「痛みはないけど、太ももが痙攣する…」
「これって病気?」
太ももの「痛みなしの痙攣」について、お医者さんに聞きました。
考えられる原因や、対処法、病気の危険性についても解説します。
監修者
経歴
平成14年福井医科大学(現福井大学医学部)卒業
岐阜大学高齢科神経内科入局後松波総合病院にて内科研修、
岐阜大学高次救命救急センター出向。
美濃市立美濃病院内科。
東京さくら病院及び同認知症疾患センター勤務の後
令和元年7月かつしかキュアクリニック開業。
太ももが痙攣する…痛くないけど、大丈夫?
太ももに起こる「痛みのない痙攣」は、病的なものではないケースが多く、その場合は、安静にして様子をみても大丈夫でしょう。
痙攣は、何らかの原因で“自分の意志とは関係なく筋肉の収縮が起こっている状態”です。
心配のいらない場合もあります。
ただし「脳疾患」などの重大な病気の影響による症状の可能性もあります。自己判断はせず、少しでも不安な場合は、医療機関を受診しましょう。
太ももの痙攣で「よくある原因」
太ももに痙攣が起きるのは
- 筋肉の疲労
- 脱水
- 栄養不足
が原因となっているケースが多いです。
それぞれ詳しく解説していきます。
① 筋肉の疲労
激しい運動などで筋肉が疲労すると、カルシウムやマグネシウムといった、筋肉を動かす時に使う物質が不足して伝達異常を起こし、痙攣することがあります。
筋肉疲労による痙攣の対処法
筋肉の疲労による痙攣を抑えるには、筋肉を温めることが効果的です。入浴や温湿布などを使いましょう。
② 脱水
人間の体は、水分を大量に必要とします。
汗をかいているのに水を飲まなかったりして「脱水」が起きると、体の伝達システムに異常が生じることで、痙攣を発症することがあります。
軽度であれば、太もものように一部の痙攣ですが、重度の脱水の場合は、体全体の痙攣や失神などを引き起こします。
脱水による痙攣の対処法
水分補給を行いましょう。
脱水の症状があるときは、早急に補給ができる経口補水液を飲みましょう。
③栄養不足
栄養不足により体が冷えることで、筋肉が痙攣する・つるなどの症状を発症させることがあります。
栄養不足による痙攣の対処法
栄養補給も必要ですが、まずは体を温めましょう。
具体的には、
- 毛布や布団をかけ、厚着をする
- 温かい飲み物を飲む
- 消化に良い、温かいおかゆやうどんをゆっくり食べる
などが効果的です。
その後、バランスよく食事をとりましょう。
こんなときは病院へ!病気の可能性も
痛みがない痙攣でも、
という場合は、医療機関を受診しましょう。
早急に治療が必要な病気の可能性も考えられます。
「脳の病気かも」特に注意すべき症状
特に、「体の片側だけの痙攣やしびれ」「ろれつが回らない」などの症状がある場合は、脳梗塞や脳出血の可能性があります。
他にも、
- 上手く喋れない
- めまい
- 意識障害
- 物が二重に見える
などの症状がみられます。
脳梗塞・脳出血の治療は、早く行わないと後遺症を残し、最悪死亡します。「体の片側に起きる」「おかしい」と思う症状がある場合は、ためらわずに医療機関を受診しましょう。
病院は何科?
「太ももに痛みのない痙攣がある」「脳の病気が考えられる」のどちらの場合も、脳神経外科、脳神経内科を受診しましょう。
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2021-06-18
「体のいろいろなところがピクピクする…」
「これって大丈夫?」
体のいろいろなところがピクピクする症状について、お医者さんに聞きました。
原因や、放置すると危険な病気の可能性についても解説します。
体の色々なところがピクピクする…これって大丈夫?
症状が一時的で、数秒程度で治まる場合は、あまり心配しなくても大丈夫です。
ただし、体のあちこちがピクピクする症状が
1日に何度も起きる
痛みをともなう
という場合は、深刻な病気が原因の可能性があります。
体中にけいれんが起こる2つの原因
体の色々なところでけいれんが起こる場合、
自律神経失調症
脳疾患
が原因となっている可能性があります。
それぞれ詳しく解説していきます。
原因① 自律神経失調症
自律神経失調症になると、体の様々な器官のバランスが崩れてしまいます。筋肉の動きもその一つで、脳からの信号が乱れることで、けいれんが発症します。
発症する場所は、個人差があり、顔面、足、手など様々な部分で発症します。
自律神経失調症の主な症状
「自律神経失調症」は、けいれんの他にも複数の症状が現れます。
めまいや動悸、不眠、冷え、倦怠感、イライラする、集中力が続かない、肩こり、頻尿、残尿感、生理不順、便秘、下痢、めまい、のぼせ 等
こんな人は要注意!
新しい仕事を始めた、環境が変わった時期などに発症する人も多くいます。
また、多くの場合、
ストレスが多い
過労をためている
プレッシャーを感じている
生活リズムが崩れている
人が発症しています。
更年期障害の人にも発症しやすいと考えられています。
どう対処すればいい?
休息をとって、ストレスを解放するようにしましょう。
また、毎日の生活リズムを整えることも大切です。それでも症状が良くならない場合は、専門医への相談が必要です。
治療は、生活を整える指導や自律神経を整えるお薬などを使います。
原因② 脳疾患
脳に異常が起きると、脳からの信号が不安定になることでピクピクと体が動くといった、けいれんを起こします。
脳疾患の場合は、特に顔のけいれんが多くみられます。
脳疾患の主な症状
脳疾患は、目の周りのけいれん、けいれんが長いと顔が歪むことで顔が変わったようになります。
他にも、病気によっては
手足がしびれる
激しい頭痛
ろれつが回らない
などの症状が現れる場合もあります。
こんな人は要注意
脳疾患は、
脳の腫瘍がある人
頭部外傷を受けた人
高血圧の人
などに発症しやすいです。
どう対処すればいい?
自分で対処するのは難しいです。早めに医療機関を受診しましょう。
医療機関では、顔面神経を圧迫している脳腫瘍を取り除く治療が検討されます。
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ピクピクが続く場合は早めに病院へ!放置すると…
放置するとピクピクするけいれんが強くなることがあります。
日常生活に支障が出る人もいます。
「自律神経失調症」の場合は、悪化すると他にも症状が増える可能性があるので早めに医療機関での受診を行い、治療を受けましょう。
「脳疾患」の場合は、脳梗塞や脳出血が原因となっている可能性もあるので、特に早めに医療機関を受診するようにしましょう。
病院は何科?
体の色々なところがピクピクする症状がある場合は、脳神経外科・脳神経内科を受診しましょう。
「自律神経失調症」の症状がある
→脳神経内科を受診しましょう。
※自律神経失調症は、“出ている症状”にあわせた診療科を受診しましょう。それでも改善しない場合は、心療内科・精神科を紹介されることもあります。
「脳疾患」の症状がある
→脳神経内科を受診しましょう。
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2020-11-18
足が勝手にぴくぴくとけいれんしてしまうことがあります。
それは病気が原因かもしれません。
この記事では、足のけいれんやしびれが起こる原因や、症状、対処法を解説します。
代表的な原因として、
筋肉疲労
水分不足(脱水状態)
血中電解質濃度の低下
甲状腺機能低下症
脳疾患(脳梗塞、脳腫瘍)
が考えられます。
原因①筋肉疲労
足・腕・指・腹筋・背中にけいれん等の症状が出ます。
発症する原因
過度な運動によって筋肉が疲れ過ぎると、筋肉内のマグネシウムやカルシウム等のバランスが崩れます。その結果、意思に反して急に筋肉が収縮、足にけいれんが起こる場合があります。
対処法
けいれんを起こしている筋肉を伸ばしましょう。
ストレッチ・マッサージ・入浴もおすすめです。
運動直後にバナナ・おにぎり・パンなど、炭水化物やタンパク質を補給することで、早期疲労回復が期待できます。
原因②水分不足(脱水状態)
ふくらはぎのけいれん
筋肉の張り感
皮膚の弾性の低下
などの症状が出ます。
発症する原因
脱水状態になると、筋肉や神経の機能が低下します。
その結果、筋肉の代謝が悪くなり、足にけいれんが起こります。
対処法
こまめに、1日1L以上の水分を補給しましょう。
ミネラルを含む飲料水の摂取もおすすめです。
原因③血中電解質濃度の低下
足のけいれん
筋力低下
不整脈
を起こすことがあります。
発症する原因
内分泌疾患・アルコール依存症・一部の利尿薬の服用・透析(体液喪失)等によって血中の電解質濃度が低下し、足にけいれんが起こる場合があります。
対処法
マグネシウム、カリウムなど電解質を補給してください。
手軽に補給できるスポーツドリンクもおすすめです。
原因④甲状腺機能低下症
症状として
けいれん
筋肉痛
筋肉疲労
筋力低下
むくみ
疲労感
寒気等
といったことが出ます。
発症する原因
甲状腺の機能に異常が起き、体の甲状腺ホルモンの分泌が減ることで発症します。
対処法
内分泌内科を受診し、治療を受けましょう。
不足している甲状腺ホルモンを補給する治療を行います。
内分泌内科を探す
原因⑤脳疾患(脳梗塞、脳腫瘍)
足や手のけいれん
吐き気
嘔吐
頭痛
意識障害
呂律が回らない
等の症状が出現する場合があります。
発症する原因
脳疾患の原因の一つでもある動脈硬化の初期症状として、足のけいれんやしびれ等の症状が出ると考えられています。
生活習慣の乱れや脱水症状などによって動脈硬化が進むと、脳疾患を発症します。
対処法
脳疾患が疑われる場合は、早急に脳神経内科や脳神経外科を受診してください。
脳神経外科を探す
けいれんを防ぐにはどうする?
個人でできる予防法としては
1日1L以上、水分摂取する
ミネラルを補給する
カフェイン摂取を控える
運動前や就寝前に軽い筋肉ストレッチを行う
食事直後に運動しない
禁煙する
といった対処が挙げられます。
足の筋肉ストレッチ法
立っている状態で右足を前に出す
右膝を曲げる
後方の左足のふくらはぎを伸ばす
※30秒間維持してください。足を変えて、5セットほど行います。
\ワンポイント・アドバイス/
かかとは両方とも、床につけて行いましょう。
おすすめの食べ物
牛乳・緑黄色野菜・大豆・アーモンド・小魚・海藻類・貝類・玄米等を日々の食生活に取り入れましょう。
すぐ病院へ!こんな症状は要注意
足のけいれんやしびれとともに、
吐き気、嘔吐
下痢
大量発汗
発熱
急な筋力低下
筋肉がひきつる
けいれんが5分以上続く
感覚がなくなる
といった症状がみられる場合には、病院を受診してください。
病院は何科?
内科、脳神経内科、脳神経外科、整形外科の受診をおすすめします。
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※病院の設備やあなたの症状によって、適切な診療科を紹介される場合もあります。
放置するとどうなる?
動脈硬化の初期症状として足がけいれんやしびれている場合、放置すると脳梗塞や心筋梗塞等の疾患を見逃してしまう恐れがあります。
気になる症状がある場合は、早めに医師に相談しましょう。
▼参考
一般社団法人 日本神経学会 けいれん
沖縄県医師会 足の「けいれん」
MSDマニュアル家庭版 甲状腺機能低下症