痰がしつこく絡んで、のどがすっきりしない。
何度も吐き出したのに、また痰が絡んで困る。
そんなお悩みの対処法を紹介しています。
どうして痰がしつこく絡んでいるのか、病院を受診した方がいいのかなどをお医者さんにお聞きしました。
しつこい痰に困っていたら、ぜひ参考にしてください。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
痰絡みの「基本の対処法」
痰が絡みやすいときは、水分を多く摂取しましょう。水分を多くとると、痰が出やすくなります。
痰を排出しやすくする去痰薬も市販されています。
薬剤師に相談し、使用上の注意を確認してから使ってください。
痰が長引く原因かも「NG行為」
たばこやアルコールは、気道の線毛細胞を破壊する働きがあります。
痰症状が出ているとき、出やすい人は、禁煙・節酒をしてください。
気道の粘膜上にある線毛細胞は、痰の排出を促す働きがあります。たばこやアルコールの影響で、線毛細胞が破壊されるので注意してください。
痰が治らない原因は?
痰が長引く場合は、次の病気になっている可能性があります。
原因①気管支炎
「急性気管支炎」の多くは、細菌やウイルスが感染することで、痰が絡んだ咳が頻繁に出る病気です。
「慢性気管支炎」の場合は、喫煙や排気ガスなどの大気汚染によって起こります。
生活な不規則で免疫力が落ちている人、幼児、高齢者などが発症しやすい病気です。
自分でできる対処法
出てくる痰は吐き出します。しっかりと休暇を取り、栄養のある食事をとりましょう。
また、痰や咳が出ている間は、嗜好品(たばこ、アルコールなど)は控えてください。
原因②肺炎
細菌やウイルスの感染によって、咳や痰、発熱などの症状が出ます。
生活が不規則で免疫力が落ちている人、高齢者、幼児などが発症しやすい病気です。
黄色い痰や茶褐色の痰など色のついた痰などが出るときもあります。
肺炎では、咳や痰だけでなく、咳をすると胸が痛む、呼吸が浅くなるといった症状が出ることがあります。
自分でできる対処法
3、4日激しい咳が続くなど、症状が快方に向かわないときは、自己判断せず、早めに病院で診察を受けましょう。
原因③慢性閉塞性肺疾患(COPD)
主に長年の喫煙習慣が原因で、慢性的な痰や咳の症状や、歩いたり、階段を登ったりした際に息切れが出ます(労作時呼吸困難)。
喫煙者の15~20パーセントの人が、慢性閉塞性肺疾患を発症するとされています。
長期間の喫煙によって、慢性的に咳や痰が出ます。
また、気管支が炎症を起こし、肺が壊れ、気管支が狭くなるため、酸素を取り入れる働きが弱くなります。場合によっては、二酸化炭素を排出する機能も低下します。
自分でできる対処法
禁煙が必須です。
禁煙だけでは、一度失った肺機能を元に戻すのは難しく、同時に病院で治療を行い、症状を軽くしていきます。
原因④肺がん
喫煙者に多い病気です。
喫煙、受動喫煙、衣食住での環境、薬品などが原因になります。
咳、痰、倦怠感、胸痛、体重減少、血痰などの症状があらわれます。ただし、変化がないことも多いです。
自分でできる対処法
禁煙が必要です。家族に喫煙者がいる場合も、禁煙をします。
同時に必要ながん治療を受けます。肺がんは、見つかった時点で他の臓器に転移していることが多く、転移がある場合は、抗がん剤やその他のがんに対する薬物治療や放射線治療などを組み合わせて治療が行われます。
病院へ行くタイミング
痰以外に、咳・発熱を含む症状が4~5日続き、よくなる傾向がない場合は、病院で診察を受けましょう。
また、熱がなくても2週間以上も痰や咳で呼吸が苦しい状態が続くときは、病院を受診してください。慢性閉塞性肺疾患や肺がんなどの可能性があります。
病院は呼吸器内科・内科を受診しましょう。
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2020-01-09
「痰が喉に張り付く…」
「いつまで痰の症状は続くの?」
「風邪は治ったのに咳と痰が出続ける…なぜ?」
風邪による痰が出る仕組みから、喉に痰が絡む対処法まで、医師に詳しく解説してもらいました。
風邪による痰の症状にお悩みの方は必見です。
なぜ?風邪で「痰が出る原因」
「痰」は、ウイルスや細菌による喉の炎症が考えられます。
「咳」は、呼吸器を守ろうとする防御反応や、痰を排出しようする働きで起こります。
痰や咳が出るときの過ごし方
痰や咳が出るときは
部屋を加湿する
水で濡らしたマスク(濡れマスク)をつける
横向きに寝て、気道を確保する
温かい飲みものを飲む
といったことを実践してみましょう。
痰が絡む咳は「治りかけの合図?」
痰が絡む咳は、風邪が治りかけている合図です。
乾いた咳の後、2~3日でさらさらとした白っぽい痰に変化します。
その後、黄色や緑色の痰となり、再び白い痰に変化したら治ってきている証拠です。
風邪の咳や痰、「いつまで続く?」
風邪の後の咳や痰は、通常であれば風邪の症状が落ち着いた後、1週間くらいで快方に向かいます。
風邪の症状はおさまったのに、咳と痰だけがよくならない場合は、喉の粘膜に病原菌がいて炎症が続いている可能性があります。
痰の上手な出し方
水分を摂ると痰が水分を含んで柔らかくなり、出しやすくなります。
あまり無理をすると咳で疲れるので、少しずつ出しましょう。
痰を出した後は、手を洗いましょう
痰をティッシュにくるんだ後は、石鹸できれいに手を洗いましょう。
痰にはウイルスや細菌が含まれており、他人に風邪をうつしてしまうことがあります。
痰は出した方がいい?
飲み込んでも問題ありませんが、痰が多いと具合が悪くなる人もいるので、出せる場合は出しましょう。
痰には風邪のウイルスや細菌が混じっていますが、飲み込んでも胃液で通常死滅します。
市販薬は「去痰薬」を選んで
市販薬を使用する際は、「去痰薬」という痰を出しやすくしてくれる成分が入っている薬を選びましょう。
「去痰薬」には、咳を緩和する成分が同時に配合されているものが多いです。
◆痰を出しやすくする成分
ブロムヘキシン塩酸塩
L-カルボシステイン
グアヤコールスルホン酸カリウム
桜皮抽出物(オウヒ)
キキョウ
マオウ
◆咳を緩和する成分
アミノフィリン
テオフィリン
dl-メチルエフェドリン塩酸塩
メトキシフェナミン塩酸塩
ジヒドロコデインリン酸塩
コデインリン酸水和物
去痰薬と風邪薬は併用しない
市販の風邪薬は去痰成分が入っているものが多いため、去痰薬と併用すると同じ成分を過剰摂取してしまう場合があります。
風邪薬によっては併用可能なものもあるため、服用の際には薬剤師に相談しましょう。
緑・黄色の痰は「体が戦っている証拠」
緑や黄色の痰は、粘液に細菌やウイルスと白血球が混ざったものです。
この痰が出たからといって、風邪が快方に向かっているとは言えませんが、白血球とウイルスや細菌が戦っている証拠です。
熱はないけど緑色の痰が出るのはなぜ?
喉にウイルスや細菌の感染を起こすと、発熱していないのに緑色の痰が出ることがあります。
これは、ウイルスや細菌が入り込んできているところで、白血球が戦っている状態です。
風邪には特効薬がありません。
白血球に頑張ってもらうためにも、バランスが偏らないようしっかりと栄養を摂り、 体を無理に動かさないようにして休めましょう。
「血が混じっている」痰は“喉の粘膜が切れている”
咳で喉の粘膜が切れて血が混ざる場合があります。
自然に治ることも多いので、まずは水分補給を行い、無理に喉を使わないようにして加湿した部屋で安静にしてください。
血痰は「風邪以外の病気」かも
何度も血が混ざる・血の量が増えているといった場合は
上気道炎
気管支拡張症
肺がん
肺結核
肺炎
肺アスペルギルス症
肺梗塞
心不全
などの可能性があります。医療機関を受診しましょう。
こんな症状を伴うときは要注意!
血痰だけでなく、
胸痛
呼吸が苦しい
喉が腫れている
喉の異物感
咳が出る
胃痛
声のかすれ
などの症状を伴うときは、風邪以外の病気も考えられます。
重い病気が原因となっているケースもあるため、注意が必要です。
1週間以上も、咳・痰が続く場合は病院へ
1週間以上、咳・痰の症状が続く
咳が悪化している
息をするのがつらい
食欲がなくなってきた
といった場合は、一度医療機関を受診してください。
原因は風邪じゃないかも
咳・痰が長引く場合、肺炎・結核・肺がんなどの可能性があります。
検査を受けましょう。
病気① 肺炎
肺胞という肺の末端にウイルスや細菌が感染する病気です。
症状
黄色や緑色の痰が出る
38度以上の熱が数日間続く
寒気がする
倦怠感が生じる
呼吸困難になる
病気② 結核
結核菌という細菌が肺で増殖する病気です。
症状
咳と痰が出る
微熱が数日間続く
息苦しさを感じる
胸が痛む
食欲がなくなる
体重が減る
病気③ 肺がん
肺の細胞ががん化していく病気です。
症状
痰に血が混じる
熱が数日間続く
息苦しさを感じる
胸が痛む
動悸がする
病院は何科?
医療機関は内科や呼吸器内科を受診してください。
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2020-12-02
咳をしたら、痰に血が! もしかしてこれは、深刻な病気!?
病院に行くべき血痰と、あまり心配しなくてもいい血痰を紹介します。
大丈夫?こんな血痰は心配なし
痰に血が混じっていても
口や鼻の出血
風邪
気管支炎
が原因のときはそれほど心配ありません。
自然に治ることも多いので、水分補給を行い、加湿した部屋で安静にしましょう。
それぞれのケースの症状の特徴を紹介しますので、自分の症状と照らし合わせてみてください。
ケース① 口や鼻の出血
口の中や鼻の中の一部が切れることにより出血し、それが痰に混じることがあります。
症状の特徴
鼻はかみ過ぎたり、いじったりすることで、すぐに傷がつきます。
口の中も歯ブラシで傷をつけたり、かみ傷などで出血します。
対処法
小さな傷による出血は比較的すぐに止まるので、そのまま経過を見てみましょう。
止まらないときは耳鼻いんこう科を受診しましょう。
ケース② 風邪
風邪で、喉が炎症を起こした後は、出血しやすくなり、それが痰に混じることがあります。
症状の特徴
風邪の後で痰を出した時に、喉が切れて出血することもあります。
対処法
喉の痛みのみが強い場合は、耳鼻いんこう科を受診してケアを受けると良いでしょう。
耳鼻いんこう科を探す
ケース③ 気管支炎
風邪やインフルエンザなどの細菌やウイルスにより、気管支に炎症が起きます。
症状の特徴
粘り気のある痰が出ます。胸痛や発熱、鼻水、喉の痛みなどを発症します。
対処法
痰の症状が辛い時は
部屋を加湿し、マスクを着用する
温かい飲み物を飲む
横向きに眠る
と楽になります。
要注意!病院に行くべき血痰
痰に血が混じっているとき
肺炎
肺結核
COPD
の可能性がある場合は注意が必要です。
お薬での治療が必要な場合もあるので、すぐに病院に行くようにしてください。
それぞれのケースの症状の特徴を紹介します。
病気① 肺炎
肺胞という肺の末端にウイルスや細菌が感染して発症します。
症状の特徴
黄色や緑色の痰が出る
38度以上の熱が数日間下がらない
悪寒や倦怠感が生じる
呼吸困難のような症状が出る
対処法
抗菌薬の投与が必要です。肺炎を疑う場合は、すぐに内科・呼吸器内科を受診してください。
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病気② 肺結核
結核菌という結核の原因となる細菌が肺で増殖して発症します。
症状の特徴
痰と咳が出る
微熱が続く
息が苦しくなる
胸が痛くなる
食欲が低下する
体重が減少する
といった症状が現れます。
風邪に似ているのですが、2週間以上は同じような症状が続きます。
対処法
内科・呼吸器内科で、結核療用の薬物治療を受ける必要があります。
入院が必要な場合もあります。
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病気③ COPD
気道が狭くなり、痰や息切れといった症状が現れる病気です。
タバコの煙や大気汚染物などの原因で発病します。
症状の特徴
痰が絡む
息切れがする
体重が減少する
むくみが出る
ヒューヒューといった特徴的な呼吸がある
といった症状が現れます。
対処法
風邪ではないのに息苦しく、いつまでも痰が出るといった場合は、COPDを疑い、内科・呼吸器内科を受診しましょう。
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病院は何科に行けばいい?
内科や呼吸器内科の受診をおすすめします。
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病院でお医者さんに伝えるポイント
病院を受診した際は、以下の4つのポイントをお医者さんに伝えましょう。
痰の症状はいつからか(風邪症状の後、他に症状はなく痰が出始めたなど)
何色の痰が多いか(透明、黄色、緑、血痰など)
血が混じったのはいつからか(血痰が出る前後に痰は出ていたか、急に血痰だけが出たのか)
痰以外に出ている体の症状(発熱、倦怠感、咳、鼻水など)
▼参考
NIID国立感染症研究所 結核とは