70代に入ってから、足がむくむようになった…。
足のむくみは病気サインって本当?
高齢者の足のむくみで考えられる病気について、お医者さんに聞いてみました。
腎不全などの病気による足のむくみだと、早急に医療機関で受診が必要なので、心当たりがないかチェックしましょう。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
高齢者の「足のむくみ」は病気サイン?
1日で改善されるような一時的なむくみであれば、病気である可能性は低いです。
「筋肉の疲労」や「塩分のとりすぎ」が原因として考えられます。
ただし、
という場合は、「病気によるむくみ」が疑われるので、早めに病院で検査を受けましょう。
足にむくみが生じる「高齢者に多い病気」
高齢者の足のむくみの原因には、上記の病気が考えられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
病気① 腎不全
腎臓の機能が落ちてしまい、老廃物をうまく排泄することができない状態です。
体の中に余分な水分がたまってしまうため、むくみの原因となります。
腎不全になりやすい人の特徴
- 不規則な生活習慣を送っている人
- 乱れた食生活(暴飲暴食等)
- 肥満
- 喫煙習慣がある
- 糖尿病
- 高血圧症
- 脂質異常症
- 高尿酸血症
- 家族に腎臓病の方がいる
受診する目安は?何科に行くべき?
腎不全を疑う場合は、早急に内科で受診しましょう。
放置すると腎臓だけではなく、他の器官に障害が出てしまう場合があります。
内科を探す
病気② 心不全
心臓に負担がかかり、全身に血液をめぐらすポンプ機能がうまく働かない状態です。
全身に血液をめぐらすことが難しくなると、血流が滞り、足のむくみにつながります。
心不全になりやすい人の特徴
- 塩分のとりすぎ
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 肥満
- 喫煙習慣がある
受診する目安は?何科に行くべき?
心不全は命に関わる病気なので、早急に内科で受診しましょう。
内科を探す
病気③ 肝硬変
肝臓の機能が低下し、血流の悪化や血液の成分の割合が変化している状態です。
血管内に水分をためておくことができず、お腹や足に水がたまるため、むくみの原因となります。
肝硬変になりやすい人の特徴
- アルコールを多く飲む人
- 肥満
- 生活習慣が乱れている人
- 偏食
- 運動不足
受診する目安は?何科に行くべき?
- 転倒しやすくなった
- お腹がはって苦しい
- 息がしづらい
- 食事を食べられない
などの症状が見られたら、消化器内科を受診しましょう。
なお、肝硬変から肝臓ガンを発症するおそれがあるので、早急に医療機関を受診してください。
消化器内科を探す
病気④ 静脈性浮腫
「下肢静脈瘤」や「深部静脈血栓症」などで、足の血液の流れが滞っている状態です。
血流が悪くなり、足のむくみにつながります。
▼下肢静脈瘤
静脈にある、血液の逆流を防止する弁が不調を起こし、心臓方向に帰っていく血液が足の方に逆流してしまう病気です。
こちらになると、ふくらはぎなどの血管が、コブのように膨らむのが特徴です。
▼深部静脈血栓症
下肢の静脈に血の塊ができて詰まってしまう病気です。血流が滞るため、足のむくみにつながります。
静脈性浮腫になりやすい人の特徴
受診する目安は?何科に行くべき?
静脈性浮腫を疑う症状がある場合は、早めに循環器内科で受診しましょう。
静脈血栓が血流にのって肺に運ばれ、「肺動脈血栓塞栓症」という病気を引き起こすおそれがあります。
また、症状が悪化して、「色素沈着」「ただれ」「足のだるさ」などの症状があらわれる場合があります。
循環器内科を探す
病気⑤ リンパ性浮腫
何らかの原因でリンパの流れが滞り、皮膚の下にリンパ液がたまることで、足のむくみにつながります。
リンパ性浮腫になりやすい人の特徴
乳ガンや子宮ガン、前立腺ガンなどの病気の治療で、「リンパ節の除去」や「放射線治療」をおこなった人は、リンパの流れが悪くなることがあるので、発症しやすいと考えられます。
受診する目安は?何科に行くべき?
放置すると、「むくみがひどくなる」「発熱」倦怠感が強くなる」など、症状の悪化が懸念されるため、早めに外科で受診してください。
外科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
合わせて読みたい
2021-01-07
足のむくみは
毛細血管からしみ出す水分の量が増える
血液の流れ悪くなる など
といったことが原因で生じます。
しかしときには、足のむくみは病気のサインのケースもあります。
足のむくみは病気のサイン?
「靴下の跡が少しだけ残る」くらいの状態であれば、一旦様子を見てもよいでしょう。
ただし「むくみ以外の体調不良がある」という場合は、病気の可能性があります。
「病気かも…」と思ったら、まずは何科?
むくみの原因はいろいろあるので、まずは内科を受診しましょう。
内科を探す
※症状の診断によって、適切な診療科を紹介される場合があります。
考えられる2つの病気
足にむくみが出る状態として、
心不全
慢性腎臓病(CKD)
などが考えられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
病気① 心不全
心臓のポンプ機能が低下し、心臓に戻るはずの血流が滞ってしまうため、足のむくみが生じます。
なりやすい人
高齢者
肥満傾向にある人
糖尿病の人
高血圧の人
喫煙者
むくみ以外の症状
疲れやすい
倦怠感がある
脱力感がある
動悸がする
息切れがする
息苦しい
食欲がない
お腹がはる
吐き気・嘔吐する
体重が増加する
トイレに行く回数が増える
尿の量が増える(特に夜間)
冷える
集中力が低下する など
病院は何科に行くべき?
心不全の症状がある場合は、循環器内科を受診しましょう。
循環器内科を探す
病気② 慢性腎臓病(CKD)
腎臓の機能が低下すると、余分な水分の排泄がうまくいかなくなり、むくみが生じます。
むくみは、くるぶし周辺から左右対称に始まります。
むくんでいる部分を、指で10秒以上強く押すとへこみが残ります。
なりやすい人
肥満傾向にある人
ストレスが溜まりやすい人
運動不足
喫煙者
過度の飲酒
塩分の過剰摂取
むくみ以外の症状
尿の量が増える(特に夜間)
目のまわりがむくむ
疲れやすい
食欲がない
息切れがする
皮膚がかゆい
病院は何科に行くべき?
慢性腎不全の症状がある場合には、腎臓内科を受診しましょう。
腎臓内科を探す
特に“キケン”な症状
むくみの原因が重い病気であった場合、放置すると命に関わるリスクがあります。
呼吸困難を起こしている
唇・手・足先などの皮膚や粘膜が、青紫色になる(チアノーゼ)
意識障害を起こしている
これらの症状が現れている場合は、大変危険な状態です。早急に病院に行きましょう。
▼参考
国立研究開発法人国立循環器病研究センター 心不全
日本循環器学会 / 日本心不全学会合同ガイドライン 急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
MSDマニュアル家庭版 心不全
日本循環器学会 急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)
一般社団法人 全国腎臓病協議会 腎臓病について