慢性的に目が充血しているときは、深刻な病気のサインかもしれません。
目が充血しているときに「やってはいけないNG対処」や「病院を受診すべき症状」など、「慢性的な目の充血」について、お医者さんにお聞きしました。
目の充血の3タイプ
① 結膜下出血
結膜の下で、眼の表面の細い血管から出た少量の血液がたまっている状態です。白眼の一部や全体が赤く充血します。視力に影響はありません。
通常は、1~2週間以内に自然と治ります。
症状が長引く場合は、眼科を受診するのがよいでしょう。
合わせて読みたい
2022-09-30
なぜ?同じ場所で結膜下出血を繰り返す…。
早く治す方法ってある?
「結膜下出血が同じ場所で繰り返される理由」を、お医者さんに聞きました。
結膜下出血を引き起こす病気や、症状を悪化させるNG行動についても解説します。
なぜ?“同じ場所”で「結膜下出血」を繰り返す理由
結膜下出血を「同じ場所で繰り返す理由」として、出血した部分がまだ治りきっていないことが考えられます。
「目をこする」「まばたきを繰り返す」「コンタクトレンズのつけ外し」などにより、再び同じ箇所の血管が破れ、出血してしまった可能性があります。
結膜下出血とは?
結膜下出血とは、白目の表面を覆っている「結膜」の下にある細い血管が破れて、出血を起こしている状態です。
白目全体が真っ赤になったり、一部分だけ赤くなったりします。
通常、1~2週間程度で自然に治っていきます。
結膜下出血を引き起こす5つの原因
結膜下出血を繰り返す場合、
結膜弛緩症
ドライアイ
コンタクトレンズの誤った使用法
血液疾患
ストレス過多
などの原因が考えられます。
以下、原因別の主な症状の特徴を解説していきます。
深刻な病気が隠れていることもあるので、当てはまる症状がないかチェックしてみてください。
原因① 結膜弛緩症
結膜弛緩症とは、眼球結膜(白目の表面にある膜)が弛んで血管が曲がってしまっている状態です。
出血が起こりやすいため、結膜下出血を繰り返しやすくなると考えられています。
眼球結膜が弛んでいると、まばたきや視線を移動させる際によく動くようになります。
すると、眼球結膜の毛細血管が引っ張られたり、こすれたりして、結膜下にある血管に傷がついて結膜下出血が起こる場合があります。
こんなことに心当たりはないですか?
涙がよく出る
涙がこぼれる
目に異物感がある(ゴロゴロする・しょぼしょぼする・何か挟まっている感じがする)
白目部分の膜が黒目を覆うように乗り上がっている
上記に当てはまる場合、結膜弛緩症が疑われます。
結膜弛緩症は、「加齢に伴う眼球結膜の弛み」が原因のケースが多いと考えられおり、40歳以上の人に多くみられます。
結膜弛緩症の症状に心当たりがある場合は、「眼科」を受診しましょう。
眼科を探す
原因➁ ドライアイ
ドライアイ(目の乾燥)が原因で、目の表面とまぶたの裏との摩擦が大きくなることにより、結膜下出血を起こす場合があると考えられています。
こんなことに心当たりはないですか?
▼ドライアイにつながる行動
スマホ・パソコンを長時間使用している
コンタクトレンズを長時間使用している
乾燥した環境で過ごしている
▼ドライアイの症状
目の乾き
目の痛み・かゆみ
目やにが増えた
目がゴロゴロする
目の不快感
目が重たく感じる
かすみ目
涙が出やすい
ドライアイは、加齢によって生じやすくなるとも考えられています。
ドライアイが疑われる場合は、「眼科」を受診しましょう。
ドライアイは、眼科を受診して「シルマーテスト」という検査を受けることにより、判定できるケースが多いです。
眼科を探す
原因③ コンタクトレンズの誤った使用法
コンタクトレンズを外す際、眼球結膜(白目の表面にある膜)までつまむように外していると、結膜下にある血管に傷がついてしまい、結膜下出血を起こす場合があります。
こんなことに心当たりはないですか?
コンタクトを常用している
コンタクトのフィッティングが合っていない
目に痛みがある
目がゴロゴロするような異物感がある
上記に心当たりがある場合、コンタクトの誤った使い方によって、結膜下出血を繰り返している可能性があります。
原因④ ストレス過多
過剰なストレスにより自律神経のバランスが乱れると、目の神経や筋肉の緊張状態が続いてしまいます。
すると、目の血流が悪化してしまい、結膜下出血が起こりやすくなる可能性があります。
※ストレスと結膜下出血の関連性は、まだはっきりとは分かっていません。
こんなことに心当たりはないですか?
仕事や家庭で人間関係に悩んでいる
仕事の量が多い
仕事や家事で疲労が溜まっている(休息が足りていない)
睡眠不足が続いている
上記に当てはまる場合、ストレスが溜まってしまっている可能性があります。
ストレスはこまめに発散しよう
過剰なストレスを自覚している場合は、
6~8時間程度の十分な睡眠時間を確保する
腹式呼吸で深呼吸する
一日の中で、好きなことをする時間を設ける
といったことを意識してみましょう。
6~8時間程度の睡眠時間はあくまで目安なので、「朝に疲労感が残っていない」「日中に眠気を感じない」という状態を目指すようにしましょう。
深呼吸は、ストレスを緩和して、自律神経の乱れを改善することが期待できます。
どこでも手軽にできるので、仕事や勉強の合間等、時間があるときに行うようにしてください。
「音楽を聴く」「映画やドラマを観る」など、一日の中で自分の好きなことをする時間を作り、リフレッシュすることも大切です。
原因⑤ 血液疾患(白血病)
白血病などの血液疾患により血液中の「血小板」が減少し、血が止まりにくくなることで、結膜下出血を繰り返す可能性があると考えられています。
白血病などの血液疾患は、子どもから大人まで、幅広い世代で発症する可能性がある疾患です。
また、「放射線治療や化学療法を行っている」「特定のウイルスに感染している」「生まれつきの病気」等が原因の場合もあると考えられています。
こんなことに心当たりはないですか?
数日経っても結膜下の出血が止まらない
全身の倦怠感
動悸・息切れ
発熱
風邪のような症状が続く
鼻血が出やすい
歯肉から出血しやすい
アザができやすい
特に、結膜下出血が起こってから数日経過しているのに、出血が止まらず、逆にどんどん出血量が増加している場合は要注意です。「白血病」等の血液疾患が疑われます。
上記の症状に心当たりがある方は、「内科」で受診しましょう。
内科では、血液検査を行うことで血液の病気にかかっていないか判断できるケースが多いです。
内科を探す
自分で早く治す方法はある?
結膜下出血をセルフケアで早く改善することは難しいです。
「治す」のではなく、「悪化させない」ことを意識するとよいでしょう。
※結膜下出血は、1~2週間程度で症状が落ち着くケースが多いです。
以下の行動は症状を長引かせたり、悪化させたりする恐れがあるため、控えてください。
症状を長引かせる・悪化させる「NG行動」
目をこする・かく
コンタクトレンズを使用する
水道水で目を洗う
点眼薬を頻繁に使用する
お酒を飲む
激しい運動をする
スマホ・PCを長時間使用する
市販の目薬は使用していい?
市販の目薬はおすすめできません。
点眼薬を使用しても症状が改善しないケースが多いと考えられています。
頻繁に点眼薬を使用することで、逆に症状の悪化を招く恐れもあります。
原因をはっきりさせるためにも、一度眼科で受診して、医師の判断を仰いでください。
眼科を探す
早めに医師に相談を!
結膜下出血を繰り返している場合は、早めに病院で診てもらいましょう。目の痛み・かゆみ・目やに等を伴う場合は、ウイルスが原因の角膜炎や結膜炎を発症している可能性があり、人にうつしてしまう恐れがあります。
また、糖尿病・高血圧・動脈硬化等の病気が原因で結膜下出血を繰り返している場合、病院を受診せず放置すると、症状が悪化してしまう恐れがあると考えられます。
早めに「眼科」で受診してください。
病院ではどんな治療をするの?
症状を起こしている原因に合わせて、
血管を強化する内服薬(血管強化剤)
血液を吸収する薬剤(血栓溶解剤)の結膜化への注射
といった治療を行うことがあります。
ただし、結膜下出血は原因不明なケースも多いため、体内に吸収されるまで様子を見ることもあります。
医師に症状を伝えるポイント
いつ頃から結膜下出血を繰り返すようになったか
目に起きている症状(目やにが多い・見え方に問題がある等)
目以外の気になる症状(歯茎からの出血・倦怠感・アザができやすい等)
受診の際は上記の点を医師に伝えてください。
眼科では、眼底検査を行うことにより、「血が止まりにくい病気を発症している可能性がある」と診断されることがあります。
その場合は、他の病院・診療科を紹介してもらい、詳しく検査する流れになるのが一般的です。
眼科を探す
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
参天製薬 結膜下出血とは
朝日新聞デジタル 左右の白目が真っ赤になる結膜下出血、何度も起こり心配
千寿製薬株式会社 目のトラブル
② 結膜充血(※注意)
白眼全体やまぶたの裏が赤く充血します。
充血と同時に目やにも出ます。感染やアレルギー、炎症性疾患、薬剤、乾燥、機械的刺激などにより起こります。
「結膜充血」は、眼科の受診をおすすめします。
③ 毛様充血(※注意)
黒眼の周辺に強い充血があらわれます。
眼の充血以外には眼の痛みや眼のかすみ、吐き毛なども生じることがあります。
「毛様充血」は、眼科の受診をおすすめします。
眼科を探す
目が充血しているときに「やってはいけないこと」
ホットタオルなどで目元を温めると、悪化することがあります。
眼をこする行為も、悪化の原因になりますので、やめましょう。
こんなときは迷わず病院へ!
・充血が続く
・充血以外の症状もでている
という場合には、早めに病院を受診しましょう。
眼科を探す
充血は、どんな病気のサイン?
慢性的な充血がある場合、
- ぶどう膜炎
- アレルギー性結膜炎
- 強膜炎
- 緑内障
といった病気の可能性があります。
「失明」や「命を落とす」可能性がある病気もあります。
それぞれどんな病気なのか、詳しく解説します。
病気①:ぶどう膜炎
充血タイプ:毛様充血(③)
片眼だけにあらわれることもあれば、両眼にあらわれることもあります。
症状経過は、徐々に悪化していく場合・再発と寛解を繰り返す場合の両方があります。
症状の特徴
- 充血
- 眼が痛い
- 涙っぽい
- まぶしい
- 視力が下がる
- 歪んで見える
- 霧がかかったように見える
- 物が小さく見える
- 飛蚊症 など
ぶどう膜炎症の対処方法
失明することがある病気です。
早めに病院を受診しましょう。
病気②:アレルギー性結膜炎
充血タイプ:結膜充血(②)
通年性の原因としては、カビやダニ、ハウスダストがあげられます。
季節性の原因で多いのは、花粉です。
症状の特徴
アレルギー性結膜炎の対処方法
部屋はこまめに掃除をし、清潔に保ちましょう。
花粉が原因であれば、花粉シーズンはコンタクトの使用はさけ、めがねなどで花粉が目に入らないようにしましょう。
病院では、抗アレルギー点眼薬及び内服薬での治療を行います。
病気③: 強膜炎
充血タイプ:毛様充血(③)
原因の約半数は、はっきりとわかっていません。全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどの自己免疫疾患に伴って生じる場合があります。
強膜炎の症状の特徴
- うずくような激しい眼の奥の痛み
- 涙が出る
- まぶしい
- 圧痛
- 充血
- 目が紫がかった色になる など
強膜炎の対処方法
早めに医療機関を受診してください。
放置すると、大幅な視力低下のリスクがあります。
抗生剤、ステロイド等の点眼薬での治療をします。
病気④: 緑内障(急性緑内障発作)
充血タイプ:毛様充血(③)
眼圧を一定に保つ房水の排出口である隅角が詰まると、房水によって眼圧が急激に上がり、急性緑内障発作が生じます。
緑内障の症状の特徴
- 充血
- 激しい頭痛
- 目の奥が痛い
- 吐き気
- 視力の低下
- 視野の狭まり など
緑内障の症状の対処方法
失明にいたることのある発作です。
様子を見ることはせず、早急に医療機関を受診しましょう。
放置するとこんなリスクも…
「ぶどう膜炎」や「急性緑内障発作」の場合は、失明する可能性があります。
「強膜炎」の場合は、大幅な視力低下になるリスクがあがります。また、「壊死性強膜炎」だと、心臓発作を起こして命を落とすことがあります。
合わせて読みたい
2020-11-27
ストレスがたまっていたり、体が疲れていたりすると、片目がぼんやりとして見えにくくなることがあります。
これはもしかすると「ぶどう膜炎」という目の病気かもしれません。
どうすれば目がよくなるのか、病院を受診したらいいのか、ほかの病気の可能性なども解説しています。
目の症状に不安のある方は、ぜひ確認してください。
ストレス・疲れで「片目がぼやける」ことはある?
疲れが溜まっているときに、片目にものがぼやけて見えることがあります。
これは、「眼精疲労」のほか、30~50代の働き盛りの男性に多い「中心性漿液性網脈絡膜症」という病気のケースがあります。
「中心性漿液性網脈絡膜症」は、脈絡膜血管の血流不足によって、脈絡膜中の液体が漏れ出し、黄斑と呼ばれる部分に水ぶくれができることで起こる病気です。片目に起こることが多いです。
※脈絡膜…光を感じる網膜の外側で眼球を覆い、網膜に栄養を与えている膜のこと。
対処法は?
ストレスを発散したり、しっかりと睡眠をとると良いでしょう。
「中心性漿液性網脈絡膜症」は、自然と治ることもあります。
病院に行くべき?
片目がぼやけていて
視野の中心が暗く見える
ものが実際より小さく見える
ものがゆがんで見える
といった症状があるときは、眼科を受診してください。
眼科を探す
ただの「疲れ」や「ストレスの影響」ではなく、目の病気が進行しているケースがあります。
代表例を2つ紹介するので、あてはまる症状がないか確認してください。
注意すべき目の病気①「ぶどう膜炎」
目がかすむときは、ストレスで免疫力が低下して感染症にかかり、「ぶどう膜炎」を発症している可能性があります。
症状の特徴
ものがかすんで見える
ものが小さく見える
ものがゆがんで見える
虫が飛んでいるように見える
視野の真ん中の部分が見えにくい
まぶしく見える
症状は片目だけのこともあれば、両目に起こることもあります。上記以外に、目の充血や痛み、視力の低下などの症状があらわれます。
ぶどう膜は、目の中にある虹彩、毛様体、脈絡膜の総称で、ぶどう膜炎は、ぶどう膜とそれに接する組織が炎症を起こしている状態です。
細菌・ウイルス感染やケガといった、全身性の病気の症状のひとつとして、ぶどう膜炎があらわれます。
対処方法
ぶどう膜炎が疑われる場合、病院を受診してください。
ぶどう膜炎の治療では、炎症を抑えつつ視力障害となる合併症の予防をします。
炎症を抑える副腎皮質ステロイド点眼薬を使用し、炎症が強い場合は、目の周辺に注射をすることもあります。
眼科を探す
注意すべき目の病気②「白内障」
片目がぼやけるのは、ただのストレスではなく、白内障という病気が原因の可能性もあります。
症状の特徴
ものがかすんで見える
ものが二重に見える
※通常、痛みはありませんが、眼球の腫れによる眼圧の上昇で、痛みを感じることがあります。
対処方法
片目が白内障になると、もう片方の目も発症する可能性が高いので、症状が出た場合は、早めに病院へ行きましょう。
初期の場合は、点眼薬で進行を遅らせます。
進行している場合は、手術で水晶体を取り出し、眼内レンズを入れる治療を行います。
眼科を探す
▼参考
公益財団法人 日本眼科学会 ぶどう膜炎
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/budo_makuen.jsp
公益財団法人 日本眼科学会 白内障
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/suisho_hakunai.jsp
MSDマニュアル家庭版 白内障
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/20-眼の病気/白内障/白内障
公益財団法人 日本眼科学会 中心性漿液性脈絡網膜症
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/momaku_tyushin.jsp