手のひらに赤い斑点…これは何?
赤い斑点ができる原因と対処法をお医者さんに聞きました。
肝臓との関係性や考えられる病気、病院へ行くべき症状も解説します。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
手のひらに赤い斑点ができる原因
手のひらに赤い斑点ができる原因として
1.手掌紅斑(肝臓の病気)
2.皮膚疾患(アトピーなど)
があげられます。
原因が何かによって、対処法は変わってきます。
原因1.「手掌紅斑」
「手掌紅斑」という肝臓の病気の可能性があります。
肝機能が低下し、肝臓の働きが悪くなった結果、女性ホルモンが増えることで、手のひらの血管が拡張され、赤い斑点がみられます。
手のひら全体ではなく、特定の部分だけが赤くなる特徴があります。特に、親指の付け根の部分に赤い斑点の症状がみられることが多いです。手掌紅斑は、基本的には痛みやかゆみはなく、赤い斑点以外の自覚症状はありません。
対処法は?
手掌紅斑は、ホルモンの増加による症状のため、自分で治すには限界があります。内科または消化器内科を受診しましょう。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれています。
手掌紅斑が出ている場合、自覚症状がなくても肝臓疾患が進行しているケースも多いです。その場合は、外科の受診を案内されることがあります。
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原因2.皮膚疾患
アトピーなどの皮膚疾患の可能性もあります。
対処法は?
乾燥による赤い発疹の場合やアトピー性皮膚炎は、十分に保湿することで症状が軽減されることもあります。
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2020-05-21
「皮膚に赤い斑点が…もしかして肝臓が悪いの?」
「手のひらが赤いのはなぜ?」
肝臓異常のサイン「くも状血管腫」や「手掌紅斑(しゅしょうこうはん)」の説明から、肝臓のセルフチェックリスト、放置したときのリスクまで、医師が詳しく解説します。
肝臓が悪いと出てくる「赤い斑点」
肝臓が悪いことで生じる「赤い斑点」には
くも状血管腫
手掌紅斑
の2種類があります。
1.くも状血管腫
粟粒ほどの大きさの赤い斑点を中心に、細い糸のような血管がくも状に伸びます。
首・肩・胸・上腕などによくみられます。痛みやかゆみはありません。
2.手掌紅斑
親指下・小指下の付け根部分が赤くなります。
赤くなった部分に熱っぽさが生じます。
赤くなった部分を押すと、赤みが一時的に消失します。
手の平の外周部分のみに赤みが生じ、手の平の中心部分は白いのが特徴です。かゆみはありません。
他の皮膚疾患との見分け方は?
肝臓が原因の場合、
・かゆみはない
・黄疸が現れることがある
といった特徴があります。
病院では、血液検査や超音波検査で判断します。
あなたの肝臓は大丈夫?セルフチェックリスト
下記のチェック項目のうち、1つでも当てはまる症状がある場合は、肝臓の働きが弱まっていると考えられます。
●全身倦怠感
●疲れやすい
●無気力
●発熱
●頭痛
●吐き気、嘔吐
●食欲不振
◎白目が黄色っぽい(黄疸)
◎手が赤くなっている
◎皮膚に赤い斑点が出る
◎濃い色の尿(紅茶のような色)
◎膨満感が強い
◎血が止まりにくい
◎体のかゆみ
◎足のむくみ
◎お酒が飲めなくなる
◎右側のあばら骨周辺の痛み
◎腹壁の血管が浮いてくる
◎男性の乳房が膨らむ
◎お腹が張っている(腹水)
特に◎は要注意項目です。
肝機能低下を自覚したら、早期受診を!
万が一肝臓に疾患があったとしても、早期受診、早期発見により、重篤な状態に陥る前に症状の改善が期待できると考えられています。
肝臓は沈黙の臓器といわれているように、自覚症状が乏しいため、何かおかしいと感じてから病院を受診しても既に病状が進行してしまっているケースが多いです。
重症化を予防するためにも、定期的に医療機関を受診し、肝機能検査等の健診を受けて、日頃から自分の肝臓機能について把握しておくことが重要です。
全身にかゆみが起こっている
かゆみが強すぎて眠れない
黄疸が生じている場合(白目が黄色い)
全身に倦怠感があり、何をする気もおきない
上腹部(右側)が硬くなり、痛みがあり息苦しい
濃い茶色の尿が出る
上記のような症状が出ている場合は、すぐに病院へ行きましょう。
抗ヒスタミン薬等を用いてもかゆみが改善されなかったり、掻いてもかゆみが止まらない時も要注意です。
病院は何科?
肝臓に異常がある疑いがあるときは、内科・消化器内科等の受診をおすすめします。
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どんな治療をするの?
病院では、まず検査(血液検査や肝臓のエコー検査など)を行います。
その後、原因に応じて適切な治療を行います。
代表的な病気の治療例として、
脂肪肝
肝硬変
肝がん
のケースをご紹介します。
① 脂肪肝の治療
禁酒、食生活の見直し等で改善が期待できると考えられています。
肥満が原因の場合は、減量が必要なため、生活習慣の改善を行います。
② 肝硬変の治療
禁酒、食事療法、薬物療法がメインで行われます。
③肝がんの治療
病状に合わせて、抗がん剤治療、放射線治療、外科的切除による治療、肝動脈塞栓術等の治療方法が行われます。
手の「赤い斑点」の放置はNG!
皮膚の赤い斑点は、重い肝臓の病気のサインかもしれません。
肝臓の異常を放置すると、改善も遅くなるのはもちろん、症状が進行・悪化するリスクがあります。
肝硬変、肝がんを発症するリスクや、食道静脈瘤等の合併症を併発するリスクが高まります。
命に関わる重篤な状態に陥る恐れもあるので、早期受診が大切です。
▼参考
日本医事新報社 手を見て肝臓病を疑う─手掌紅斑[プラタナス]
東京都福祉保健局 増え続けるアルコール性の肝臓病
イムス総合サービスセンター 肝臓チェック
岩手医科大学付属病院 肝炎とは?
オムロン 肝疾患の三大症状と「かゆみ」の最新治療
大日本住友製薬 肝臓病のかゆみの特徴
手掌紅斑の放置は絶対NG!
手のひらに手掌紅斑と疑われる赤い斑点が見受けられれば、直ちに病院への受診が必要です。
肝臓の病気では、慢性肝炎や肝硬変が考えられます。肝機能が低下すると、食欲不振や倦怠感も伴う場合があります。身体の中で炎症が起こっているため、血液検査などで異常がみられます。
肝臓の病気は自覚症状がほとんどないことが多いため、健康診断で異常が見つかった場合では、すでに病気が進行しているケースが多いと言われています。
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子どもや赤ちゃんの場合は?
子どもや赤ちゃんの手のひらに斑点が現れたら、心配になりますよね。
子どもの場合は
1.新生児中毒紅斑
2.乳児湿疹やあせも
3.手足口病
などの原因が考えられます。
1.新生児中毒紅斑
多くの新生児に生じる、新生児中毒紅斑というものがあります。
これは手のひら以外にも、足、顔、背中、胸などの様々な部分に赤い斑点がみられます。数日~数週間で自然治癒します。
2.乳児湿疹・あせも
子どもや赤ちゃんの場合は、汗をかきやすく、湿疹ができやすいため、乳児湿疹やあせもの可能性もあります。
皮膚が薄く汗腺の密度も多いため、これらの症状が現れることが多いです。
3.手足口病
手足口病はその名の通り、手のひらや足の裏、口の中などに発疹ができます。子どもは感染症にかかりやすいので、赤い斑点以外にも38度以上の発熱などの症状がある場合は、直ちに小児科の受診が必要です。
赤ちゃんや子供の場合は、小児科や皮膚科を受診しましょう。
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「足に赤い斑点ができた…」
「かゆくないけど、これって大丈夫なの?」
自然に治る?病院に行くべき?
足にできたかゆくない赤い斑点について、お医者さんに聞きました。
対処法と病院に行く目安も解説します。
かゆくない足の赤い斑点の正体は?
足にかゆみがない赤い斑点が出ている場合、
薬疹
IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
の可能性が高いです。
原因① 薬疹
薬疹とは
薬に対するアレルギー反応
薬の副作用
長期間の摂取による薬剤の蓄積
少量の薬剤でも過剰状態(不耐性)
本来の薬理作用と異なる効果(特異体質)
がでている状態です。
薬を使用して数分以内に症状があらわれるケースもあれば、数時間・数日・数週間後にあらわれるケースもあります。
薬疹を起こしやすい薬を使用している、薬に対して反応するような細胞や抗体がある人などがなりやすいと考えられます。
薬疹の「斑点の特徴」
赤い部分が盛り上がっていることが多いです。
皮膚が紫色・青色・灰色に変色することもあります。
赤い斑点以外の症状
倦怠感がある。
痛みがある。
口の中がただれる
熱が出る。
リンパ節が腫れる。
肝臓、腎臓、骨髄などの他臓器障害がある。
血圧が低下する。
ショックを起こす。
早く治すためにできることは?
原因となる薬を特定する必要があるため、医療機関を受診しましょう。
その際、おくすり手帳など使用している薬がわかるものを持っていくと良いです。
使用している市販薬があれば、あわせて伝えてください。
原因② IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
血管炎の一種で、頻度が高い病気です。
皮膚の細い血管に障害がおこることで、斑点が生じます。
細菌やウイルスの感染、薬剤、妊娠、悪性腫瘍などが誘因と考えられています。
3~15歳の子どもがなりやすいですが、どの年齢でもなる可能性があります
IgA血管炎斑点の「斑点の特徴」
膝から足首に、あざのような赤い斑点ができることが多いです。
斑点を触ると、軽いしこりのようなものがある場合があります。
※乳児の場合は顔、小児の場合はおしり・ふともも・背中・腕にできることが多いです。
赤い斑点以外の症状
血疱(血液を含んだ水ぶくれ)がある。
直径1cm以内の皮膚のもりあがり(丘疹)がある。
ただれている。
潰瘍がある。
微熱がある。
倦怠感がある。
関節が痛い。
腹痛や吐き気がある。
タール状の黒い便や下痢をしている。
最初の症状から数日・数週間後に、皮膚に新しい斑点や盛り上がりができることもあります。
早く治すためにできることは?
IgA血管炎が疑われる場合は、自己判断せず、早急に皮膚科を受診しましょう。
上記したような症状は通常は4週間ぐらいで治まりますが、数週間後に再発することが多いです。再発を予防するためにも、一度病院で診てもらうことをおすすめします。
皮膚科を探す
受診するのは何科?
まずは、皮膚科を受診しましょう。
特に、皮膚のもりあがりやしこりがある、皮膚症状以外にも症状がみられる場合は、一度病院に行きましょう。
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▼参考
皮膚病治療情報・皮膚科教科書 あたらしい皮膚科学 第3版 薬疹
MSDマニュアル家庭版 薬疹
公益社団法人 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 血管炎・紫斑病
MSDマニュアル家庭版 IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。