内科に行ってはいけないと言われるのはなぜ?」
心療内科に関するよくある質問にお答えします。
質問1.診断書が欲しいのですが…
休職等の申請に診断書が必要な場合、すぐにもらえるものなのでしょうか?
診断書は本来診断がついて初めて発行されるものです。しかし診断書は医師に申し出れば、比較的速やかに発行されるところも多いです。
休職や職場に提出が必要な書類として、すぐに必要な場面が多いためです。病院によっては別に窓口が設けられている場合もあるため、受診の際に確認すると良いでしょう。
質問2.よく「心療内科に行ってはいけない」と言われるけど…
「行ってはいけない」「行ったら最後」と言われているのは、なぜなのでしょうか?
「行ったら最後」ということはありません。
そう言われるのは、精神科や心療内科のお薬を服用すると、患者さん自身の判断で勝手にやめることができず、飲み続けなければならないことが要因となっている可能性があります。
もしくは、薬の副作用が強くて日常生活により支障が出るなどという想像での発言かもしれません。
また、精神科・心療内科に行って診断を受けた時に、自分が精神病患者なのだと認めてしまうのが怖いと思ったり、周りの目を不安に感じる方もいらっしゃいます。
精神科や心療内科は、重い精神疾患を持つ人が行く場所というネガティブなイメージが少なからずあるというのが背景にあるようです。
つらい時は我慢せずに病院に行った方が良いのでしょうか?
ネット上でも多くの情報が錯綜していますが、自分の体の声を聞き、本当に辛い、苦しいと感じていて、日常生活に支障が出ているのであれば、相談だけでもいいので受診してみてください。
実際に、精神的な症状や心身症が現れているにも関わらず、受診を躊躇している方が多くいらっしゃいます。
しかし、自己判断で市販の漢方薬などの薬を飲み続けていたとしても、根本的な治療にはなりません。その点、専門の医師に相談することで、症状の要因をふまえた治療を受けることができます。
一人で抱え込まずにまずは相談してみましょう。
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参考URL
・心療内科で初診を受ける場合の流れを分かりやすく解説!/ひだまりこころクリニック栄院
https://hidamarikokoro.jp/sakae/blog/心療内科で初診を受ける場合の流れを分かりやす/
・精神科・心療内科の診察料金 | こころみ医学
https://cocoromi-cl.jp/knowledge/other/psychiatry/cost/
・診察にはどれくらいの費用がかかりますか? | 心療内科・精神科
https://namba-minato.com/faq/faq09/
・心療内科に行くべきかどうか迷う。受診すべき兆候とは?/神楽坂こころのクリニック
https://www.kagurazaka-mc.com/colum/psychosomatic-medicine/
精神科・心療内科・メンタルクリニックは予約がお勧め
日々のストレスや悩み事で、体調がすぐれない方、「もしかしてうつ?」とお悩みの方は、無理をせずに病院を受診しましょう。初診の日時が決まっている病院もあるので、インターネットなどで調べてから行くとよいでしょう。
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2023-01-19
メンタル不調を抱える方向けに、社会復帰に役立つ情報を配信する『脱うつリヴァトレCh.』。
今回紹介する動画では、リワークについて、臨床心理士さんがわかりやすく解説しています。
「リワークって具体的にどういうものなの?」
「リワークのメリットやデメリットが知りたい!」
復職を希望されていて、リワークについて詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
※動画による解説は記事末尾から
そもそも、リワークとは?
リワークとは、うつ病などの精神疾患により休職をして療養期間を経た方が、職場復帰のために行うトレーニングのことです。
様々な職場復帰支援プログラムを通じて、病気の再発リスクを軽減しつつ、本格的な職場復帰へとスムーズに移行させるのが狙いです。
リワークは大きく分けて4種類ある!
リワークは大きく分けて4種類あり、それぞれ実施されている機関や対象者の条件が異なります。
医療リワーク
精神科・心療内科などの医療機関で実施されている。
うつ病などで休職している方で、復職の意欲がある方が対象。
職リハリワーク
各県の地域障害者職業センターで「職場復帰支援」の名称で行われている。
センターの職員が、求職者本人と雇用主、主治医をコーディネートして、三者の合意後に実施される。
職場リワーク
企業内で実施される、復職支援のプログラム。
例として、内部に専門部署や医療機関を持つ企業・役所で行われている職場復帰訓練制度などが挙げられる。
民間系リワーク
企業NPOなど民間団体によって行われているプログラム。
うつ病などの精神疾患があり、復職の意欲がある方が対象。復職の意欲がある方なら、失業中でも利用可能。
ここからは、それぞれのリワークの特徴を詳しく解説していきます。メリットやデメリットまで、しっかりチェックしていきましょう。
各リワークの特徴|メリット&デメリットは?【体験談あり】
① 医療リワーク
医療リワークは、精神科・心療内科などの医療機関で行われています。うつ病などの精神疾患で休職している方で、復職の意欲がある方が対象です。
リハビリの意味合いが強く、再休職の予防を最終目標としています。
リワークの期間は本人の体調やプログラムによって異なり、数ヶ月のケースもあれば、1年以上かけて終了するケースもあります。
医療リワークでは、健康保険だけでなく自立支援医療制度※が利用できます。そのため料金の自己負担額は、健康保険の適用で3割、自立支援医療制度を利用すれば1割に抑えることが可能です。
1日あたりにすると、約600円から700円で利用できます。
自律支援医療では、前年度の世帯所得により、1ヶ月あたりの自己負担額の上限が0円から2万円で設定されます。
そのため、上限金額以上の医療費を支払う必要がなくなります。
自立支援医療制度とは…
精神疾患などの治療にかかる医療費の自己負担額を軽減する公的な制度のこと。
▼参考
自立支援医療制度の概要|厚生労働省
医療リワークのメリット
スタッフに専門家が在籍していることが多い
プログラムの一環として治療も含まれている
医療リワークは、専門医・看護師・保健師・臨床心理士など、スタッフに専門家が在籍していることが多く、安心感があります。
また、プログラムの一環として、病状の回復と安定を目的とした治療が含まれていることもメリットです。
専門家に見てもらうことが一番だと思いお医者様の居る医療リワークを選びました。
こちらの精神状態への配慮や、復帰までのスピード調整等、私生活では考えられないほど慎重かつ丁寧に対応いただきました。おかげで再発することなく職場復帰ができました。
(29歳 男性)
知り合いに医療リワークに詳しい人がいて、病院を紹介してもらいました。会話・言語のリハビリも兼ねて、対人コミュニケーションの練習もできて良かったです。また、費用も保険適用で支払いできました。
(32歳 女性)
医療リワークのデメリット
失業中だと利用できない
どこの医療機関でも実施しているわけではない
医療リワークは、復職意欲のある休職中の方が対象です。そのため、失業中は利用できません。
また、限られた医療機関でしか実施されていないので、もともと通院していた病院や主治医の変更が必要となるケースもあります。
強いてデメリットをあげるとすれば、医療機関なので感染症患者さんが運ばれてくることもあり、病気の感染は心配ではありました。
(29歳 男性)
② 職リハリワーク
各県の地域障害者職業センターが、職場復帰支援の名称で実施しています。
センターの職員が求職者本人と雇用主、主治医をコーディネートして、三者の合意後に職業リハビリテーションを実施します。
リワークの期間は、約12週から16週間です。
職リハリワークは、職場への適用に向けて雇用を支援するために行われるので、治療は目的としていません。
職リハリワークのメリット
基本的に費用は無料(一部有料の施設もあり)
事業者に対しても助言や支援を行う
疾患を持つ方の就労・就活のノウハウが豊富
職リハリワークは、無料で利用できるケースが多いです。ただし、施設によって有料の場合もあるので、事前に確認が必要です。
また、休職者本人だけではなく、事業者に対しても助言や支援を行うので、よりスムーズな復職を目指せる可能性が高いです。
障害や疾患がある方の就労や就職に関するノウハウが豊富なので、具体的なアドバイスが受けられるのもメリットです。
会社の産業医の指定で、リワークセンター(公営)を利用しました。
当時、赴任していた三重から名古屋へ週5日、まずは通うことからリズムづくりを開始。同じような休職している方と簡単なプロジェクトをしたりと実際の復職に向けてのリハビリができました。
専任の相談員の方が会社の人事部や産業医との間に入ってくれたので、復職の判断材料を客観的視点で伝えてもらえて助かりました。
(48歳 男性)
職リハリワークのデメリット
公務員は利用不可
利用までに数ヶ月かかる場合がある
スタッフに専門医がいない場合が多い
職リハリワークは雇用保険を財源とした事業なので、公務員は利用できません。
費用は無料で利用希望者が多いため、実際に利用を開始するまでに数ヶ月間待機しなければならないこともあります。
また、治療を目的としたプログラムではないので、スタッフに専門医などがいないケースが多いです。
沢山の人が利用していたので、待ち時間がでたり、混雑していた事が少し大変でした。
(38歳 男性)
③ 職場リワーク
企業内で実施される復職を支援するプログラムを、職場リワークと呼ぶケースがあります。
復職した後、安定した就労を維持できるかどうかを見極めることが目的です。
職場リワークは、企業や役所の内部に医療機関や専門部署がある場合に、職場復帰訓練制度として行われている例があります。
企業内の組織だけでなく、外部組織の従業員援助プログラムのサービスを利用する場合もあります。
職場リワークのメリット
復職時のギャップが少ない
試し出勤など、復帰への段階的な取り組みが可能
職場リワークは企業の中で実施されるので、社内の人との連絡や連携がとりやすいです。そのため、他の施設よりも、復職時にギャップを感じることが少ない可能性が高いです。
また、職場の雰囲気に慣れるための試し出勤など、正式な復職に備えて段階的な行動ができるという点もメリットです。
うつ病の診断を受け、1年ほど休職した際に職場リワークを経験しました。職場では、3ヶ月以上の休職で職場リワークを利用することになっていました。
簡単な事務作業や、1人で完結する仕事を少しずつ振っていただき、徐々に働く事に慣れていくことができました。
職場の上司も親身になって相談に乗ってくださり、安心して働き続けることができました。
(26歳 女性)
職場リワークのデメリット
導入している企業が少ない
他の社員の目が気になる場合がある
職場リワークを実施している企業が少ないので、一部の企業でしか利用できません。
また、企業内で行われるリワークなので、他の社員など周りの目が気になってしまう方もいるでしょう。焦りや不安から体調不良になる可能性がある点も、デメリットの一つと考えられます。
すぐに職場の人と打ち解けることができませんでした。
休職の理由を聞かれたり、休職中何をしていたかを聞かれたりするので、肩身が狭い思いをすることがありました。
(29歳 女性)
④ 民間系リワーク
企業NPOなど民間団体によって実施されているプログラムです。
失業中であっても、復職への意欲があれば利用可能です。
リワークの期間は、人によっても異なりますが、およそ3ヶ月から6ヶ月程度となるケースが多いです。失業中の場合は1年以上かかるケースもあります。
費用は、福祉制度を利用することで、自己負担額を1割に抑えることが可能です。さらに、前年度の世帯所得に応じて、1ヶ月あたりの負担金額の上限が0円から3万7200円までに設定されています。
民間系リワークのメリット
失業中でも利用可能
独自のプログラムを利用できる施設もある
失業中であっても、復職意欲があれば利用できるということは、大きなメリットです。
農作業など独自のプログラムを実施している施設もあり、働き方の視野を広げられる可能性があります。
病気の発症で仕事をやめる必要があり、フリーな状況でも民間系リワークなら利用可能と知ったため選びました。
最初は何をすればよいのかわからず、職場復帰の不安しかありませんでしたが、「同じような人はたくさんいる」とスタッフの方が優しい言葉をたくさんかけてくれたので、不安はなくなりました。
(26歳 男性)
民間系リワークのデメリット
都市部で展開していることが多い
スタッフに専門医がいない場合が多い
民間系リワークの多くは、都市部で実施されています。そのため、地方にお住まいの方の利用は難しい可能性があります。
また、職リハリワークと同様、スタッフに専門医がいないケースが多いです。
職員の方や、施設の管理者の考え方があまり理解できませんでした。
また生活するお金がほとんど無かったので、通所にあたり交通費がきつかったです。
(41歳 女性)
リワーク施設を選ぶ4つのポイント
費用や期間
専門領域のスタッフがいるかどうか
プログラム対象者はどんな症状の人を想定しているのか
主治医とはどのように連携するのか
リワーク施設を選ぶときは、これらの4つを確認するようにしましょう。
主治医や家族と相談しながら、いくつかの施設を見学してみることをおすすめします。
リワークを受ける施設によって、プログラムの内容や専門領域、スタッフの人柄も異なります。
上記の4ポイントをおさえて、「自分の課題に向き合える」と思える施設を探すことが大切です。
経験者に聞く!リワーク施設を選ぶときに大切なこと
リワークを始める前に、体験ができるならば体験をすることをおすすめします。様々なプログラムがあり、リワークのスタイルも場所によって違うと思うので、よく確かめてから正式に始めるのが良いと思います。
(47歳 男性)
最初は踏み出すのが怖いこともあると思いますが、踏み出しさえすればあとはスタッフさんが支えてくださります。
それぞれの施設でプログラムの特徴があると思いますので、自分に合った施設・クラスを選ぶと、無理なくしっかり復帰できると思います。
(37歳 女性)
どのように主治医と連携を取るのかなど、事前にしっかりと質問した方が良いです。
(32歳 女性)
相談によく乗ってくれるし、いろいろな事例を紹介してくれてよかったのですが、自宅から遠く交通費が負担でした。そのため、家から近い施設がいいと思います。
また、大通りに面していないほうが人の目が気になりません。
(55歳 男性)
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※本記事は、チャンネル運営者の許可を得て作成しています。
※本記事に掲載している体験談は、Medicalookが独自に調査したアンケートを元にしています。動画の内容には含まれていません。
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