頭皮にできたかさぶたが、どうやっても治らない。
悪化したのか、汁まで出るようになっている…。
かさぶたの原因は何?どうすれば治る?病院に行ったほうがいい?
お医者さんが頭皮のかさぶたの悩みにお応えします。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
頭皮のかさぶたが治らない原因
頭皮にかさぶたができる原因で一番多いのは、脂漏性皮膚炎です。
皮脂分泌が多い場所に発症する炎症です。
頭皮の皮脂は、汗と混じり合って「皮脂膜」となり、皮膚を守っています。しかし、皮脂分泌が多すぎる状態が続くと、毛穴に詰まってニキビやベタつきの原因となります。
皮脂が過剰に分泌され続け、皮膚に炎症を起こしている状態が「脂漏性皮膚炎」です。
脂漏性皮膚炎の発症メカニズムは、未だ解明されていない点も多くありますが、マラセチアというカビが発症に関わっていると考えられています。
他にも、遺伝やストレス、環境なども関係しているとされています。
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2021-06-25
「頭皮が臭いのはなぜ?」
「ポテトのようなにおいもする…」
“かさつき”や“フケ”が出る場合は、病気の可能性もあります。
病院は何科で受診すればいいのか、どんな人が頭皮が臭くなりやすいかを、お医者さんが詳しく解説します。
頭皮が臭い…もしかして病気?
洗髪によりしっかり皮脂を洗い流せていないケースが考えられます。
髪を洗い、臭いが改善されるのであれば、病気の可能性は低いです。
こんな症状は“頭皮の病気”かも
頭皮にうろこ状のかさつき(フケ)がある
頭皮にかさぶたのようなものがある
頭皮がかゆい
といった場合は、頭皮の病気の可能性があります。
この場合、皮膚科を受診しましょう。
頭皮が臭くなる病気「脂漏性皮膚炎」とは
頭皮が臭い場合、脂漏性皮膚炎を発症している可能性があります。
脂漏性皮膚炎の「症状」
頭皮にうろこ状のかさつき(フケ)が発生
頭皮がかゆい
寒くなると、症状が悪化する
(進行すると)髪の生え際に、黄色から赤みがかった隆起ができる
うろこ状のカサつき(フケ)は、乾燥していたり、脂ぎっていたりします。かたまると、カサブタのようになります。
症状が悪化すると発生する皮膚の隆起は、髪の生え際だけでなく、耳の後ろ・外耳道・鼻筋・鼻まわり・眉・胸・背中の上部・わきの下にできることもあります。
“ポテトチップのようなにおい”があるケースも
皮脂に含まれる「脂肪酸」が酸化して、ポテトチップのようなにおいが発生している可能性があります。
「脂漏性皮膚炎」になってしまう原因
脂漏性皮膚炎の原因は今のところはっきりわかっていませんが、精神的・身体的ストレスなどの生活習慣が関係していると言われています。
また皮膚に常在している微生物の一種であるマラセジア属の真菌の異常増殖も関係していると言われています。
なぜ真菌が異常増殖するのかはわかっていませんが
皮脂成分や分泌量などの変化
入浴時の洗い残し
ストレスがたまっている
睡眠時間が不足している
ホルモンバランスの乱れ
ビタミンB2やB6 の不足による脂質代謝異常
などが発症に関与していると考えられます。
脂漏性皮膚炎を引き起こす「生活習慣」
入浴や洗顔をしっかりと行っていない
洗い残しがある
睡眠時間が不足している
不規則な生活を送っている など
脂漏性皮膚炎を「発症しやすい人」
乳児や10歳代、30~70歳など多くの世代
男性
家族に脂漏性皮膚炎の人がいる人
エイズを発症している人
パーキンソン病を発症している人 など
自分でできる「4つの対処法」
洗髪をしっかり行う
規則正しい生活をおくる
良質な睡眠をとる
バランスの良い食事を心がける
ようにしましょう。
正しく「髪を洗う方法」を解説!
髪の毛が重なっていて皮脂が溜まりやすい部位(こめかみ奥や後頭部辺り)はしっかり洗いましょう。髪の毛はもちろん、頭皮も優しく洗うようにしましょう。その際には引っ掻いたり強く洗ったりしないようにします。
抗真菌薬を含んだ石鹸・シャンプー・リンスなどに変えましょう。シャンプーを変えても症状が改善しないときには、医療機関を受診しましょう。
頭皮を「清潔に保つ」にはどうすればいい?
基本1日1回の洗髪を行い、洗い流しのときには、ゆすぎ残しをしないように気を付けましょう。
また、洗い終わった後は、ドライヤーでしっかり乾かし、その後は頭皮の保湿を行いましょう。
*シャンプーによっては、保湿成分が含まれているものもあります。
※シャンプー選びの注意
油分を含むシャンプー・リンス・整髪料はできるだけ控えてください。
市販薬を使用してもいい?
自己判断で市販薬を使用すると悪化させるリスクがあります。
薬を使用したいのであれば、まずは医師や薬剤師に相談してください。
「脂漏性皮膚炎」はニキビに似ている湿疹ができることがあります。
ただし、ニキビはアクネ菌によるもの、脂漏性皮膚炎は真菌(マラセチア菌)によるものと考えられています。ニキビ用の市販薬では治らないことがあります。
症状が軽い場合はオロナインを塗っても構いませんが、症状が悪化したり、長引いたりする時は、すぐに使用を中止し医師に相談してください。
症状が改善しない場合は皮膚科へ
セルフケアを1週間程度行っても症状が改善しない・どんどん悪化する場合は、皮膚科に相談しましょう。
何科で受診すればいい?
頭皮が臭う場合、まずは皮膚科を受診しましょう。
早期受診することで、原因の特定に繋がり、適切な治療を受けることができます。
医療機関で治療を受けることで、早い段階での症状の改善や悪化の予防になります。
気になる症状がある場合、早めに医療機関へ行きましょう。
皮膚科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
MSDマニュアル家庭版 脂漏性皮膚炎
この「汁」は何…?
過剰に分泌された皮脂です。
皮脂が過剰に分泌されて、皮膚で酸化し、ベタベタと固まる汁になります。
髪を洗うときに気をつけること
脂漏性皮膚炎のときは、髪を洗うときに注意しましょう。
シャンプーの仕方
洗髪は、基本的に毎日行ってください。
皮脂が出やすい蒸し暑い季節や、熱帯夜の翌朝、寝汗をかいたときは、朝もシャンプーしましょう。
シャンプーをするときは、頭皮をしっかり洗い流してください。かさぶた部分は、擦らないように優しく泡で洗いましょう。
脂漏性皮膚炎では、過剰な皮脂である汁が固まってしまうことがあります。固まった皮脂をそのままにしておくと、頭皮の負担になります。
\ワンポイントアドバイス/
固まって取れにくい場合は、お湯でふやかして取りましょう。
シャンプーに問題があることも
市販の保湿力の高いシャンプーや、石油系界面活性剤を配合しているシャンプーは、頭皮の刺激になる場合があります。
市販のシャンプーで、炎症・かゆみ・皮脂分泌が多くなる場合は、お湯でしっかり洗ってください。
シャンプー後のケア
過度に排出された皮脂をシャンプーで取り除いた後は、脂漏性皮膚炎用の薬を欠かさず塗りましょう。
お薬は病院で処方してもらえます。
トリートメントをしても大丈夫?
トリートメントは、使い方に注意が必要です。
トリートメントは、根元につけないで、毛先に近い部分だけつけましょう。
トリートメントは、髪の毛のパサツキや乾燥を防ぐもので、頭皮に塗る必要はありません。
脂漏性皮膚炎を発症している場合は、トリートメントが頭皮の刺激になり、炎症が悪化することがあります。
市販薬は塗ってもいい?
医師の市販薬を使用している場合は、医師の指示に従ってください。自己判断で使用しないでください。
症状の軽い脂漏性皮膚炎であれば、オロナインを塗っても構いませんが、使用後に悪化、快方に向かわない場合は、すぐに使用をやめて、医師に相談してください。
こんな状態は、病院で治そう!
次の症状が出ている場合は、病院に診察を受けてください。
- かゆみが我慢できない
- かさぶたが増えている
- 範囲が広がってきている
病院では、皮膚科を受診してください。
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2020-11-19
「顔の皮膚がポロポロとむける…」
これって病気?
原因と対処法をお医者さんに聞きました。
正しいケアの方法と病院へ行った方がいい症状を解説します。
顔の皮膚がポロポロむけるのはなぜ?
顔の皮膚がポロポロとむけてしまうのは、
乾燥
間違ったスキンケア
ターンオーバーの乱れ
が原因となっている場合が多いです。
それぞれ詳しく解説していきます。
顔の皮むけの原因① 肌の乾燥
皮膚表面の潤いが失われることで、ポロポロと皮がむけています。
乾燥しやすい秋から冬に起こりやすいです。
また、頻繁に洗顔する人、洗浄力が強い石鹸を使用していると、乾燥を引き起こしやすいです。
顔の皮むけの原因② 間違ったスキンケア
洗顔後に保湿していない
肌に合わない化粧品
過度な洗顔
ピーリング
などが、ダメージの要因になります。
顔の皮むけの原因③ ターンオーバーの乱れ
ターンオーバーが乱れると、細胞が未完成なまま角層まで達してしまいます。
その結果、剥がれ落ちるはずの角質細胞がそのまま残り、白く粉をふいたような状態や皮膚の表面がかたくなります。
顔の皮むけの「正しいケア」
すぐにできる、正しい洗顔方法とスキンケア方法を紹介します。
正しい「洗顔方法」
朝晩二回、以下の方法で洗顔を行いましょう。
ぬるま湯で顔を濡らします。
洗顔料をよく泡立て、手で優しく洗いましょう。
ぬるま湯で洗顔料を洗い流します。
タオルを軽く顔にあてて、水分を吸い取ります。ゴシゴシこすらないでください。
強くこする必要はありません。
すすぎ残しのないように、お湯はたっぷり使いましょう。
正しい「スキンケア方法」
洗顔後はすぐに保湿をしましょう。
保湿液はたっぷりと、手を滑らすように優しく塗ってください。
このときも、強くこすったり、たたいたりする必要はありません。
市販薬は使ってもいい?
肌荒れの原因がわからない場合、自己判断で市販薬を使用するのは控えましょう。
なかなか治らないのは「病気サイン」かも
正しいケアを行っても症状が改善しない場合、
脂漏性皮膚炎
アトピー性皮膚炎
など病気の可能性があります。
それぞれの「症状」や「対処」について解説します。
病気① 脂漏性皮膚炎
うろこ状のかさつきがでます。
乾燥しているケースと脂ぎっているケースの両方があります。
悪化すると、黄色から赤みがかった皮膚が剥がれ落ちるとともに、皮膚が盛り上がります。
今のところ原因ははっきりとわかっていませんが、皮膚に存在するマラセチア属の真菌が関係していると考えられています
なりやすい人の傾向
乳児(特に生後3カ月まで)
10代の若者
30~70歳の男性
に多いです。
※その他、エイズやパーキンソン病の人も発症しやすいです。
自分でできる対処法
朝晩、正しい洗顔とスキンケアを行い、清潔に保ちましょう。
また、ストレスによって症状が悪化する可能性があります。
規則正しい生活を心がけ、しっかりと睡眠をとり、ストレスをためないようにしましょう。
病気② アトピー性皮膚炎
肌のバリア機能が低下し、皮膚が炎症を起こし、かゆみや湿疹を繰り返す病気です。
症状が出る部位は、全身・目の周辺・おでこ・口の周辺・耳の周辺・首の周辺など、個人差があります。
なりやすい人の傾向
皮膚のバリア機能が弱い人やアレルギー体質の人が起こりやすいです。
自分でできる対処法
しっかり保湿をして、皮膚に刺激を与えないようにすることが大切です。
皮膚科に行く目安
上記したような正しい洗顔やスキンケアなどを行っても、顔の皮膚のむけが改善されない場合は、一度皮膚科に行きましょう。
皮膚科を探す
顔の皮むけは「早期受診」がオススメ
早期に病院で検査を受け、顔の皮むけの原因を突き止めることで、適切に治療していくことが可能になります。
\注意/
「炎症期の肌荒れ」は保険診療が可能ですが、「炎症が治まったけど肌の見た目が悪い」状態では保険診療になりません。
▼参考
MSDマニュアル家庭版 皮膚の乾燥(乾皮症)(乾燥症)
真菌誌 第46巻 第3号 平成17年 Malassezia と脂漏性皮膚炎 ・アトピー性皮膚炎 -
MSDマニュアル家庭版 脂漏性皮膚炎
MSDマニュアル家庭版 パーキンソン病
MSDマニュアル家庭版 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症