急に汗が吹き出る…これって大丈夫?
もしかして、病気?
異常な量の汗をかいたり、汗が止まらなかったりする場合に考えられる原因を、医師に解説していただきました。
急に汗をかくようになったら何科を受診すればいいのかもご紹介します。
監修者
経歴
福島県立医科大学卒業
「働く人を支える」薬に依存しない医療を展開する「BESLI CLINIC」を2014年に協同創設、2030年を基準に医療現場から社会を支える医療経営を実践しています。
産業医視点からビジネスマン・ビジネスウーマンを支えております。生薬ベースの漢方内科での経験を活かし、腹診を含めた四診から和漢・井穴刺絡などの東洋医学を扱い、ホルモン、生活習慣をベースに身体から心にアプローチする診療を担当。米国マウントサイナイ大学病院へ留学、ハーバード大学TMSコースを修了。TMSをクリニックへ導入、日本人に合わせたTMSの技術指導、統括を行っています。
急に汗が吹き出る…これ大丈夫?
緊張やストレス(精神的な刺激)や運動による摩擦(温熱刺激)での発汗は問題ありません。思いあたることがないのに過剰な汗が急に出る場合は、何らかの病気の可能性があります。
異常な発汗が1ヶ月程度続き、「喉の違和感」や「精神的に落ち着かない」等の症状もある場合は、病院に相談しましょう。
考えられる2つの病気
急に汗が噴き出たり、汗が止まらなくなったりするのは、
などの病気を発症している可能性があります。
病気① バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
バセドウ病は、体の代謝を司る甲状腺機能の働きが活発になる病気です。
代謝異常が原因で、全身に異常な量の汗が出るという症状が起きます。
広い年齢層の患者さんがいますが、男性よりも女性に多い病気です。
こんな症状がでるかも!
- 甲状腺が腫れる
- 食欲旺盛だが、食べても痩せていく
- イライラする
- 興奮状態が続きやすい
- 目が突出する
- 焦燥感が強い
バセドウ病の原因
原因ははっきりわかっていませんが、遺伝・ストレス・過労・喫煙が関係していると考えられています。
バセドウ病かも…どう対処すべき?
バセドウ病は専門の病院での治療が必要となり、ご自身で対処することは難しいです。
放置すると心臓や肝臓に影響が及ぶことがあるので、バセドウ病が疑われる時は速やかに内分泌内科など病院へ行きましょう。
内分泌内科を探す
病気② 更年期
更年期になると、暑くもないのに汗が出たり、ほてったりする「ホットフラッシュ」という症状が現れます。
汗は全身から出ますが、特に首の後ろや額などからよく出ます。
閉経が近い50代前後の女性に多いです。
女性の6割程度が経験し、そのうち1割程度は病院での治療を必要とすると言われています。
更年期の原因
閉経が近くなり、女性ホルモンが急激に低下することが原因です。
女性ホルモンが低下すると自律神経が乱れ、血管が拡張するため汗をかきやすくなります。
こんな症状がでるかも!
- ほてり
- のぼせ
- 頭痛
- 手足のしびれ
- 不安
- 不眠
- 皮膚のかゆみ
- 腰痛
- めまい など
更年期が原因かも…どう対処すべき?
女性ホルモンの減少に体が慣れてくるまで「辛いものなど刺激物を食べない」「生活リズムを正す」「適度な運動」「質の良い睡眠を取る」ことを意識し、体のバランスを整えましょう。
生活リズムが乱れると更年期の症状が重くなる傾向があります。
更年期の身体症状がつらい場合は、我慢せず婦人科を受診しましょう。
女性ホルモンに似たホルモンを補充する治療法・漢方薬・抗うつ薬・磁気治療など、患者さんに合ったさまざまな方法で治療していきます。
婦人科を探す
病院に行く目安
異常な発汗が1ヶ月程度続き、喉の違和感や精神的に落ち着かない等の症状もある場合は、病院に相談しましょう。
早期に病院で検査を受け、原因の病気が診断された場合は必要な治療を早期に受けられます。
急な汗が吹き出ることでご自身の不快感はもちろん、他人の目などが気になり外出しづらくなってしまうなど生活に支障が出ることがあります。
自分でコントロールできない辛さから、精神的に落ち込み、うつ病を発症することもあるので、たかが汗だとは思わずに一度病院へ相談してみましょう。
何科を受診すればいい?
50歳前後の女性で、汗にお悩みなときは婦人科を受診しましょう。
甲状腺機能亢進症を疑う場合は、内分泌内科を受診しましょう。
婦人科を探す
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2020-12-09
めまいがして、冷や汗も出てきた…。
血の気が引いて立っていられない…。
それは「迷走神経反射」かもしれません。
突然気を失いそうになるのはなぜなのか、お医者さんに詳しく聞きました。
まずはこう対処しよう
めまいが起きたときは、まず安静にしてください。
しゃがむ、座る、横になるなどして、一旦様子を見ましょう。
刺激を避けられるよう、暗く静かな場所で休んでください。
なお、
激しい頭痛がする
ろれつが回らない
顔や手足にしびれ
物が二重に見える
といった場合は、早急な受診が必要です。
内科を探す
血の気が引くめまいは「迷走神経反射」かも
自律神経の乱れによるめまい・立ちくらみ・失神を、「迷走神経反射」と言います。
副交感神経が過剰反応することによって、脳に十分な血液が届かなくなっている状態です。
症状が治まるまでの時間は?
迷走神経反射は、30秒~5分で治まるケースが多いです。
迷走神経反射が起こりやすいタイミング
精神的ストレスを受けたとき
強い痛みを感じたとき
せきこんだとき
排便しているとき
長時間立っているとき
腹部の内臓疾患による刺激が加わったとき
迷走神経反射になりやすい人
若い女性(特に生理中)
ストレスを感じやすい人
疲労が溜まっている人
立ち仕事を習慣にとしている人
睡眠が足りていない人
激しい運動を行う人
下痢、嘔吐の症状がある人
こんな症状が出たら失神に注意
めまい、立ちくらみ
冷や汗
血の気が引く
頭痛
吐き気
視野がぼやける
ふわふわする感じになる
手足のしびれ
過呼吸
眠くなる
上記症状が出たときは、すみやかに安全な場所に移動してください。
道路などで失神が起こると、事故に遭う恐れがあります。
症状を繰り返さないために
バランスの良い食生活
十分な睡眠
適度な運動
で、迷走神経反射を防ぎましょう。
実際に「どのように対策をすればいいのか」を解説します。
①バランスの良い食生活
自律神経を整えるには、栄養バランスの良い食事が大切です。
特に、血流改善の作用がある青魚やビタミンEを、積極的に摂ってください。
\おすすめ食材/
青魚
マグロ、サンマ、サバ
ビタミンE
かぼちゃ、アーモンド、アボカド
また、1日3食、毎日決まった時間での食事を心がけてください。
特に朝食は、自律神経を切り替えるスイッチとして役立ちます。
また、お酒を控えて、水分補給をしっかり行ってください。
②十分な睡眠をとろう
しっかりと睡眠をとり、心身に溜まった疲れを回復させましょう。
夜に入浴すると、質の良い睡眠を摂りやすくなります。
③適度な運動をしよう
脳の血流不足を防げるよう、運動で血行を促進させてください。
ストレッチやスクワット、ウォーキングなど無理なく継続できる運動がおすすめです。
また、立ち上がるときにめまいが起こる方は、起立調節訓練も行いましょう。
起立調節訓練のやり方(1日2回が目安)
立った状態で壁に背中をつける
かかとだけを、壁から15cm程前に出す
そのままの状態で30分間キープ
※気分が悪くなったら、すぐに中断してください。
注意!病気の可能性も
迷走神経反射には、
心臓の病気(不整脈、狭心症)
消化器の病気(胃潰瘍、腹部大動脈瘤破裂)
脳の病気(脳腫瘍、脳梗塞、てんかん)
肺の病気(肺動脈血栓症)
などが隠れていることも考えられます。
めまいだけでなく、次のような症状もある場合は、早急な受診が必要です。
<特に注意する症状>
胸の痛み
激しい頭痛
吐き気、嘔吐
麻痺や痺れ
物が二重に見える
息切れ、息苦しさ
受診するのは何科?
内科、脳神経内科を受診しましょう。
内科を探す
不安な症状は早めに病院へ
めまいには、重い病気が隠れているケースもあります。
病気の進行を防ぐには、早期受診が重要です。
症状が心配な方は、一度病気で検査を受けてみましょう。
▼参考
日本救急医学会 迷走神経反射
一般財団法人 北海道心臓協会 失神とは?
土浦市医師会 めまいを起こす病気について
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2021-06-01
「何もしてないのに痩せた…これはなぜ?」
心配いらないケース、病気を疑うべきケースをお医者さんに聞きました。
体重減少を引き起こす病気には、糖尿病や悪性腫瘍などがあります。
当てはまる症状がないか、チェックしてみましょう。
何もしてないのに痩せた…これはなぜ?
体重減少の原因には、ストレスや病気が考えられます。
ストレスによって消化能力が落ち、空腹を感じにくくなると、気づかないうちに食事量が減って痩せることがあります。
ストレスによる体重減少は、年齢に関係なく起こる症状です。
また、体重減少を引き起こす病気には“糖尿病”が挙げられます。
糖尿病の方は、インスリンの作用不足によって糖が体の外に排泄されるため、エネルギー不足の状態となって体重が減少しやすいです。
30代以上の体重減少は要注意!
30代以降の体重減少は、糖尿病によって起こっている可能性が高くなります。
特に肥満傾向の方や、乱れた食生活を送っている方は注意が必要です。
大丈夫?病院に行くべき?
半年で5%未満の体重減少であれば、一旦様子を見ても大丈夫です。
様子を見る場合は、規則正しい生活とバランスの良い食事を心がけてください。
食欲が湧かない方は、消化の良い食べ物や食べやすいものを少しずつ摂りましょう。
なお、半年で体重の5%(もしくは5kg)以上痩せた、という場合は要注意です。
体重減少に加え、
発熱が続いている
寝汗をたくさんかく
骨の痛みがある
息切れやせきがある
血を吐いた
強いのどの渇きを感じる
尿の量が増えた
頭痛、視覚の異常
ものを噛むときのあごの痛み
といった症状を伴う方は病気が疑われるため、早めに受診してください。
体重減少の原因が病気である場合、放置すると命に関わるケースもあります。
何科で受診すればいい?
原因不明の体重減少がある場合、まずは内科を受診しましょう。
内科を探す
考えられる3つの原因
何もしてないのに痩せてしまう場合、
ストレス
糖尿病
悪性腫瘍
が原因となっているケースがあります。それぞれ詳しく解説していきます。
原因① ストレス
ストレスが溜まっていると、何もしていないのに痩せることがあります。
これは、ストレスによって交感神経が優位になってしまうためです。
交感神経が優位になると内臓の消化機能が低下し、消化管の中に食べ物がとどまる時間が長くなり、空腹を感じにくくなります。
これにより、気づかないうちに食事回数や食事量が減ると、体重が減少することがあります。
こんな症状に心当たりはありませんか?
気持ちが不安定になる
眠れない
食欲が湧かない
こんな人に起こりやすい
ストレスを溜め込みやすい人に起こりやすいです。
また、
不規則な生活
偏った食事
睡眠不足
などの習慣は、ストレスによる体重減少を引き起こしやすいです。
自分でできる対処法は?
まずは、生活習慣を見直してみましょう。
ストレスを溜め込まないようにするには、規則正しい生活、バランスの良い食事、十分な睡眠が大切です。
生活を見直したうえで、しばらく経っても改善しない場合は、一度医療機関で相談しましょう。
気分の落ち込みや不眠の症状を伴うのであれば、心の病気の可能性もあります。
「心の病気かもしれない…」と思った方は、心療内科・精神科を受診してください。
原因② 糖尿病
糖尿病を発症していると、原因不明の体重減少が起こる場合があります。
糖尿病による体重減少は、尿の中に糖が排出され、エネルギー不足になることで起こります。
こんな症状に心当たりはありませんか?
強い喉の渇きをよく感じる
尿の量が増えた
空腹感が強くなった
目がかすむ
強い眠気を感じる
吐き気
運動持久力が低下した
こんな人は糖尿病に注意
30歳以上
太っている
家族や親戚に糖尿病患者がいる
血糖値が正常よりも高い
といった人は、糖尿病を発症しやすい傾向があります。
糖尿病(2型)は年齢が高くなるにつれて発症リスクが上昇します。
特に太っている人に発症しやすく、糖尿病患者(2型)のうち8~9割が過体重や肥満です。
また、糖尿病の発症には遺伝や持病、薬の副作用も関わっていると言われています。
糖尿病には1型と2型がある
<1型糖尿病>
免疫機能の異常によって、すい臓の細胞が破壊されて発症する糖尿病。
発症に生活習慣は関係なく、発症の原因ははっきりとわかっていない。
子どもや青年に見られることが多い。
<2型糖尿病>
遺伝的要因や、乱れた生活習慣によって発症する糖尿病。
体を動かさない生活、血圧・コレステロール値を高くさせる食生活などによって、発症リスクが上昇する。
自分でできる対処法は?
糖尿病を疑う場合、ご自身での対処はおすすめできません。
まずは内科を受診して検査を受けましょう。
糖尿病が悪化すると脳や眼、心臓、腎臓、神経にまで悪影響を与え、深刻な合併症を発症します。
命に関わるケースもあるため、早めの治療によって悪化を防ぐことが重要です。
原因③ 悪性腫瘍
原因不明の体重減少には、悪性腫瘍の可能性も考えられます。
悪性腫瘍による体重減少は、食欲不振や代謝機能の異常によって起こります。
こんな症状に心当たりはありませんか?
食欲が湧かない
筋力が落ちた気がする
原因不明の疲労感がある
※上記は悪性腫瘍の代表的な症状です。体重減少以外の諸症状は、悪性腫瘍の種類によって異なります。
こんな習慣がある人は要注意
悪性腫瘍の種類により異なりますが、
喫煙
過度の飲酒
塩分の多い食生活
熱いものをよく食べる
野菜・果物の摂取不足
暴飲暴食
などの習慣があると、発症しやすい傾向があります。
自分でできる対処法は?
悪性腫瘍には、ご自身でできる対処法はありません。
医療機関での治療が必要ですので、早急に受診しましょう。
悪性腫瘍を放置すると命に関わります。
悪性腫瘍を疑う場合は、まず内科を受診して検査を受けてみましょう。
内科を探す
「原因不明の体重減少」は、早めに病院で相談しよう!
原因不明の体重減少には、重い病気が隠れているケースもあります。
悪化すると入院が必要になったり、命に関わったりする場合もあるため、放置は危険です。
特に「半年で体重の5%(もしくは5kg)以上痩せた」という方は、病気の可能性が高くなります。
心当たりがある場合は、一度内科で相談してみましょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
MSDマニュアル家庭版 糖尿病
MSDマニュアル家庭版 意図しない体重減少